上間陽子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
上間陽子さんの作品、「海をあげる」に続き2作目。この作品の方が早く出版されたのだが。
「海をあげる」を読んだ後、しばらくしてNHKの100分de名著フェミニズム編で上間陽子さんが出演していた。
落ち着いた、とてもいい印象だった。
で、その後の読書なので、前回よりも好意的に読むことができた。沖縄の少女たちに寄り添うことを決意した生き方を応援したい。
研究者の本としては、自分の感想がゆるゆるに書かれているのが、前回違和感があったのだが、今回は、ま、いっか、と思いつつ読めた(笑)
上を向かないと涙がこぼれる、といった筆者の気持ちが挿入されるのが、どうも苦手ではあるが、こういう書き方が必要なのだな、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ勉強になった。『侍女の物語』に見られる女性の分断は、男女雇用機会均等法や派遣法などによって現実に起きている、といわれると、たしかにそういう見方もあるなと気付かされた。専業主婦、一般職、総合職…
ルネ・ジラールの欲望の三角形の話は聞いたことがあったので、それが上野千鶴子さんの話に出てきて嬉しかった。たしかに、頼朝の女ばかり口説く「鎌倉殿の十三人」の三浦義村はそれだなと思う。
男は男に認められることで男になるが、女は男に認められることで女になる、その性の非対称性もわかりやすかった。結局この社会はそんな家父長制の尾っぽを引きずったホモソーシャルな社会だけれど、会社と半身で関わる・プライベートを大切に -
Posted by ブクログ
2023.1.2放送のものに、放送では伝えられなかった内容を加えさらに充実させた1冊です、とディレクター山田氏の「はじめに」弁。
「伊藤野枝」は番組では辻潤と大杉栄との関係と28歳までに7人の子供を出産、というのがとても印象に残ってしまってあまりいい印象は無かったのだが、加藤陽子氏の活字を読むと、思索の人ではあったのかもという印象が少し増えた。明治28年の生まれで生家は没落はしていても潤沢だったころの生活の名残があり、労働者の開放を思想しながらも、女工たちの生活との間には一線がひかれている、などのことが改めて分かった。
「侍女の物語」では筋書きや登場人物の意味付けが書かれていて、気づかなか -
Posted by ブクログ
紹介されている本はどれも興味深かった。
ジュディス・ハーマンの心的外傷と回復は、特に読みたいと思った。
・伊藤野枝の「階級的反感」にはめちゃくちゃ共感する。
正義に燃え、階級による格差や差別をなくしたいと思って活動しているのに、(活動による救済の対象である)労働者階級と仲良くできない。相手には拒まれてしまうし、相手のそんな振る舞いに自分も苛立ってしまう。
それを率直に認めて見つめるのは勇気がいるがとても大切なこと(今のリベラル知識人に足りていないこと)。
そして、上間陽子の「階層的な違いや壁は確かに存在する。でもそこからだけどな、そこからスタートすればいい」というのは説得力があった。
・アト -
Posted by ブクログ
DV、虐待、性被害についてや、加害又は被害を「聴く」「治療する」ことについて、考えさせられる対談だった。近接領域で働いているのでお二人の話にそうですよね〜と深くうなずきたくなる場面も結構あった。加害者って映画の世界みたいに綺麗に変わらないですよね。被害者の気持ちを真に理解できる人も少ないんだろう。
もちろん知識や経験の不足を痛感することも多々あった。海外ではDV加害者が裁判所命令でDV加害者のためのプログラムを受講を義務付けられると知って驚いた。
信田さんの面接で愛着障害だとか自己肯定感が……とかいう言葉を禁じているという話もなるほどと思った。その人の中で物語として完結してしまっていたらそれを