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現役受験生作家がリアルに紡ぐ受験生の青春。
舞台は、とある地方都市。高校3年生となり、受験生の水咲。
ある朝、町中の尊敬を集める「先生一家」の門前にパトカーが何台も集まり大ニュースに。そこは昔から憧れの的だった、現在通う高校の生物教師の家でもある。水咲といつも一緒の幼なじみ・聖二と愛海も心配で駆けつけるが、手錠をかけられ警察に連行されて出てきたのはなんと憧れの生物教師だった!
その先生は幼い頃から水咲にとって特別な存在。先生をひたすら信じたい一心から水咲はまた別の事件にも巻き込まれてしまい……。
著者が現役受験生として受験勉強と並行して描いた、地方都市在住受験生の青春を描いた初恋小説。読後爽快、リアルな青春を鮮やかに描く。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
憧れの人がいなくなった世界でもがく、女子高生の青春物語
堅苦しいタイトルや表紙とは裏腹に、内容はとてもコミカルで読みやすい。コメディ小説と言っても差し支えないかも。
主人公・水咲が幼いころから憧れていた近所のお兄ちゃん。今や高校教師の落合先生であり、水咲は彼の教え子です。ところが、落合先生は女性の下着(パンツ)を800枚以上盗んだことで逮捕され、一家そろって街を追われてしまいます。水咲にとって、落合先生が生活の指針であり、生きる目的であったため、大きなショックを受けてしまいます。
ところが、大学受験という現実は迫ってくるし、友人は落合先生について諦めろと言う。
でも、水咲はなかなか諦められない。現行犯逮捕された先生のことを「きっと冤罪だ」などという姿は、はたから見ればちょっと痛い子。
こんな水咲の一途、かつちょっと歪んだ愛情に対して、思わずいじらしく感じてしまいます。
さらに、この物語の真骨頂は、軽妙なセリフ回しだと思っています。
Posted by ブクログ
鈴木るりか第5作。4作目の感想でこう書いた。
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凄まじい才能だ。年齢や人生経験など関係なく小説の天才が存在することを改めて感じた。作品を上梓される毎に磨かれ無駄が削がれた圧倒的なストーリテリングに驚嘆させられる。センス溢れる会話の妙と洗練されたギャグ、絶妙なメタファー、タイトルに込められた明確な主題、余韻を十分感じさせる終わり方、どれをてっても既に完成された美を感じる程。本作が直木賞候補になっても全く驚かないし、もうそれ以上の存在かもしれない。次回作が本当に楽しみ。
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本作の会話内で引用が多用されているところが若干やり過ぎ(頑張り過ぎ)感強く気になったが、それ以外は言うことなし。著者の成長に伴い、乙女の恋心が主題になっているが、一筋縄ではいかぬストーカー的気味悪さは村田沙耶香的執拗さも垣間見えて、益々大物ぶりを醸し出す。コソ泥の大樹が真犯人ではと思わせながら、それは主題ではないんだよというメッセージにも思える終わり方も素晴らしい。大学生になっても執筆活動は続けてほしいなあ。楽しみにしてます。
Posted by ブクログ
近所のお兄ちゃん、落合先生が下着泥棒で捕まった。文武両道、品行方正で両親と同じ教師の道に進んだ彼にずっと憧れ続け、同じく教師になる進路を決めたばかりの高校生、水咲の心は大混乱。全国ニュースで盗んだパンツ800枚と逮捕される瞬間まで流れたのに信じられない水咲の一途な暴走恋心が深刻にではなくコミカルに描かれているのが瑞々しい。幼馴染みの二人、愛海と聖二のギリギリを攻めた茶化しっぷりが重くなりそうな内容を軽やかにしている。そのネタが三人が文藝部(藝の漢字にこだわりあり)だけあって様々な文学要因から持ってきてテンポ良く進むのが楽しい。落合家の事情が描かれないのが逆にリアルだ。高校生から見た事件ってこんなもんだと思う。最後の水咲の願い、届くといいな。
昭和感あふれる笑いが楽しい
今回は田中さんシリーズではないけど、ユーモア溢れる軽妙な会話と昭和感たっぷりのネタは健在。ホントにJKが書いたの?登場人物は進学校の高校文藝部の部員たちという設定ということもあり、いろんな文芸作品をパロったフレーズが次から次へと出てくる。これって格調が高すぎてオリジナルを知ってないと笑えない。個人的には「母さん、ぼくのヘルメットはどうしたんでせうね?」がツボった。てっきり森村誠一の『人間の証明』のパクリかと思ったら、西條八十の詩がオリジナルなんですね。高校生の純朴な心が微笑ましい爽やかな青春小説だった。
Posted by ブクログ
「さよなら、田中さん」以来楽しみに読んでいる、鈴木るりかさんの新作。「現役受験生が書く受験生のリアル」とかいう紹介文を見たけど、その言葉から受ける印象と中味はちょっと違うんじゃないかな。受験生なんて狭い枠ではなくて、誰もが持つ「ままならなさ」を重くならずに描いた、著者らしい作だと思う。
いきなり下着泥棒の話から始まって(しかも犯人は主人公水咲にとっての王子様)、あれま、このお話はどう進むのかと思ったが、その件の着地点が焦点ではないのだった。憧れの人がおこした衝撃的な事件に、水咲の心は揺れ動く。でもそこに危うい感じがほとんどないのは、農村地帯に住み(水咲の家は農家)、通学時にはヘルメット着用という田舎の中学に通う水咲の周囲が、なんというか「地に足がついてる」からだ。あんまり小説に書かれたりしないこういう子って、実際にはたくさんいるんだよね。
なんといっても良いのが、水咲と友人たちとの会話だ。これはもう著者の真骨頂。花実ちゃんシリーズもそうだけど、この生き生きした会話だけで一冊分の値打ちがあると思う。本作では、水咲と友人たちが高校で文芸部に入るので、文学作品にまつわるボケとツッコミが楽しい。鈴木るりかさん、本当に本が好きなんだな。この春大学生になるという鈴木さん、どんどん書いて読ませてほしいです。花実ちゃんのその後、待ってます!
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