鈴木るりかのレビュー一覧
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相変わらず貧乏だけどその中でも日々を明るく逞しく過ごしている花実ちゃん親娘に出会える3作目。花実ちゃん視点の「遠くへ行きたい」はスマホ持ったり隣の席の石井君のちょっかいをウザがったりと中2らしい可愛らしい日常と平行に社会問題や将来への不安、母親への想いが平易な、しかし真っ直ぐな言葉で語られるのが相変わらず凄い。職業体験で出会ったしのぶさんから漏れてきた母の秘密で今後の展開がちょっと心配。賢人が文代さんという魅力的な人に恋する「私を月に連れてって」は締めも含めコミカルだけど(文代さんって前作のあの人だよねぇ)前に進もうとする爽やかさがいい。でも次でまた元に戻りそうだけど。しのぶさんと母との昔のエ
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ネタバレ『さよなら、田中さん』の花実親子シリーズ第3弾。
時代は令和になっても、相変わらず昭和感が色濃く残る田中家。
花実の母と、親子が暮らすアパートの大家さんの賑やかな会話には今回も癒やされる。
そんな家庭環境の中、花実も念願のスマホをゲットしたり進路のことで悩んだり、と大人の世界に近づいている。
そしてふとしたきっかけで、母の過去を知る人物と出逢い…。
「真実をすべて知ることがいいとは限らないし、その必要もないんです。そして知った後では、もう知る前には戻れないんですよ」
母の過去を知りたい気持ちは分かるけれど、小学校時代の恩師・木戸先生の言葉通り、知ればいいというものではない。
いつも花実の幸せだ -
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ネタバレ鈴木るりかさんの作家デビュー作『さよなら、田中さん』第2弾。
新年早々、花実と豪快な花実の母の物語の続きが読めてとても嬉しい。
老いも若きも男も女も、みな居場所を探してる。
誰にも縛られることなく、自分が自分らしく居られる場所を。
誰もが羨む素敵な家に家族と共に暮らしているのに家の中で居場所がない、と嘆く花実の友人・佐知子。
狭い借家でもお金がなくても大好きな母と賑やかに暮らす花実を見ていると、居場所とは単なる”場所”なんかではないんだな、と思う。
自分を心から想ってくれる人が側にいて、全力でぶつかってきてくれる。
他人が何と言おうと自分さえ居心地が良ければそれが一番の居場所。
新年の始まり -
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ネタバレ読書記録です。まだの人は読まないでね。
『さよなら、田中さん』を14歳で書いた著者。「書いて欲しい」と背中を押した選者の石田衣良さんありがとう。『14歳、明日の時間割』『太陽はひとりぼっち』も読みました。プロットを書かずに湧き出るストーリーを書いている、とは著者の創作スタイルだそうですが、伏線回収が凄すぎる今作。田中さん(母)を虐待していた祖母のぽろっとこぼした言葉、小学校担任の兄…いったいどこからキャラクターたちは著者の頭のなかで動いていくんでしょう。続きが早く読みたい。でも花ちゃんにはゆっくり成長していって欲しいし、伏線回収でどんなふうに成長していくのか、その姿を読んでいきたい。 -
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ネタバレ読書記録です。まだの人は読まないでね。
「太陽はひとりぼっち」田中さん母娘の続編。中学生になった花ちゃん、ちょっと思春期入ってるけど、たくましいお母さんの愛で曲がらず育っています。お母さんの幼い頃のエピソードが切ない。毒母だった祖母と孫、昔のことは水に流して仲直りして~となったらできすぎでいやだなぁと思ったけど、さすがは花ちゃん、しっかりお母さんの味方でありつつ毒祖母の毒気も抜いてましたね。過去との対峙で結構オトナの対応を見せたかと思えば、世間知らずでエロオヤジに絡まれて警察沙汰を起こしてたり。はらはらしまいした。
「神様ヘルプ」ここにもいたんだよね、中受で全落ちした息子(花ちゃんと同級生) -
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「さよなら、田中さん」の続編。花ちゃん中学生に進学。制服等のお金の工面に苦労したり貧乏だけど母娘真っ直ぐに生きている。そこに金が送金されないから、と祖母がやってくる。この祖母が見事なクソババで花ちゃんのお母さんとの過酷な過去が本当胸が痛い。それでも縁が切れきれない業をお母さん視点で平易な言葉で語るのが凄い。新しい友達佐知子ちゃんの家庭に居場所がない苦しさの描き方もまた上手いんだこれが。2本ある短編で三上君のその後「神様ヘルプ」では花ちゃんへの想いににやにやさせられ木戸先生の失踪した兄の話「オーマイブラザー」では兄弟の絆にほろりとさせられた。作者が高校生とは末恐ろしいぞ。
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いろんな中学生が関わって、少しずつ変わろうとしているのに胸を打たれました。
茜ちゃんの話が個人的には一番感動しました。
大好きなおじいちゃんのために自分の苦手なことに挑戦するって、なかなかできないことだと思います。
あと、先生の話にも感動してしまいました。
人とは違う才能がないっていうことを今までは自分に隠していたけれど、それを周りから感じ取ってしまってへこむ。でも、そこからなぜ自分は小説を書き出したのかという原点に戻ってみると、案外単純だってことに気づいて、もう一度立ち上がれる。
一回挫折して、もう一度立ち上がれる人間は確実に強くなると思います。
2025.8.31