眉村卓のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
もし超能力で何もかも意のままに操れるとしたら・・・過去何度も映像化され、今年もアニメ映画化された日本SFの古典、ねらわれた学園。
有名な小説であり多くの人もだいたいの内容を知っているが、ストーリーはいたってシンプル。
しかし重要なのはその物語の背景とテーマ性だ。ファシズム、選民思想、未来への正しい選択。
子供向けにしてはやや重すぎるが、それが現代までこの小説を生き長らえさせている秘密だろう。
圧倒的な力を持つみちる達に対して、普通の人間のの耕児と和美が戦う場面は手に汗握る展開だ。
超常的な力に対してあらゆる物は無力にも見えるが、唯一人の心だけは自由にできないらしい。
心の自由を手放さ -
Posted by ブクログ
昭和中期に書かれた眉村卓さんのSF・ホラー短編作品集。日下三蔵編。
2部構成で、Ⅰ部はショートショート22編を、Ⅱ部は短編3作を収録している。
* * * * *
個人的には Ⅰ 部の方がおもしろかったように思います。特に気に入ったのは、「奇妙な妻」「人類が大変」「できすぎた子」ですが、表題作「仕事ください」も悪くないし、その他も概ねまずまずだったと思います。
けれど Ⅱ 部の作品は首を傾げざるを得ないように感じました。 Ⅰ 部の各作品よりもページ数を割いているのにも関わらず、端折りすぎの感があったからです。まるでダイジェストみたいに説明中心で話を進めているた -
Posted by ブクログ
ネタバレ『角川映画 学園SFに挑戦』
1981年に喜び勇んで買った文庫本の帯にはそう書かれている。
学校が、生徒会が、何者かに乗っ取られる。その時どうするか?
もちろん、僕の身の回りの現実では超常現象などない普通の中学生活。
だから、フシギなことが起こったらどんなに楽しいだろう。
そんな想像で胸をワクワクさせて、眉村卓作品を貪るように読んだ。
今回40年ぶりに再読したが、読む前に唯一覚えていたのは「高見沢みちる」
という、薬師丸ひろ子が演じた役柄の、敵役となるキャラクターだった。
時代が進んでいる分、フォロワーさんたちが今、紹介してくれる本の方が練り上げられていて面白いが、愛読していた眉 -
Posted by ブクログ
眉村卓は小松左京・筒井康隆・半村良・光瀬龍・星新一といった日本SF第一世代に所属している。これまで眉村作品は殆ど読んできたという自負がある中、本書「仕事ください」は読んだことがないと思っていたが、実はハヤカワ文庫JA「奇妙な妻」の収載作品とほぼ同じであることが後に判った。SFに感銘を受け、SFにのめり込んでいった時期に読んだにもかかわらず、その内容を殆ど覚えていないことに愕然とした。人間の記憶とはそんなものなのか、それとも単に私の問題なのかは言わないでおこう。
昨年の6月に刊行された「眉村卓の異世界通信」で著作リストが掲載されていたが、それよりも詳しい解説、作品の出典に関する情報が編者である