北野寿美枝のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ競馬シリーズ40作目。
人気レストランのシェフ、マックスが食あたりに苦しむところから話は始まる。
競馬場の前夜祭で出した食事が原因のようで、
死亡者1名ということでレストランは閉鎖されてしまう。
なんとか翌日に競馬場でのパーティでランチを提供するが、
そこで爆発事件が起き、給仕係の女の子をはじめ多くの人が亡くなる。
食中毒で亡くなったのではないとわかりレストランの閉鎖は解かれるが、
爆発事件との関係を調べていくうちにマックスは殺されかける…。
インゲン豆の生食が毒だとは知らなかった。
その食中毒の被害者で、
訴訟を起こそうとしていたヴィオリストと付き合うようになるとは、どんな展開?
だた、彼女が自分の命ともいうべきヴィオラを犠牲にして、
マックスを殺そうとしていた男から救ったのは感動的だった。
それにしても、競馬ではないがポロの馬がらみの犯罪に、最後にはつながっていうのは、見事。
この本が日本で発刊された年に作者が亡くなられたらしい。
解説で有名人が弔辞を書いていた。
残念だ。 -
Posted by ブクログ
ミステリではありますが、大自然の中、ゆったりしたテンポで進む小説。
そのリアルさで、胸に迫ります。
シカゴで警官をしていたカルは次第に熱意を失い、離婚し、職を辞めて、父祖の地アイルランドに移住してきた。
人里離れた廃屋をわざと選んで、補修しながらの暮らし。
村人とも少しずつ交流が始まるが、まだ互いに手探りで、ペースが合わないでいた。
ある日視線を感じ、男の子が覗いていたと知る。
少し離れた所に住むトレイという子で、みすぼらしい格好が気になり始める。
何気なく手作業を見せたり、教えたりするようになっていった。
このトレイは、仲のいい兄が失踪したので探してほしいという望みを実は抱いていた。
困惑しながらも、放ってはおけないカル。
兄というのが、自分で勝手に出て行っただけとも考えられたが‥
愛し合っていた妻にとうに見限られ、それでもいまだに以前の感情がよみがえったり。
娘のことが気になって仕方がないが、もう子供ではないと突き放されたりしつつ。
閉鎖的な村の住人との付き合いも、近づきかけては不穏な気配が立ち込める。
必死で愚かな人の営み、精一杯でみみっちいすべてが、立ち向かいようのない自然の一部であるかのように。
取り返しがつかないことも、絶望ではなく、大きな流れの中に。緩やかにおさまっていく‥ -
Posted by ブクログ
ネタバレ人と関わらないで済むような土地に引っ越したつもりだったのに、ここではここのわかりにくいルールがあるという、都会よりも面倒な出来事に巻き込まれていく主人公が不憫だった。一度住んでみないと分からないこともある。
トレイと出会い、田舎の穏やかな生活は崩れ去るが、人と関わることは基本的にはやはり楽しく豊かで人間的な行為なのだと思う。
マートをはじめとした仲間たちは、村の秩序を守るためとはいえ、自警団を超えてもはや村人たちを私物化していることや、殺人と遺体遺棄までしているのは驚いた。
この村でなければ通報して解決なのに、結果的にカルも掟に従う結果になるところに闇深さを感じる。
でも、自分にとって何が一番大切か、誰を守りたいかを優先させたカルの判断を責められない。娘アリッサの時のようなあやまちは犯さないという慎重さがうかがえた。二度目の判断はおそらく失敗しなかった。
きっと誰もが正しいことをしたいけれど、何事もなかったかのようにして、ここでの生活を守ってきたのだろうと思う。
カルが一人で生活していて不安に思ったり、迷うシーンがあるところが良かった。失敗した経験のある人間は色んなところで迷うものだと思うから、迷わない人よりも信頼できる。ありのままが書かれているように感じて、この生活、私は好きだった。
ラストはカルもトレイもこのまま村での生活を続けられそうで、なんだかホッとしてしまった。トレイにとって友人のように、父親代わりのように、これからも暮らしていくのかな。どんなラストもあり得たのでハラハラしていた。 -
Posted by ブクログ
イギリスの作家「ディック・フランシス」と「フェリックス・フランシス」の父子共著の長篇ミステリ作品『拮抗(原題:Even Money)』を読みました。
『審判』に続き「ディック・フランシス」と「フェリックス・フランシス」の父子共著の作品です。
-----story-------------
「おれはおまえの父親だ」ロイヤル・アスコットの初日、ブックメーカーを営む「ネッド」の前にやってきた男は、三十年以上前に自動車事故で死んだと聞かされていた父だと名乗った。
にわかには信じがたい話に混乱する「ネッド」。
だがその直後、突如出現した暴漢が父を刺殺してしまう。
なぜ父は今頃になって現われたのか?
「ネッド」は否応なしに錯綜する謎の渦中へ巻き込まれてゆく。
スピーディかつスリリングに描くサスペンス巨篇 〔解説:「関口苑生」〕
-----------------------
競馬シリーズの第43作目… 「ディック・フランシス」と「フェリックス・フランシス」の父子共著としては3作品目となる作品、、、
本作の主人公は競馬専門のブックメーカー… 追い詰められて、困難に陥った主人公が、事件の遠因となっている家族の暗い過去を明らかにしつつ、敵と対峙し、難局を乗り越えて行く醍醐味が感じられる作品で、感情移入しながら愉しめました。
亡き祖父から受け継ぎ、競馬専門のブックメーカー業を営む「ネッド・タルボット」… 女王陛下が観戦する英国最大の競馬レース“ロイヤル・アスコット”の初日、馬券を売っている彼の前に、父親の「ピーター」と名乗る男が現われた、、、
両親は自動車事故で死んだと祖父母から聞かされていた「ネッド」は、にわかに信用することはできなかったが、その男は36年前に「ネッド」の母が死んだあと、当時一歳の「ネッド」を残してオーストラリアに渡ったという… その驚くべき話が終わった直後、二人の前に暴漢が出現し、抵抗した「ピーター」は刺殺されてしまう。
警察のDNA鑑定の結果、「ピーター」が「ネッド」の父親であることが確定するが、同時に「ネッド」は警察から思わぬことを告げられる… 「ピーター」が36年前に妻を殺した容疑者だというのだ、、、
「ネッド」はその真偽と父が帰国した目的を探るが、やがて暴漢が父の持ち物を探していることを知る… さらに、別の男が父の持ち物を狙って彼の家に侵入する事件が発生する。
父はいったい何をしていたのか? 競馬場内が通信不能になる事件が続発する中、病気の妻「ソフィ」をいたわりながら謎を追う「ネッド」に、さらなる苦難が、、、
死んだと思っていた父親が表れ、直後に殺されるという序盤のドラマティックな展開から、苦境に立たされた「ネッド」が、競馬業界における馬の入れ替えによる出走馬詐称や保険金詐欺、オッズの不正操作を暴きつつ、自らが事件に巻き込まれる遠因となった家族の秘密を明らかにしていく終盤の展開まで、物語の中に引き込まれながら集中して読めましたね。
でも、オーストラリアの競馬界も絡んだ不正事件の真相は概ね知ることができたものの、社会的な制裁を受けるまで暴くことができなかったので、ちょっと中途半端な感じがしたなぁ… 個人の力の限界かな。
それにしても… 両親は、幼い頃に交通事故で亡くなったと思っていたのに、実は母親は殺害され、その直後に父親は行方不明になり容疑者となっていたことを知っただけでも、相当なショックなのに、、、
実は育ての親の祖父の犯行で、それを手引きしていたのは祖母だった… その動機は母親が祖父の子どもを身籠ったことだったという展開は、ショッキングだったですね。
でも、父親が人生の大半を過ごしたオーストラリアを妻とともに訪れ、母親違いの妹たちと心を通わせ、新しい家族の誕生を予感させるエピローグは、明るい未来を予感させる締めくくり方で良かったですね… 機会があれば、他の競馬シリーズも読んでみたいです。
以下、主な登場人物です。
「ネッド(エドワード)・タルボット」
ブックメーカー
「ソフィ・タルボット」
ネットの妻
「ピーター・ジェイムズ・タルボット」
ネッドの父親
「トリシア(パトリシア)・ジェイン・タルボット」
ネッドの母親。ピーターの妻
「テディ・タルボット」
ネッドの祖父。ピーターの父親
「アリス」
ソフィの妹
「ルカ・マンディーニ」
ネッドのアシスタント
「ベッツィ」
ルカのガールフレンド
「ダギー(ダグラス)・マスターズ」
ネッドの新しいジュニア・アシスタント
「ラリー・ポーター」
ブックメーカー
「ノーマン・ジョイナー」
ブックメーカー
「キッパー」
ピーターを殺した男
「ジョン・スミス」
マイクロコーダーを探す男
「パディ・マーフィ」
ピーターの知人
「ヘンリー・リチャード・フェルドマン」
大手ブックメーカー会社の取締役
「ラキー(ラクラン)・ハリス」
私立探偵
「ルウェリン」
テムズ・ヴァレー警察主任警部
「マーレー」
テムズ・ヴァレー警察部長刑事 -
Posted by ブクログ
高緯度地方に特徴的なものは、泥炭地だ。
本書の舞台になったアイルランドの田舎町でも、泥炭地が印象的に描かれる。
思春期に差し掛かった少年(象徴的な意味で少年だ)に大切なことはなんだろう。
丁寧に一つ一つの過程を、身体を動かして積み上げていく、例えば大工仕事のようなことか。あるいは、猟銃が扱える欧米では狩猟も含まれるのか。銃の扱い方を教わることは、大人への通過儀礼としての役割もあるのだろう。
ロバート・Bパーカーの『初秋』を思わせる展開で、ミステリとしての要素よりも登場人物の成長譚として読み込んでいく。また、『初秋』でのスペンサーとスーザンのように、本書では主人公カルとレナの自立した関係が魅力的だ。
すっきりとした展開ではないが、高緯度地方特有の曇天を思わせるストーリーだった。 -
Posted by ブクログ
イギリスの作家ディック・フランシスの長篇ミステリ作品『再起(原題:Under Orders)』を読みました。
『査問』に続き、ディック・フランシスの作品です。
-----story-------------
元騎手で調査員のシッド・ハレーは、上院議員のエンストーン卿から持ち馬の八百長疑惑に関する調査を依頼された。
しかしその直後八百長への関与を疑われた騎手が死体となって発見され、殺人容疑で逮捕された調教師も証拠不十分で釈放されたあと、不可解な自殺 を遂げてしまう。
真相究明に奔走するハレーだが、謎の刺客が最愛の恋人マリーナを襲う。
『大穴』『利腕』『敵手』に続き、不屈の男シッド・ハレーを四たび主役に迎えて、競馬シリーズ待望の再開!
巨匠が六年の沈黙を破って放つ待望の競馬シリーズ最新作。
-----------------------
2006年(平成18年)に発表された競馬シリーズの第40作にあたる作品です。
障害レースの最高峰、チェルトナム・ゴールド・カップが行なわれる当日、元騎手の調査員シッド・ハレーは競馬場を訪れ、建設会社を経営する上院議員ジョニイ・エンストーン卿から仕事を依頼された… 持ち馬が八百長に利用されている疑いがあるので、調べてほしいというのだ、、、
彼は調教師のビル・バートンと騎手のヒュー・ウォーカーが怪しいという… ハレーは依頼を引き受けるが、その直後、競馬場の片隅でウォーカーの射殺死体が発見された。
この日、ウォーカーとバートンが罵り合っているのを多くの人が目撃していた… そしてウォーカーは前夜、ハレーの留守番電話にメッセージを残していた、、、
レースで八百長をするよう何者かに脅されていたらしく、「言うことをきかなければ殺す」と言われたという… やがてハレーは思わぬ経緯でウォーカーの父親から息子を殺した犯人を突き止めてほしいとの依頼を受ける。
さらに知人から、ギャンブル法改正によって発生する不正についての調査も任される… こうしてハレーは三つの依頼を抱えることになった。そんな折、警察はバートンをウォーカー殺害容疑と八百長の疑いで逮捕する、、、
彼は証拠不十分で釈放されるが、やがて事件が起きた… そのバートンが自宅で拳銃自殺をしたというのだ。
どうしても彼が自殺したとは思えないハレーは、調査を進めていく… だが、卑劣な敵は、ハレーの最大の弱点である恋人のマリーナに照準を定め、魔手を伸ばしてきた!
シッド・ハレーが登場する物語は初めて読みましたが、シリーズ中4度目の登場のようですね… ビル・バートンの死は自殺ではなく、自殺に見せかけた殺害と信じるハレーは、ヒュー・ウォーカーの銃殺と同一犯の犯行と考えて捜査を進めますが、ハレーの捜査を妨害するために恋人のマリーナが襲われ、瀕死の重傷を負うことで窮地に追い込まれます、、、
しかし、偶然、ある人物のタンスの中を見たことをきっかけに犯人一味の一人を特定して反転攻勢… その後、一気に犯人たちを追い詰めていく終盤の展開が愉しめました。
面白かったですね… 競馬シリーズを読んだのは新旧ごちゃ混ぜで7冊目かな、機会があれば、競馬シリーズの他の作品も読んでみたいです。 -
Posted by ブクログ
お気に入りの方のオススメ著者。オススメいただいた方に感謝です^_^。どんな作品なのか予備知識なく読みました。なので、どういう展開か、ディーバー作品のように、どんでん返し系なのか、なんなのかさっぱり分からず、すっごくワクワクして読みました!これが著者の処女作ということですが、今作については犯人に意外性があるというほどでもなく、ミステリーとしては、可もなく不可もなくというところ。ただあとがきを読むと、登場人物にいろいろな展開が待っていそうですので、是非順番に読み続けていきたいと思いました。余談ですが、この作品の主人公の一人のジェフリーはあまり好きにはなれませんでしたが。