サイモン・シンのレビュー一覧

  • 宇宙創成(下)

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    最後まで読みきって良かったと思える作品。あとがきも読むといい。この作品の主人公は科学的方法であるというコメントは非常にしっくりきた。人は間違いを犯すということと、それを正すということがよくわかる。過去の天才でも間違いを犯していることがよくわかる。しかし、間違いを非難することは間違っていて、その間違いはその人なりの答えであるということである。非難すべきは答えを正すことができない、もしくは、答えを議論できない状況であるということがよく理解できた。

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    2018年06月16日
  • 代替医療解剖

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    ホメオパシーやカイロプラクティックなどの代替医療について、施術者が謳う効果があるかどうかを科学的に分析する。
    第1章でレモン果汁をとることで壊血病の発生率が劇的に改善された例等をあげて、「機能のメカニズムは不明でも対照実験を行い、統計的に有意な結果が出ればその治療方法は効果がある」を明確にした上で、メジャーどころの代替医療を分析。
    結論としてはほとんどの代替医療はプラセボ効果以上のものはない。だが、それが今や大きなマーケットになってしまっている現状とそれを手助けした「犯人」についての言及はきびしい。

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    2017年07月18日
  • 宇宙創成(下)

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    文庫版訳者あとがきにある通り、この本の主人公は「科学的方法」なのだと思います。「宇宙はどうやって出来たのか」という問いに対する、何世紀もの間にわたる科学者の挑戦が描かれていてとても感銘を受けました。

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    2017年06月02日
  • 宇宙創成(下)

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    物心ついた頃、宇宙はビッグバンて始まり年齢は150億年、地球は50億年(精度は問題ではない)ということについて何ら疑うことなく受け入れていたので、ここに行き着くまでに物理学、天文学、また宗教までも巻き込んだ論争に発展していたことに不思議な感じがする。
    時代が変わっても真理を追求し続ける科学者の姿勢は感動ものである。それ故に、戦争で研究が途絶えたり、遅れたりすることは残念であり人類にとって大きな損失である。また、科学に限らずパラダイムシフトに必要なのは世代交代であるということを改めて認識した。
    カールセーガンの「コスモス」と同様、不思議さに対する好奇心を呼び起こしてくれる良書である。
    次は「フェ

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    2017年06月04日
  • 宇宙創成(上)

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    理論と観測の双方で対立したり補完したりしながら進んできた宇宙論の歴史が非常にわかりやすい。
    20世紀に入り、一般相対性理論が発表されている時代でもアンドロメダが銀河系の外にあるとわかっておらず、そんなギャップがあったことに驚きつつも面白いと思った。逆にこの時代の宇宙論の目まぐるしい進化を感じてみたかった。
    下巻も楽しみ。

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    2016年07月06日
  • 宇宙創成(下)

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    宇宙論は好きで、関連書を数冊読んだが、わかりやすさ、ワクワク感を含めた娯楽性の高さを考えると、最良の本。この分野に興味を持った人は、真っ先に手に取る本だろう。

    本書は天動説から地動説への大転換に至るまでの長い史実の記述から始まる。そして地動説が決定的になった20世紀、科学者たちは宇宙の大問題に取り組むことになる。すなわち、「宇宙は過去のある時点で創造されたのか?」あるいは「永遠の過去から存在していたのか?」という大問題である。そして、ビッグバンモデルが考え出された以降も、科学者たちの大半は宇宙の始まりをビッグバンに求めず、静的で永遠な宇宙(定常宇宙モデル)を信じていた。

    本書は、(出版され

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    2016年04月24日
  • 宇宙創成(上)

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    ギリシャ時代の宇宙認識から膨張する宇宙を示唆するハッブルが提出した観測結果まで。各時代で人々がどのように宇宙に対する認識を深めていったのかを追体験できる。非常に骨太で面白い。

    実験と理論が如何にお互いを補いつつ科学の世界を広げていったのかを感じ取れる良書。

    単なる事実の羅列でなく、著者の科学に対する深い理解も垣間見れる。

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    2016年03月04日
  • 宇宙創成(上)

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    「宇宙はいつ、どのように始まったのか」。
    かつて神話で説明されていたその謎に対して、現代科学は観測結果で裏付けされた理論を手にしている。
    アルベルト・アインシュタインの「宇宙についてもっとも理解しがたいのは、宇宙が理解可能だということだ」という言葉のとおり、宇宙に比べて極めて小さく、歴史も浅い人類が、その謎を解き明かそうとしているその事実に改めて畏敬の念を感じる。
    『ビッグバンモデル』は誰か一人の発明なのではなく、モデル構築、観測、実験、理論計算に貢献した多くの人々の、人類の叡智の結晶なのだということが分かった。

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    2015年11月24日
  • 宇宙創成(下)

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    宇宙が膨張しているというビッグバン理論が、全ての星々が遠ざかっているというハッブルの観測結果により、アインシュタインが間違いを認めるほど優勢になった。だが、証明が完了したわけではない。「宇宙の大きさが一定でも、速度が早い星々だけが遠方まで到達可能なはず」「遠くまで到達した光はエネルギーが失われるため、赤いほうにずれる」といった無理筋なものから「観測結果の年代測定では、宇宙の方が星よりも若くなってしまう」「ビッグバン理論で元素分布を証明できるか?」といった当然の疑問まで、多くの批判検証にさらされることとなる。

    天動説がそうであったように、今から思えば明らかに間違いであったと思われるような理論で

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    2018年10月20日
  • 宇宙創成(上)

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    現代において「地球は宇宙の中心に存在する」と言おうものなら変な宗教でもやってんのかと心配されるが、宇宙の中心でないことを証明できる人は、一体どれだけいるだろうか。
    夜空に浮かぶ星に辿り着こうとするなら「光の速さで何年もかかる」ということに疑いを持つ人は少ないが、それを証明できないなら、それは星が遠くにあることを「知っている」でも「わかっている」でもなく、ただそう「信じている」だけだ。
    アンドロメダが星雲でなく、90万光年よりも遠くに存在する別の銀河であることが「わかる」までに、どれだけの研鑽が必要だったのか。天文学の軌跡は科学のそれと同じく、予測と観測の共進化であった。

    人類は『光る点の動き

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    2018年10月20日
  • 代替医療解剖

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    前作に比べて、代替医療に対する批判色が強い作品ではあったが、いつもながら読者を引き込む作りである。主流医学が幾つもの臨床試験を重ね、科学的根拠に基づいて発展してきたのに比べて、巷の多くの代替医療は、謳っている効能のほとんどが科学的根拠も乏しく、プラシーボ効果以上の効力を持たないことが臨床試験から既に明らかにされている。また、主流医学では、ある一つの治療法が特定の疾病・疾患にターゲットを絞っているのに対し、代替医療では、あれもこれもみんな効きますという万能性を謳っているものが多く、これらも冷静に考えれば、そんな都合のいい話はないと思えるだろう。こういった科学的リテラシーを養うには最適な1冊であっ

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    2015年01月02日
  • 代替医療解剖

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    学生実験や計測工学で学んだアプローチが、このような問題にも使われていたとは…。とはいえ、まっとうな研究者よりもマスコミや詐欺師の声の方が、一般人に数多く届くように世の中はできている。まずは疑問を持つことが唯一の防衛策なのかなぁ。

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    2014年11月03日
  • 代替医療解剖

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    代替医療って、何? タイトルはずばり「民間療法のトリック」とすべきだったと思うが。
    鍼(はり)、ホメオパシー(毒を超希釈して服用)、カイロプラクティック、ハーブ(漢方薬以外)の効果の検証の話。一部の限定的な効果を除けば、プラセボ効果、自然治癒でしかないとの結論。プラセボで良くなるならそれでもいいのでは、という考えに対しては、適切な医療を受ける機会を逸することの危険性を指摘。医療行為が長期間の検証を経るのに対し、代替医療は自身の成功体験のみでOKなわけで、しかもそれを盲信するだけに始末が悪い。
    翻訳者のあとがきにあるように、医療崩壊で医師は患者と十分に向き合えない。それに対して患者と十分に向き合

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    2014年10月16日
  • フェルマーの最終定理

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    ネタバレ

    面白かった(笑)数学の話も割とわかりやすく説明されていたと思います(笑)ワイルズの話よりそこに至る話のほうが引き込まれて行きました(笑う)「フェルマーの最終定理」を解く為に研究を重ねた人たちの歴史。本当にたくさんの人々がこの定理を解く為に頑張ったんですね~(笑)女性数学者や日本人学者まで登場していて面白かった(笑)しかしフェルマーもそんな余白に書かなくったって(笑)

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    2025年12月17日
  • 宇宙創成(下)

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    1950年当時は宇宙論の世界は「定常宇宙モデル」と「ビックバン・モデル」に二分されていた。
    1992年になって、ようやく「ビックバン・モデル」に軍配が上がる。
    本書の下巻は、「ビックバン・モデル」が正しいだろうという結論に至るまでの各種の観測事実が示される。

    「ビックバン以前はどうなっていたのか?」という問いがあるが、ビックバン・モデルではこの問いに意味はない。
    ビックバンでは空間と同時に時間も生じたので、ビックバン以前には時間は存在しなかったからだ。
    北極点で「北はどっちだ?」と問うようなもんだ。

    本書は「地球は丸い」「地球は太陽の周りっを回っている」と気づいてから「宇宙はどのようにして

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    2025年12月14日
  • 宇宙創成(上)

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    過去の人々は宇宙をどのように捉えていたか、ということから始まるが、
    紀元前300年頃に地球の大きさを測るという偉業を成し遂げている。
    地球の大きさのほか、月や太陽の大きさや地球からの距離まで求めている(すごい!)

    最初は、地球の周りを月や太陽が回っている宇宙だったが、太陽の周りを地球が回っていることがわかる。
    太陽系にいくつもの惑星があることもわかり、その大きさも求められた。
    太陽のような恒星は信じられない程遠くにあることも分かってくる。

    水素原子は陽子と電子からできているが、水素原子の大きさを東京ドーム程とすると、陽子はビー玉くらいで電子はゴマ粒みたいなもんだと聞いたことがある。
    太陽系

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    2025年12月14日
  • フェルマーの最終定理

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    なんて数字は面白いんだろう。人間が挑んでも限界がある、そんな宇宙のような可能性だらけだ。谷山=志村、すごい。谷村の死は残念だった。20歳でこの世を去ったガロアも。エニグマ機、チューリングの話は映画で観たのでイメージしやすかった。ワイルズ、良かった。最後に補足で色々説明してあり、より勉強になった。

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    2025年12月11日
  • フェルマーの最終定理

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    アンドリュー・ワイルズが「フェルマーの最終定理」を証明する過程と、古代ギリシャから現代に至る数学の流れを巧みに組み合わせた読み物である。あくまでも読み物であり、フェルマーの最終定理に至る数学や数学史を体系的に知りたい場合には、別途専門的な文献が必要である。

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    2025年12月10日
  • フェルマーの最終定理

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    無限と戦った数学者たちの物語。ど文系だが面白かった。

    3 以上の自然数 n について、
    x^n + y^n = z^n
    となる自然数の組 (x, y, z) は存在しない。

    ディオファントスの「算術」の余白が狭かったせいで、300年以上世界中の数学者たちを翻弄してきたこの問題。n=3の証明、n=5の証明、、、個別の証明はされていくが、立ちはだかるのは無限の壁。数多の天才たちが壁に挑むも完全な証明には至らない。もはや証明不可能とまで言われはじめたフェルマーの最終定理。

    幼少期にこの問題に魅せられて数学の世界に入ったアンドリュー・ワイルズ。7年間屋根裏で進められた孤独な研究。ケンブリッジ大学

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    2025年10月31日
  • 暗号解読(下)

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    上巻でエニグマまで辿り着いたので、暗号の歴史的にはRSAしか残っていないのだが、ナバホ族のコードトーカーから線文字bの翻訳まで説明するとは恐れ入った。とはいえ古代文字翻訳も暗号解読みたいなもんだし、統計と勘によって翻訳できないものはないことを知るのは重要で、例えば暗号のために新しい言語を作るのはあまり効果がないという実例だろう。
    またRSAの説明も恐ろしくわかりやすく、最後に量子コンピューティングの話を持ってくるのも心憎い。訳者の後書きにある通り、暗号本の中で傑出した出来だった。

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    2025年08月19日