サイモン・シンのレビュー一覧

  • 代替医療解剖

    Posted by ブクログ

    「DJの首を吊し上げろ、奴らの音楽は俺の人生に何の役にもたっていない」(The Smith 「Panic」)

    優れた科学ジャーナリストであるサイモン・シンが、代替医療の学術的研究を行うエツァート・エルンストとの共同作業により、鍼治療、カイロプラクティック、ホメオパシー、ハーブ療法等のいわゆる「代替療法」について、数多の先行研究を踏まえて科学的なプロセスによる効果検証を行い、その結果をまとめ上げた一冊。

    検証にあたってのスタンスは決して「代替医療は効果がある/ない」というどちらかの立場に与するものでもなく、また生理学的な効用をもたらすメカニズムがわからないとしても、それが実際に効果があるのか、もしくはないのかという面だけのフォーカスを置いた点で極めて公正なものである。また、冒頭では医療の効果を検証するために先人が生み出した様々な科学的プロセスの解説が置かれ、本書の検証もまた同様のプロセスを踏んでいることが示される。

    さて、結論としての代替医療の効果は概ね否定的なものとなっている。何も治療を施さない場合と比べて、明示的な効果がない、ということもさることながら、代替医療の問題の一つは副作用、通常医療に比べて高額になりやすい費用面、代替医療よりも効果のある通常医療を中止してしまうことによる症例悪化リスク、等が説明される。

    何よりも問題なのは、様々な研究によりその効果が疑わしい代替医療がここまで大きなマーケットとして成立してしまっている背景、つまりなぜ人々は代替医療に入れ込んでしまうのか、という心理面の問題である。その仮説として挙げられるのは、通常医療の主体である医師があまりの多忙さ故に一人一人の患者にじっくりと向き合うことが難しく、患者が通常医療の科学的な効果やエビデンスを理解することができないからではないか、という点である。

    なお、末尾ではこうした代替医療の問題点にも関わらず、疑わしい代替医療を広めた責任者として、セレブリティ、大学、政府機関、WHO等の10のプレーヤーが明示されている。首を吊らすべきなのは誰か、考えなければいけない。

    0
    2016年01月17日
  • 代替医療解剖

    Posted by ブクログ

    とりあえず、自分や身近な人を殺してしまわないためにも、すべての人に読んで欲しい本。
    代替医療を科学的アプローチから、有効かどうかを判断して行く本です。
    無害ならまだしも、施術から数年後に悪影響の出る可能性のある治療法があったりして、ちょっとぞっとします。
    癌は治療するなとか、肉は食うなとか、そういった情報を受けたときに、実践に移る前にちゃんと考えてみるための参考になります。
    ただし、これ読んだら、ブラシーボ効果が効きづらくなる可能性があるので、そこら辺は覚悟の上で。(^^;

    0
    2015年07月20日
  • 代替医療解剖

    Posted by ブクログ

    ホメオパシーは怪しいと気付いている人でも、鍼灸、カイロプラクティック、漢方を疑いなく信じている人は多い。
    科学は今の時代でも万能ではなく、推論の積み重ねであり、原因が完全に解明されないまま利用されているものは多数ある。だが、本書が軸としているのは科学的根拠の究明ではなく、臨床試験とその結果を収集した系統的レビュー。ランダムで選ばれた患者に対し、二重盲検法によって試験担当者も対象者も本物の薬かどうか知らされないまま検証し、プラシーボの効果を排除してその効果を測定する。
    正規の医薬品だろうと鍼治療だろうと霊感診療だろうとその理論はさておき、同じ検証プロセスを通してこそ何が有用で何が有害であるのかが正しく判定される。その結果、ほとんどの代替医療にプラシーボ以上の効果がないことが明確にされるが、代替医療の信奉者にこの事実を明らかにしたところで、恐らくほとんどが聞く耳を持たないだろう。

    いくら正しいデータを並べようが、科学者が言葉を尽くそうが、人の信仰というものは簡単に破れるものではない。一般的に信仰のきっかけとは日常への不安や絶望からくるものだが、代替医療にハマるきっかけは現代医療に対する失望にある。医療制度が整った日本であっても、病院に不信感を抱くシチュエーションは簡単に想像できる。長時間待たされ、たらい回しにされた挙句、数分の会話で薬を処方されて終わり。こんな流れ作業では患者が一番必要とする『安心感』が得られず、プラシーボの効果が薄まることさえあるだろう。それは「医者なんだからこの苦しみを完璧に取り除いてくれるのが当然だ」と完全性を期待してしまう患者の無理解と相まって、優しいだけだが優しさがある代替医療という甘い罠に誘い込ませる。

    斯様に未だもって現代は信仰が支配する時代であるが、これは代替医療に限ったことではない。政治・経済にとどまらず、科学の分野においてさえ、「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな話に根拠のない確信を持つ人は多い。自覚のない信仰に自ら気付く術はあるのだろうか。せめて、自分自身にも未だ見えない信仰があるのだろうということを覚えておき、信じ難い意見にも心を開けるようにしたい。

    0
    2018年10月20日
  • 代替医療解剖

    Posted by ブクログ

    代替医療について、科学的に突き詰めて考察できる。
    おかげで、いろんなものが怪しく見えてくることになるが、逆にこれまでいろいろなことを信じすぎていたということか。
    とりあえず、首に着けていた磁気ネックレスは外した。

    0
    2014年11月06日
  • 宇宙創成(上)

    Posted by ブクログ

    良いなぁ~宇宙って。神話の時代から、相対性理論、ビッグバン・・・どんどん発展してきた宇宙論。でもまだまだ謎だらけ。人間が知っている事なんて、ホントに限られた事だけなんだなぁ。

    0
    2017年10月16日
  • 宇宙創成(上)

    Posted by ブクログ

    ローマ時代から天動説、そして現在のビッグバン理論まで、宇宙というものが数多くの研究者によって少しずつ解き明かされてきた歴史を知ることができる。このシリーズは好きです。

    0
    2019年01月16日
  • フェルマーの最終定理

    Posted by ブクログ

    ページ数が多く難しい数学の話も多く、多分半分も理解できてないけど、ワイルズが先人たちが導き出した定理を使ってフェルマーの最終定理を解く過程が、数学界のアベンジャーズ集結みたいな感じでワクワクした〜!

    0
    2026年09月28日
  • フェルマーの最終定理

    Posted by ブクログ

    テクニカルな部分はよくわかりませんでしたが、難問に挑む数学者たちのドラマを楽しめました。

    フェルマーの最終定理の解明に日本の数学者が重要な役割を果たしたことは、本書を読むまで知りませんでした。

    0
    2026年08月15日
  • 暗号解読(下)

    Posted by ブクログ

    暗号を解読するには、様々な知識が必要である。言語学、数学、統計学などすべてに於いて高度な習得が求められる。
    近年では、更に科学や物理学(量子物理学)も求められる。
    ネットや銀行をはじめ、私たちの周囲には暗号が溢れ、知らない間にも解読されているかも知れない。

    貴方に解読出来ますか?
    XBUBTIJOJIBTVLPTIJNVAVLBTIJLBUUB


    ヒント:アルファベットを1文字分前へずらし、ローマ字読みする。

    0
    2026年08月11日
  • 暗号解読(上)

    Posted by ブクログ

    暗号とは、メッセージの外見を変えることにより、正当な受信者にしか読めないようにする方法のことである。
    暗号が生まれた歴史的背景から、第一次世界大戦の最中に開発されたエニグマの解読など、暗号作成者と暗号解読者の終わりなき戦いが記されている。

    貴方に解読出来ますか?
    ?AKUSAMIKEDUKODIAKINATANA


    ヒント:後ろからローマ字読みをする。

    0
    2026年08月11日
  • フェルマーの最終定理

    Posted by ブクログ

    3世紀もの間、誰も解けなかった問題——フェルマーの最終定理。それを証明するまでの物語。
    想像以上に日本人が関わっていて、誇らしい気持ちになった。
    証明に使われたのは、フェルマーの時代にはまだ存在しなかった現代の技術。
    フェルマー自身が思い描いていた証明は、一体どんなものだったのだろう。
    永遠に明かされることのないその問いに、神秘を感じる。

    0
    2026年07月11日
  • 暗号解読(下)

    Posted by ブクログ

    戦争と暗号あたりまではまだ何者か分かりやすかったけど
    一方向関数や量子暗号はブラックボックスに投げ込まれたみたいな感覚でほんとうに難しい
    言ってることはわかるけど、これを考えついて実践まで落とし込める頭は中身どうなってるんだって感じる

    言ってることはわかる、まで噛み砕いて書けるサイモン・シンが凄いのか
    量子コンピュータも手が届くところまで来ていそうだし、現代までのその後版も書いて欲しい

    0
    2025年07月09日
  • 暗号解読(上)

    Posted by ブクログ

    ずっと放置していたのをようやく読んだ
    暗号の起こりと解読の歴史
    上巻のラストが第二次大戦ということで、下巻はコンピュータ関連目白押しになるのかな

    エニグマって言葉は聞いたことあったけどよくわかってなかった
    暗号生成の仕組みから解読方法までしっかり解説されてて満足

    0
    2025年05月11日
  • 代替医療解剖

    Posted by ブクログ

    2013年10月頃初読
    2020年3月頃再読

     医師が効果の証明された薬を処方すれば、患者には生化学的、生理学的な効果があるだろう。そしてその効き目は、プラセボ効果によってつねに強められるということを思い出そう。薬の標準的な効果のほかに、その薬が効くと患者が期待することによって、標準的なレベルを上まわる効果があるはずなのである。別の言い方をすれば、効果の証明された薬には、プラセボ効果というおまけがついてくる。それなのになぜ、プラセボ効果だけしかない治療を受けなければならないのだろうか? なぜセラピストは、プラセボ効果だけしかない薬を使うのだろう? それは単に、患者を騙しているだけではないのだろうか?
     
    原題は”Trick or Treatment?”. “Trick or treat!”(お菓子くれなきゃ悪戯するぞ)をもじって意訳するなら『信じてくれなきゃ、効かないぞ』みたいな感じか?
    鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック等の代替医療に実際効果があるのか? 各治療の歴史、理論を概説しつつ、検証を行なってぶった斬られて終わる、みたいな感じ。まぁ、だから代替医療の域を出ることがないのでしょう。

    0
    2025年05月03日
  • 暗号解読(下)

    Posted by ブクログ

    上巻をだいぶ前に読んで、ようやく下巻読破。仕事で馴染のあるDES、RSA、Diffie-Hellman、PGP等の暗号技術を作り上げた人々の様子はすごく興味深いものだった。暗号技術はいつも政治的な影響を受けていて、そのあたりの戦いも面白く、また恐ろしさを感じる。技術は良きにも悪きにも平等に機会を与え、使うものの道徳観人間性はいつも問われることは、歴史をみても明らか。いろいろ難しくはあるが、テクノロジの進化はどうやったって止められない。だって、やりたいんだもの。
    好奇心は止められんよ。
    #技術論のところは、正直厳しかった、読み飛ばしてしまいました。ごめんなさい。

    0
    2024年05月10日
  • 暗号解読(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    先住民族の言葉を暗号に使った話では、ナヴォホ語は、言語体系が英語やドイツ語(もちろん日本語とも)と全く異なっていることや、ドイツの学生がこの20年入っていないことから暗号としての使用が決められたとのこと。日本軍でも薩摩弁を暗号として使ったと聞いたことがあるが、言語体系も同じで、薩摩弁に明るいアメリカ人がいないとも限らないとなれば、突破されるのは時間の問題(実際には2ヶ月かかったらしい)だったろうなという感想を抱いた。

    0
    2023年06月20日
  • 暗号解読(上)

    Posted by ブクログ

    『フェルマーの最終定理』が面白かったので、こちらも読んでみた。
    結果的にいうとフェルマーの最終定理ほどはハマれなかったが、アメリカ軍が先住民族の言葉を暗号に使った話や、古代文字の解読などはとてもおもしろくよめた。上下どちらも⭐︎3にしているが、厳密にいうと上⭐︎3、下⭐︎3.5といったところ。
    戦時中暗号に纏わる場所で活躍していた人々が、秘密保持の観点からその活躍を世間に長い間知られてはいけなかったのは切ない話である。
    下巻のエピソードの感想は下巻のレビューに。

    0
    2023年06月20日
  • 数学者たちの楽園―「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    フェルマー近似のエピソードがおもしろい。
    3987の12乗 + 4365の12乗 が、ほぼ 4472の12乗 で、フェルマーの最終定理どこいった?と錯覚するところ。

    0
    2022年04月20日
  • 数学者たちの楽園―「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    米国のコミック「シンプソンズ」のスタッフには、数学者がいっぱい。コミックの中にも数学の有名な数式やフレーズが頻繁に登場しているという。その数式を取り上げ、数学ネタや数学史について繰り広げてくれる。
    正直、数学的な内容はほとんどわからないけれど、読み物として楽しく読んだ。この人たち、本当に好きなんだね数学が。真に遊び倒しているんだろうなあ。

    0
    2021年12月11日
  • 数学者たちの楽園―「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    日本とアメリカで学位への考え方が違うとはよく言われます。米国では、各々の専門性はアイデンティティの一部であり、そのバックグラウンドで何ができるのか?ということが大事なので、別に同じ分野の職につかなくてもよく、活躍の場は広いが、日本では学位は「専門バカ」と見なされ、「現場で活躍できない」とされたり別分野に行こうとすると「もったいない」と言われたりします。

    それでも、シンプソンズの制作スタッフに数学の学位をもったマニアが集まっているとは思いもよらないでしょう。シンプソンズは米国のみならず世界でも話題のお下品ギャグアニメですが、よく見るとーー劇中の学校で黒板に書かれた数式などーー深遠な数学のテーマが散りばめられているのです。そして、まさにそのことによって、世界中の知識人から愛されているのです。

    制作スタッフのなかのある人は、やはり自分の人生について、これで良かったのかと考えるそうです。その言葉を聞いて、言われているのとは違ってアメリカにも専門を勉強したら専門職へという考えがあり、それとの折り合いをしながら自分の価値を高め、好きなものを世の中に問うのだなと思いました。大事なことは、自分の学んだことをバックグラウンドとして、何ができるのかということなのだと再認識できる1冊でした。

    0
    2021年10月27日