眉村卓のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ眉村卓は、子どものころからおなじみの作家。「ねらわれた学園」や「なぞの転校生」「まぼろしのペンフレンド」など、ドラマ化されてワクワクしながら読んだ記憶がある。
この本は、ガンに侵された妻のために眉村が1日1話の創作を書き、読んでもらったものをまとめたもの。
数年前、「アメトーク」の読書芸人でカズレーザーが紹介して即重版になったはず。カズレーザーは、ラストがとてもいいと語ったように記憶している。そのページを光浦靖子に示すと、一瞬にして彼女の目に涙が浮かんだ。
そして昨年2019年、眉村自身も亡くなっている。
ラストは本当に悲しい。
本当の読み方ではないけれど、「死に向かっていく妻に向けて書いてい -
Posted by ブクログ
するっと、そしてすらすら読める。文体は、言葉遣いの端々にこそ時代を感じるが、読みやすいし、展開はスピーディ。
ただし、SFとして読むと、バックボーンの弱さや、設定の粗さが目立つ...というか、科学的にどうこう、技術的にどうこうみたいな話は全くないし、SF的な設定を少し借り受けて来ただけ、みたいな感じ。ジュブナイルと割り切って読むべきだと思う。
何より、ジュブナイルであるということが非常に強く意識されているようにも感じた。凄くメッセージ性の強い内容だったし、あとがきからも、テーマにこだわって執筆されたことが伺える。
読んでいて一番思ったことは、古い、ということ。その古い雰囲気自体は、どこ -
Posted by ブクログ
本人も言っていた通りオチの無い話ではあったが、こういう本の形もあるのかという、新しさに感心した。
本の内容では「少し長い後書き」の中の「相手の心の隅から隅まで知る必要はないのだ。生きる根幹、めざす方向が同じであればそれでいいのである。」という一文が1番印象に残った。ついつい欲張って何でも知りたくなってしまうのだけど、どれだけ一緒に過ごしても、他人だから全てを知り理解することはできないなと。だからそこに労力を使うのではなく、大切なこと、めざしたい方向について語り合うようにしようと思う。
眉村先生は毎日1話を書き続けるにあたり、いくつか制約を設けました。その一つが読んであははと笑うかにやりとする -
Posted by ブクログ
ネタバレアメトーークでカズレーザーが15年ぶりに泣いたと言っていたため手に取った本。
最近母が亡き婦人と同じく大腸癌になったため、
最初は他人事だと思えずとても重い気持ちで読んだ。
亡くなるまで、1778話。毎日毎日よく書いたと思う。
小説家という立場だからこそ、できることがあり
それをやり遂げた眉村卓さんはすごいと思った。
しかし小説家という立場だからこそ、妻だけではなく世の中へ向けて書いてほしいという妻の願いから、眉村卓という小説家の妻であることへの誇りを感じた。
またお葬式での看板も同様である。
あまりSFは読まないけれど、SFを構成するまでの著者の意図も書いていただきなるほど。と興味深く読ま -
Posted by ブクログ
内容は著者が書いたショートストーリーの一部を抜粋したもの。
私はこれを良いとも悪いとも評価できない。
また、他人にこれを勧めることもできない。
ただ、本書を読むなということもできない。
理由としては自分の経験から、本著を読んでいて段々と悲しくなっていったから。
最後の方はこの先を読みたくないなと思いながら無理やり読みました。
この本の感想は本書にある書かれているように千差万別だと思います。
ただ自分が本書に対して☆3を付けたことに、
これ良い意味で☆3だとか悪い意味で☆3だとか決して思わないでほしい。ただ単に無理矢理にでも点数をつけるとしたらこの点数にすることにしか出来なかったというだけなの -
Posted by ブクログ
ネタバレ70、80年代ジュブナイルSF。分かりやすく狙われている。
なんとなく内容は知っていたけど、犯人?の正体や学園を狙った理由は知らなかったので、どうして懐柔により乗っ取りをしないのだろうかと思っていたが、理由がわかった。宇宙人じゃなかったのか…時をかける少女と混同したかな。
眉村そんも後書で書いていたが、生徒による自治、規則との闘争、大人に対する不信と信じたいような心なんかは、少なくとも自分の学生時代とは少し違うように思うし、時代を感じる。父の言葉、理不尽な力で、一見理屈にあっているようなことの押し付けへの反抗は長続きはしないこと、誰かがそれを引き継がなくてはならないこと、教訓。