【感想・ネタバレ】捜索者のレビュー

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Posted by ブクログ

『本の雑誌』で絶賛されてたのと、物語の舞台がアイルランドだと言うのが気になって取り寄せ読んでみたところ、なるほどなるほど。シカゴで長年警察官だったのを辞め当地に移住してきた主人公をはじめ、登場人物のキャラクター設定(動物含む)がすごく効いてる。文庫本としてはギョッとする厚みだけれど読み始めたらページを捲る手が止まらず一気読み。

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2022年11月15日

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ネタバレ

捜索者

職を捨て、妻子とも別れて、一人でアイルランドの片田舎にある廃墟同然の家に越してきた、元アmリカの警察官カル。
廃墟同然の家をDIYで修繕しつつ、大自然の中で静かに暮らす第二の人生を模索実践していく中で、カルは見張られているような違和感に気づく。気配の正体はみすぼらしい格好をした13歳の子供トレイ。
次第に距離めDIYを手伝うまでになったトレイは、ある日カルに「兄貴を探してほしい」と依頼する。

幸せとは決して言えない境遇に育ったゆえに、少々ヒネてる子供に大工仕事や家事を通じて、人生を教えるパターンは大好きな小説「初秋」リスペクトである(あとがきにも書かれている)。

もちろん…というか、この本の奥深さというか、単純にトレイの成長譚だけでは済まない物語で、そこにはカルの成長や人生の振り返りだけでなく、小さな村社会の良し悪し、人間関係の距離の取り方、荒涼でありつつ豊かな自然の描写、そしてもちろんミステリーとしての伏線回収など、それらの読みどころ全てが上手く調和してボリューム以上に雄大な小説となっている。

最後のページを読み終えた時「読んでよかったな」とじわじわ浸れた。そりゃまぁ面白い小説はどれも読んでよかったなぁ…なのだが、なんというか余韻の深さ濃さがなんともいえない心地よさなのだ。書評家、読書家連中に高評価なのも納得の1冊。

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2022年10月27日

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 タナ・フレンチを初読。アメリカ生まれのアイルランド在住の女流作家。ダブリン警察殺人課のシリーズ作品が主流なのだそうだが、未訳も多く、ぼくは読んでいない。本作は捜査小説というよりも、ヒューマンな色合いと、文明論、人生の深みといった本質部分を突いた完全独立作品である。

 シカゴ警察を退職し、家族と別れ、人生を取り戻すためにアイルランドの片田舎に独り移住したカル。古い建物を修復しつつ、生活を再建させようとしていた彼は、頭を剃り上げた子どもトレイと出会い、その行方不明となった兄の捜索を出来る範囲でとの条件で引き受ける。

 大都会シカゴから、大自然の真っただ中にある閑散とした小村への移住。広漠たる農地。泥炭地や森に囲まれた原野。ページを開くと、大河のようにゆったりとした時間が流れる。空気の静謐。哲学的孤独。そしてミヤマガラスたちの賑やかな営み等々が、読者の眼に飛び込んでくる。何という生活。

 シカゴからやってきた刑事がすべてを捨てて、やってきた土地。古びた農家や古い家具を修繕する日々。近隣の孤独な農夫との僅かなつきあい。夜の星。近づく冬。

 670ページの長大な作品である。行方不明の若者捜査は、公的なものではなく、警察の力は借りられない。村の者たちのつきあいもスタートしたばかりで心もとない。普通小説のような日々の狭間で作る真実探しの時間。家や家具の修繕。狩り、釣り、食事。

 村に下りてゆくと食料品店や酒場がある。食料品店の母娘らとのふれあい。酒場では、村の者たちが酔いつぶれている。女性がマイクをとって「クレイジー」を歌う。かつてリンダ・ロンシュタットが歌っていた同じオールディーズ・ナンバーだろうとはぼくが想像。場のカオスな雰囲気にフィットする曲である。

 主人公カルの車は、赤い三菱パジェロ。10年前までぼくが長年乗っていたマニュアル車と同じ奴であるかもしれない。パリ・ダカで篠塚が何度か優勝を決めていた時代の名車だが古い。今も残る幻のようなステアリングの手触り。

 カルの捜索のお礼としてトレイが家具の補修やペンキ塗りを手伝う。その中でのやりとりは、きっと誰にも思い出させる。ロバート・B・パーカーの『初秋』だ。もしかしたらこの作品で一番美しく、一番心ときめくシーンはこの部分かもしれない。無口な子どもが次第に心を開いてゆく素敵なシーン。ミステリー部分よりも、このシーンこそが本書を最も気高くしているものなのかもしれない。

 また主人公は、村と言う名の生き物の総体であるのかもしれない。村を構成する広大な農地、羊の放牧地。そして泥炭地を抱き込んだ未開の山脈。その中に呑み込まれた人々の生活とは、人生とは、季節とはなんであるのか? 消えた若者はどこに飲み込まれたのだろうか? 

 驚くほどの文学性と気品を示しつつ。タナ・フレンチのペンはぼくらの想像力を刺激してくる。終盤に至って思いがけぬ真実がいくつも、しかも徐々に明らかになってゆく。静かなる辺境であるからこそのドラマが見えてくる。そして人間たちの喜怒哀楽を飲み込む大自然という協奏曲が聴こえてくる。

 美しいミステリー作品。『ザリガニの鳴くところ』が胸に突き刺さった読者に是非お勧めしたいネイチャー派の傑作である。

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2022年08月16日

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登場人物が丁寧に描かれ、アイルランドの村の自然と共に静謐な筆致で物語が語られていく。穏やかな中にも謎と伏線は張られ解き明かされていく、その過程にも無理がなく、好感。

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2022年06月16日

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ネタバレ

読み応えあり。丁寧な描写がじりじりと続くと読み進めるのに時間もかかるが、それが人物や情景に厚みとリアリティを持たせる。そしてアイルランドを描くのに、このペースはぴったりだ。田舎町の閉じた人間関係は、どの国も一緒だなーと今更ながら思う。

ワンコがいい味を出していて、これも”ワンコ小説”と言えそう。

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2022年06月02日

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アメリカ人の元警察官のカルがアイルランドに移り住みそこで出会ったトレイという子供。兄を探してほしいと依頼され少しずつ調べ始める。カルとトレイの交流がまず良くてそれだけで読む価値がある。その交流の中に徐々に漂い始める不穏な空気。トレイの兄はどこにいるのか、どうなったのか。派手な展開があるわけじゃなく直接的に犯罪が描かれているわけではないのに犯罪の匂いや不安が物語にずっと流れている。著者の作品をずっと待っていた甲斐がある出来で本当に面白い。

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2022年05月01日

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特に大きな事件が起こるわけではないが、主人公カルの周囲でいろんな出来事がおこりアイルランドの風景描写のなかで次第に集約されていく、ゆっくりとした流れが自然でパブでの村人の酒宴はあたかもその場にいるような臨場感がある。674ページの大長編だが2日間で読み切ってしまった。カルの周囲で飛び跳ねるトレイがかわいい。

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2022年04月25日

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アイルランド西部の田舎街。豊かな自然や動物たちと、まるで対照的な個性あふれる住民たちで構成された濃密なコミュニティ。そんな中に飛び込んだ元シカゴ市警の刑事。ゆっくりとしたペースで、主人公と「キッド」の関わり、そしてキッドの兄の行方探しが始まるのであった。
著者が女性というのに最後まで気づかなかったけど、アメリカ在住の娘が長距離電話で主人公にアドバイスするシーンがすごく良かった。
3.7

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2024年02月15日

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ミステリではありますが、大自然の中、ゆったりしたテンポで進む小説。
そのリアルさで、胸に迫ります。

シカゴで警官をしていたカルは次第に熱意を失い、離婚し、職を辞めて、父祖の地アイルランドに移住してきた。
人里離れた廃屋をわざと選んで、補修しながらの暮らし。
村人とも少しずつ交流が始まるが、まだ互いに手探りで、ペースが合わないでいた。

ある日視線を感じ、男の子が覗いていたと知る。
少し離れた所に住むトレイという子で、みすぼらしい格好が気になり始める。
何気なく手作業を見せたり、教えたりするようになっていった。
このトレイは、仲のいい兄が失踪したので探してほしいという望みを実は抱いていた。
困惑しながらも、放ってはおけないカル。
兄というのが、自分で勝手に出て行っただけとも考えられたが‥

愛し合っていた妻にとうに見限られ、それでもいまだに以前の感情がよみがえったり。
娘のことが気になって仕方がないが、もう子供ではないと突き放されたりしつつ。
閉鎖的な村の住人との付き合いも、近づきかけては不穏な気配が立ち込める。

必死で愚かな人の営み、精一杯でみみっちいすべてが、立ち向かいようのない自然の一部であるかのように。
取り返しがつかないことも、絶望ではなく、大きな流れの中に。緩やかにおさまっていく‥

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2024年02月14日

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ネタバレ

人と関わらないで済むような土地に引っ越したつもりだったのに、ここではここのわかりにくいルールがあるという、都会よりも面倒な出来事に巻き込まれていく主人公が不憫だった。一度住んでみないと分からないこともある。
トレイと出会い、田舎の穏やかな生活は崩れ去るが、人と関わることは基本的にはやはり楽しく豊かで人間的な行為なのだと思う。
マートをはじめとした仲間たちは、村の秩序を守るためとはいえ、自警団を超えてもはや村人たちを私物化していることや、殺人と遺体遺棄までしているのは驚いた。
この村でなければ通報して解決なのに、結果的にカルも掟に従う結果になるところに闇深さを感じる。
でも、自分にとって何が一番大切か、誰を守りたいかを優先させたカルの判断を責められない。娘アリッサの時のようなあやまちは犯さないという慎重さがうかがえた。二度目の判断はおそらく失敗しなかった。
きっと誰もが正しいことをしたいけれど、何事もなかったかのようにして、ここでの生活を守ってきたのだろうと思う。
カルが一人で生活していて不安に思ったり、迷うシーンがあるところが良かった。失敗した経験のある人間は色んなところで迷うものだと思うから、迷わない人よりも信頼できる。ありのままが書かれているように感じて、この生活、私は好きだった。
ラストはカルもトレイもこのまま村での生活を続けられそうで、なんだかホッとしてしまった。トレイにとって友人のように、父親代わりのように、これからも暮らしていくのかな。どんなラストもあり得たのでハラハラしていた。

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2023年11月07日

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ネタバレ

ハラハラドキドキというのはないけど、田舎の空気感を静かに感じる作品でした。真相の割に読後感は悪くなかった。主人公と子どもの交流部分が好き。

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2023年08月18日

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シカゴ警察を退職したカルはアイルランド西部の村に移住し、廃屋を修繕しながら暮らしていた。
ある日カルは、地元の子どもに失踪した兄を探して欲しいと言われるが……。
アイルランドの大自然の美しさと不穏な空気感にのまれる物語。→

登場人物がとてもリアルで、フィクションなのにまるで現実にある話かな、と思わせる文章。すごい。
カルも、元警察官だけど全然警察官っぽくなくて、それがすごいリアル。ヒーローやないんよね。それがいい。
アイルランドの風景描写も秀逸。行ったことないけど目の前に浮かんだ。

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2022年12月31日

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 高緯度地方に特徴的なものは、泥炭地だ。
 本書の舞台になったアイルランドの田舎町でも、泥炭地が印象的に描かれる。

 思春期に差し掛かった少年(象徴的な意味で少年だ)に大切なことはなんだろう。
丁寧に一つ一つの過程を、身体を動かして積み上げていく、例えば大工仕事のようなことか。あるいは、猟銃が扱える欧米では狩猟も含まれるのか。銃の扱い方を教わることは、大人への通過儀礼としての役割もあるのだろう。

 ロバート・Bパーカーの『初秋』を思わせる展開で、ミステリとしての要素よりも登場人物の成長譚として読み込んでいく。また、『初秋』でのスペンサーとスーザンのように、本書では主人公カルとレナの自立した関係が魅力的だ。

 すっきりとした展開ではないが、高緯度地方特有の曇天を思わせるストーリーだった。

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2022年10月09日

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ネタバレ

本の雑誌・上半期ベストから。文庫700ページの大作だけど、比較的淡々と進む。それもあり、続きが気になって仕方ない!みたいな、ジェットコースター小説的爽快感は殆どない。美しいけど物寂し気な情景描写と相俟って、じわっと沁みわたってくる系。”ザリガニが~”みたいな。こういうのはこういうので、やっぱりなかなかに味わい深いですな。

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2022年08月31日

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本編のミステリーよりも、アイルランドの田舎?での主人公の暮らしというか、日々の生活の描写が好きだったな。家の改修作業とか。
自然の描写っていうのとはまた少し違うんだけど、なんかこう、生活…の細部みたいな。
あとは会話のやりとりが海外文学って感じで好きだった。でもちょっと長いかな。

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2022年08月05日

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シカゴ市警を辞め、アイルランドに古い家を買ったカル。少年が家の周囲をうろうろする。兄が行方不明になったので、探して欲しいと言う。19歳なのだから自分の意志で出ていったのだろうと思うが調べてみると・・・

ミステリー薄め+情景描写多めタイプはやや苦手にしていたのだけれと、本作は良かった。

ロバート・B・パーカーの「初秋」を彷彿とさせると解説に書いてあったけど、確かに(だいぶ前に読んだので記憶は薄いけど)

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2022年07月30日

Posted by ブクログ

全編にアイルランドの気候と景色が織り込まれていて、時間が緩やかに流れて行く。小さな村にシカゴから移住して来た元警官が主人公で、失踪した地元の若者を探すと言うのがメインテーマ。スピード感や場面の切り替わりが好きな人には読みづらいかもだが、文章が読み易くて気にならなかったし気が付いたら674ページを読み終えていた。

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2022年05月28日

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曇り空の荒野、胸騒ぎがする表紙の書影に惹かれて手に取った。

アイルランドの田舎町に1人で移り住んだ元シカゴ市警刑事のカル。仕事に疲れ、妻子と別れ、心と身体を癒す為にこの地に来た。廃屋を住みやすい環境にするべく日々修理に勤しむ。
田舎の人々はアメリカから来た移住者に興味津々。隣人も商店の人もおせっかい焼きでカルにとても親切。
しかし、少年トレイが失踪した兄を探して欲しい、とカルに頼んだ事から状況が一変する。

刑事を辞めてのんびりするはずのカルが、持ち前の正義感で少年の兄を捜索するハメになっていく。どうせ家出、捜索しても無駄。立ち入ってはいけない。でも少年が気がかり。じっとしてられない…。
葛藤が丁寧に描かれる。
過酷な環境に育った少年トレイが一途でいじらしい。カルとトレイ。一歩ずつ近づき、少しずつほぐれていく様子が温かい。2人の信頼関係が次第に築かれていく。
外から来た人間の一挙手一投足が、瞬く間に町中に知れ渡る恐ろしさと田舎の閉塞感。誰が味方で誰が敵かわからなくなる。この町全部が謎めいてくる。
過酷な環境に抗う賢明な子どもとそれに応えようと真実を求める大人。応援したくなる。

ミステリーではあるが、主人公カルと少年トレイの交流、成長が見もので、ヒューマン小説とも言えそう。アイルランドの自然描写も豊かで良かった。

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2024年01月14日

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SL 2023.12.9-2023.12.12
離婚し、シカゴ警察を退職してアイルランドに移住したカル。地元の子どもに失踪した兄の捜索を頼まれ捜査を始める。
ミステリとしては弱いし、やや冗長ではあるけど、美しい自然やカルと子どもの細やかな交流を丁寧に描き出している。

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2023年12月12日

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ストーリーはゆっくりと、村の季節が移り変わるスピードで進みます。主人公が村人と交流を深めるにつれ、じわじわと増す不穏さが不気味です。子供の存在が光を差してくれて、最後まで面白く読めました。

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2023年10月28日

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ネタバレ

アイルランドの田舎の自然風景の描写が魅力的に映る分、人間関係の閉鎖感が際立って見えました。

風景描写は素敵なのですが、ミステリーやサスペンスのジャンルとして期待して読んだ分、展開が遅く感じてしまいました。

上記したような環境下での主人公と相棒?の絆の話として読むと良いかもしれません。

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2023年04月21日

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サスペンスと思って読み始めると、ちょっとうんざりするかもしれない。
アメリカからアイルランド西部の硬い中へ移住した元刑事。
時折、別れた娘や妻を気にして、連絡を取る彼。
大農場、溢れんばかりの自然、会話するのはミヤマガラスだけ‥という中で、少しずつ社会へのカーテンが開かれて行く。

窺うように寄って来た子供、行方不明の彼の兄、孤独なろう農夫が徐々に裏側を見せ始める。
かと言ってサスペンスではなく、むしろヒューマンドラマ、そしてカルの内省の連続。

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2022年11月07日

Posted by ブクログ

アイルランドの田舎で起こる失踪事件のミステリー。ただ、個人的に好きな設定ではないのが残念。話はよくありがちな、閉鎖的な村で一筋縄ではいかない住民達を相手に事件に向かうという話で、個人的に土着性みたいなものが好きではないので、本書もいまいちだった。ある意味ユートピアみたいな設定なので、あまり腹落ちしない。

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2022年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自然と人物が丁寧に描かれ、ゆっくりと時間が過ぎて行く。事件そのものは単純で、それ以外のあっと驚く結末を期待したが、定位置に着地した感じ。
が、主人公と依頼者が徐々に信頼し合い絆が生まれていく様は、読んでいて気持ちがよかった。








女の子にする必要があったのかということと、デスク修理の描写がやけに細かくこだわっている割には私には映像が浮かばなかったことが、ちょっと難点。

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2022年07月04日

Posted by ブクログ

映画「ウィンターズ・ボーン」を想起する小説だった。紹介文にある犯罪小説というより、心理描写に拘ったハードボイルドと言った方がしっくりくるかも。地味な事件をじっくりと丹念に描く派手さの欠片もない作風(褒め言葉)は実直で、アイルランドの自然が醸し出す静謐な情景も魅力的だが、如何せん起伏に乏しく、筋書きのシンプルさに反して物語が冗長過ぎる印象は否めない。然しながら、その過程あってこそ、静かな余韻の残る結末に仕上がっている気がする。村社会に蔓延る閉塞感や非情な現実への諦念など、人生の悲哀を真摯に描いた良質の作品。

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2022年05月09日

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