熊谷徹のレビュー一覧
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第二次世界大戦、そしてアジア・太平洋戦争のそれぞれで敗戦国となったドイツと日本。昨年2024年のGDPで日本がドイツに抜かれたというニュースは多くの国民が、とうとうドイツにまで抜かれてしまったかと落胆の気持ちを抱いたかもしれない。だが、世界経済におけるプレゼンスは先の大戦に敗れ、どん底からスタートしたにも関わらず、両国が世界の頂点に近い位置付けにあることには変わらない。だがこの両国を比べた時、人口八千万のドイツと⒈2億の日本では、当然だが一人当たりの所得では大きく水をあけられている。同じ様に敗戦からスタートし、驚異的な経済復興・発展を遂げた両国の間にどの様な違いがあったのか。本書はドイツに25年近く住む筆者が、長年のドイツ在住で感じた国民の倫理観や、それに基づく政治や社会のあり方が基本的に異なっているという点から始まる。
先の大戦ではドイツはホロコーストにより、600万人のユダヤ人を殺害したと言われる。これは当時ヨーロッパに住んでいたユダヤ人の2/3にあたる規模であり、かつて世界文明が経験したことのない大虐殺である。一方日本もアジア各地を侵略し、特に中国に於いては南京大虐殺や都市の無差別爆撃など一般市民を巻き添えにした戦闘を展開していた。両国共にそれらは戦後に裁きを受け、何より被害国との間の大きな確執として、長きに亘って関係性を暗いものとする要因になっている。特に日本は韓国に対する従軍慰安婦問題が大きく取り沙汰されるが、世界に大きく喧伝する韓国側の立場に対して、日本の対応は消極的と言わざるを得ず、それが却って韓国側の外交手段を強化する一因となってきた。総理大臣が靖国神社を訪問すれば中国国内では日本製品の不買運動が起こり、大規模なデモが行われる。アジアの巨大な経済圏をリードする日中韓の関係性は常にこれら戦争中の負の遺産が清算できていないことによる不安定な状態を続けている。ドイツはこうした大戦中に自らが起こした罪に国民全員が真摯に向き合い、かつ今に至っても謝罪と賠償を続けている。その根幹には戦争を経験していない世代に対しても、過去に自らの国が起こした犯罪を教育により十分に浸透させている事が理由となっている。確かに我々戦争を知らない戦後世代は歴史の授業で日本の犯した罪について十分な勉強時間がとられたという記憶はない。世界史先行の私は日本史は僅か一年程度で振り返っただけでなく、明治維新以降の近代日本については授業時間が一コマしかなかったのを覚えている(その分は大学受験科目の強化に充てられた)。改めて大学生時代に国家試験を受ける教科不足で日本史をとった時、日本人でありながら、日本の歴史を知らない自分に驚いた。
この様に教育面で取り組み方の違うドイツと日本では、過去の戦争の清算の成果に大きな差があるだけでなく、国民の意識にも違いが出てくる。筆者は海外から見た日本について、この同じ様な歴史を辿りながらも成功したドイツと、未だ長い不景気から抜け出せない日本の違いをさまざまな観点で並べ、その原因を分析している。その一つが教育であるとしている。更に本書では法整備や政策の違いが生んだエネルギー政策の状況、EU内での立ち位置・姿勢、そして働き方の違いにまで、その分析の範囲を広げて論じている。
日本の置かれた状況とは、地政学的にも民族の考え方、倫理観などで異なる点が多く、そのまま真似する事は難しいかもしれない。だがドイツの取り組み方から学べる点も多く、何より国民が過去の行為をどれだけ反省しているか、という点について学ぶべきところは多いと感じる。過去を知らなければ現在位置がわからない。そして未来に向かって地に足のついた建設的な議論を行う事も難しい。本書は2015年頃のものであるから、当時のメルケル体制のドイツの取り組み結果が今なら分かる状況でもある。それらと答え合わせをしながら読み進めるのも面白い。 -
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【ブランドを売れない日本】
「日本のGDPが世界第3位から第4位になりました」
このニュースを聞いたときに新興国に猛追されて追い抜かれたのかと思いましたが、日本を抜いたのは先進国であるドイツでした。
ドイツは日本の70%の人口しかいません。また、労働時間が短いことで有名。
年間有休30日は100%消化して、1年に一回は3週間の休みを取る国。世界一旅行者が多い国。子供に習い事をさせることもなく、夏休みの宿題は禁止されている国。
日本とは真逆。
だから日本より稼ぎが少ないのであれば、納得もいくのですが日本より稼いでいる。この事実は真摯に受け止めるべきです。
海外旅行をするためには休暇も必要ですが、お金も必要になります。これを両立しているのがドイツです。
イタリアやフランスほどではないにしても、ドイツはブランドをうまく養生しています。
特に市場規模の大きい車は、メルセデスベンツ、BMW、ポルシェなどプレミアム価格の高級車にもかかわらず世界中で売れています。車を構成する部品に関しては今やどこも同じで大差がないにもかかわらず、それらの車は高い値付けでも売れるのです。彼らはブランドを売っており、ブランドという形のないものに世界中の人はお金を払っています。
ドイツ人のように仕事と休みを完全に分けて、仕事は生活の糧を稼ぐだけでそれ以上のものではないと割り切るのも重要に感じてきました。
人生は短い、仕事で膨大な時間を費やしている場合ではない、人生を楽しむことが必要です。 -
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□問い:表題の通り
□答え:
① 21世紀に入って日独間の名目GDPの成長率の差が開いた
② 2022年以降のドイツのインフレ、円安(=円のドルに対する交換レートの悪化)の影響
□根拠:
①
2000年〜2022年までの名目GDP成長率
日本 54.6%
ドイツ 115.3%
同期間での1人あたり名目GDP成長率
日本 +9.9%
ドイツ +22.2%
出所 OECD(経済協力開発機構)
②
ドイツのインフレはロシアのウクライナ侵攻が引き金
(天然ガスの輸入はロシアに大きく依存、21年総輸入額の約6割。22年6月後半にロシアが海底パイプラインを通じた供給量を減らし始めて同年8月31日に供給停止。天然ガスよりも価格が2倍程度高い液化天然ガスの調達に切り替えなければならずエネルギー費用が増大し、物価に転嫁された)
円安は欧米の通貨当局は金融引き締めを実施したが日銀はしなかった結果、大きな金利差が生じたため起こった
(ユーロ圏、米国の政策金利はそれぞれ4.5%、5.5% 対する日本は2016年〜2023年までマイナス0.1%)
□所感:
蔦屋書店で目に留まって手にとった
同じ頃にクロースが現役引退との知らせを
Xを通じて知ってドイツのことが少し気に
なっていたかもしれない・・
経済用語、政策について学ぶことができました
アゲンダ2010
シュレーダー元首相(1998〜2005)
労働費用を抑え、企業の国際競争力を高めたのと
同時に失業者数を大幅に減らした
・長期失業者への援助金、生活保護の額を減らし、
給付条件を大幅に厳しくした
・公的健康保険のカバー範囲を狭くし、患者の自己負担額を増やした
・ミニジョブといわれる新しい業態を導入し低賃金労働市場を生み出した
交易条件(Terms of trade)
輸出価格指数/輸入価格指数
貿易で儲けているかどうかの指標
ユーロ導入 2002年1月1日
マルクからユーロへEU域内が統一されたこと
で為替リスクが消失
マーストリヒト条約 1992年2月7日
シェンゲン協定 1995〜
国境の垣根を撤廃、人が自由に行き来
パスポート、税関検査の廃止
米国、英国 小さな政府
市場原理や自由競争を重視
ドイツ 社会的市場経済
社会保障を重視し、政府がつくった枠組みのなかで競争
GDP Gross Domestic Product
名目GDP 実際に取引されている価格に基づいて推計、物価変動の影響受ける
実質GDP ある年の価格水準を基準、物価変動要因が取り除かれている
日独再生のカギは高技能・高学歴移民を増やすこととDX(デジタル化)
ショルツ政権 移民法、国籍法の改正実施
・カナダの制度に倣いチャンスカード導入
滞在期間 1〜2年に
・二重国籍を許可
・チャンス滞在権の導入
電力と医療のデジタル化が遅れている
紙カルテのまま
歴史的背景が要因、個人情報の保護を極めて重視
ナチスドイツの秘密警察、第二次世界大戦後の東ドイツ政府による市民の監視、摘発があった
製造業のデジタル化 インダストリー4.0
2011年 連邦省、環境省などが共同公表
13年経っても完全実装した企業はいない
資金と人材の不足が最大の要因
ドイツ企業の99%が中小企業
2023年 ドイツ カテナ-X、日本 ウラノス -
Posted by ブクログ
タイトルのとおりのことを書いてある、労働改革を考えるための内容です。「◯◯では、」が多く、「出羽守」と揶揄されるタイプなのは否めませんが、なんだこりゃっていう本ではないですし、そればかりかタメになりました。
日本人の労働時間が多いといっても、本書掲載のグラフを眺めるとアメリカや韓国に比べるとまだまだ少ない。ドイツと比べて1人あたりの労働生産性がだいぶ低いと言ってもアジア圏では最上位レベル。でも、もっとうまく労働しようという本は、本書以外にもちらほら本屋で見受けます。
少子化と高齢化がますます進んでいく今後、国力や生活レベルががたんと落ちて落ちぶれないためには、ドイツなどを見習うのはリスクヘッジなのではないか。労働時間を減らそうというのは、もっと怠けようというよりも、もっと労働を洗練させようという腹積もりのほうを強く意識して考えたらいいのでしょう。もちろん、人生そのもの、人間性そのものを考えるというような、ワークライフバランスを大切にする価値観を尊重する意味でも。
会社側、法人側の業績拡大だとかの論理を取る形で日本の政府や社会は動いているけれども、人間側の人間性を大切にする論理をないがしろにしてちゃ、疲弊してしまい、消費者としての面の機能が落ちるでしょうし、豊かな文化だとか人とのつながりだとかも育ちにくいかもしれない、と本書を読みながらいろいろと思い浮かべるように考えていました。
人間性をもっと大事にして、現状の、労働で拘束されながら時間の浪費を強いられる状況をよくできたら、人間の消費者としての面がもっと豊かに育つのではないでしょうか。すると、経済も回る。たとえそうやってみて同じ生産性で経済面は変わらなかったとしても、ウェルビーイングやQOLが高いほうがポテンシャルがありますよね。
また、けっこう深く感じたのですけれども、ドイツ人って、平均するともしかしてかなり孤独なひとたちだったりするのではないか。それは、すごく合理的だっていうからです。孤独についての本を読むと、合理的な考え方が進んだら、たとえば希望なんていう不合理なものをあまり持たないようになっていくっていうんですけ、実際のところはどうなんだろう。あと付け加えるのは、ドイツ人は、義理を欠くのがふつうですし、日本のようなおもてなしやサービスとは真逆のポジションにあることです。なんでもかんでもドイツ人が優れているわけでもないのです。
さて、ここからは引用とそれに対するコメントを。
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日本はドイツと違って、労働時間に関する法律の強制力が弱い。そのため、多くの企業で長時間労働が横行しており、有給休暇の消化率も低い。
端的に言うと、日本の法律は労働者の保護(健康や自由)より、企業側の論理(業績拡大)を優先させている(p15)
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→本書は2017年発行なので、前提としている日本の残業時間は月100時間未満です。現在は月45時間・年360時間まで引き下げられています。ドイツでは、一日の労働時間は多くても10時間までで、6カ月間の平均労働時間は1日8時間以下にしなければいけないそうです。つまり、8時間を超えて働いた日があったら、どこかで6時間にしたりして、トータルでは超過勤務は無しということにしないと法律を侵してしまうのでした。それでも、労働者一人当たりが1時間ごとに生み出すGDPは、ドイツ人が日本人よりも46%多いのです。とても効率的です。
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ドイツから見ると、日本の労働組合は「おとなしい」という印象を受けてしまう。
ドイツの法律で1日10時間を超える労働が禁止されているといっても、当局の監視が弱ければ形骸化してしまう。
その点、ドイツでは「事業所監督局」(Gewerbeaufsicht)という役所が労働時間や労働環境を厳しく監視しており、抜き打ち検査も行われている。(p50)
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→一日10時間以下の労働時間をきちんと守らせるために、こういった国家による強い監視がドイツにはあるのでした。これがないから、日本では労働で健康を害してしまう人が多いのではないかという話に繋がっていました。また、過労死や自殺者が多いことも、こういった点からの改善を望むのはまっとうではないかと思えます。
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なお、アメリカでは法律で最低有給休暇日数が定められていない。ドイツに比べると労働者の権利が制限された、経営者に都合のよ"休暇小国"である。
アメリカのサラリーマンは、休暇中に自分の仕事を同僚に奪われることを恐れる傾向があり、まとまった日数の休暇を取らないことでよく知られる。その背景には、法律で労働者の休む権利が保障されていないという実態がある。(p74)
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→このくだりを読むと、日本はもともとアメリカ型の労働タイプなんだろうな、という気がしてきます。「ビジネス!」「経済!」と仕事を優先してやっていくことにすると、自然とこうなるものなのかもしれません。また、アメリカ人が自分の仕事を奪われる懸念を持っていることについては、恐怖と不安で市民をコントロールする性格のあるアメリカ国家の性格とも一致しますし、経済が最優先という志向には必ずつきまとう強迫観念もはっきり見えていて、大きく言えば「お国柄」なんですが、刷り込まれて染み込んでいるような傾向なんだろうなと思いました。
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また、ある日本人の知り合いは、「日本は健常者でなくてはならない社会だ。身体を壊すと冷たい国だから」と言っていた。日本で有給休暇の消化率を100%に近づけるためにも、有給の病欠を認めるべきだ。(p87)
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→日本人は保っている「秩序」の性質ってこれだと思います。ヘンだと思うもの、まともじゃないとするものは排除する気質がある。ここはなんとか、みんなで克服していけたらいい部分ではないでしょうか。あまりに不当にいきづらい人たちが生まれさせられてしまいますので。
といったところでした。本書が書かれた頃よりも、労働環境は改善への道に乗っているような気がします。それがまだまだだとしても、もっと生きやすく、働きやすく、という方向を向いているのはちょっと喜べます。訴えかけた人や、その声を受けてプランを考えた人、関わった政治家の人たちなどなどの尽力ですね(まだまだ労働改革は終わっていないですが)。 -
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ドイツと日本での仕事に対する向き合い方を比較している。1日10時間労働を厳守し、残業をしないドイツ。一方、仕事の効率より属人化した頑張りにより対応していこうとする日本。ドイツを礼賛、日本を卑下している。
確かに、法制度、会社組織など残業せず仕事を終わらせるための形を作り上げているドイツに対し、日本はそのあたりはあいまいで人間関係に流されてしまっている。
長時間労働をしないためのドイツの制度はよく分かるのだが。限られた時間の中でどのようにドイツ人はパフォーマンスを上げているのかという具体的な説明はない。効率を追い求める国民性との説明に終始しているだけだ。もの足りない。
なぜドイツは日本より短い労働時間で、日本を上回るGDPを計上できる経済力を持っているのか。その具体的な方法を知りたかった。 -
そゆこといってる人もいたはずで
古典の世界では同じようなこと言ってる人もいたはずで。
騒々しけれとか、枕草子かな。
どうしてこんなになってしまったのでしょう、
そっちについて、提言された方がいとおかしな気がします。
まあ、お好みで。 -
Posted by ブクログ
ドイツ人の平均年収は290万、
日本人は300から400万。
それでもドイツ人の方が一人一人の生活満足度が高いとされている。
その要因を3つにまとめて紹介する。
・人に期待しない
ドイツでは、接客が最悪らしい。
サービス業の「接遇」も弱い。
配達も適当。電話対応もめちゃくちゃ。
そんな感じなので、人には期待しないというのが当たり前となっている。
日本人が落ち込む、嘆くという場面はもともとの期待値よりも結果がよくなかったとき。
期待しないことで、無駄に落ち込むこともなくなる。
・お金を使わない
ドイツはお年玉や香典返しなどの文化がない。
生活も質素で、食事は安いパンで済ますことも多々。
日曜日、祝日は全国民が休みなので、そもそも店が開いていなかったりする。
なので、ショッピングや買い物もほどほど。
よく言えば倹約家、悪く言えばケチ。
・仕事より休み
日本人は仕事のために休む。
ドイツ人は、休むために仕事をする。
有給はほぼ100%使い、旅行もどんどん行く。
仕事は生活のための一部でしかないのだ。
結果、一人一人の自己満足が高い国民。