眉村卓のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
もし超能力で何もかも意のままに操れるとしたら・・・過去何度も映像化され、今年もアニメ映画化された日本SFの古典、ねらわれた学園。
有名な小説であり多くの人もだいたいの内容を知っているが、ストーリーはいたってシンプル。
しかし重要なのはその物語の背景とテーマ性だ。ファシズム、選民思想、未来への正しい選択。
子供向けにしてはやや重すぎるが、それが現代までこの小説を生き長らえさせている秘密だろう。
圧倒的な力を持つみちる達に対して、普通の人間のの耕児と和美が戦う場面は手に汗握る展開だ。
超常的な力に対してあらゆる物は無力にも見えるが、唯一人の心だけは自由にできないらしい。
心の自由を手放さなかった者が最後に勝利する話だと自分は解釈したが、たぶん人によって受け止め方は様々だろう。
サンライズによるアニメも現代的にに内容が変えられているので、併せて見ると面白いだろう。 -
Posted by ブクログ
眉村卓のSFジュブナイル小説『なぞの転校生』を読みました。
眉村卓の作品は、小学校~中学校の頃、夢中になって貪るように読んだので、ホントに懐かしい……本作も読んだことがあると思うのですが、古書店で見つけて、ついつい買っちゃいました。
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岩田広一が通う中学に山沢典夫という転校生が入ってきた。
典夫はギリシャ彫刻を思わせる美男子なのに加え、成績優秀でスポーツも万能だが、なぞめいた雰囲気を持っていた。
ある日とんでもない事件を起こした典夫の秘密とは? 1970年代にドラマ化され人気を博したSFジュブナイルの傑作。
解説・岩井俊二
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1965年(昭和40年)から1966年(昭和41年)にGakken(学研)が発行していた月刊学習雑誌(学年誌)『中学二年コース』、『中学三年コース』に連載され、1967年(昭和42年)に刊行された作品、、、
1975年(昭和50年)にNHKの『少年ドラマシリーズ』でテレビドラマ化されたのが、本作品との出会い……懐かしいですね。
■異様な少年
■転校生
■みどり完敗
■もうじき雨になる
■軽蔑の視線
■六四〇号室の客
■典夫のデザイン
■妙な仲間たち
■乱闘!
■ここだけではない
■にくしみに燃える目
■ぼく行ってくる
■不適応者かね
■たいへんなの
■だから撃ったんだ
■この世界には住めない
■全員が消えた
■からっぽの室内
■もうお別れだ
■さようなら
■みどりの悲しみ
■なんということだ
■帰ってきたのね
■どうして典夫を守るか
■屋上から降りてくる
■帰ってきた人々
■あしたを創る
■最後の授業時間
■講談社文庫版あとがき
■解説 愚かなサルになるよりは、素朴にサルのままでいい。 岩井俊二
よく晴れた日曜日、広一の家の隣に引っ越してきたのは、ギリシア彫刻を思わせるような美少年だった……エレベーターに乗り合わせた広一は、ほんの短い停電にも無我夢中でそこから脱出しようとする少年を不思議に思った、、、
翌朝、広一の教室に、その少年、山沢典夫が転校してきた……スポーツ万能、成績抜群、あっという間にクラスの人気を独占する山沢。
広一はいつしか転校生の秘密にひかれてゆく……学園SFの傑作。
小学生の頃に観ていたNHKの『少年ドラマシリーズ』の記憶が自然と蘇りますね……あの少し不思議で静かな雰囲気は、原作の持つ日常に入り込む異質さとよく合っていました、、、
今回改めて感じたのは、
・異文化や異質な存在を受け入れることができるのか
・便利さや豊かさを追い求めるだけで幸せになれるのか
・今の環境の中でどう充実した生活を送るのか
といった、子どもの頃には気づかなかった社会的なテーマですね。
山沢典夫という異なる世界からの転校生は、クラスの当たり前を揺さぶり、読者にも「自分の価値観は本当に普遍なのか」と問いかけてきます……派手なSFではないのに、静かに心を動かす力がある作品でした、、、
子どもの頃の懐かしさと、大人になってからの気づきが重なる、時間を置いて読むほど味わいが深まる一冊でしたね。
以下、主な登場人物です。
岩田広一
この物語の主人公で大阪の阿南中学校に通う運動好きの2年生の少年。
やがて転校生典夫の正体に疑問を抱くようになる。
香川みどり
広一のクラスメートで、卓球の達人。
やがて転校生典夫に好意を抱くようになる。
山沢典夫
広一やみどりのクラスに転校してきた謎めいた少年。
美形の上に成績優秀でスポーツなど何事にもずば抜けているが科学の文明を嫌悪している。
大谷先生
広一やみどりのクラスの担任で、生徒達のことを温かく見守っている。
担当科目は理科。 -
Posted by ブクログ
知性の格差を基にして、そのズレから生じる価値観や死生観を描いているかのような物語が多かったという印象の「日本SF傑作選3 眉村卓」。
その生まれてしまったズレを埋めようとするものもあれば、マウント気味に上の位階に引き上げようとする傲慢さが見えるものもあったなぁ。しっぺ返しがあったり、あちら側がより上の位階に達していたりするのが、オチとなっていましたね。
「惑星総長」の無為無気力感が酷く陰鬱な気分にさせる。あそこはもう一種の牢獄になってしまっているような気がする。アルカロイド系飲料を飲んでいるのは、緩やかな死を待つ心の表れなんだろうな。
「正接曲線」「キガテア」も滅亡することが、決定されてしまった種族との出会いが生む未知への恐怖であったと思います。自分以上の何者かの意思に触れてしまった畏怖というものもあるかもしれないけども、単純に理解しきれない恐怖が先に来ました。種明かしはされるけども、だからと言って納得しきれないというのもある。
「サバントとボク」「我がパキーネ」の2作は、少々毛色が違いますが、希望に満ち溢れた未来が待っているのか、というとそうではないんだよなぁ、という予想をしてしまうので、なんともいえない。主人公の選択を、心底応援できないというのが出てきてしまう。愛情のまま突っ走るのはいいけども、それだけで報われる人生でもなんよなぁ、という感想になってしまう。
本書に収録されている作品だけでいうのであれば、総じて暗さを纏った物語が多かったように思います。フィクションゆえのハッピーエンドをさせてくれない、というか。結果として、読むのに体力がいるものとなりました。
面白いので読まされてしまうために、体力の消費も激しくなりましたね。