サイモン・シンのレビュー一覧

  • 代替医療解剖

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    それぞれの代替医療の成り立ち、理論が説明され、更に臨床試験の結果が示され、結論づけられる。非常に論理的で説得力のある内容だった。厳格な臨床試験(二重盲検法)等に関する解説も興味深い。プラセボ効果について詳述した第6章は必読。代替医療をめぐる現代社会への警鐘と提言に、著者の熱い思いを感じた。

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    2020年03月25日
  • 暗号解読(下)

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    安定のサイモン・シン、非常に面白かったし勉強にもなった。ネットセキュリティの暗号など身近な問題ながら難解で、ほとんどの人は詳細を知らないでいることかと思う。 素因数分解が使われてるってことぐらいは聞いたことがあったが・・
    最後に歴代の暗号を使った検証問題が出てくる試みも非常に面白かった。この10問を後書きにしっかり残した編集部の執念も脱帽もの

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    2020年03月05日
  • 暗号解読(下)

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    近代の暗号、それから古代の文字の解読。
    特に興味を引いたのは、やはり今どういった暗号が用いられているか、それから今後どういった暗号が用いられうるのか。素数を使った暗号が強いというのは、なんとなく耳にしたことがあったが、実際に分かりやすく理解できたのは素晴らしい。それに量子世界の一端に触れられたのが本当に良かった。今度、量子力学をかじってみようかという気持ちにさせてくれた。

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    2020年03月04日
  • 代替医療解剖

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    代替医療が本当に医療効果があり、費用と見合ったものなのかを、正しい臨床評価を基に検証したものです。正しい評価とは、「科学的根拠にもとづく医療」の事で、通常ランダム化臨床試験で得られた根拠の事です。

    医療の歴史を紐解きながら、医療の素人でもわかりやすく理解できるよう努められており、そこからも筆者達の誠実な姿勢を感じます。また歴史の部分は読み物としても優れており、楽しませてくれました。

    巷に溢れる代替医療のうち、その規模や浸透度の大きさから、下記の4つについて、多くのページが割かれています。
    ①鍼
    ②ホメオパシー
    ③カイロプラクティック
    ④ハーブ療法
    結論から言うと、プラセボ効果以上のものは殆ど確認出来ないのが実情です。特にホメオパシーについては、治療ではなく信仰と言い換えたくなりました。
    それでも人は効果のない代替医療に多額の費用をかけるのか、そこにも言及しています。
    最初に訳者あとがき(文庫本版訳者あとがきではない)を読まれると、全体のサマリーになっている事が分かります。その後本文を読み始めてもいいかと思います。

    医療に限らず、事実にもとづいて判断をしていく事の大切さと難しさを感じました。事実を事実として受け入れながら、批判精神を持ち続ける柔軟な態度を持ちたいと思いました。

    作者はイギリスの医師と医療ジャーナリストによる共著で、最後までとても読みやすく非常に為になりました。

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    2020年02月22日
  • 宇宙創成(上)

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    ネタバレ

    既に海外ノンフィクション部門のゴールデンコンビとなっているサイモン・シンと青木薫のタッグは宇宙論という分野にも確かな爪痕を残しました。
    うまい早い安いが吉牛なら、うまい、わかりやすい、ためになるがこのコンビの特徴です。
    サイモン・シンの展開する科学的な知見をスムーズに理解するには、読んでいてストレスを感じさせない日本語訳があってこそです。
    その内容は、科学者や天文学者、さらには物理学者や数学者などを総動員した知の格闘による新たな発見のアウフヘーベン(ある解釈を否定して、さらに高みを目指す思考方法)の蓄積の歴史です。
    そして天文学とは我々の存在理由をも決定するという科学的な哲学だということがよくわかります。
    我々もよく知る偉人の名前と業績が手際よく紹介され、その後の新たな事実によって否定され、より真実に近づいていくプロセスは簡にして要を得る見事な筆さばきです。
    現在では、本命とされるビッグバンモデルも、つい最近まで定常宇宙モデルと激しい主導権争いが繰り返されていたことやその論争の歴史の中で新たな発見があるたびに両者の客観的評価をまとめた表を都度掲載することで、難解な理論の変遷をわかりやすくしています。

    「ビッグバンから1秒の内に超高温だった宇宙は膨張して劇的に冷え、温度は数兆度から数十億度まで下がった。その頃の宇宙は、主として陽子と中性子と電子からなり、すべては光の海に浸されていた。それから数分の内に、陽子は他の粒子と反応して、ヘリウムなどの軽い原子核を形成した。この最初の数分間で、宇宙に存在する水素とヘリウムの比率はほぼ決定され、その値は今日観測されるものとよく一致している。宇宙はその後も膨張して冷え続けた。このころの宇宙には、簡単な原子核とエネルギッシュに飛び回る電子と、膨大な光が存在しそれらが互いにぶつかり合って跳ね飛ばされていた。そして、およそ30万年が経過したとき、温度が十分に下がり電子の速度が落ちて原子核につかまり原子が形成された。この時以降光はほぼ何にも邪魔されずに宇宙をまっすぐ進めるようになった。こうして生じた自由な光こそ宇宙マイクロ波背景放射で、これは光によるビッグバンのこだまなのだ」(P298下巻)

    さて、ここでビッグバンモデルと旧約聖書の出だしとの類似性に気づきます。
    創世記曰く、初めに、神は天地を創造された。地は混とんであって、闇が深淵の面にあり、神の魂が水の面を動いていた。神は言われた、光あれ、こうして光があった。・・
    聖書では神は7日間ですべてを創造したわけですが、ビッグバンモデルでは最初の1秒と数分で宇宙の原型ができたという大きな時間的な差異はありますが、秒や分という概念がない時代を考慮すればむしろ光が主役だという点に注目すべきでしょう。
    もちろん、本書でも教会と科学との対立と受容の歴史にも触れています。

    宇宙はどのように始まったのか?という真相に近づくにつれ、では我々が住む地球が生命体にとってかくも理想な形で成り立っているのはがなぜだろうという次の疑問が湧いてくるのは当然です。
    そして、マーティン・ルースは6つの数値(重力、核力、宇宙密度、反重力、重力と静止エネルギー比、次元数)が宇宙の形を決定しており、6つの中の1つでも今と違った数値だったなら、宇宙の進化自体に深刻な影響がでていたという理由で人間中心原理に行きついたのも興味深い。(P316下巻)

    最後に、訳者の青木薫は2006年に単行本のあとがきで、「本書は宇宙のことをよく知らない読者のために書かれた」と記し、内容は専門的だがわかりやすい点を強調していましたが、2008年の文庫本のあとがきでは「宇宙論についての最新の知見を紹介することよりも、科学的方法の喜びを味わってほしいために書かれた本」という言い直しをしていますが、まさに詰め込みの学校教育では味わえないアカデミックな知的興奮を味わえる1冊となっています。

    やはり、宇宙には深遠な魅力、いや魔力があるようです。

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    2019年11月29日
  • 代替医療解剖

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    ネタバレ

     本書は、「いいと思う」「効くと思う」「効くはずだ」といった主観的な判断だけで価値があるとされてきた代替医療にメスを当てて、通常医療と同じ土俵に載せた評価を整理した資料である。
     現在認められている通常医療は、もはや二重盲検という医者も患者も目隠しした上で行う臨床試験で効果を示した者のみが認められている。この臨床試験は、きびすぎるがゆえに高コストであることが問題になっているぐらいである。
     一方、それ以外のいわゆるヘルスケア(日本では医療という訳語は不適と思うのでヘルスケアとした)は、自主的な試験は行なっているが、科学的な評価を経ることなく、効能がうたわれている実態がある。
     そのため、およそほとんどの代替医療においては、通常医療と同じ次元で評価すると効果がない、という結論になってしまった。では、なぜ代替医療はなくならないのだろうか?
     1つは、絶対的に正しいこと、というのは、あまり面白くない事による。マーケティングの世界でも、物事を理解する上で背景情報、いわゆるストーリーが大切と問われている。絶対的な正しさはストーリーの入る余地がない。科学的に効くということは、商品を売る世界では基本的に受け付けられないのである。
     また、代替医療の存在には、歴史的文化的背景があることも忘れてはならない。もはや生活に溶け込んでしまっているものもある。これらを科学的に証明できないという言葉だけで駆逐しようとすれば、反発を招くだけであろう。
     代替医療は、あくまで治療というよりも生き方、生き様を表すものともいえよう。消費者は自分で正しい、信じられる情報を集め、考えて生きていくことが求められているということだと思う。

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    2019年08月04日
  • 代替医療解剖

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    サイモン・シンさん。
    とにかく自分には絶対知りえることも触れることも考えることもなかったであろうテーマについて、本にしてくれて読ませてくれる。
    それだけで、読めるだけで、機会を得るだけで、何か嬉しくなってます。笑

    文中の、
    「二千四百年間にわたり、患者たちは、医者は自分のためになることをしてくれているものと信じていた。そのうち二千三百年間は患者たちは間違っていた」。言い換えると、人間の歴史のほとんどにおいて、大半の医療はほぼすべての病気について、効果のある治療ができなかったということだ。実際、かつての医者の大半は、私たちの先祖の病気を治すのではなく、むしろ害をなしていたのである。

    胸に残りました。

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    2019年03月07日
  • 宇宙創成(下)

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    宇宙マイクロ波背景放射の検出〜その揺らぎの検出のあたりが最も興奮した。ビッグバンの名残りの中で生きているというのはなんと感動的でしょう。
    終盤のSix Number の話は初見ではないけれど、実に不思議なお話だと思う。マルチユニバース論を信じたくなります。

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    2018年12月22日
  • 宇宙創成(上)

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    本書では、宇宙創成の謎に挑戦してきた人類史、科学史にスポットを当てる。古代ギリシャに始まった天文学。地球、月、太陽の大きさや距離を推定した古代天文学者に始まり、暗黒の中世での停滞を乗り越え、天動説を覆したコペルニクス、ガリレオ。初期地動説が生み出す誤差を解消する理論を打ち出したケプラー。ニュートン力学を超え、相対性理論を生み出したアインシュタイン。彼の生涯2つの誤りの一つである静的宇宙モデルを覆したビッグバン宇宙モデルの設立まで、事細かに解説する。 さすがサイモン・シンと思わせる見事な描写は、読むものを引き付けて離さない。本書で書かれていることは、すべて良く知られた事実であるにもかかわらず、それを一同に系統立てて説明する手法は流れるような心地よいリズムを生み出し、一気に読まずには入られない。すばらしい。

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    2018年10月23日
  • 宇宙創成(下)

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    読後に高揚がのこる。
    インフレーション理論がエピローグなのは実証がまだだだから。
    王道中の王道といったテーマだがさすがにサイモン・シン。説明の見事さは言うまでもないも

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    2018年09月07日
  • 代替医療解剖

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    代替医療というこれも逃れ難い誘惑を持つジャンルに切り込んだ本。
    思惑が絡み合う業界なので、自分が病に伏せる前にこういう本を読んでおかないと冷静な判断ができないでしょうね。
    鍼やカイロプラクティック、ホメオパシーなどを分析しているが、鍼についてプラセボ効果しかないことは、日本でここまで広まっているために受け入れ難いのでは(海外におけるホメオパシーと同じなのだろうか)。
    巻末にはサプリメントやデトックスといった、誰でもやってそうなことにも少し触れられている。
    代替医療に引っかかる心理まで解説されており、傑作です。しかし、著者のサイモンシンさんはこの本のせいでカイロプラクティック協会から訴えられてしまい、最終的に勝訴したものの、2年の歳月と多額の金銭を失ったらしい。著作がこういうことで減るのは残念です。
    ムカジーの「がん」といい、医療の歴史には傑作が多いですね。

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    2018年08月21日
  • 宇宙創成(下)

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    最後まで読みきって良かったと思える作品。あとがきも読むといい。この作品の主人公は科学的方法であるというコメントは非常にしっくりきた。人は間違いを犯すということと、それを正すということがよくわかる。過去の天才でも間違いを犯していることがよくわかる。しかし、間違いを非難することは間違っていて、その間違いはその人なりの答えであるということである。非難すべきは答えを正すことができない、もしくは、答えを議論できない状況であるということがよく理解できた。

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    2018年06月16日
  • 代替医療解剖

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    ホメオパシーやカイロプラクティックなどの代替医療について、施術者が謳う効果があるかどうかを科学的に分析する。
    第1章でレモン果汁をとることで壊血病の発生率が劇的に改善された例等をあげて、「機能のメカニズムは不明でも対照実験を行い、統計的に有意な結果が出ればその治療方法は効果がある」を明確にした上で、メジャーどころの代替医療を分析。
    結論としてはほとんどの代替医療はプラセボ効果以上のものはない。だが、それが今や大きなマーケットになってしまっている現状とそれを手助けした「犯人」についての言及はきびしい。

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    2017年07月18日
  • 宇宙創成(下)

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    文庫版訳者あとがきにある通り、この本の主人公は「科学的方法」なのだと思います。「宇宙はどうやって出来たのか」という問いに対する、何世紀もの間にわたる科学者の挑戦が描かれていてとても感銘を受けました。

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    2017年06月02日
  • 宇宙創成(下)

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    物心ついた頃、宇宙はビッグバンて始まり年齢は150億年、地球は50億年(精度は問題ではない)ということについて何ら疑うことなく受け入れていたので、ここに行き着くまでに物理学、天文学、また宗教までも巻き込んだ論争に発展していたことに不思議な感じがする。
    時代が変わっても真理を追求し続ける科学者の姿勢は感動ものである。それ故に、戦争で研究が途絶えたり、遅れたりすることは残念であり人類にとって大きな損失である。また、科学に限らずパラダイムシフトに必要なのは世代交代であるということを改めて認識した。
    カールセーガンの「コスモス」と同様、不思議さに対する好奇心を呼び起こしてくれる良書である。
    次は「フェルマーの最終定理」を読んでみたい。

    宇宙とは関係ないがバイアグラのくだりは面白かった。

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    2017年06月04日
  • 宇宙創成(上)

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    理論と観測の双方で対立したり補完したりしながら進んできた宇宙論の歴史が非常にわかりやすい。
    20世紀に入り、一般相対性理論が発表されている時代でもアンドロメダが銀河系の外にあるとわかっておらず、そんなギャップがあったことに驚きつつも面白いと思った。逆にこの時代の宇宙論の目まぐるしい進化を感じてみたかった。
    下巻も楽しみ。

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    2016年07月06日
  • 宇宙創成(下)

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    宇宙論は好きで、関連書を数冊読んだが、わかりやすさ、ワクワク感を含めた娯楽性の高さを考えると、最良の本。この分野に興味を持った人は、真っ先に手に取る本だろう。

    本書は天動説から地動説への大転換に至るまでの長い史実の記述から始まる。そして地動説が決定的になった20世紀、科学者たちは宇宙の大問題に取り組むことになる。すなわち、「宇宙は過去のある時点で創造されたのか?」あるいは「永遠の過去から存在していたのか?」という大問題である。そして、ビッグバンモデルが考え出された以降も、科学者たちの大半は宇宙の始まりをビッグバンに求めず、静的で永遠な宇宙(定常宇宙モデル)を信じていた。

    本書は、(出版された時点での)最有力の理論、すなわち宇宙は137億年に誕生し、30万年後に現れたゆがみから銀河が誕生したという説に至るまでをスリリングに描く。宇宙論の本では「僕らは星のかけら」が一番面白かったが、本書はそれ以上の面白さ。
    特にややっこしいビッグバンモデルと定常宇宙モデルの論点を表にして、一つずつ潰してゆくという展開は、リンカーン・ライムシリーズのサスペンス小説並のワクワク感がある。
    宇宙論の中で、我々一般人がピンと来ないのは重力と光の関係と思うが、本書は必要最小限な事項を優しく解説してくれている。したがい、宇宙論の本を初めて読む人もストレスなしに読破できるはずだ。

    ただし、本書のオリジナルが出版されたのは2004年。したがい、ヒッグス粒子や重力波の話は、直接には出てこない。しかし、それについては、他の本を読めばいい。
    とにかく、本当に本当に面白い本。星6つでも足りない。

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    2016年04月24日
  • 宇宙創成(下)

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    宇宙が膨張しているというビッグバン理論が、全ての星々が遠ざかっているというハッブルの観測結果により、アインシュタインが間違いを認めるほど優勢になった。だが、証明が完了したわけではない。「宇宙の大きさが一定でも、速度が早い星々だけが遠方まで到達可能なはず」「遠くまで到達した光はエネルギーが失われるため、赤いほうにずれる」といった無理筋なものから「観測結果の年代測定では、宇宙の方が星よりも若くなってしまう」「ビッグバン理論で元素分布を証明できるか?」といった当然の疑問まで、多くの批判検証にさらされることとなる。

    天動説がそうであったように、今から思えば明らかに間違いであったと思われるような理論であっても、その時代に可能であった観測範囲においては、現象を説明するのに適していた。その多くが覆されてきたのは、観測の技術の進歩とともに、新たな科学の分野の登場があったからこそだ。
    ラザフォードが原子構造から核融合を導き出し、星の誕生プロセスの解明から元素分布の謎が解き明かされ、宇宙の年齢は新たな多数の観測結果により訂正され、二次大戦における電波技術の発達の結果、電波天文学が誕生し、遠方のみに存在する若い電波銀河やクエーサーからの電波が観測され、ついては宇宙誕生の証ともいえる、宇宙背景放射が観測された。

    かくして宇宙創生の物語は、神話と宗教の領域から科学へと至った。だが、そこで明らかになったのは、ビッグバンにより時間と空間が誕生したということだった。では、時間と空間が存在しない領域とは一体なんであるというのか。ベビーユニバース、パラレルユニバース、マルチバース。未だ創造の域を出ない領域であり、その端緒を現実世界で掴むことは論理的に不可能といったことすらあり得るだろう。だが、現時点においては、やるべきことは失われてはいない。宇宙の膨張を加速する暗黒エネルギー、銀河の星々の離散を押しとどめる暗黒物質。力の統一理論、ボース粒子、ヒッグス粒子、冥王星探査機。科学技術の進歩の限界は、論理的に証明されていない。

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    2018年10月20日
  • 宇宙創成(上)

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    現代において「地球は宇宙の中心に存在する」と言おうものなら変な宗教でもやってんのかと心配されるが、宇宙の中心でないことを証明できる人は、一体どれだけいるだろうか。
    夜空に浮かぶ星に辿り着こうとするなら「光の速さで何年もかかる」ということに疑いを持つ人は少ないが、それを証明できないなら、それは星が遠くにあることを「知っている」でも「わかっている」でもなく、ただそう「信じている」だけだ。
    アンドロメダが星雲でなく、90万光年よりも遠くに存在する別の銀河であることが「わかる」までに、どれだけの研鑽が必要だったのか。天文学の軌跡は科学のそれと同じく、予測と観測の共進化であった。

    人類は『光る点の動きを追い続ける』ことしか出来ない単純な観測方法を複雑に積み重ね、コペルニクスの地動説はケプラーの方程式とティコの膨大な観測データにより天動説を打ち破り、アインシュタインの相対性理論はエディントンの観測隊によりニュートンの重力理論を飛び越え、膨張宇宙論はハッブルの観測によりアインシュタインの静的宇宙観を破り、ついに星々は距離に比例する速度で遠ざかっていることまで証明された。

    こうして星の全てが遠ざかっていることがわかったとき、一つの疑問に辿り着く。『全てが遠ざかり始める前の一地点では、一体何が起こったのか?』宇宙創世の真実への道のりは、下巻に続く。

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    2018年10月20日
  • 代替医療解剖

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    前作に比べて、代替医療に対する批判色が強い作品ではあったが、いつもながら読者を引き込む作りである。主流医学が幾つもの臨床試験を重ね、科学的根拠に基づいて発展してきたのに比べて、巷の多くの代替医療は、謳っている効能のほとんどが科学的根拠も乏しく、プラシーボ効果以上の効力を持たないことが臨床試験から既に明らかにされている。また、主流医学では、ある一つの治療法が特定の疾病・疾患にターゲットを絞っているのに対し、代替医療では、あれもこれもみんな効きますという万能性を謳っているものが多く、これらも冷静に考えれば、そんな都合のいい話はないと思えるだろう。こういった科学的リテラシーを養うには最適な1冊であった。最後にシン氏が述べていることが印象的だったが、何故効かないと分かっていてもなおこういった代替医療が生き延びるのか?それは問診にほとんど時間をかけず患者の声に耳を傾けない「冷たい主流医学」になりがちな現代ではむしろ、じっくりと話を聞いてくれる代替医療セラピストにすがる患者が増えるのではないか、という意見に賛成である。

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    2015年01月02日