上間陽子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
吐き気をもよおすほどの、沖縄の若い子達の苦悩、を聴く仕事をする上間さん、、
彼女を癒してきた海、に赤土が入る、辺野古埋め立て
ハンガーストライキも知らなかった私、です…
普天間基地で自衛隊も共同訓練を行い、実戦を経験している米軍から色々と学んでいるのは事実、がしかし…
娘の風花ちゃんが迷子になったのを機に、性教育を始め、、卒園式では親を鶯の止まり木を守るひと、に例える上間さんのエッセイ、哀しくも優しくて…読んで良かったです
沖縄の貧困ゆえに、幼い頃から性被害、家庭内暴力、援助交際、妊娠・出産、、という問題が存在する、のは、沖縄に敗戦、米軍基地を押し付けてきた私達おとな、の責任でもあるのだなぁ、今までちゃんと向き合って来なかった、と反省しました…知ることが出来てよかったです…
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「海をあげる」が良かったので手に取り。著者のメイン研究ということですが…すさまじかった。
このような女の子たちの話を他でも読んだことはあったと思うけれど、何と言うか土地柄と言うか地域性もあるのかな、東京などとは少し感触が違うように感じました。
そうしなければ生きていけない、という状態の究極に追いつめられている感じというか彼女たちのような人こそをサバイバーというのだなと。
どの人の話も苦しくなりますが、鈴乃さんの話が一番自分は揺さぶられた。
そこまでよく自分を引っ張ってきたなぁと、自分だったらとても同じようにサバイブすることはできなかっただろうなぁと。当たり前の事を当たり前にさせてくれない社会に対する闘いでもあるだろう、と上間先生は鈴乃さんのことを言っているけれど社会に楯突く間も惜しいのかもしれないし、そういう風には考えてないのかもしれないとも思う。ただひたすら子供を守って愛することに全力でいるのではないだろうか。そこに自分も揺さぶられたように思う。
上間先生の話を聞く姿勢、寄り添う姿勢は時には立場を超えて全力以上にならざるを得ない時があるのでしょう。
ここにでてくる女の子たちとその子どもたち、似たような立場に今ある女の子たちが幸せになれることを願います。 -
Posted by ブクログ
上間陽子さんの作品、「海をあげる」に続き2作目。この作品の方が早く出版されたのだが。
「海をあげる」を読んだ後、しばらくしてNHKの100分de名著フェミニズム編で上間陽子さんが出演していた。
落ち着いた、とてもいい印象だった。
で、その後の読書なので、前回よりも好意的に読むことができた。沖縄の少女たちに寄り添うことを決意した生き方を応援したい。
研究者の本としては、自分の感想がゆるゆるに書かれているのが、前回違和感があったのだが、今回は、ま、いっか、と思いつつ読めた(笑)
上を向かないと涙がこぼれる、といった筆者の気持ちが挿入されるのが、どうも苦手ではあるが、こういう書き方が必要なのだな、とは思うので。
ちょっと緩いところもある、研究者然としていない本だからこそ、多くの読者がこの本を手に取ることになったのだろうし。
ところどころ、映画の「遠いところ」と重なった。(この映画は本当によかった)この映画で描かれているシスターフッドがここでも描かれている。殴られた後2人で撮る写真のシーン、まさしく同じようなやり方で、笑い泣きしながら、女たちは励まし合ってきたのだよね。
「ハーフザスカイ」の直後に読んだので、何度も「ハーフザスカイ」で書かれた性虐待のことを思い出した。沖縄の出来事も重く苦しいものであるのに、それが軽く思えるほどに、世界で起こっている女性の性虐待は悲惨で酷い。
この胸の痛みは知ることでしか感じることはできない。
これらの本を書いてくれる人たちに感謝です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ勉強になった。『侍女の物語』に見られる女性の分断は、男女雇用機会均等法や派遣法などによって現実に起きている、といわれると、たしかにそういう見方もあるなと気付かされた。専業主婦、一般職、総合職…
ルネ・ジラールの欲望の三角形の話は聞いたことがあったので、それが上野千鶴子さんの話に出てきて嬉しかった。たしかに、頼朝の女ばかり口説く「鎌倉殿の十三人」の三浦義村はそれだなと思う。
男は男に認められることで男になるが、女は男に認められることで女になる、その性の非対称性もわかりやすかった。結局この社会はそんな家父長制の尾っぽを引きずったホモソーシャルな社会だけれど、会社と半身で関わる・プライベートを大切にする生き方がそれに対する対抗になるなら、これからの社会は変わっていけるかもしれない。偏屈なおやじたちがいなくなったら。でも男は富と権力と名誉を男の中に独占するホモソーシャルな社会をやはり続けようとするだろうか。 -
Posted by ブクログ
2023.1.2放送のものに、放送では伝えられなかった内容を加えさらに充実させた1冊です、とディレクター山田氏の「はじめに」弁。
「伊藤野枝」は番組では辻潤と大杉栄との関係と28歳までに7人の子供を出産、というのがとても印象に残ってしまってあまりいい印象は無かったのだが、加藤陽子氏の活字を読むと、思索の人ではあったのかもという印象が少し増えた。明治28年の生まれで生家は没落はしていても潤沢だったころの生活の名残があり、労働者の開放を思想しながらも、女工たちの生活との間には一線がひかれている、などのことが改めて分かった。
「侍女の物語」では筋書きや登場人物の意味付けが書かれていて、気づかなかった意味付けが分かった。また続編の「誓願」にも触れられていたので、やはり読むべきかな。
「男同士の絆」では、論理的な上野氏の文章で番組を再確認。改めてマネの「草上の食事」って、やな絵だなあ・・
男同士のお話で女性は相手の男からぶんどった戦利品だ。
またセジウィックは私たちが常識と思っているような性道徳は意外と歴史が浅く、ここ3世紀くらいのもの。それを「伝統」として頑なに守っているのが宗教保守。歴史的な変化が起きると、いままで当たり前だと思っていたことに亀裂が入る。その亀裂が見えた時に初めて、いままで当たり前だと思っていたことの起源に関する議論が成り立つ。始まりについて知ってみたら、終わりもまた見えてくる。・・歴史のある時点で始まったものには、必ず歴史のある時点で終わりがくる。なので、異性愛の男同士がホモソーシャルな集団を形成して、富と権力を独占するという今日の当たり前にだって終わりを予見することができる。「男同士の絆」はそういう、希望を与えてくれる本でもある。
2023.7.30第1刷 購入