北野寿美枝のレビュー一覧

  • アックスマンのジャズ

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    ニューオーリンズという場所、ジャズ勃興の時期という舞台設定に惹かれ読んだが、かなり面白かった。実際の事件、実在した人物がフィクションの中にうまくからんでくる。ルイ・アームストロングの伝記にもなっている。話は複数の人間の立場で展開していき、要所で絡み合っていきながら、事件の全体像が明らかになっていく。通勤時に読み始めたが、読むのを止められずに困った。家で一気に読み終えた。テレビドラマ化されるようですが、観てみたいですね。次があるとしたら、舞台はおそらくシカゴで、やっぱりジャズと絡むんでしょうね。

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    2016年05月22日
  • 審判

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    思わずうなった。
    ディック・フランシス名義のどの著作よりも、面白い。
    フェリックスが存命な限り、楽しませてくれそうである。

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    2015年07月19日
  • 再起

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    ディック・フランシス競馬シリーズ第40作目(全44作)。
    最愛の奥様を亡くしてから6年間の沈黙の後、86歳のフランシスが自身の「再起」の舞台で主人公に選んだのは、4度目でこれが最後のシッド・ハレー。
    障害競馬の元全英チャンピオン騎手という自分と同じ肩書きを持つハレーには、並々ならぬ思い入れがあったのだろう。3作品以上に主人公として登場するのはハレーのみである。

    本作のあらすじは以下の通り。
    敏腕調査員のハレーは競馬の八百長疑惑を調べていたが、八百長への関与を疑われた騎手が死体となって発見され、その殺人容疑で逮捕された調教師も釈放の後不可解な死を遂げてしまう。真相究明に奔走するハレーだが、謎の

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    2014年09月07日
  • 喪失

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     英国の警察には潜水捜索隊というものがあるのか。エイボン・アンド・サマセット警察の潜水捜索隊長である女性刑事フリー・マーリーは、そのクール・ビューティぶりで、どこかキャロル・オコンネルの印象的なシリーズ・ヒロインであるマロリーを想起させる。そしてその陰の部分の深さでさらに印象を深める。まずこの作品を分厚いものにしているのは、多くの脇役たちのキャラクター造形なのだが、このフリーという女性にはとても惹かれるものがある。ザイルをセットして独りケイビング捜査に果敢に挑戦する捨て身の冒険シーンなどは血湧き肉踊るスリルの基本形みたいで、喝采を送りたくなる。

     一方で、動というより静のイメージが強いシリー

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    2013年09月26日
  • 喪失

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    読み応えのあるスリリングなミステリ。

    車が強盗され、後ろの席には11歳の少女が乗ったまま。
    カージャックが目当てなら、足手まといになる子供はどこかにおいていかれ、まもなく発見されると思われたが‥?
    子供は見つからず、緊迫した展開に。

    キャフェリー警部シリーズ5作目だそう。
    評価が高いので、初めて読んでみました。
    この作品からでも読めます。

    ブリストルのジャック・キャフェリー警部は、重大犯罪捜査隊の指揮を執っている。
    スーパーの駐車場で、車が奪われた現場の緊迫した様子から、一気に引き込まれます。
    フリー・マーリー巡査部長が、キャフェリーがロンドンから赴任する前に、似た事件があったことを指摘

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    2013年04月21日
  • 喪失

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    久し振りにドキドキするようなサスペンスフルなミステリーを読んだ。『死を啼く鳥』『悪鬼の檻』に続いて翻訳されたキャフェリー警部シリーズ。前二作よりもはるかに出来が良い。さすがエドガー賞最優秀長篇賞受賞作。しかも、東野圭吾の傑作『容疑者Xの献身』を破っての受賞らしい。

    『タルタロスの査問官』『七匹の蛾が鳴く』のフランク・ティリエの作品のような趣きの作品。大好物だな。

    『死を啼く鳥』『悪鬼の檻』も連続殺人鬼を扱った作品だが、今回も…

    また、サイコ物、シリアル・キラー物が流行り出すのだろうか。

    この作品はシリーズ第五作とのこと。間の三、四作も翻訳してくれないかな。多少、順番が狂ってもガマンする

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    2012年12月19日
  • 審判

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    ネタバレ

    長年にわたり、ともにヒット作を生み出すパートナーであった最愛の妻メアリーさんの死後、5、6年の沈黙を破って、2006年に復活したディック・フランシスの、復活後、3作目。

    主人公は、弁護士であり、かつアマチュア騎手。
    仕事に誇りを持ち、なおかつレースに出ることを心から愛している。
    「これぞ、ディック・フランシスだ」とうれしくなりながら読んだ。
    そして、主人公は7年前に妻と死別しており、ともに過ごしたころを回顧するシーンもある。
    レースへの思いを綴るところも、妻との思い出を綴るところも、ディック・フランシス自身の言葉なのではないかと思うくらい、自然で、そして切実であった。

    小説のプロットもよく

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    2012年01月21日
  • 祝宴

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    文庫が出たので、再読。
    読むものに困ったときにはディック・フランシス!
    ニューマーケットで、レストランのオーナーシェフをしているマックス・モアトン。
    伝統あるレースの前夜祭で料理を担当するが、腹痛に苦しむ。
    客が何人も食中毒に倒れていたとわかり、料理に問題があったと疑われ、レストラン閉鎖の危機に。
    ところが、レース当日、賓客を集めた客席で爆破事件が!
    廊下にいたマックスは、九死に一生を得る。
    テロと報道されるが、二つに事件には何か関連があるかも知れない。
    独自の調査に乗り出すと、命を狙われ…?

    ディック・フランシスは執筆協力者だった奥さんが亡くなった後しばらく休筆していましたが、「再起」で復

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    2011年02月24日
  • 再起

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    主人公の男性がストイックで、謙虚で、意志が強く、何ともカッコイイのです。
    若い頃には競馬騎手として成功した経験のある~ベテラン作家フランシス。
    確かな観察眼と気配りに満ちた独特なミステリ作品群を生み出しました。
    フランシスはよき協力者であった妻が亡くなった後に絶筆していましたが。
    息子の協力を得て再スタートした作品。
    文庫化されました!

    2010年、亡くなられました…残念です。
    12歳の頃からずっとずっと大好きな作家。
    どの作品も読み返してます。
    これから読む人は幸せですよ。

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    2010年03月05日
  • 開かれた瞳孔

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    小さな町のレストランのトイレで、大学教授の女性が腹部を十字に切り裂かれて殺害された。偶然にも第一発見者となった検死官サラは、迷いのない切創と異様な暴行の痕に戦慄を覚える。しかも犯人は被害者の習慣を熟知した人物。ならばこの町に暮らす顔見知りに違いない。捜査が難航するなか、第二の事件が発生。犯人の影はサラに忍び寄っていた。

     体だけでなく心に負った傷を抱えながら、サラやレナなど女性たちは懸命に任務を務めようとするが、サラの元夫ジェフリーやレナの叔父ハンクは、彼女達を支えようとするものの、女性や薬に逃げる。男たちが持つレイシズムやマチズムに女性達が苦しめられる構図だ。女性達が戦う相手は事件のトラウ

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    2025年09月19日
  • 再起

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    元騎手で調査員のシッド・ハレーは、上院議員のエンストーン卿から持ち馬の八百長疑惑に関する調査を依頼された。しかしその直後八百長への関与を疑われた騎手が死体となって発見され、殺人容疑で逮捕された調教師も証拠不十分で釈放されたあと、不可解な自殺を遂げてしまう。真相究明に奔走するハレーだが、謎の刺客が最愛の恋人マリーナを襲う。

    競馬シリーズ第40作。シッド・ハレー四度目の登場。19年ぶりの再読。日本での最新刊「覚悟」とほぼ同じ味わい。

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    2025年07月04日
  • 拮抗

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    ネタバレ

    競馬シリーズ42作目。

    そう言われてみればブックメーカーが主人公になったことはなかった。
    この競馬シリーズ、様々な職業の主人公がいたが、
    こんなに競馬に身近で。
    必須ともいえるブックメーカーが主人公になっていなかったのは、
    あまりに犯罪に関わりありそうな職業だからなのだろうか。

    ブックメーカーのネッドの前に突然現れたのは、
    幼い頃に自動車事故で死んだと言われていた父親。
    驚きながらも、少し話をした矢先に暴漢に襲われ、
    父親は刺されて亡くなってしまう。
    しかも持っていたのは違う名前の運転免許証だった。
    本当に父親なのか。

    父親の泊まっていたホテルを探し当てて手に入れた謎の物体、
    その荷物を

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    2025年02月22日
  • 審判

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    ネタバレ

    競馬シリーズ41作目。

    法廷弁護士であるメイスンは、障害競走のアマチュア騎手でもある。
    身重だった妻を亡くして七年、仕事とできるかぎりの乗馬にレースに
    明け暮れる毎日。
    だが、一緒にレースを走ったトップジョッキーが殺され、
    別のジョッキーが犯人として逮捕される。
    容疑者からは自分の弁護をしてくれと頼まれるが、
    事件前のことを証言しなければならないかもと渋っていた。
    そこへ老父の写真と共に、弁護を引き受けて負けろと言う脅迫の手紙が届く。
    その後も執拗に裁判に負けろと電話をしてくる脅迫者は誰なのか。
    殺人の真犯人なのか、なぜジョッキーを殺したのか。

    被害者の家から仔馬が産まれた時の写真がなくな

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    2025年01月24日
  • 捜索者

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    警察を退職し、アイルランド西部の小さな村に移住したカルのもとへ、村の子供トレイが失踪した兄を探して欲しいと訪れる。

    舞台がアイルランドの大自然の中でありながらも、小さな村特有の閉塞感。ちょっとほの暗い陰鬱な感じが漂う中で、カルとトレイの心が次第に通いあっていくのが、少しの希望でもあり、派手なミステリー要素はないものの、好みだった。

    トレイの真っ直ぐさが、この後も変わらずにいて欲しい。

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    2024年12月30日
  • ベルリンに堕ちる闇

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    ハラルト・ギルバースと同じく戦時下の殺人事件が描かれる
    陰鬱な雰囲気の中まともな価値観を維持しているため危険な立場に置かれる刑事の苦闘が手に汗握る
    大物カナリス、ハイドリッヒが絡むが神学部卒アスペっぽいゲシュタポの続きが読みたい

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    2024年11月30日
  • 祝宴

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    ネタバレ

    競馬シリーズ40作目。

    人気レストランのシェフ、マックスが食あたりに苦しむところから話は始まる。
    競馬場の前夜祭で出した食事が原因のようで、
    死亡者1名ということでレストランは閉鎖されてしまう。
    なんとか翌日に競馬場でのパーティでランチを提供するが、
    そこで爆発事件が起き、給仕係の女の子をはじめ多くの人が亡くなる。
    食中毒で亡くなったのではないとわかりレストランの閉鎖は解かれるが、
    爆発事件との関係を調べていくうちにマックスは殺されかける…。

    インゲン豆の生食が毒だとは知らなかった。
    その食中毒の被害者で、
    訴訟を起こそうとしていたヴィオリストと付き合うようになるとは、どんな展開?
    だた、

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    2024年11月22日
  • 密航者

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    豪華客船内で起きた殺人事件。それほどグロテスクな描写ではなく、怖くもない。次作が刊行されたら、読むと思う。

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    2024年04月07日
  • 密航者

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    連続殺人犯の裁判で無罪票を投じたマリア。それを公表し世間の非難を浴び、職場からも休職の指示。家族との時間を過ごすため乗ったクルーズ船で、同じ手口の事件が起こる。真犯人か、模倣犯か。あれは本当に無罪だったのか。様々な疑問のなかマリアは船上で犯人を見つけようとする。緊迫感があって引き込まれていく展開がラストまで続いていて面白かった。

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    2024年03月18日
  • 捜索者

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    アイルランド西部の田舎街。豊かな自然や動物たちと、まるで対照的な個性あふれる住民たちで構成された濃密なコミュニティ。そんな中に飛び込んだ元シカゴ市警の刑事。ゆっくりとしたペースで、主人公と「キッド」の関わり、そしてキッドの兄の行方探しが始まるのであった。
    著者が女性というのに最後まで気づかなかったけど、アメリカ在住の娘が長距離電話で主人公にアドバイスするシーンがすごく良かった。
    3.7

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    2024年02月15日
  • 捜索者

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    ミステリではありますが、大自然の中、ゆったりしたテンポで進む小説。
    そのリアルさで、胸に迫ります。

    シカゴで警官をしていたカルは次第に熱意を失い、離婚し、職を辞めて、父祖の地アイルランドに移住してきた。
    人里離れた廃屋をわざと選んで、補修しながらの暮らし。
    村人とも少しずつ交流が始まるが、まだ互いに手探りで、ペースが合わないでいた。

    ある日視線を感じ、男の子が覗いていたと知る。
    少し離れた所に住むトレイという子で、みすぼらしい格好が気になり始める。
    何気なく手作業を見せたり、教えたりするようになっていった。
    このトレイは、仲のいい兄が失踪したので探してほしいという望みを実は抱いていた。

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    2024年02月14日