想田和弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレドキュメンタリー映画を最近好んで見る。多額のお金をかけずにプロの俳優も使わずに、自分たちのお金で自分たちの映画を撮るドキュメンタリー映画。有名になって大ヒットしたりすることもないけれども、じわじわと感じられるよさがある。
そんな映画の中でもマイナーのドキュメンタリー映画の中で、ちょっと変わった映画が想田監督のドキュメンタリー映画である。彼はセレンディピィティを追い求めて映画を撮るという。
“Serendipity” :思いがけないものを偶然発見すること、能力
想田監督の映画は「観察映画」というスタイルを標榜する。台本を書かない観察映画の方法は予期せぬ偶然や発見を呼び寄せ人々の内面のやわらかい -
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高校生が文章を読むに当たり、基本的な考え方をあたえてくれる、良本。
平川克美「人口減少社会について根源的に考えてみる」ではグラフの見方とともに、当たり前のようにように言われている言説について批判的な見方を示唆する。
仲野徹「科学者の考え方-生命科学からの私見」ではパラダイムシフト、疑う、シンプルに考えるなど科学を発展させている考えが書かれている。
白井聡「消費社会とは何か-『お買い物』の論理を超えて」ではボードリヤールの考えを援用し、いわゆる「消費」的な感覚が政治や教育にも適用させようとする現在の社会のゆがみと弊害を述べる。
山崎雅弘「『国を愛する』ってなんだろう」では、政治的無関心が生む危険 -
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【読書メモ】
p185
・何のために勉強するのですか?
自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を言う。ただそのためだけに勉強するのです。山本義隆
p190
・同じことを、違った側面から考える視点を与えてもらうためにディスカッションをするのです。当たり前のことですが、自分は自分の考えに染まりきっています。そこへ、違う刺激を与えてもらって、自分の考えを方向転換させたり、バージョンアップさせたりすることが重要なのです。
p103
・科学がグローバルである最大の理由は、真実をあつかうからということです。
…科学的な視点は予測できない社会を生きるうえでの全員にとってマストなものの見方なのかもしれ -
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恥ずかしながら今まで知らなかった映画監督、想田和弘さんの著作です。
「台本や事前のリサーチ、ナレーションや音楽などを使わない「観察映画」の提唱者」だそうで、本書ではドキュメンタリーとは何か、なぜ人がドキュメンタリーに惹かれるのかについて、想田さんの丁寧な言葉で綴られています。
4章にある、
究極的には「人間の心の中を垣間見たい」と思って劇場にやってくるのだと思う。
という意見に物凄く納得させられました。
私は観察映画と聞いて、大好きな「花とアリス」を連想しましたが、あくまであの作品から私が感じたのは、主演二人の演技力であり、それを引き出す岩井監督の技量であり、「人間の心の中を垣間見た!」と -
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フレデリック・ワイズマン
結果的にテーマが出てくるのはよいが、製作中にテーマに縛られないことが肝心なのである
個人的には、タイトルはシンプルであればシンプルであるほど、観客の頭の中でイメージが広がりやすく、強い印象と余韻を残すのではないかと思っている
ショットが長ければ長いほど、観客に自分の目で観察・解釈できる時間が与えられるので、映像は多義的になる。逆にショットが短ければ短いほど、作り手による操作の強度が高くなり、映像は多義性を失っていく
観客に観察モードを立ち上げさせるために、長いショットを使う
つくづく思うのは、作品が結果だとすれば、方法論は原因である。旧態依然たる作り方をすれ -
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「選挙」「精神」の想田監督による(ちょっと乱暴だけど)ドキュメンタリー論。
文脈は異なるけれど、「写真を撮るに際し撮影者の存在をどう処理するか」
という問題を常々考えていた僕にとって、
本書は今まで考えてきたことと大きく重なる部分があったり、
新たな視点を与えてくれた点で貴重なものだ。
本書の内容を大まかにまとめると、
(1)「観察映画」の定義・手法
(2)その方法論を採用する理由
(3)その方法論を基に撮影した映画のエピソード
ということができるでしょう。
(勿論本書の構成はこれとは違います。)
世界から何かを学ぶこと、その方法を学ぶことの一助になる。