【感想・ネタバレ】海をあげるのレビュー

あらすじ

おびやかされる、沖縄での美しく優しい生活。幼い娘を抱えながら、理不尽な暴力に直面してなおその目の光を失わない著者の姿は、連載中から大きな反響を呼んだ。ベストセラー『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』から3年、身体に残った言葉を聞きとるようにして書かれた初めてのエッセイ集。

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Posted by ブクログ

p240 この海をひとりで抱えることはもうできない。だからあなたに、海をあげる。

この最後の1行は、「助けて」という叫びだと感じた。
だから、私は沖縄の海をもらわなくてはならない。
旅行でたまに訪れる遠くの観光地としてではなく、自分の故郷のように。
そしてそれは、沖縄だけでなく、
福島であり、ガザであり、ウクライナでもある。
頑張って頑張ってももうこらえきれない、抱えきれない人たちの苦しみを、安全な所にいる私たちは自分事として受け取り、行動を共にしていく義務があると思う。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

1972年(S.47)に沖縄は本土復帰を果たした。
「その後沖縄はどうなったか?」普天間で暮らす著者が現状を綴ったエッセイです。幼い娘を持つ母の思いも伝わってきました。

息が詰まるような書き出しでした。
「食べられなくなるほどの苦しみ」を受けた彼女が書く作品を、最後まで読まなければならないと思いました。

美しい沖縄の海。人は海に住む生きものと暮らし、亡くなればまた海に帰っていく。
シマ(今帰仁村)では、祖父の遺骨をお墓に納めた後、海に入り、海の彼方(ニライカナイ)に皆で声をかける。
旧暦の12月8日には、家族の健康や無病息災を願い、ムーチー(鬼餅)を作る。
沖縄に残る風習は親から子へと受け継がれていく。

「綺麗な海や水を、私たちは残せるのか?」
島の湧水や、子どもが飲んだり遊ぶ水も汚染されていた。
「基地のない平和な沖縄」には遠く「沖縄に基地は残され、飛行機が飛んでいる間、娘は怯えて泣き叫ぶ」
性暴力の被害にあわないよう、性教育を4歳で始める母親の気持ちを思うといたたまれなかった。

今、米軍の新しい基地のため、辺野古の青い海に土砂が投入されている。赤く濁った海で魚や珊瑚はゆっくり死んでいくだろう! 
「もし、富士五湖に土砂が入れられると言えば、湘南の海にならどうだろうか?」と著者は問うている。
実際に現地に足を運ぶことができないもどかしさを感じるものの、沖縄に住む人々の痛みや怒りを知ることは私にもできると思う。

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2025年10月08日

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ご飯が好きな沖縄で暮らす母と娘の話かな〜くらいに読み始めたら全然違った。心にガツンと来る内容だった。

沖縄と聞けば、旅行、青い海、リゾート、バカンスといったイメージばかり。SNSでもそういう明るい沖縄の姿しか見かけない。でもこの本を読んで、中学の修学旅行で初めて訪れた沖縄のことを思い出した。初めての沖縄の記憶は、戦争、白百合学徒隊、防空壕、、、そんな重い思い出ばかり。大人になってリゾートとして沖縄に行くいくようになってからは、その部分をすっかりと置き去りにしていた。

どうしても身近にない出来事は、日常の中でリアルには感じにくい。でも、この本をきっかけに、あの暗い防空壕の中で感じたことを思い出した。あの記憶は一生忘れてはいけない。これからはSNSでキラキラ沖縄を見る度に、修学旅行での経験と、この本のことを思い出したい。

いつか、子供にも読んでもらいたい一冊。

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2025年09月11日

Posted by ブクログ

真藤順丈さんの『宝島』と並行しながら読んでいたのですが、両作品から、己の無知さや無関心さをひしひしと痛感させられました。
無意識に基地を押し付けている。これを差別と言わずに何と言うんだ?
そう訴えかけられているようで、どちらも読んでいて終始苦しかった。
本島に生まれ、基地のない場所で暮らす自分こそ、沖縄のことに関心を持ち、彼らの抱える問題や歴史について知ろうと能動的にならなくてはいけないと感じました。住まう人々の苦しみを全てわかることが出来なくても、それでも海の向こうにある遠い出来事と思わず、これは自分たちにも繋がっている問題なのだと、そうやって無関心や無知という加害性を自覚することが、その土地への差別から抜け出す一歩だと思う。
まだまだ知識のない状態ですが、これから知って感情移入して、考え続けていきたいです…。

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2025年08月15日

Posted by ブクログ

上間さんが書いたものは、本当に俺の感情を強く揺さぶる
以前に読んだ本もそうだった

最後の「海をあげる」もとてもよかった
内容からいうと、よかったなんて感想が出てくるはずないのだけれど
そうです、わたし(たち)は海をもらわなければいけないんです

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2025年04月16日

Posted by ブクログ

思いのほか、すっと読めました。
今まで何度も手に取りながら読めなかったのは何故だったんだろう。
あたたかくて、悲しくて、痛くて、愛おしい、あらゆる感情がぎゅっと詰まった一冊でした。

沖縄の現実に胸が苦しくなり、娘さんの存在にふわりと緩みました。

沖縄が背負わされているものを、沖縄以外の地に住む私たちももっと知らなくては、と思いました。

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2025年03月28日

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ネタバレ

沖縄の怒りに癒され、自分の生活圏を見返すことなく言葉を発すること自体が、日本と沖縄な関係を表していると私は彼に言うべきだった。

上間陽子さんのこの文章、私も忘れません。
静かな部屋で、読みました。何度も。

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2025年02月24日

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何を言えばいいかわからない。読むべき。読ませたい。読んでほしい。娘をかわいいと思うすべての人が。小さな女の子のかわいさを愛するひとが。沖縄で暮らすということが、女であるということが、女が娘を育てるということが、差別の中に暮らし、育てるとはどういうことなのかを。想像させてくれたし、想像させられてしまったから辛くて辛くて、動揺させられて、差別する側にしかいない自分が(行動しないのは現状を仕方ないとして容認することでしかないのではないか?)しんどくて、でももちろん行動なんかしたくなくて、他人事にしておきたいのに、それはやっぱりゆるされないと思う。

描かれているのはきちんと生きている明るい日常であって、筆致は優しい。本当に読みやすいし、普通に良いお話だし、でも読む前と読んだ後で変わって(変えられて)しまう。それは良いことだけど。

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2024年12月20日

Posted by ブクログ

本土に出るには飛行機に乗らないといけなかったり、好きなアーティストのグッズを買うのに高い送料を払ったり、本土の人と明らかに経験できることが違ったりで、正直沖縄で生まれ育ったことに対してそこまでいいなと思ったことはなかった。
だけどこの本を読んで、沖縄に生まれたというアイデンティティを大切にするべきだと思ったし、せっかく沖縄に生まれたんだから地元のことをより知ろうと思えた。

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2024年12月02日

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ほんとうに、これは読むことのバトンを渡したいと思う本だ。
沖縄で小さな娘の成長を見守りながら描かれたエッセイ、という形で届けられた、優れたノンフィクション。
柔らかな感受性の中に、きちんとした芯が感じられて、言葉がすーっと入ってくる。
生活と人柄のぬくもりが伝わる、いいエッセイだなと思う。
上間さんが抱えた傷、娘である風花ちゃんへの愛情は、舞台が沖縄でなくても普遍的に共感できる。

でも、沖縄に住むからこそ伝えたい現実があるのだと知るほど、深く言葉が刺さってくる。
沖縄での出口が見えない問題に押しつぶされそうな呻き声が散りばめられている。
差し出された海を、土砂で濁った海を拒絶するわけにはいかない。
耳を塞ぐわけにはいかない。


ここからは私見。
沖縄については、「ファクト」を知ってほしいと思う。
基地建設のための埋め立て工事が、資金投下しても見通しが立たない難事業であること。
米軍側が、軍事的には利用価値が低い政治の妥協点だとみなしていること。
結局、普天間の解決につながってないこと。
これらは「隠された不都合な真実」なんかじゃない。全国紙にたびたび掲載された、誰でも接するはずのオープンな情報だ。

基地の県内移設を決めたときの橋本龍太郎首相や沖縄県内の関係者の方々には苦渋の思いがあったと、想像する。
問題は、いま現実としてここまで継続が難しい案件をなぜ中止できないかということ。
いったん、始めてしまったことを止められないことが、政治でも身の回りでも、余りに多いのではないか。

すでに決まったことに反対するな、という思考停止した声を聞くたびに、情けなく思う。
辺野古が唯一の解決策だと繰り返す政府の思う壺なのが悔しい。
いや、いつだって最適な答えを探していくことが一番大事だろう。

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2024年11月04日

Posted by ブクログ

真っ直ぐに響いてくる言葉に胸を突き刺される想いだった。沖縄が凝縮されている本。穏やかな救いもあるけど、自分の能天気さ無自覚さを突きつけられもした。

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2024年11月03日

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私にも筆者と同じ年頃の娘がいる。
最近、歴史上の人物の伝記を短くまとめた本をよく読み聞かせてほしいと持ってくる。
その中で少しずつ歴史に興味を持つようになった娘に質問をされる。
今も戦争をしている国はあるの?
私は、日本の戦争は終わったけれど、まだ戦争をしている国はあるよと答えた。
でも、この本を読んで、ああ、まだ日本の戦争は終わっていなかったんだと思った。
あんなにも美しい海を眺めながら、汚染された水に、軍機の爆音に悩まされている沖縄の人たちがいると知った。
手渡された海はあまりにも重い。

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2024年09月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ノンフィクション大賞受賞作品だったのですね。でも本書はエッセイですよね。ノンフィクションといえば確かに内容的にもそう言えますがエッセイ要素のほうが大きい。

たくさんのレビューがすでにあるので気後れしますがみなさんとはちょっとズレたところで少し感想を。
本書通読でまず思ったのは、食べられることが生きる力であるということ。それは私自身がいつも思っていることでもありますが本書を読んで改めて痛感。

まず最初の章は著者自身がご飯が食べられなくなった話から始まります。
そしてその後の章では娘さんや調査で関わった人たちや母、祖母などの話が出てきますが、著書が娘さんの食欲に気持ちを支えられていると感じられる箇所が随所に出てきます。
本書の中でもおばあちゃんのことを書かれた「空に駆ける」が一番好きでしたが、その中でも手術したあとのおばあちゃんがご飯を食べなくなり眠れなくなってぼんやりするようになった話が出てきます。その後対策を講じた著者の母が介護計画を立て一緒にご飯を食べるようにしたらたくさん食べられるようになり眠れるようにもなったとのこと。
きちんと食べられること、人と関わることの大切さをつくづく感じます。

娘さんのキャラクターが本書の力強さ、清涼剤にもなっていて読んでいるこちらも力をもらえます。それにしても「おせんべいがもらえるから誘拐される」には大笑いしてしまいました。いや、親御さんにしたら笑い事には済まされないとはわかるのですが、子供ってすごいなと素直に思わされるエピソードでした。

沖縄に住まない人間にとって沖縄の真実についての無知さ加減には埋めがたい断絶があるのだなと理解しました。
「富士五湖」や「湘南の海」に土砂を入れられるといえば吐き気を催すような気持ちは伝わるだろうか?という著者の言葉には怒りはもちろん感じるけれど伝わらなさをもどかしく感じる悲しみのようなものも感じました。

生活の日々の中で感じている、そこに住む人にとって黙らざるを得ない真実というものは、他所に住む人間にこうして伝えられても血肉として体感するようにはやはり理解はできないことだと思います。こういうと冷たく感じられるかもしれないけど冷たいかそうでないかではなくそれは現実だと思います。
けれどそういう中から「本当には理解はできないと思うけれど知らないことにはしない、知ろうとする努力はしていく」こと、「今は黙るしかなくても上げられる声は上げていかなくてはいけない」ということを、他所に住む人間として頭に置いてこれからはしていかなくてはならないだろうと思いました。

そう思ったのはこれを読んだ私たちは著者から「海をもらった」からでしょう。

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2024年09月26日

Posted by ブクログ

日常生活の中で、自分だけではどうすることもできない大きな力によって、身動きが取れない環境を強いられていて、静かな怒りを抱えている人がいることを知れた。その中で、行動している人がいて、でもすぐに問題が解決するわけじゃない無力感というか苦しさもある。
こういったことが自分たちのすぐ近くで起こっていても、これまでしっかりと知ろうとしていなかった。行動できていない自分を知ることができた。

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

目次
・美味しいごはん
・ふたりの花泥棒
・きれいな水
・ひとりで生きる
・波の音やら海の音
・優しいひと
・三月の子ども
・私の花
・何も響かない
・空を駆ける
・アリエルの王国
・海をあげる

本屋大賞のノンフィクション部門にノミネートされた本ということで手に取った本。
それ以外の情報はなかった

ノンフィクション=ルポルタージュというわけではないとは思うが、始めの一編で最初の夫との離婚の話で、一体何を読まされているのかと混乱した。
夫が親友と浮気して、もう別れたけれど、今後どうしたらいい?という話。
これは、片方の当事者からしか情報を得ることができない状態で読まされるべきものではないと思うのだ。

そして、彼女の多用する「○○してあげる、あげた」という表現。
「困っていると呼びつけられたら、お金を貸してあげた」「親切にしてあげた人に裏切られた」
他意はないのかもしれない。
ただの文章上の癖なのかもしれない。
でも、どうしても上からものを言っているように見えてしまう。

「してあげる」と思っている人から一方的に善意を「してもらう」しかない人の心のうちを想像することはないのだろう。
「お金を貸した」「親切にした」でいいと思うのだけど。

その後、沖縄の海洋汚染や基地問題などにも触れているのだけれど、あくまでもこれはエッセイ。
エッセイはノンフィクションなのか問題。もやもや。

あと、文章の組み立てが稚拙というか、わかりにくい。
結局何を言っているの?と読み返すこと数回。
素人の文章だなあと思っていたら、大学の教授じゃないですか。うーむ。

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2025年10月26日

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母、フィールドワーカー、娘、孫、姉——さまざまな立場から考えられてきた作者の死生観が、美しい言葉で語られている。社会問題を扱いながらも、一人の女性としての率直な感情が綴られており、深い共感を覚えた。

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2025年10月19日

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静かで素朴に生きられるはずの沖縄における悲しいリアル。ノンフィクションだが、小説のようでもあり、映画のようでもある。

悲しさの核心にあるのは不条理。自分たちではどうしようも出来ないような大きな力が、自分たちを踏み躙り犠牲にしていくが、争う力がない。基地を押し付ける本土にも、暴力により支配する米軍にも、島民の心理を逆手に取って虎視眈々と世論操作する中国と、それらに染まったメディアや政治にも。

だから、海をあげる。いや、海をあげる相手は抗えない権力者たちに対してではない。本当は、子供たちに胸を張って渡したい海は、辺野古基地のために土砂で埋めらていく。

ー 私の家の上空では、今日もオスプレイやジェット機が飛んでいる。接近する飛行機の騒音は九〇デシベル以上になるという。九〇デシベルは、隣に座るひととの会話が通じない、騒々しい工場内と同じ音だ。私はここで小さな女の子を育てている。

ー 戦時から戦後へとわたる歴史を聞きながら、戦場を逃げまどう時間が三カ月も続いたことに気がついて、「生理とかはどうしていたの?」と私は聞いた。男性が、「おしめでしょう、おばあ?」と聞くとかぶりをふって、「そのときはあんまりなかったよ。あれ(爆撃)で止まるのかしらね?」と女性は話す。「捕虜になって、こっちに戻ってきてから生理も戻ってきた?」と尋ねると、「あんまりなかったさ」と女性は言う。三カ月ものあいだ、どこに逃げたらいいのかわからないまま女性は逃げていた。逃げる前も逃げるときも、十分な食べ物はなかった。逃げ惑う先々で家族はひとりずついなくなった。飢えと恐怖で生理は止まるだろう。私はやっぱりなにもわかっていないのだと話を聞く。

抗えない諦めの中で生まれたアノミーは、若いウチナンチュを自暴自棄に導く。知らなければならない、悲しい物語。海も、島も、私自身も、奪われてしまう。

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2025年09月22日

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南沢奈央さんのラジオで紹介されていて興味を持った一冊。自分の家族や人の気持ちについて思いを馳せる。世の中の問題を自分ごととして捉えるにはどうしたら良いのか。大変な出来事や痛ましい事件を知るたびに目の前の家族ばかり優先させてしまうなともどかしい気持ちになった。
大人は沖縄の貧困に連なる様々な問題と向き合わなければならない。

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2025年08月07日

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吐き気をもよおすほどの、沖縄の若い子達の苦悩、を聴く仕事をする上間さん、、

彼女を癒してきた海、に赤土が入る、辺野古埋め立て
ハンガーストライキも知らなかった私、です…

普天間基地で自衛隊も共同訓練を行い、実戦を経験している米軍から色々と学んでいるのは事実、がしかし…

娘の風花ちゃんが迷子になったのを機に、性教育を始め、、卒園式では親を鶯の止まり木を守るひと、に例える上間さんのエッセイ、哀しくも優しくて…読んで良かったです

沖縄の貧困ゆえに、幼い頃から性被害、家庭内暴力、援助交際、妊娠・出産、、という問題が存在する、のは、沖縄に敗戦、米軍基地を押し付けてきた私達おとな、の責任でもあるのだなぁ、今までちゃんと向き合って来なかった、と反省しました…知ることが出来てよかったです…

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2025年07月22日

Posted by ブクログ

自分は沖縄のことを何も知らない。と思った。
少し恥ずかしくなった。

柔らかい文章で、私たちは沖縄の海を渡される。


あと、この本で本当に伝えたいだろう事とは、逸れた話だけれど。

葬儀の後、みんなが海に入っていくところで、
しんだら穏やかだなぁ、なんか、シンプルだなぁと思って、色々悩んでるのがつまらない気がした。
どうせ、みんなしんだらこうやって海の遠くにいく。なら、難しいことも失敗も、何も怖くないなぁと。好きなことやってみたらいいじゃん、楽しんだらいいじゃん、生きてるうちに。と思った。

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2025年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
わざわざ基地の近くに住んで、轟音に怯える子どもを抱きしめる。
怒りから逃げない。
他の作品も読んでみよう

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2025年06月05日

Posted by ブクログ

ちゃんと自分の中で受け止めて、そしてそれを少しでもいいから誰かに与えられたら。そんなバトンを繋ぎたいと思う本。

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2025年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者の方のパーソナルな思い出と、現在の子育ての営みと、沖縄の抱えるさまざまな問題を描いたエッセイ。静かな筆致で綴られる、重たい内容。ひとごとにしてはいけない。

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2025年04月12日

Posted by ブクログ

著者の様々な人生体験と自身の調査で出会った方々との交流の中で著者の感じたこと等が綴られたノンフィクション書籍。
主として、著者の故郷である沖縄を中心として記されている。

恥ずかしながら、僕が今までどこか縁遠く他人事のように眺めてしまっていた「基地問題」と「女性問題」を、現実味と切実さを伴ってそっと見せられた気持ちになった。

文が、言葉が、まさしく「なま」の声を発していた。

そして、聞く人であり話す人である著者を癒し、支え、温めるのは、著者の娘さんだった。
おばあ様をはじめ近親者の方々とのお話しの中には、家族観を考えさせられるエピソードも多い。

沖縄という複雑なルーツと文化が引き摺る「タブー」は、本書を読んだ人に解決が託された。海をあげるように、僕に託された。

目の前に広がるのは、青く輝く海。

環境破壊・基地問題・女性問題は目の前にある。
人を信じたいと思う人、声を上げ続ける人、共に生きたいと願う人は、僕の、目の前に、いる。

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2025年03月13日

Posted by ブクログ

上間陽子(1972年~)氏は、沖縄県コザ市生まれ、東京都立大学博士課程退学後、未成年少女たちの支援と調査に携わり、2015年からは引き続き沖縄県で、風俗調査、沖縄階層調査、若年出産女性調査等を続ける。琉球大学教育学部研究科教授。本書『海をあげる』で、「Yahoo!ニュース/本屋大賞ノンフィクション本大賞」(2021年)、「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」(2021年)を受賞。
本書は、「webちくま」に2019年4月~2020年3月に連載されたものを中心に、「新潮」への掲載作と書きおろしを加えた、12編のエッセイをまとめたもの(一部加筆修正)である。
私はノンフィクション物を好んで読み、本書も発刊当時に書店の平台に並んでいるのを目にはしつつ買いそびれ、今般新古書店で入手して読んでみた。
また、私は通常、最初に目次とあとがきを見て本の概要を掴むのだが(それでつまらなそうなら読まない)、本書については偶々それをすることなく、いきなり読み始めたところ、文体は平易で読み易いものの、内容はなかなか硬質なエッセイ集であった。
取り上げられるテーマは、若年出産をした女性や風俗業界で働く女性であり、著者本人が若いときに配偶者と友人に裏切られた経験であり。沖縄の米軍基地問題、とりわけ、普天間基地と辺野古の埋め立てについての現状であり、言わば、力を持たず、時に差別さえされるものの声なき声である。
著者は、「聞く耳を持つものの前でしか言葉は紡がれない」と書き、「言葉以前のうめき声や沈黙のなかで産まれた言葉は、受けとめる側にも時間がいる」とも書く。自らがそちら側にいた、いや、いる人だからこそ受け取ることができ、書くことができる言葉には重みがある。
そして、本書を他書と画する最大の特徴は、食べることが大好きな著者の娘・風花の存在である。著者が悩み、怒り、泣いている間にも、娘は一日一日成長していく。端々に登場するその様子が、ややもすれば重く暗くなりがちな全体に、希望の明かりを灯しているように思われる。
本質的にはかなり硬い内容といえる本書が本屋大賞を取ったというのは、少々驚きではあるが、それだけ多くの人々(特に若者)がエンパシーを感じたのだとすれば、我々の将来についても悲観的にばかりなる必要はないのかも知れない。
(2024年11月了)

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2024年11月29日

Posted by ブクログ

大事にしたい しっかりと受け取らないといけないと思いました。そして、人からもらったものを粗末には扱えない、責任を持って向き合い続けないといけない、そう思いました。いただいたものを大事にしたいと思います。

ニライカナイの辺りで再読を思い出し、ハンガーストライキの所で確信しました。5年以内に読んでいても、当時も上記のように深く感情を揺さぶられていても、再読に途中まで気づかなかったことを悲しく思います。私の読書はなんなのでしょう。

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2025年12月03日

Posted by ブクログ

実際に沖縄に住んでいる人の基地、米軍の性的暴行に対する思いが丁寧に、率直に書かれていた。
実際に住んでいると当事者だからこそ、声が上げられなくなってしまうんだなと思った。だから客観的に見ることのできる人が他人事ととして考えるのではなく、声を上げなければいけないんじゃないかな。

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2025年09月22日

Posted by ブクログ

普天間基地の近くに住み、未成年の少女たちの支援・調査に携わっている著者のノンフィクションエッセイ。若年出産をした女性の聞き取り調査、沖縄の現状などが淡々と綴られていきます。知ることの大切さに気づかされる一冊です。

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2025年06月14日

Posted by ブクログ

南の楽園、瀟洒な海辺のリゾートを求めて訪れる沖縄。 日本でありながら車両は右側通行、米ドルが流通しパスポートの必要な時代があった沖縄。東京23区の13区分の面積を占めるという米軍基地。演習飛行機の爆音、落下、町を闊歩する米兵が繰り返し起こす少女暴行強姦への恐怖と隣り合わせで生活をする島人。沖縄の背負ってきた戦争の残痕、屈辱、苦悩、貧困、家庭不和を生きる少年少女達の呻き声が、健気な女児の豊かな感性にほんの少し救われ、未来を諦めない希望を感じる。基地問題に対する沖縄と本土との温度差に改めて気付かされる。

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2025年05月24日

Posted by ブクログ

本屋大賞2021 ノンフィクション本大賞作品。
まず感じたのが、これってノンフィクションなの?エッセイじゃないの?
タイトルや受賞スピーチから沖縄の基地問題に関する話しなのかと思ったが、それだけでなく筆者が関わっている様々な種類の社会問題について書かれていた。
筆者自身の家族や娘の話しなどプライベートなことから、若年出産の問題で関わる若者たち、大学の教え子とのやりとりなど話題は多岐にわたる。
文章自体は平易で読みやすい一方、内容は濃い。
でもさくさく読めて、数時間で一気に読み切ってしまった。
ただ、色々な問題がどれも途中までで終わるというか、問題が投げかけられてハイおしまい。
しんどいまま終わるので、こちらの精神が安定しているときに読まないと受け止めきれなくてこちらがしんどくなってしまう。
他人事じゃない、一人ひとりの問題だから目を背けず考えろっていう、それこそが筆者の狙い、読み手への問いかけなのかもしれないけど。
彼女自身の思いを全て詰め込んだ一冊なんだろうが、もっと一つひとつの問題にしっかり向き合いたいというか、分からないままだったり取り残されている感じがしたりで、宙ぶらりんなところも。
あとがきを読み誰かに伝えたかったという筆者の強い思いを感じ、知ることができただけでも、それで筆者が救われるなら、私がこの本を手に取った意味が少しはあったのかなとは思えた。

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2024年09月22日

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