神家正成のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
感想として、万感という言葉がしっくりくる。
物語が進むにつれて、様々な思いが浮かび上がっては去っていくように感じた。
冒頭では自衛隊という作中の作り込みをし、小さな伏線を張りつつ、徐々に物語を加速させていく。
俯瞰して読んでいたかったが、途中からはただただ物語にのめり込んで、正に読まされてしまった。
さて、読み終わり、准尉のことが気がかりではあるが、
それよりも自衛隊とはなんだろうかと思う。
今まで深く考える機会すらなかったが、本書は1つのきっかけになり得ると思う。
就職先・仕事である前に、自国の大事な機関なんだと思う。災害時の活躍が記憶に新しいが、本来の役割は防衛である。
そんな自衛隊が、今なにができて、何ができないのか。
必要なのか、なんで必要となるのか。
あまりにも考えてこなかったと、恥ずかしく思う。
私だけかもしれないが、日本という国に愛着がないんだろう。
政治などには盛り上がりを見せず、今だけを生きて、不利益が出そうな時だけ不満をいい、改善案は誰かに任せる。
自分の家と同じように日本という国を考えることが、あまりにも少なすぎて愛国心が育たないんだろうか。
小学生の子どもと一緒に、日本を学んでみたいと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ南スーダンの自衛隊宿営地で連続する盗難事件を調査するよう命じられた、退官間近の亀尾准陸尉と部下の杉村陸士長。
日本から特別派遣されてきたオネエの警務官・植木一等陸尉も調査に加わるが謎の脅迫状や小銃弾の紛失という事件が次々と起こり、事態は予想のつかない展開となる…。
前半は自衛隊内部の階級や独特の習慣や言葉に引っかかることが多く、読み進めるのに苦労しました。
冗長と思えるほど隊員たちの日常生活や装備などの描写が細かく、それも読みにくい原因かも。
でも、ディティールが描写されることによってリアルな説得力のある世界が形作られ、現在の自衛隊が抱える問題をより明確に浮き彫りにしていて、物語に奥行きを与えていると感じました。
描かれる隊員たちの人間関係も日常もかなり緊張感のある厳しいものですが、未知な世界を知ることができて新鮮でした。
中盤から、オネエ言葉で喋りまくり、物語をガンガンかきまわす植木一尉がかなり目立ってます。
最初は異色すぎて違和感を感じたのですが、物語の展開がハードになるにつれて、彼の存在がオアシスのように感じられ、ホッとするようになりました~。
現行の法律や政治が抱える問題や矛盾、現場の隊員たちの矜持についてもわかりやすく描かれ、改めて考えさせられました。
作者は元自衛官だそうですが、メッセージ性の強い問題提起もちゃんとエンタメに昇華され、完成度の高い作品になっています。
抒情的なラストシーンは美しすぎて…涙腺がゆるんじゃいました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ元陸上自衛官の著者が描く、自衛隊内の窃盗事件を描く。
舞台は南スーダンに派遣された陸上自衛隊基地内。
私物の窃盗事件から弾薬の紛失事件へと発展し、それを調査するベテラン隊員と若手隊員の調査を追う。
アクションは最後以外にほとんどなく、基本的には窃盗事件調査がメイン。
この本を通して、自衛隊が枝葉末節まで規定するルールと現実を見ない上層部のおべんちゃらに付き合わされ、現場はがんじがらめになっていることがわかる。
また国民の目を過度に気にすると感じられ、主要な目的外の作業が多すぎると思った。
こんな枝葉末節にがんじがらめにされてしまうと本当に有事が起きたとき、自衛隊がいかに有能でも、自由迅速に行動する敵に対して、応対行動がとれるのか?と不安になる。。 -
Posted by ブクログ
★3.5ですね。
いままさに進行中の国連南スーダン共和国ミッションへ派遣された自衛隊部隊を舞台にしたミステリー。
って言うか、『ミステリー』と言う意識はありませんでした。でも第13回『このミス』の優秀賞だったんですね。それを認識してもなお、あまりミステリーと言う感じはしません。むしろ、自衛隊の置かれた厳しい立場を、少しコミカルに描き出した小説という認識です。
だってねぇ、確かに推理小説の要素はありますが、それよりも、南スーダンに派遣された自衛隊の厳しい日常生活、国内でぬくぬくとしている防衛官僚に手を縛られた現地部隊、不穏な現地情勢・・・。2016年より、やっと法制度化された駆けつけ警護も任務に加わるようですが、そんな悠長なことを言っている状況じゃないんですよね。奇しくも、実際にあった自衛隊から韓国軍への断薬貸与などを鑑みると、よくこれまで戦闘による死亡者が出なかったなと。
そう言う意味で、ミステリーと言うより、南スーダン派遣自衛隊の厳しい日々を描いた小説だと思います。