あらすじ
文学界注目の高校生作家、待望の新刊!
デビュー作として異例の大ヒット『さよなら、田中さん』の田中母娘が帰ってきました。単なる「続編」とはせず、ひとつの新しい文芸作品として意欲的に取り組んだ一作。前作で強い印象を残した登場人物達がさらに謎とドラマ、嵐を呼ぶ!!
『太陽はひとりぼっち』花実は中学生となった。ある日、家の前に見知らぬビジネスマンがやって来る。彼は一体何者?さらに別の日にはやせた老婆が家の前に座り込んでいて……。次々登場する謎めいた人物が引き起こす大騒動。一つ一つの事件に込められた人々の思い、苦しみ、葛藤。生きることへの希望を説く「るりか節」が力強く心に響きます。
『神様ヘルプ』デビュー作『さよなら、田中さん』最終章で鮮烈な印象を残した三上信也。中学受験に全落ちし、毒親である母親から山梨県にある全寮制のカトリックスクールに送られた、彼の現在は?
『オー マイ ブラザー』花実に大きな影響を与え、数々の名言を誕生させた木戸先生の物語。オカルトに傾倒し、不思議な話ばかりしている木戸先生の人生における唯一の固執、謎が見事に解明されるラスト。全編を通してテーマとなっている太陽の光が物語に陰影を与える。
以上 全3編。(2019年10月発表作品)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「さよなら田中さん」の花実ちゃん母娘のその後を描く第二弾。とても面白かったです。
特に、最後の「オーマイブラザー」は短いストーリーなのに、驚いたり悲しんだり、最後には涙が出そうになったり…頭の中で絵が浮かんできて本当に惹きつけられました。読み始めたときにはわからなかったけど、まさか木戸先生のお話だったなんて!
続編の「私を月に連れてって」も読んでみたいです。
Posted by ブクログ
「さよなら、田中さん」に続く
この本。花実さんは中学生になった。
でも、花実さんもお母さんもブレなくて
とてもよかった。
それに、「太陽はひとりぼっち」という
タイトルに絡めて、太陽にまつわる話が
それぞれの章で出てくる。
上手だなぁ。
さよなら、田中さんにも出てきた
信也君と木戸先生の話、
サブキャラだけど、丁寧に描写されて
いて、ますます思い入れが深くなる。
花実さんの周りには素敵な人がたくさんいる
んだな。花実さんがいい子だからだな。
まだ、続編あるっぽい。
読んでみよう。
Posted by ブクログ
花ちゃん母娘を描いた「さよなら、田中さん」の続編。
とても面白い。
1番印象に残ったのは「神様ヘルプ」に描かれる三上君のその後。
三上君は全ての中学校受験を落ち、母親から疎まれ山梨の寄宿舎付きのミッション系の学校に入れられてしまう。
三上君自身、母親から疎まれているかも知れないと気がついていることを心の奥に隠す。
ここには自分の意志で来ていて、やり甲斐も見つけた。家族と離れても寂しくなんかないんだ。母親から遠ざけられたのではなく自分が選んだんだ、と自分を納得させている。
そんな腹をくくっている三上君なのに花実にあったとたん気持ちがぐらつく。三上くんがいじらしく思えてきた。
すっかり鈴木ルリカさんのファンになってしまった。
Posted by ブクログ
要所要所で花実が思い出す小学生の時の担任の木戸先生の言葉がよかった。変わり者で花実だけが、真剣に受け止めていた言葉の数々。
そんな先生の兄弟の話『オーマイブラザー』が、とてもよかった。どんな風に変わっていても、生きているってことがとても大事だということを改めて思った。そして、花実が覚えていた言葉の数々と結び付いた。
花実のとんでもないおばあちゃんは、過去のすさまじさの結果の孤独を「太陽は、いつもひとりぼっちだ」と言ってのける。あの羽毛布団は自分が出ていったあとのために買ったように思えた。そのおばあちゃんに心身ともに傷つけられた子どもだったお母さんが、お餅が好きな理由が切なかった。親が思うよりも子が親を思う気持ちは、案外大きいと気づかされた。
友達の佐知子も、花実と友達で救われていた。そして三上くんのことも、色々と考えさせられた。
鈴木るりかさんには、今回も教わることが多かった。すごいな、本当に。
Posted by ブクログ
帰ってきた田中さん!
鈴木るりかさんが、14歳の時に書いた「さよなら田中さん」。極貧の母子家庭でありながら、笑いながら逞しく生きる小学生の田中花実とそのお母さんの話であったが、その田中さんが中学生になった。るりかさんが高校一年生で書いたこの「太陽はひとりぼっち」。
中学校の制服一式は公立でも7万円もするのだそう(体操着や鞄も合わせると12万円)。確かにうちの子の学校でも「そんなに!」と思ったが、東京の相場は段違いに凄いな。田中さんのお母さんは、「イートン校の申し込み用紙間違ってもらってきたのかいな」という。仲良くしている大家さんが親戚の子のお古をもらってきてくれたのだけど、それが隣の中学校の制服。お母さんは「制服なんてどこのも同じようなものじゃないの。パッと見には分からんて」なんて言っていたが、何と!何とか新品を揃えてくれた。それでも「なんかあった時のために四中(隣の中学校)の制服もとっておこう」なんていうものだから、田中さんは何がなんでも三中(自分の行く中学校)の制服を大事にせねばと決意した。
中学校で新しく出来たお友達の家に招待されたとき、お母さんは張り切ってとっておきの「不祝儀」のお菓子を大家さんは仏家用に育てていた菊の花をお土産に持たせてくれた。それもアブラムシがあちこちについたヤツ…。相変わらず、田中さんのお母さんとその仲間は抱腹絶倒(^◇^)
そのお友達の家はとってもお金持ちの様子。だけどなんか様子が変。家族写真には2種類あり、一枚は佐知子ちゃんが一緒に写っていて、もう一枚は佐知子ちゃんだけ写っていないもの。その日佐知子一人が留守番していたのは他の家族全員で祖父母の家に行っているからということ。聞くと、佐知子のお母さんは再婚で佐知子は連れ子で、今のお父さんと血の繋がっている妹のほうばかり祖父母が可愛がり、母も祖父母に気を使うので、佐知子ちゃんには居場所がないとのこと。
一見恵まれているようで居場所がない佐知子ちゃんとお金も父親もないけれど、居場所はしっかりある田中さん。
そして、田中さんにもなんとおばあちゃんがいることが分かった。それは、ある日マンションの前でタバコを吸っていたドグロのような怖い顔をした下品なおばあさん。お母さんの所に「仕送り」を「取り立て」にきたとんでもないおばあさん。その実の母親に会ったお母さんは体調を壊して涙を見せた。そして、その母親にどれだけ虐待され、置き去りされてきたか語った。死んだと思ったほうが楽だから死んだと思っていたのに忘れたころにやってくると。
お母さんは花実が生まれてくれて、やっと憧れていた「お母さん」になれた、「花実お母さんにしてくれてありがとう」と言った(;_;)
居場所があるかないか。冷たい人と温かい人。だけどそれだけでは割り切れない。大家さんの息子である「元神童、現ニート」の賢人は花実に言った。「そういうふうにしか出来ない人もいる」と。
ドグロおばあちゃんはお母さんから無事3ヶ月分の仕送りを受け取るとさっさと荷物をまとめて出で行ったが、その帰り際、花実が呼び止めて「帰るところはあるのか」と聞くと「帰るところなどない。太陽はひとりぼっち」だと言った。
居場所がないのにも種類がある。花実の小学校の同級生で全ての私立中学校の受験に落ちたからと家から追い出されるように山梨の寄宿舎付ミッションスクールに入られた三上くんは「神父になりたい」という夢に目覚めたのに、夏休みに彼を帰省させた家族は彼の本当の中身を認めようとしないまま、わざと明るく接した。
花実の小学校の時の「オカルト好き」で有名だった木戸先生のお兄さんは本当の自分の居場所へ行くため、誰にも言わず、パラレルワールドへ旅立ったのだった。
鈴木るりかさんすごいな。文書力だけではなく、本当の居場所とか、本当はみんな一人ぼっちだけど、太陽みたいに輝けることとかあの若さで書けるなんて。
私は歳をとっているからこの小説の言わんとすることは理解は出来る。だけど、やっぱり鈴木るりかさんの若さでないと書けない小説だと思う。歳をとったら、神経が鈍くなって楽に生きられてしまうから、感じたものをるりかさんのように繊細にキャッチ出来ないと思う。若い時は自分以外の人のことなんて分かんなかったし。ダメだな。
田中花実ちゃんの成長を見たいな。
Posted by ブクログ
絶対に読んでほしい。鈴木るりかさん、すごいよ
前作「さよなら、田中さん」で花ちゃんのお母さんが虐待されて亡くなった子供のことを記録していた理由がなんとなくわかって、胸がキュッと締め付けられた。
題名の「太陽はひとりぼっち」と言うのがすごくいいなと思っている。孤独感を感じた時、太陽もひとりぼっちだと思えると、少し孤独感が薄れる気がする。
やっぱり鈴木るりかさんの本ってすごいなって思った。このクオリティを16歳で書いたと知り、かなりの衝撃を受けた。(すごすぎだろ……)
Posted by ブクログ
これまでに登場したキャラクターにも焦点をあて、るりかワールドに奥行きをもたらす本作。噛みごたえのある内容に、大満足の感想です。シリーズものとしても、今後の展開が楽しみ。
Posted by ブクログ
「寂しい?太陽はいつもひとりぼっちだ」
「さよなら、田中さん」の続編でありながら、単なる続編に留まらない大進化を遂げ、さらに味わい深い作品として花実ちゃんたち親子が帰ってきた。
前作も響く言葉がたくさんたくさんあったが、本作も相変わらず様々な問題提起や出来事、こちらの心に響く言葉がてんこ盛り。
前作では語られなかった花実ちゃんのお母さんの過去や、大家さんの息子の賢人の過去、逆に前作の最後の話で大変な印象を残していった花実の小学校時代のクラスメイト・三上くんの現在にスポットをあてたお話、そしてまさかまさかの、前作のうちに読みながら私が既に好きになっていた登場人物の1人、花実ちゃんの小学校時代の担任・木戸先生の物語などが収められている。
木戸先生の物語をねじ込んでくるとは、とんだサプライズだった。誰の話をしているのかわかったときマジで鳥肌たったし、先生のお話書いてくれてありがとうございます…!!といった感じです。
何よりこの「太陽はひとりぼっち」というタイトルが秀逸。
もうこれは鈴木さんの作品、読破するしかないな。
花実ちゃん親子や周りの人たちが愛しくてたまらんのだ。
もう前作含めたこの2冊は、他の人に布教しまくりたいくらい。
以下、各話の題と、ネタバレ含む感想をば…
・太陽はひとりぼっち
・神様ヘルプ
・オーマイブラザー
〜太陽はひとりぼっち〜
渾身の力作だ。
もう様々な出来事や問題提起がてんこもりの一話なので、まとまった感想は全然書けない。
ただ一言で言えば、苦しいことがあり、今もその苦しみが続いている人たちの、それでも今・未来を生きていくための物語、だろうか。
これをまとめ上げ、「太陽はひとりぼっち」と言うタイトルをつけた作者の力量には感服するばかりだ。
花実が中学生になり、まず制服や体操着や水着や専用カバンや…などなど、様々な物が入り用になり、やはりお金に困っているところから描写が始まる。
それでもあまり暗くなり過ぎないところは、相変わらずのるりか節によるものだろう。
通い始めた中学校には、小学校の頃仲良くしていた女の子たちも三上くんもいないが、新しく佐知子というクラスメイトと仲良くなる。
「花ちゃんには私と同じ匂いを感じたの」と友達になった佐知子だが、佐知子ちゃんの家もなかなかで…
佐知子ちゃんの家は現在、花実とは対照的に裕福な家庭なのだが、貧しい母親の連れ子である佐知子には家に居場所がない。
あからさまに佐知子を無き者として扱う祖父母や赤の他人の父親という名のおじさん、家の人間として認めてもらおうと必死でそれを見て見ぬふりをしている実の母親に嫌気がさし、何がなんでも自力でお金を貯めて家を出たいと決意を固める佐知子。
「早め早めにしていてちょうどいいんだよ。たとえば百点取ろうと思ってると、大体八十点じゃん。…だから中学卒業と同時に家を出たいと計画してても結局高校卒業時になるんだよね、多分。だから今ぐらいから準備してちょうどいいんだよ」
そんな佐知子を見ながら、花実は家に居場所がないなんてすごくつらいことだ…お金があってもつらいことはあると思考を巡らせる。
私は佐知子ちゃんが、猫可愛がられる幼い妹には一切恨み言を言わないところが、すごく偉い…憎く思ってもおかしくないのに…と泣きそうになりながら思った。
のちの理由ですぐにお金が入り用になった花実は、佐知子とともに合法でお金を稼ごうと、公園でイラストを描き始めるのだが…
賢人のかつての大事な友情と、大事過ぎたばかりに酷く傷つき今も癒されない過去を知った今となっては、現在ニートではあるけれど、他人を傷つけることなく冷静で優しい様は改めて、いや、十分人間できてるでしょ…と改めて賢人を尊敬した。
まさかの死んでいたと聞かされていた花実の祖母・タツヨ来訪。しかも理由は仕送りが途絶えたから…要は金せびりだ。
お母さんが(改めて、お母さんの名前は真千子だ)今まで黙っていた、親子間の壮絶な過去…言ってしまえば母親による完全なる虐待行為。度重なる子捨て・ネグレクトと暴力・暴言のフルスロットル。果ては金の工面ができるまで家に勝手に泊まり込むわお金を勝手に使い込むわで、わー…と思考停止しそうになった。
そんなお母さんの、「いつかきっと普通の親子のように、お互いを思いやれるあたたかい関係になれるって信じて努力したこともあったけど、それをことごとく打ち砕かれて、いまはもう『お母さん』って呼ぶこともできない。」
「どちらかが死ぬことでしか許せない関係ってあるんだよ。それが親子間なのは、最悪かもしれないけど。」
「花に『お母さん』って呼ばれる度に、私はお母さんになっていった。お母さんになれた。花、私をお母さんにしてくれてありがとう」
そう言いながら、愛される子どもになりたかったなぁと言うお母さん。
優しい『お母さん』から無償の愛を注がれる憧れを捨てきれないお母さん。
花実のお父さんやお祖父ちゃんのことや、お母さんがどんな悪いことをやってきたのかは本編でも明かされないままだ。だが、それでも負のスパイラルを断ち切り、花実を立派ないい子に育て上げたお母さんの心情を思うと胸が捻じ切れそうで、あなたは悪くないよ…立派だよ…と抱きしめたくなった。
それでもやっぱり、お母さんとお祖母ちゃんに仲良くなってほしいな、と思う花実。
そんな自分の考えを甘いだろうかと思う花実。
正直、たっぷりの愛情を注がれてきた子どもだからこその発想だなと思ったが、そんな真っ直ぐな花実によってそれぞれ引き出せた、お母さんとお祖母ちゃんの本音。
苦しい人が真っ直ぐ生きるということは、たった一人で生きていくということは、本当に難しく…と考えさせられる話だった。
〜神様ヘルプ〜
山梨の全寮制ミッションスクールに進学させられた三上くんのその後のお話。
ミッションスクールの寮で同室になった浜田先輩(傍目から見ても中学生とは思えないくらい出来すぎなくらい達観している。三上くんにそう自分の進路を焦るなと色々見抜いて助言までできるすごい)と神の言葉に救われた三上くんは、神父さまになるという夢を見つけ、それに向かって夏休みにも帰省せずお祈りと勉学に勤しみ続ける。
しかし夏休み中、お父さんが急病で倒れ危篤だという知らせを受け、道中ひたすら父親の無事を神に祈り続けながら帰省する。
…と、明らかに父親は仮病で、それを隠そうとする母兄姉の演技も見ていて滑稽なくらいの出来だった。
うわぁ…と思ったし、当時中学一年の私が家族にそんな狡い仕打ちをされたら出された料理も全部ひっくり返して怒り狂うであろう。
そこで怒らない三上くんは大人だな、と思うと同時に、いよいよ家族を見限りつつあるな…こんなんじゃ仕方ないけどな…と悲しくもなった。
しかしそんな三上くんも、花実とひょんなことで再開し、敬虔モードがさあっと引いていく。普通の男子中学生になっていた。
初めて帰ってきた気がした、と思う三上くん。
花実に「一緒に寄席行こうよ」と誘われ、花実と過ごした一日は…
三上くんのその後も、まだどうなるかわからない。
本当に神父さまになるかもしれないし、別の夢を見つけて違う進路に進むかもしれない。
でもその進んだ先で、君にとって良い未来を掴み取ってほしい。私は神に祈るのは苦手だけど、そう願いたいよ。
〜オーマイブラザー〜
まさかの木戸先生〜〜!!!まずはありがとうございます。
木戸先生、言うことが全部良くて(先生の言うことを気軽に非難する人って、多分深く考えずに生きてるんだろうなぁと思ってしまう偏見)、絶対昔何かあっただろと思ってたけど、こんな過去があったとは。
そして、そんな辛いことがあって、大変な小学校の先生という職を選びちゃんと職務を全うするとは…。
最初から先生の物語もいずれ書きたいなと思いながら前作を書いていたのか、前作に木戸先生に関して反響があったから書いたのか判別はつかないが、どっちにしろとても良い話です。
「パラレルワールドは存在したよ、そこでの時間をちゃんと生きている人がいたよ、生まれ変わりもあるんだよ、来世を待たずともそれをすることは可能なんだよ」
とても救われる言葉で、大事な考えだと思った。
Posted by ブクログ
もう、すっかり私は鈴木るりかさんのファンになってしまいました。
『さよなら、田中さん』の続編です。
前作では主人公の花実は小6、今作は中1。
たった一年だけど、この時期の一年は大きい。
そして、前作から二年たっての発売なので作者も14歳から16歳へと成長しているということでしょうか?
前作もとても面白く読んだけれど、今作は花実の成長と作者の成長が重なって、前作よりも成熟した物語になっていたと思いました。
前作ではどんなに辛いことが起きてもガハハと笑って楽しく毎日を過ごしていた花実親子が印象的だったけれど、今作では花実の母と祖母の確執や、大家さんの息子がニートになった経緯などが描かれています。
世の中には時間が経ってもどうにもならないこと、どうしても埋められない溝がある。自身の中にある欠けた部分に気付いていても、それと付き合っていくしかない人もいる。
前作と同じくユーモアたっぷりに描きつつも内容はとてもシリアスでした。
前作にも登場した三上くんのその後や、木戸先生の過去の短編もあり、読み応えたっぷりの一冊。
鈴木るりかさん、これからも追い続けていきたい作家さん。推していきますよー!
Posted by ブクログ
私、この作者好きかもしれない、、、!
登場人物がみんな悩みや、傷のような物を抱えていて、
少し変わっているんだけど、
優しさや思いやりのような温かさを感じられるのがいい。
今回の作品はそれぞれの人物が形成された過去が描かれていて一気読みしてしまった。
登場人物みんなが幸せになってほしいなぁ。
Posted by ブクログ
鈴木るりかさんの作家デビュー作『さよなら、田中さん』第2弾。
新年早々、花実と豪快な花実の母の物語の続きが読めてとても嬉しい。
老いも若きも男も女も、みな居場所を探してる。
誰にも縛られることなく、自分が自分らしく居られる場所を。
誰もが羨む素敵な家に家族と共に暮らしているのに家の中で居場所がない、と嘆く花実の友人・佐知子。
狭い借家でもお金がなくても大好きな母と賑やかに暮らす花実を見ていると、居場所とは単なる”場所”なんかではないんだな、と思う。
自分を心から想ってくれる人が側にいて、全力でぶつかってきてくれる。
他人が何と言おうと自分さえ居心地が良ければそれが一番の居場所。
新年の始まりに大切な事を教えてもらった。
いつも豪快な母も壮絶な過去とわだかまりを抱えていたこと。
第1弾で行く末が心配だった三上くんにもちゃんと居場所が出来ていたこと。
小学校時代の担任だった木戸先生の悲しい過去。
読めば読むほど、このシリーズの奥深さに唸る。
木戸先生兄弟の秘密のサインには泣けた。
つくづく自分の居場所とは、時間をかけてでも自分で見つけて納得していくものだと思った。
そして第3弾も必ず読もうと決意して本を閉じた。
Posted by ブクログ
さよなら田中さんの続編
有名だったり話題の漫画家さんの表紙じゃなくても
十分読んでもらえる作家さんになってほしいから
今回の装丁はグッドです!
作られた話なのは当たり前でリアリティはないんだけど
もの悲しさに浸ってしまう
おかしいんだけど哀愁って感じ
がんばれーって応援したくなる
お母さんはもう少し幸せにしてあげてー!
最後の短編の?→!を誰かと共有したいなぁ
Posted by ブクログ
読書記録です。まだの人は読まないでね。
「太陽はひとりぼっち」田中さん母娘の続編。中学生になった花ちゃん、ちょっと思春期入ってるけど、たくましいお母さんの愛で曲がらず育っています。お母さんの幼い頃のエピソードが切ない。毒母だった祖母と孫、昔のことは水に流して仲直りして~となったらできすぎでいやだなぁと思ったけど、さすがは花ちゃん、しっかりお母さんの味方でありつつ毒祖母の毒気も抜いてましたね。過去との対峙で結構オトナの対応を見せたかと思えば、世間知らずでエロオヤジに絡まれて警察沙汰を起こしてたり。はらはらしまいした。
「神様ヘルプ」ここにもいたんだよね、中受で全落ちした息子(花ちゃんと同級生)を全寮制の男子校に追いやった毒母が…せっかく息子自身がそこで自分の将来の夢を見出したのに、夏休み帰省中にデートに誘い出してしまった花ちゃん。彼女自身は招待券消化のためで「デート」だなんて思っちゃいませんが。「オーマイブラザー」花ちゃんの小学校時代の担任の先生、オカルト好きな木戸先生のエピソード。本当に良くできているお話です。フミオとミツオの名前を指文字で確信を持たせるなんて、絵になるよね。
Posted by ブクログ
「さよなら、田中さん」の続編。花ちゃん中学生に進学。制服等のお金の工面に苦労したり貧乏だけど母娘真っ直ぐに生きている。そこに金が送金されないから、と祖母がやってくる。この祖母が見事なクソババで花ちゃんのお母さんとの過酷な過去が本当胸が痛い。それでも縁が切れきれない業をお母さん視点で平易な言葉で語るのが凄い。新しい友達佐知子ちゃんの家庭に居場所がない苦しさの描き方もまた上手いんだこれが。2本ある短編で三上君のその後「神様ヘルプ」では花ちゃんへの想いににやにやさせられ木戸先生の失踪した兄の話「オーマイブラザー」では兄弟の絆にほろりとさせられた。作者が高校生とは末恐ろしいぞ。
Posted by ブクログ
『さよなら、田中さん』の続編。2冊目。
賢人が引きこもることになった中学時代のある事件の話
突然現れた嫌なおばあちゃんだったタツヨ
中学から友達になった佐知子
『さよなら、田中さん』で地元の私立中学に全部落ち、地方のキリスト教系の中学校に入寮することになった三上くん
小学校時代の担任だった木戸先生のお兄ちゃんの話
鈴木るりかさんの中学生とは思えない、深みのある感性で描かれる人間ドラマが面白い
Posted by ブクログ
しまった。。。
さよなら、田中さん
を読まずして、こちらを先に読んでしまった。
多分前作を読んでいたら、全く違う感想になったのだろうなぁ。。。。
いやでもしかし、読んでなかったが良い作品だった。
それぞれに沢山の悩みを抱えた人物が沢山登場するのだが、どの話に出てくる人も、みんな前向きで美しい。
これがこの作者様の魅力なのだろうなぁ。
木戸先生、よく出てくるなぁと思ったら、最後の短編で木戸先生が。
こんな展開もとても素敵。
そして、えーーー!!そんな落ち!?って、どこかほっこり(^-^)
作者様はまだお若いのに、凄い実力だな。
他の作品も読んでみたい。素晴らしい(*^^*)
Posted by ブクログ
あなたには、自分の『居場所』があるでしょうか?
生きるということは、さまざまな人たちと関わり、さまざまなコミュニティに関係していくことでもあると思います。義務教育を経て、高校、そして大学・専門学校へと進み、社会へと歩み出していく私たち。社会に出たあとも、会社の中での人事異動や転勤、さらには転職…と人が同じ場所に同じ人たちと留まり続ける時間というものは極めて短いものです。それは、家族関係でも同じでしょう。かつて育ててもらった両親が年老いて今度は自らがその介護に当たる番となる、また全くの他人だった人と結婚し、子供が生まれ、かつて自身が育てられたことの逆を行くように子育てに邁進していく。人生とは常に変化と共にあるのだと思います。
そんな風に考えた時、それぞれの場面であなたの立ち位置というものも大きな変化を余儀なくされます。それは、あなたのその瞬間、その瞬間での『居場所』というものを否が応でも意識させる機会でもあります。場面によっては、
『この家に私の居場所はないの』
そんな辛い時間を過ごすことだってあるかもしれません。必ずしも
『やっぱりここが私の居場所だなあ』
と感じられる瞬間ばかりを人は送ることはできないと思います。人の世を生きるということもなかなかに大変なことだと改めて思います。
さて、ここにそんな『居場所』を一つのキーワードに書かれた作品があります。人知れぬ孤独を抱えて生きる中学生や全寮制の学校に強制的に入れられてしまった中学生のその後を描くこの作品。それは、高校一年生になった鈴木るりかさんが綴る「さよなら、田中さん」のその後を描く物語です。
『えっ、制服一式が七万円?体操着が二万?… 全部で約十二万って、これイートン校の申し込み用紙、間違えてもらってきたのかいな』と、『制服の注文書に目を剝』く母親を見るのは主人公で『この春中学に入学』した田中花実(たなか はなみ)。そんな花実に『一年中制服で暮らすか』と『無茶なことを言う』母親に『値段を聞いたアパートの大家のおばさん』が『この三月に中学を卒業した』家に頼んでお下がりをもらって来てくれました。『これなら十分着られるよ』と『身を乗り出す』母親に対して『校章に「四中」』とあるのを見て『私が行くのは三中なんだけど?』と言う花実に大家さんは『「やっぱ、ダメかね?」と、ぺろっと舌を出し』ました。そして、スタートした中学生活で『最初にできた友達は小原佐知子』でした。そんな佐知子に誘われて家へと赴くことになった花実に『こういう時のための「お取っとき」のクッキー』として『不祝儀の引き物』を持たせる母親は『賞味期限もまだまだある』と太鼓判を押します。そして訪れた佐知子の家は『ヨーロッパ風の鉄の門扉』のある『思っていたよりずっと大きな家』でした。『今、私ひとりだから』と上がらせてもらった部屋で、『ピアノ、弾けるの?』と問う花実に、それは妹のもので『超がつくほどのお嬢様学校』に通っていることを語る佐知子。そんなピアノの上に飾られた写真が『両親と妹だけ』なのに違和感を感じた花実に『祖父母用のなの』と語る佐知子。そんな佐知子は、母親が再婚し『私は連れ子っていうやつね』と自らの境遇を語りだしました。妹とは異父姉妹であること、今日も三人で祖父母の家に行っているが『私だけ異分子』なので『家にひとりでいるほうがよっぽどいい』と思っていることを語ります。『お父さんの実家、結構な資産家』で、全て妹に相続するというようなことを祖父母が話しているとも続ける佐知子。『この家に私の居場所はないの』、『この家には私はいらない子なの』と言う佐知子に、『うちもお父さんいないから』と花実が自分の境遇を告げると『知ってる。だからってわけじゃないけど… この子なら仲良くなれる…声かけたんだ』と佐知子は友だちになったきっかけについて話すのでした。『花ちゃんには私と同じ匂いを感じ』るという佐知子は、『私は起業したいの』、『ここの家からは一円ももらいたくない』と自分の家を出たい意向を花実に説明します。一方で、数日後学校から帰ってきた花実は、『アパートの前で地べたに腰をおろしてタバコを吸っているおばあさん』を見かけます。『あんた、花実かい?』と声をかけてきたおばあさんは『いんの?』と続けます。『今はまだ帰ってきてませんけど』と返すと『ま、いいや。また来るワ』と『火のついたタバコをそのまま放り捨て』行ってしまったおばあさん。中学校に入学した花実の日常と、謎のおばあさんのまさかの正体が明らかになる物語が描かれていきます…という最初の短編〈太陽はひとりぼっち〉。「さよなら、田中さん」の世界観に一気に連れていってくれる好編でした。
“デビュー作として異例の10万部を超える大ヒット「さよなら、田中さん」の田中母娘が帰ってきました”と宣伝文句にうたわれるこの作品。中学生作家として早くも二作を刊行されてきた鈴木るりかさんの三作目となるのがこの作品です。そんな鈴木さんも高校一年生となり、ますますその腕に磨きがかかって読み味たっぷりの作品を提供してくださいます。そんな今作は宣伝文句の通り、デビュー作の続編という位置付けで、三つの短編から構成されています。大基本は、田中母娘の物語ということになりますが、三つの短編とも視点の主が異なっており、また世界観は同じとはいえ連続した連作短編という感じでもないので、どんな順で読んでも楽しめる作りになっています。では、そんな三つの短編の内容を視点の主と共に簡単にご紹介しましょう。
・〈太陽はひとりぼっち〉: 高校一年となった田中花実が視点の主。小原佐知子という友達もできた花実の前に『あたしは、田中タツヨ。あんたのおばあちゃんだよ』と、母親・真千子の母親が登場します。『久しぶりの再会だろうにお互い目も合わさず言葉も交わさない』という二人。そして、そんな祖母が田中母娘の家にまさかの居候をする日々が始まりました。
・〈神様ヘルプ〉: 『全寮制の学校』へと進学した三上信也が視点の主。『十二歳の春、僕はすべてを神に捧げる人生を送ると決めた』という信也は『神父になるのだ』と『神と共に生きる』日々を送っています。母親から連絡があっても帰らず寮生活を続ける信也。そして、夏休みに入ったある日、神父から『お父様が急病だそうです。すぐにお家にお帰りなさい』と告げられます。
・〈オーマイブラザー〉: 『大学卒業後、僕は都内の小学校の教師になった』という、花実の小学校時代の担任・木戸光雄が主人公。『僕とお兄ちゃんはひと回り歳が離れている』という兄が『本当に煙のように消えたのだ。ひとりの人間が。噓のように』といなくなってしまいます。『神隠しに遭ったのかも』というその出来事。そんな木戸はやがて教師になり田中花実と出会います。
三つの短編から構成されてはいますが、分量ということでは、〈太陽はひとりぼっち〉が全体の三分の二を占め、また、読んだ印象としても圧倒的にこの短編の内容が心に刻まれます。そういう意味では、この短編が正当な続編、他の二編は”おまけ”的なイメージにも感じます。ただ、そんな”おまけ”を許容できるくらいに「さよなら、田中さん」の世界観というものはきちんと確立されていて、登場人物たちの存在感も十分と言えます。これだけの読み味を感じさせる物語の舞台を中学二年生までに構築してしまった鈴木さんの力量には改めて驚くばかりです。
そんな物語で一つのキーワードとなってくるのが『居場所』です。上記で冒頭をご紹介した〈太陽はひとりぼっち〉の中で花実の友だちとなった佐知子は自分の存在を『私はいらないピースなの。家族のパズルにはまらない、余計なピースなの。この家に私の居場所はないの』と語ります。母親の連れ子として辛い感情を内に秘める佐知子のことを思いやる花実。そんな花実の前に突如現れた祖母のタツヨ。物語の中では実の娘に対して強烈な存在感を見せますが、一方でそんな祖母の姿を見れば見るほどに花実の中に一つの思いが募っていきます。それが、思わず問いかけの言葉として花実から出た『い、居場所はあるんですか?どこかに』というものでした。この作品の中心となる〈太陽はひとりぼっち〉で、そんな二人の姿を通して『居場所』というキーワードを読者に突きつける鈴木さん。一方で他の二編では苦難の末に『居場所』を確保した存在が描かれます。二編目の〈神様ヘルプ〉では、前作「さよなら、田中さん」で『途中下車できない中学受験』に失敗し、家族から見放された信也が全寮制の学校で『神父になるのだ』と自身の道を見つけ、言葉こそ登場しませんが、『居場所』を確保した姿が描かれます。また、最後の短編〈オーマイブラザー〉では、兄が突如いなくなった家族の中、不安定な日々を送るも『秀才にありがちな変人』という立ち位置を獲得できたことで学校の中で『居場所』を見つけ、やがて教師の道へと進んでいく木戸の姿が描かれていました。”三つの小説に共通しているテーマは家族と居場所”とこの作品についてはっきりと語る鈴木るりかさん。そんな鈴木さんは”立派な家もあり家族もいるのに、自分の居場所がない人もいれば、家族から離れ、自分の居場所を見つけた人もいる。また「居場所なんか最初からなかった。この世のどこにも。生まれた時から」と言う人も”いると続けられます。『居場所』という言葉から感じられるイメージは人それぞれだと思います。人間が集団生活を営む生き物である以上、人は人との関わりなくしてこの世で生きていくことはできません。このレビューを読んでくださっているみなさんも、それぞれに自分にとってイメージする『居場所』というものがあると思います。しかし一方で、この瞬間も自分の『居場所』を持てないという方もいらっしゃるかもしれません。学校で、職場で、そして家族で、人が属するさまざまなコミュニティの中で自分の立ち位置が見つけられず、また自分の立ち位置に戸惑うという時間は多かれ少なかれ誰でも経験されたことがあるのではないでしょうか。そういう私だって、過去を振り返ると幾度かの辛い時間が思い浮かびます。『居場所』とは、決して物理的なものではありません。物理的な『居場所』があるにも関わらず、精神的な『居場所』と合致しない、これほど辛い時間はありません。そんな中で、自分の『居場所』を見つけていくこと、人が人として生きる中では、そんな試練を幾度も経験せざるを得ないのだとも思います。この作品では、そんな『居場所』が見つけられないで苦悩する立場、『居場所』を見つけた先に、苦悩していた時間を振り返る立場など、さまざまな立ち位置の登場人物達の姿が描かれることで『居場所』という言葉を読者が改めて考える一つの契機を与えてくれたように感じました。”そんな人たちが、どのようにしてこれまでを生きてきたのか、今を生きているのかは、本書を読んでいただけたら”とおっしゃる鈴木さん。「さよなら、田中さん」という作品が持つ世界観はとても大きなものです。この作品ではそんな作品から掘っていける『居場所』という言葉の先にある人の生き方を巧みに見せていただきました。高校一年生でこの世界観!と思う一方で、高校一年生だからこそ素直なその目で見える世界がある、それを写し取ったのがこの作品なんだ、そんな風にも思いました。
『あのつらい経験、過去があったから今の自分がいるんだと、堂々と胸を張って言える人は、現在が幸せな人です。そうじゃない人は、過去のあのことがあったから、今の自分がこうなった。あのことさえなければ、と悔やむんです』という木戸教諭の語りに見られる言葉など、印象的な言葉が数多く登場するこの作品。”続編もの”というものはどうしても前作の後づけのようなイメージになりがちですが、小学生から中学生、そして高校生へと成長する鈴木さんからすると、続編はそんな彼女の成長の先にある存在ともいえ、この作品では、前作の世界観の上に、作品を『居場所』というキーワードで深掘りしていく先に、オリジナルの世界観をさらに深める読み応えのある物語が描かれていたように思います。
“小さい頃から耳にしていた、母の口癖から取ったのだ。私が「ひとりで行くの嫌だなあ」とか「もし私ひとりだったらどうしよう」などと言うと、お決まりのように母から返ってくる言葉が「太陽は、いつもひとりぼっちだ」だった”
そんな風にこの書名の由来を語る鈴木さん。そんな由来もさらりと本文中に匂わせながら、ある時はコミカルに、ある時はちょっぴり読者にイヤミスを、そしてある時はじわっとした感動を与えてくれるなど、読者の心の振り幅を意識しているのを感じさせる巧みな構成と、”続編もの”だからこそ感じる鈴木さんの作家としての確かな成長を感じたこの作品。鈴木るりかさんという小説家に、今後ますます目が離せなくなった、そう強く感じた作品でした。
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「さよなら田中さん」の続編。
前作を読んだ時は、これを中学生が書いたのか⁉︎と驚くばかりだったが、今回も冒頭から「三波春夫のシベリア抑留の話(知らなかった)」や、「お大尽」なんて言葉が出てきて、作者は本当に高一⁉︎とまたまた驚愕。
今作品も、金言格言目白押し。
中一とは思えない花実ちゃんの、真っ直ぐながらも物事を冷静に客観的に捉える姿勢。
オバサンも見習わないと…。
本書は表題の花実ちゃんが主人公である「太陽はひとりぼっち」の他に、
前作で全寮制のカトリック学校に進学した三上くんの学校生活と夏休みの帰省を描いた「神様ヘルプ」、
花実ちゃんの小学校の恩師ちょっとオカルトな木戸先生の過去に触れる「オーマイブラザー」
もおさめられている。
3つの物語の中では、最後の「オーマイブラザー」が短いながらも一番印象に残っている。
小学校高学年くらいから読めるだろう。
中学生は、冒頭の「三波春夫」で止まらなければ読んでくれるかなぁ、あの年頃に読ませるのは難しい。
2021.8.11
Posted by ブクログ
鈴木るりかさん三冊目。田中さんシリーズ続編。大家の息子賢人くんの白薔薇の話、花実のおばぁちゃんの話、ミッションスクールに行った三上くんの話、木戸先生の生き別れた兄の話。どれも面白かったなぁ。文章に無駄な装飾がなくシンプルで読みやすい。人の内面を言語化して説明するのがとても上手で隅々まで描いている気がする。これはこれで好きだけど、もうちょっと余白みたいなのがあると嬉しいな。まだ高校生、これから先も楽しみな作家さん。
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悲しみに負けそうになったら、
寂しさが忍び寄ってきたら
無理にでも笑う。
わかるよ、田中さん、
先生もそうして生きてきたから。
参ったね。
うん、これを娘よりずっと下の子が書いた、とは。
たぶん、本人 言われ尽くして
またかよ気分かもだけど
オバチャン言っちゃう!
(おばあちゃんだったら、悲しいな)
遥か昔、私だって子供だった。
子供なりにいろいろ考えていたし
見えないいろいろ 頑張ってた。
子育て中は、それを思い出したし
今 この本を読んで また思い出した。
ストレートな切り口
瑞々しく素直な文体
若いって いいなー
どんな作家さんになっていくのだろう?
勝手に 親戚のオバチャン気分で
応援していこうと思う。
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『さよなら、田中さん』の続編(?)、3編。
「太陽はひとりぼっち」
花実は中学生。ビジネスマンや老婆が訪ねてきたりで大騒動。
「神様ヘルプ」
中学受験に失敗した三上。全寮制のカトリックスクールに通っている。
「オー マイ ブラザー」
不思議な不思議な木戸先生の過去と兄弟のお話。
若さというの…読んでいて勢い・力を感じるよ。それだけでなく、表現力や登場人物の描き方うまいなあ。やはり何よりも読んでて楽しいのがいい。前向きになれるし、気分転換にもなった、辛いことでも暗くならず、乗り越えてゆくしね。木戸先生のお話が最後、癖のある先生、木戸先生いいなあ。神様ヘルプは恋のお話でもあるけれど、それぞれ家族にまつわるお話、笑えるところあり、しんみりするところあり。まだまだそれぞれの人の続きを見てみたいなあ。
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中編1編短編2編
中学生になった田中花実.貧乏を苦にすることなく(いや苦にはしてるか),つまりは明るくたくましく,母子家庭ながら母親のまっすぐな愛情に守られて成長していく.面白いだけではない人生の深みを語る,恐るべし鈴木るりかさん.
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前作の『さよなら、田中さん』より世の中の痛いとこを突いてきてる。
でも、本作はあれもこれも書いてみたい!っていう、ネグレクトやら、声掛け事案やら、女装男子やらをてんこ盛りにして、高校生らしい勢いと若さを感じた。
いつか、テーマを掘り下げて、さらに良い作品を書いてほしいな。
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タイトルの作品を含む3編の短編で構成されている。17歳の女子高生が書いた作品とは思えない作品。現代の高校生というよりも、昭和の頃の高校生の感性に近い気がした。日本を代表する大作家になるかもしれない。
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中学生で作家デビューした作家、鈴木るりかさんの3作目。
前作がとても良かったが、前2作品の世界を続けていて、私個人としては前作がとてもよく、完成された気がしていたので、新しい世界に行って欲しかったというのが率直な気持ちです。
フューチャーされている人が違うのですが、田中さんの目から見た周りの人々なので、相変わらずの田中さんワールドなのです。
それも良いのですが、私が期待しすぎでしょうか?
作者は高校生になっていて、テーマも小学生が読むにはまだ早いかと思えます。
どれも良い物語です。
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ライトで簡潔な文体が読みやすく、三つの中短篇が同じ舞台となっているので、登場人物それぞれの交わり方、エピソードのやり取りが絶妙で、面白かった。
色々な要素を貪欲に取り入れる、ごった煮的な感覚は、好みが分かれるかもしれないが、それだけ楽しませたいと思う、作家の意欲的な姿勢の現れにも感じられた。ただ、表題作については、もう少しテーマを絞ってもいいかななんて思いました。逆に、「神様ヘルプ」は伏線もオチも上手く決まっていて、凄さを感じたのだが。
色々書いたが、テーマは難しく、気になる点を挙げており、そこに最も興味がいきました。
親と子は、ただそれだけで、切ることのできない縁が必ずしもあるとは限らないかもしれないという、それは目に見えない、それぞれの心の中のことであり、しかも、当人でさえ、その原因が分からないのかもしれないという。そんな中でも、まだ信じてみようという、これは作家の一種の挑戦にも感じられ、ましてや、書いている方が現在高校生ということで、とても心強く感じた。今後、どのような作品を書いていくのか、楽しみです。