海をあげる

海をあげる

小説・文芸
1,716円 (税込)

8pt

おびやかされる、沖縄での美しく優しい生活。幼い娘を抱えながら、理不尽な暴力に直面してなおその目の光を失わない著者の姿は、連載中から大きな反響を呼んだ。ベストセラー『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』から3年、身体に残った言葉を聞きとるようにして書かれた初めてのエッセイ集。

詳しい情報を見る

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

海をあげる のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    2026.39

    ぽろぽろ泣きながら、でも一気に読んだ
    「海をあげる」とはどういうことなのか
    戦争や性犯罪や環境汚染
    沖縄に私たちが押しつけているものは何か
    ずっと覚えておきたいし
    覚えておくべきエッセイ
    私には何ができるのか

    =====


    P9 娘にごはんのつくり方を教える日が来ることを楽しみに待つ。自分のためにごはんをつくることができるようになれば、どんなに悲しいことがあったときでも、なんとかそれを乗り越えられる。
    P44 あそこは、ニライカナイだよ。死んだひとはニライカナイに行くという伝説があるよ。
    P51 遊歩道の湧水だけじゃなくて、今度は水道水がアウトだなんて、なんだか本当にまいっている。こんなに爆音があって、これ以上ひどいことはないと思っていたら、スプレイがやってきた。あのときと一緒で、このままここで暮らして大丈夫かな、引っ越さなくていいのかなって思っている
    P53 いま、まっただなかで暮らしているひとは、どこに逃げたらいいのかわからない。
    P56 女性が逃げたルートを聞いて息をのむ。それは住民を盾にして移動した、日本軍の壊滅のルートだ。その先々で起こったことを、戦争が終わったあとで生まれた私たちは知っている。
    P58 弟は、遺体を片付けるために外に出て爆撃を受けて死んだ。妹は、親戚の子どもたちのミルクを取りに行って帰ってこなかった。父親は、一家のお金を女性に託したあとで爆撃を受けて死んだ。親戚のお姉さんは、子どもと自分は何があっても一緒にいるからここに置いていきなさいと言って、そして子どもたちと一緒にいなくなった。
    P62 地形が変わるほどの爆弾が撃ち込まれるのが戦争だということを、子どもたちが沢々と亡くなるのが戦争だということを、子どもと自分はいつまでも一緒だと告げて亡くなった母親がいるのが戦争だということを、飢えと恐怖で生理が止まるのが戦争だということを、そして、あのおばあちゃんはそれらのぜんぶを体験したあと、もう一度、あそこで土をたがやして生きてきたのだということを、どのように娘に伝えたらいいのかわからない。恐怖で眼を見ひらく娘に、戦争があったのはほんとうにはるか遠く、これはむかしむかしのお話だと、君はいつか娘に言ってあげられるのだろうか。
    P230 でもね。風花。大人たちはみんな知っている。護岸に囲まれたあの海で、魚やサンゴはゆっくり死に絶えていくしかないことを。卵を孕んだウミガメが、擁壁に阻まれて砂浜にたどりつけずに海のなかを漂うようになることを。私たちがなんど祈ってもどこからも王妃や姫君が現れてくれなかったことを。だから私たちはひととおり泣いたら、手にしているものはほんのわずかだと思い知らされるあの海に、何度もひとりで立たなくてはならないことを。そこには同じような思いのひとが今日もいて、もしかしたらそれはやっぱり、地上の王国であるのかもしれないことを。
    P240 そして私は目を閉じる。それから、土砂が投入される前の、生き生きと生き物が宿るこっくりとした、あの青の海のことを考える。ここは海だ。青い海だ。珊瑚礁のなかで、色とりどりの魚やカメが行き交う交差点、ひょっとしたらまだどこかに人魚も潜んでいる。私は静かな部屋でこれを読んでいるあなたにあげる。私は電車でこれを読んでいるあなたにあげる。私は川のほとりでこれを読んでいるあなたにあげる。この海をひとりで抱えることはもうできない。だからあなたに、海をあげる。
    P251 私もまた、いつか娘に海を渡すのでしょう。その海には絶望が織り込まれていないようにと、私はそう願っています。この本を読んでくださる方に、私は私の絶望を託しました。だからあとに残ったのはただの海、どこまでも広がる青い海です。

    0
    2026年06月26日

    Posted by ブクログ

    はじめ小説かと思った。はじまりのストーリーはどこへやら、と思ったけどまぁそこは置いておいて。

    日常の中にある社会問題と、真っ向から向き合っている。
    一番グサグサきたのは沖縄のこと。
    私は沖縄が大好きだけど、何度行こうともそれは観光の側面でしかない。そして沖縄出身の方にとても無神経な言葉を言っていたと反省。
    沖縄の方が触れない話題というのもリアルだった。
    私自身、海の美しさに幸せを感じながら暮らす日々に、なんとも言葉にしがたい槍を投げられた。

    0
    2026年03月09日

    Posted by ブクログ

    私はこれまでどのように沖縄を眼差してきただろう。

    基地のこと、汚染のこと、性暴力のこと、命のことーそれら全てが沖縄のこと

    0
    2026年02月26日

    Posted by ブクログ

    文章からものすごいエネルギーを感じた。
    大多数に向けて書かれているはずなのに、自分に向けられているように感じる言葉がいくつかあって、どきりとした。

    自分の視野の狭さに恥じると同時に、色んなことについて知ろうと努力するようになった。

    色んな人がいる…それだけの認識では足りないのかなと考えさせられた。

    0
    2026年01月09日

    Posted by ブクログ

    p240 この海をひとりで抱えることはもうできない。だからあなたに、海をあげる。

    この最後の1行は、「助けて」という叫びだと感じた。
    だから、私は沖縄の海をもらわなくてはならない。
    旅行でたまに訪れる遠くの観光地としてではなく、自分の故郷のように。
    そしてそれは、沖縄だけでなく、
    福島であり、ガザであり、ウクライナでもある。
    頑張って頑張ってももうこらえきれない、抱えきれない人たちの苦しみを、安全な所にいる私たちは自分事として受け取り、行動を共にしていく義務があると思う。

    p224 富士五湖に土砂が入れられると言えば、吐き気をもよおすようなこの気持ちが伝わるのだろうか?湘南の海ならどうだろうか?

    p234 沖縄に基地を押し付けているのは誰なのか。3人の米兵に強姦された女の子に詫びなくてはならない加害者のひとりは誰なのか。
    沖縄の怒りに癒され、自分の生活圏を見返すことなく言葉を発すること自体が、日本と沖縄の関係を表している

    0
    2025年12月14日

    Posted by ブクログ

    1972年(S.47)に沖縄は本土復帰を果たした。
    「その後沖縄はどうなったか?」普天間で暮らす著者が現状を綴ったエッセイです。幼い娘を持つ母の思いも伝わってきました。

    息が詰まるような書き出しでした。
    「食べられなくなるほどの苦しみ」を受けた彼女が書く作品を、最後まで読まなければならないと思いました。

    美しい沖縄の海。人は海に住む生きものと暮らし、亡くなればまた海に帰っていく。
    シマ(今帰仁村)では、祖父の遺骨をお墓に納めた後、海に入り、海の彼方(ニライカナイ)に皆で声をかける。
    旧暦の12月8日には、家族の健康や無病息災を願い、ムーチー(鬼餅)を作る。
    沖縄に残る風習は親から子へと受け継がれていく。

    「綺麗な海や水を、私たちは残せるのか?」
    島の湧水や、子どもが飲んだり遊ぶ水も汚染されていた。
    「基地のない平和な沖縄」には遠く「沖縄に基地は残され、飛行機が飛んでいる間、娘は怯えて泣き叫ぶ」
    性暴力の被害にあわないよう、性教育を4歳で始める母親の気持ちを思うといたたまれなかった。

    今、米軍の新しい基地のため、辺野古の青い海に土砂が投入されている。赤く濁った海で魚や珊瑚はゆっくり死んでいくだろう! 
    「もし、富士五湖に土砂が入れられると言えば、湘南の海にならどうだろうか?」と著者は問うている。
    実際に現地に足を運ぶことができないもどかしさを感じるものの、沖縄に住む人々の痛みや怒りを知ることは私にもできると思う。

    0
    2025年10月19日

    Posted by ブクログ

    ご飯が好きな沖縄で暮らす母と娘の話かな〜くらいに読み始めたら全然違った。心にガツンと来る内容だった。

    沖縄と聞けば、旅行、青い海、リゾート、バカンスといったイメージばかり。SNSでもそういう明るい沖縄の姿しか見かけない。でもこの本を読んで、中学の修学旅行で初めて訪れた沖縄のことを思い出した。初めての沖縄の記憶は、戦争、白百合学徒隊、防空壕、、、そんな重い思い出ばかり。大人になってリゾートとして沖縄に行くいくようになってからは、その部分をすっかりと置き去りにしていた。

    どうしても身近にない出来事は、日常の中でリアルには感じにくい。でも、この本をきっかけに、あの暗い防空壕の中で感じたことを思い出した。あの記憶は一生忘れてはいけない。これからはSNSでキラキラ沖縄を見る度に、修学旅行での経験と、この本のことを思い出したい。

    いつか、子供にも読んでもらいたい一冊。

    0
    2025年09月11日

    Posted by ブクログ

    真藤順丈さんの『宝島』と並行しながら読んでいたのですが、両作品から、己の無知さや無関心さをひしひしと痛感させられました。
    無意識に基地を押し付けている。これを差別と言わずに何と言うんだ?
    そう訴えかけられているようで、どちらも読んでいて終始苦しかった。
    本島に生まれ、基地のない場所で暮らす自分こそ、沖縄のことに関心を持ち、彼らの抱える問題や歴史について知ろうと能動的にならなくてはいけないと感じました。住まう人々の苦しみを全てわかることが出来なくても、それでも海の向こうにある遠い出来事と思わず、これは自分たちにも繋がっている問題なのだと、そうやって無関心や無知という加害性を自覚することが、その土地への差別から抜け出す一歩だと思う。
    まだまだ知識のない状態ですが、これから知って感情移入して、考え続けていきたいです…。

    0
    2025年08月15日

    Posted by ブクログ

    上間さんが書いたものは、本当に俺の感情を強く揺さぶる
    以前に読んだ本もそうだった

    最後の「海をあげる」もとてもよかった
    内容からいうと、よかったなんて感想が出てくるはずないのだけれど
    そうです、わたし(たち)は海をもらわなければいけないんです

    0
    2025年04月16日

    Posted by ブクログ

    思いのほか、すっと読めました。
    今まで何度も手に取りながら読めなかったのは何故だったんだろう。
    あたたかくて、悲しくて、痛くて、愛おしい、あらゆる感情がぎゅっと詰まった一冊でした。

    沖縄の現実に胸が苦しくなり、娘さんの存在にふわりと緩みました。

    沖縄が背負わされているものを、沖縄以外の地に住む私たちももっと知らなくては、と思いました。

    0
    2025年03月28日

海をあげる の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

無料で読める ノンフィクション

ノンフィクション ランキング

上間陽子 のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す