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Posted by ブクログ
これは行政官の物語である。司政官マセの内面の動きに焦点を当て、その施策と社会の動きを克明に追っていく。どこでどのような施策をとるか、ある種シミュレーション・ゲーム的な理知的な面白さに満ちている小説である。連邦事業団や連邦軍など司政官の権限が及びがたい伏兵の存在、そして物語の冒頭「いい人たち」と描写される先住民の予測不能な動向。
眉村卓は「インサイダー文学論」ということを謳っていた。組織の内部にいる人間の物語ということだが、内部の人間が必然的に持たざるを得ない矛盾も含めてある肯定的な立場で描いていこうという感じだろうか。「司政官」シリーズもまさにそれである。とはいえ、現実の私たちの世界の行政官たちがマセのように真面目に叡智の限りを尽くして仕事しているんだろうかなどと考えてしまう。そういう意味では自治体の首長たちに読んでいただきたい小説かも。
さて、東京創元社さん、どうして『引き潮のとき』も文庫化してくれないのでしょうか。これは1983年からおよそ13年間連載された。凋落した司政制度のもと、連邦政府の利益のために担当世界を混乱に陥れる使命を帯びて赴任した司政官の物語である。早川書房で5分冊の単行本として出たあと、文庫にもならず、2006年に、黒田藩プレスというところが2巻まで再刊して滞っているのだ。何たるスキャンダル!
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