北野寿美枝のレビュー一覧

  • 捜索者

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    ネタバレ

    人と関わらないで済むような土地に引っ越したつもりだったのに、ここではここのわかりにくいルールがあるという、都会よりも面倒な出来事に巻き込まれていく主人公が不憫だった。一度住んでみないと分からないこともある。
    トレイと出会い、田舎の穏やかな生活は崩れ去るが、人と関わることは基本的にはやはり楽しく豊かで人間的な行為なのだと思う。
    マートをはじめとした仲間たちは、村の秩序を守るためとはいえ、自警団を超えてもはや村人たちを私物化していることや、殺人と遺体遺棄までしているのは驚いた。
    この村でなければ通報して解決なのに、結果的にカルも掟に従う結果になるところに闇深さを感じる。
    でも、自分にとって何が一番

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    2023年11月07日
  • 捜索者

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    ネタバレ

    ハラハラドキドキというのはないけど、田舎の空気感を静かに感じる作品でした。真相の割に読後感は悪くなかった。主人公と子どもの交流部分が好き。

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    2023年08月18日
  • 捜索者

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    シカゴ警察を退職したカルはアイルランド西部の村に移住し、廃屋を修繕しながら暮らしていた。
    ある日カルは、地元の子どもに失踪した兄を探して欲しいと言われるが……。
    アイルランドの大自然の美しさと不穏な空気感にのまれる物語。→

    登場人物がとてもリアルで、フィクションなのにまるで現実にある話かな、と思わせる文章。すごい。
    カルも、元警察官だけど全然警察官っぽくなくて、それがすごいリアル。ヒーローやないんよね。それがいい。
    アイルランドの風景描写も秀逸。行ったことないけど目の前に浮かんだ。

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    2022年12月31日
  • 影の子

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    ネタバレ

    70年代の東ベルリン(ドイツ民主共和国)。
    実在のシュタージ(国家保安省)の中佐と、刑事警察の女性中尉が
    殺人事件をめぐって互いに探り合う。
    ベルリンの壁が存在し、社会主義国である東ドイツを描いた歴史ミステリ。
    冷戦時代、東ドイツはもちろんのこと、
    ポーランド、チェコスロバキア、ハンガリーなどは
    社会主義国であり、
    91年のソ連崩壊までは、いわゆるソ連の衛星国だった。
    つまり、まだ30年くらい前、一世代前のことなんだと、
    今さながら思う。
    ウクライナ侵略が起こっている現在、
    社会主義国特有の闇が、生々しく感じられる。

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    2022年12月02日
  • 拮抗

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    イギリスの作家「ディック・フランシス」と「フェリックス・フランシス」の父子共著の長篇ミステリ作品『拮抗(原題:Even Money)』を読みました。

    『審判』に続き「ディック・フランシス」と「フェリックス・フランシス」の父子共著の作品です。

    -----story-------------
    「おれはおまえの父親だ」ロイヤル・アスコットの初日、ブックメーカーを営む「ネッド」の前にやってきた男は、三十年以上前に自動車事故で死んだと聞かされていた父だと名乗った。
    にわかには信じがたい話に混乱する「ネッド」。
    だがその直後、突如出現した暴漢が父を刺殺してしまう。
    なぜ父は今頃になって現われたのか? 

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    2022年10月22日
  • 捜索者

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     高緯度地方に特徴的なものは、泥炭地だ。
     本書の舞台になったアイルランドの田舎町でも、泥炭地が印象的に描かれる。

     思春期に差し掛かった少年(象徴的な意味で少年だ)に大切なことはなんだろう。
    丁寧に一つ一つの過程を、身体を動かして積み上げていく、例えば大工仕事のようなことか。あるいは、猟銃が扱える欧米では狩猟も含まれるのか。銃の扱い方を教わることは、大人への通過儀礼としての役割もあるのだろう。

     ロバート・Bパーカーの『初秋』を思わせる展開で、ミステリとしての要素よりも登場人物の成長譚として読み込んでいく。また、『初秋』でのスペンサーとスーザンのように、本書では主人公カルとレナの自立した

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    2022年10月09日
  • 捜索者

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    ネタバレ

    本の雑誌・上半期ベストから。文庫700ページの大作だけど、比較的淡々と進む。それもあり、続きが気になって仕方ない!みたいな、ジェットコースター小説的爽快感は殆どない。美しいけど物寂し気な情景描写と相俟って、じわっと沁みわたってくる系。”ザリガニが~”みたいな。こういうのはこういうので、やっぱりなかなかに味わい深いですな。

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    2022年08月31日
  • 再起

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    イギリスの作家ディック・フランシスの長篇ミステリ作品『再起(原題:Under Orders)』を読みました。
    『査問』に続き、ディック・フランシスの作品です。

    -----story-------------
    元騎手で調査員のシッド・ハレーは、上院議員のエンストーン卿から持ち馬の八百長疑惑に関する調査を依頼された。
    しかしその直後八百長への関与を疑われた騎手が死体となって発見され、殺人容疑で逮捕された調教師も証拠不十分で釈放されたあと、不可解な自殺 を遂げてしまう。
    真相究明に奔走するハレーだが、謎の刺客が最愛の恋人マリーナを襲う。
    『大穴』『利腕』『敵手』に続き、不屈の男シッド・ハレーを四た

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    2022年08月21日
  • 捜索者

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    本編のミステリーよりも、アイルランドの田舎?での主人公の暮らしというか、日々の生活の描写が好きだったな。家の改修作業とか。
    自然の描写っていうのとはまた少し違うんだけど、なんかこう、生活…の細部みたいな。
    あとは会話のやりとりが海外文学って感じで好きだった。でもちょっと長いかな。

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    2022年08月05日
  • 捜索者

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    シカゴ市警を辞め、アイルランドに古い家を買ったカル。少年が家の周囲をうろうろする。兄が行方不明になったので、探して欲しいと言う。19歳なのだから自分の意志で出ていったのだろうと思うが調べてみると・・・

    ミステリー薄め+情景描写多めタイプはやや苦手にしていたのだけれと、本作は良かった。

    ロバート・B・パーカーの「初秋」を彷彿とさせると解説に書いてあったけど、確かに(だいぶ前に読んだので記憶は薄いけど)

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    2022年07月30日
  • ベルリンに堕ちる闇

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    面白かった!シェンケの「犯罪者どもが動かしている国で刑事である価値はなんだろう?」という一言がとても響いた。当時の空気感を伝えつつ、緊張感を持って読むことができた。

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    2022年06月12日
  • 開かれた瞳孔

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    お気に入りの方のオススメ著者。オススメいただいた方に感謝です^_^。どんな作品なのか予備知識なく読みました。なので、どういう展開か、ディーバー作品のように、どんでん返し系なのか、なんなのかさっぱり分からず、すっごくワクワクして読みました!これが著者の処女作ということですが、今作については犯人に意外性があるというほどでもなく、ミステリーとしては、可もなく不可もなくというところ。ただあとがきを読むと、登場人物にいろいろな展開が待っていそうですので、是非順番に読み続けていきたいと思いました。余談ですが、この作品の主人公の一人のジェフリーはあまり好きにはなれませんでしたが。

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    2022年02月23日
  • ベルリンに堕ちる闇

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    1939年のドイツ、ナチス政権下での殺人事件を追う警部補シェンケが主人公。実在のハイドリヒやヒムラーの名も出て、否が応でも密告や陰謀渦巻くドイツの状況を想像してハラハラした。ミステリ的な感じはあまりしなかったが、サクッと楽しめた。

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    2021年12月14日
  • ベルリンに堕ちる闇

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    1939年灯火管制のなか元女優で幹部の妻が殺害され捜査にあたる元レーシングドライバーのシェンケ警部補。ナチス政権と戦争の中にあるドイツの不穏な空気。ユダヤ人への差別。色々なところから圧力がかかりながら捜査を進めようとするシェンケだけれど進展しない。終盤に突然動き出すのが少し違和感があったけれどそれ以外は重厚でドイツの暗く、濃密な空気感が出ていて読み応えがある。

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    2021年11月30日
  • ベルリンに堕ちる闇

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    全体的には重苦しい雰囲気やけど、主役がなかなかの好漢の上に各々のキャラの描写は好印象。かなりいい線いってると思う。

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    2021年11月24日
  • 開かれた瞳孔

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    ネタバレ

    クライムサスペンス?っていうのかな?
    日本人の書く日本が舞台の話とは文化とかキャラとかが違って、これはこれで面白い。
    ミステリーではないので、読んでる途中で犯人がわかって、志村後ろ後ろ!みたいな感じwで途中から読み進めました。

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    2021年10月09日
  • 開かれた瞳孔

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    ベストセラー作家の初読として人気シリーズ第一作を選択。ミステリー小説として目新しい部分はないものの(性犯罪の赤裸々な描写は容赦ない)、登場する女性たちが美しい容貌とか強気な性格とか一面的に語られず、気分屋で分裂し矛盾している女特有の人間臭さをプンプンさせて生きている自立した姿で描かれているところが魅力的である。

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    2021年10月04日
  • 開かれた瞳孔

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    女性陣が壮絶な背景もあり、なかなかに感情の起伏が激烈で、ジェフリーがエエ人に見えてくる。ジェフリー頑張れって読んでました。

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    2021年04月16日
  • 開かれた瞳孔

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    ネタバレ

    18年間も私が知らなかった米国ミステリー界の新女王、カリン・スローターの「グラント郡」シリーズ第1作。登場する女性キャラクターが全員すごい。主人公のサラ・リントンはもとより、妹テッサ、母親キャシー、被害者の双子の姉の刑事レナ。それぞれが複雑な過去を持っており、そして強いのだ。彼女たちの前ではサラの前夫でグラント郡警察署長のジェフリーや残忍な犯人さえかすんでしまう。ちりばめられた伏線はきちんと回収され、息をのむようなクライマックス、犯人との死闘へ。6作あるグラント郡シリーズが本作しか翻訳されていないのが残念です。

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    2020年09月21日
  • 開かれた瞳孔

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     凄い書き手であるなとは思いつつ、順不同でここ一年で三冊を読み終えたばかりの、まだまだスローター・ワールド初心者で、正直言えば、怖々読んでいる感覚が否めない。

     カリン・スローターのブームを日本で作っているのは、ハーパー・コリンズ・ジャパンという現在翻訳ミステリの救世主的存在の出版社である。今世紀になってからの新顔でありながら、今やMWA賞受賞のベストセラー作家として、邦訳新作が年間2~3作ペースで書店に並ぶというビッグネームとなっているのは注目に値する。

     『検屍官』シリーズでミステリ門外にまで新たな読者層を産み出したパトリシア・コーンウェル以来の女流ベストセラー作家であろうか。帯に作者

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    2020年03月31日