北野寿美枝のレビュー一覧
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帯の金融サスペンスというのに興味を持った。
普段ならタイトルといい、名前も知らない作者といい手に取る要素はほぼないのだが、たまにはこういうところから入るのもいいかも。
主人公は証券会社で働いていたが、不正行為を犯して刑務所へ。戻ってくると、別の証券会社からある人物について調べるよう依頼される。
その人物を調べていくと……
ってこんなかんじの話なのだが、これだと普通の作品で終わるだろう。もう一つの要素として主人公には自閉症の息子がいるのだ。
つまり、金融サスペンスであり、父と子の物語でもある。一粒で二度おいしいというわけだ。
続きもでているらしいので、翻訳されるのを待つとする。 -
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ディック・フランシスが一度ぺンを折った、いやさ、折りかけたのは、メアリ夫人の逝去が、ディックの心に投げかけた痛手が重すぎ大きすぎたためだろうと思われていた。それ以上に、メアリ夫人はずっとディック作品に共著とされてもおかしくないほど作品に深く関わっていたと伝えられる。
ディックの作品には、毎作毎に異なる職業の主人公が据えられるが、その職業に応じて作品世界は彩色される。いわば競馬界とミステリ界しか知らない(おっと、飛行機の世界も精通していたっけ!:「飛越」参照)ディックという作家が、世界の様々な職業、別の舞台に小説の題材を求められるのも、メアリのリサーチによるものだったと言われる。
画家 -
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ディック・フランシスによる競馬シリーズの41作目で、息子であるフェリックス・フランシスとの共著2作目になります。
一度は筆を置いたディック・フランシスが前々作の『再起』で復活しました。
そして前作からは息子さんと共著となったようです。
競馬シリーズは主人公の職業は毎回様々で、でも何がしか競馬界と関係をもっているというのがお約束で、今回の主人公は弁護士でアマチュア騎手です。
この弁護士が仲間のプロ騎手の殺人事件の裁判に巻き込まれていきます。そして弁護を担当して必ず裁判に負けるように様々な圧力がかけられます。
この圧力に屈するのか…それは、是非読んでみてください。
今回の主人公はいまいちタフな感じ -
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シッド・ハレー4度目の登場。読まないでいられません。
今回注目したのはチャールズ・ロランド卿。
この人は主人公シッドが最初に結婚した妻のお父さんで、退役した海軍将校で、ずっと主人公を友情で支えてくれている人です。
のはずなんですが。
なんですかね……あの人はあんなに……
……
ホモっぽかったでしたかねえ…。
シッドの恋人のマリーナと小さなフラットでシッドの留守を預かる場面は、まるで主人公がマリーナ(本命)と提督(二号)を二股かけた悪い男なのに、両者がそれを許している?……みたいに映ります…。何かの読みすぎ?
「大穴」でクサっているシッドを侮辱することで、逆に奮い立たせてくれてた鋼鉄の人も、 -
Posted by ブクログ
シカゴ市警を退職してアイルランドのド田舎に引っ越したカルが、買った古民家をセルフリノベーションしていると、村から疎まれている一家の子供トレイに「行方不明になった兄を探してほしい」と依頼される…というミステリ。
辺鄙な田舎という閉鎖的なムラ社会へ突然引越してきた奇異なアメリカ人ということで、警察を退職して権限が無いのに村人へ聞き込みをして回るうちに「探り回るな。手を引け」と警告を受けるなど前途多難。
村の嫌われ者一家の一員であるトレイが徐々にカルに心を開いていくところは良いが、ミステリ部分の比重は軽め。「ザリガニ」とか「われら闇より」などと同じく、ミステリ味をまぶした文芸書という立ち位置かな。 -
Posted by ブクログ
凄く読むのに時間がかかった。
長年勤めてきたシカゴ警察を退職したアメリカ人のカルはアイルランド西部の小さな村に移住した。
廃屋の修繕をしながら静かに暮らしていたカルだったが、地元の子どもから、失踪した兄の行方を捜してほしいと頼まれる。
一般的にミステリーの分類されていると思うのだが、個人的には主人公のカルと地元の子供のトレイの交流を描いた文芸に入るかなと。
詳細な筆致で登場人物の心情や周りの風景、情景を細やかに描く。
そのため全体的に起伏があまりなく、物語が淡々と紡がれる。
この辺りがあまり馴染めなく、また約700Pものボリュームが重くのしかかり時間がかかってしまった。
面白かったのか -
Posted by ブクログ
曇り空の荒野、胸騒ぎがする表紙の書影に惹かれて手に取った。
アイルランドの田舎町に1人で移り住んだ元シカゴ市警刑事のカル。仕事に疲れ、妻子と別れ、心と身体を癒す為にこの地に来た。廃屋を住みやすい環境にするべく日々修理に勤しむ。
田舎の人々はアメリカから来た移住者に興味津々。隣人も商店の人もおせっかい焼きでカルにとても親切。
しかし、少年トレイが失踪した兄を探して欲しい、とカルに頼んだ事から状況が一変する。
刑事を辞めてのんびりするはずのカルが、持ち前の正義感で少年の兄を捜索するハメになっていく。どうせ家出、捜索しても無駄。立ち入ってはいけない。でも少年が気がかり。じっとしてられない…。
葛 -
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1958年、反共・反ユダヤ主義を標榜するジョセフ・マッカーシーがアメリカ大統領となり、権力を握っている。映画産業は国営化され、制作されるのは反共プロパガンダ映画ばかりだ。ロサンゼルス市警の刑事モリス・ベイカーは、そんなハリウッドで、ある殺人事件を担当することになる。被害者は元映画監督ジョン・ヒューストンと、新進気鋭の記者ウォルター・クロンカイト。現場には「悪魔どもをやっつけろ ベイカー」と書かれたメモが遺されていた。ふたりはなぜ殺され、ベイカーの名前がなぜあったのか? 大統領配下の下院非米活動委員会(HUAC)の横やりが入り、捜査から外されたベイカーに、ソビエト連邦の謎めいた女スパイ、ソフィア