北野寿美枝のレビュー一覧
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ネタバレ長ーい小説だった。
大自然の描写とゆったりした生活感と町の人間との触れ合いをじっくり描いて
トレイと会うまでも長いし、会ってからもゆっくり。
カルの娘にしてあげれなかったことを奇しくもトレイにやってあげるところが良かった。
最後に彼女を見守る選択をするのもかっこいい。
カルの人生再生物語に見立てて、家はボロボロで家具もほぼなし、一から集めていったり、自分で作ったり、そしてトレイが来て、終盤にはレナが来てと擬似家族を形成していく。
今度こそ彼は間違えないように、だいぶレナに助けてもらいながらだけど、進んでく。
よく出来た構成。
かなり地味なのに面白い。
暴力が発生するのは、かなり後半でしかも -
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ネタバレアメリカとアイルランドにルーツを持つ作家、タナ・フレンチの作品。集英社文庫から数作出ていたが、今作はハヤカワ・ミステリ文庫から。
妻と別れ、シカゴ市警を辞めたことをきっかけに、アイルランドの片田舎に引っ越してきたカル。隣人や雑貨屋の主人達とそれなりに仲良くやってきたが、村八分の扱いを受ける子供から兄を探して欲しいとお願いされ。。。
兄の探索というミステリ要素がありつつも、アイルランドの豊かな自然や、小さいコミュニティでの暮らしが濃厚に描かれる。いわゆる、文芸ミステリ。
正直ミステリとしてはそこまで。期待して読むと肩透かしかも。ただ、妻も娘も仕事までなくした孤独な男が、子供とのやりとりをとお -
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ネタバレ競馬シリーズ43作目。
アフガニスタンの戦場で右足を失った大尉トマスがイギリスに戻り、
実家である母親の厩舎に戻ったところから話ははじまる。
有名な調教師である母親は、投資に失敗したあげく脱税をネタに脅迫されていた。
不仲な母親だったが、偽の投資話を持ち掛けていた税理士の死や、
脅迫者の正体を探り始めるトマスだったが、
閉鎖された厩舎に縛られて義足を外された状態で取り残され、
死にかける。
もちろん、なんとか逃げ出し、
厩務長のフラットに身を潜ませながら真相にたどりつくが
最後の方では、
年の離れた金のある男と結婚している初恋の相手が、
悪事に加担しているのかどうかが気になって仕方なかった -
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ネタバレカリンスローターはこれで4作目
文章にも独特なストーリーテリングにもほぼ順応出来たはず。
かなり面白い、これを最初に読めばよかった。
主人公サラと元夫のジェフリー、殺された被害者の妹で警察官でもあるレナの3人から事件を見ていくいつものスタイル。
これがデビュー作ってすごい、いくつか読んで、カリンスローターは最初からテーマは一貫してるってわかった。
レイプするやつが必ず出てくるし、その被害の重さを現実的に徹底して描くところ、主要登場人物ですら過去に性犯罪にあっていることが多い。
主人公に肩入れして読んでて、性被害にあっていたと告白するシーンですごい精神的ダメージを食らうので、新しいの読む時めち -
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ネタバレ競馬シリーズ40作目。
シッド。
まさかまた会えるとは。
結論から言うと、無事再婚できて良かった。
意図せず前妻に恋人を紹介することになった時はどうなることかと思っていたが、
前妻とのわだかまりも消えたし、銃で撃たれた恋人も助かったし。
(前妻の今の結婚生活があまり幸せそうでなかったので、
もしかしてよりを戻す展開なのか⁈と思ってしまったのは申し訳なった)
さて事件の方は、義父に頼まれて訪れた競馬場で、
シッドは馬主に八百長疑惑について調べるように頼まれる。
すると、その直後疑われていた騎手が競馬場内で銃で撃たれて殺された。
騎手の父親に頼まれて、シッドは犯人を捜すが、
今度は調教師が自 -
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長編小説特有のずっしりした読後感。アメリカで長年警察官だった男が、都会ぐらしや警察の闇に疲れ、アイルランドの辺鄙な田舎へ引っ越す。何十年も放置されていた家屋を修繕し、少しずつ近隣住民に溶け込んでいく。ある日、村民から除け者にされている家の子供からの、妙な依頼を引き受けたことがきっかけで、不穏なことが起こり始める。元警察官の勘と知識で取り組んでいくが、事態は想像よりずっと深刻だった、、、。田舎暮らしで起こる住民との交流(良くも悪くも)、悪気のなさが引き起こす好ましくない事態、独特の倫理観など、どこにでもあるちょっとした違和感が重なる重たいストーリー。ゆっくり時間をかけて読む一冊。
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ネタバレ捜索者
職を捨て、妻子とも別れて、一人でアイルランドの片田舎にある廃墟同然の家に越してきた、元アmリカの警察官カル。
廃墟同然の家をDIYで修繕しつつ、大自然の中で静かに暮らす第二の人生を模索実践していく中で、カルは見張られているような違和感に気づく。気配の正体はみすぼらしい格好をした13歳の子供トレイ。
次第に距離めDIYを手伝うまでになったトレイは、ある日カルに「兄貴を探してほしい」と依頼する。
幸せとは決して言えない境遇に育ったゆえに、少々ヒネてる子供に大工仕事や家事を通じて、人生を教えるパターンは大好きな小説「初秋」リスペクトである(あとがきにも書かれている)。
もちろん… -
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タナ・フレンチを初読。アメリカ生まれのアイルランド在住の女流作家。ダブリン警察殺人課のシリーズ作品が主流なのだそうだが、未訳も多く、ぼくは読んでいない。本作は捜査小説というよりも、ヒューマンな色合いと、文明論、人生の深みといった本質部分を突いた完全独立作品である。
シカゴ警察を退職し、家族と別れ、人生を取り戻すためにアイルランドの片田舎に独り移住したカル。古い建物を修復しつつ、生活を再建させようとしていた彼は、頭を剃り上げた子どもトレイと出会い、その行方不明となった兄の捜索を出来る範囲でとの条件で引き受ける。
大都会シカゴから、大自然の真っただ中にある閑散とした小村への移住。広漠たる -
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2017年から2018年の間
面白そうなのに
「シリーズモノだから…」と
敬遠していた作品があり、そのシリーズを
遡ると途中で合流するのが本作の主人公サラで、それなら発行順からしてこちらから読むのが良さそう。と、思ったらハヤカワ版は絶版…
そこまで調べ、諦めていた。
前情報なしで、書店で見かけた時
「うえっ!」と声に出して、咄嗟に手に取っていた(何故かその書店では最後の一冊だった)
まさかの復活
小さな町のレストランのトイレで、大学教授の女性が腹部を十字に切り裂かれて殺害された。
偶然にも第一発見者となった検死官サラは、迷いのない切創と異様な暴行の痕に戦慄を覚える。
しかも犯人は被害 -
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カリン・スローター『開かれた瞳孔』ハーパーBOOKS。
カリン・スローター幻のデビュー作と帯に書いてあるが、2002年にハヤカワ文庫から刊行された同名作の復刊である。ハヤカワ文庫で既読であったが、再読してみた。
カリン・スローターの全邦訳作品を読み、彼女がロマンス系ミステリーではなく本格派ミステリーの書き手なのだという頭で、改めてこのデビュー作を読んでみるとなかなか面白いではないか。北上次郎の絶賛も今なら頷ける。
小さな町の簡易レストランのトイレで検死官サラ・リントンは偶然、瀕死状態の女性大学教授を発見する。薬を投与され、切り刻まれ、レイプされた女性はサラの腕の中で事切れる。さらに、第二