神家正成のレビュー一覧
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ネタバレ今作は舞台を警察に移しますが、植木の活躍は今作が一番かも知れません。
前2作もそうですが、若者達が悩みながらも様々な人に助けられて成長してゆく姿はとても清々しく頼もしいものです。
そしてまた後半怒涛の展開。悲しくも心打たれる結末。
こちらでも前2作から続く言葉や音楽など、続けて読んでこそ、の楽しみもあります。
自衛隊員や警察官は普段の生活の中で接することはありませんが、3作を通して、服務の宣誓をした職業の方々の覚悟には心打たれます。問題があった時ばかり取り上げられてしまいますが、ほとんどの方がこうした覚悟と矜持を持って職務に当たられているのだと改めて感じました。
植木の秘密は次回作以降に持ち越 -
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ネタバレ前作の『深山の桜』で少しだけ登場する甲斐が主人公です。前作ではいまどきの若者風に描かれていたのは多分作者の狙いで、今作では一転、人間としての深み、重厚な過去が描かれます。前作から引き続き登場する人物や共通のセリフ回し、小道具も嬉しいところです。
前半は戦車内の描写や、過去と現在を行き来するので、ややとっつきにくいところもありますが、後半に向けての伏線があちこちに張られており、後半にはそれらを一気に回収しながら、自衛隊ものではあり得ないようなアクションが待っています。
そしてこれも前作同様、最後に驚くような種明かしと共に大きな感動が待っています。 -
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ネタバレ『深山の桜』、『七四』、『桜と日章』という自衛隊三部作(今のところ)の1冊目。
自衛隊の日常や武器、階級などに興味のない方にとって前半は少々しんどいかも知れませんが、後半からラストにかけてのこれでもかという展開。そしてすべてが明らかになった時の感動。落涙必至です。
後半から登場するオネエ言葉を話す植木はこの作品だけを読むとやや唐突で活躍も少なく思えるかも知れませんが、3作とも主人公は他に譲りながら、この植木の考えや信念こそがこれらの作品に通奏低音のように流れる骨格であり、作者の思いでもあるのだと思います。
どうか3作続けて読まれることをお勧め致します。 -
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世の中は、ほんの一握りのヒーローと
大多数のクズからできている。
そのことをまざまざと見せつけられる本(- -
前半部分、ストーリー的にはあまり進展がなく、
正直やや冗長な印象を受けた。
が、そこで細かく描写される「自衛隊員の日常」、
=一般人にとっての「非日常」が、
あとからじわじわと効いてくる。
一応は「犯罪捜査」の話であるが、
犯罪を「犯す側」の気持ちも嫌と言うほど分かる。
...気がする(- -
誰が悪いのかというと...「現場の目」で見ると
「事情を真に理解せず勝手なことを言ってる奴ら」
ということになろう。
が、それは防衛省の制服組や政治家だけではなく、
「現場」を理解し -
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装備品の開発評価を担当する赤川1佐が74式戦車の車内で遺体となって見つかった。遺書もあり初見で自殺として処置されそうな事件に自衛隊の警察、中央警務隊から警務職種の甲斐和美3等陸尉が派遣された。
甲斐3尉は違和感を感じつつも自殺の線を崩すほどの証拠を見つけられないまま結論づけられようとしていた。
一方自衛隊生徒として青春時代を送った坂本孝浩は退職し、プログラムの会社を経営していたが、防衛省の戦車のプログラムを請け負った親会社から一方的に契約を打ち切られ、会社の存続に絶望していた。坂本は機甲科の戦車乗りとして亡くなった赤木と青春時代を過ごしていたのだった。