篠月しのぶのレビュー一覧
-
無料版購入済み
無料で5巻まで読んだ感想
「幼女戦記」とタイトルにある通り、10歳そこそこの(オッサンが転生した)女性指揮官が部隊を率いて華々しい活躍をするというもの。
中身がオッサンだけあってか、内容に「少女らしさ」は皆無。
というか、「幼女」の設定すら必要ないのではないかと思う。
人目を惹きつけるために「幼女を主人公にしました」というだけだろう。
内容は非常にシリアスで、かつ現実的。
そもそも部隊が完全に第二次世界大戦と被っており、3巻あたりからは国名や都市名、地図なども現実とダブる。
このあたりがちょっとね、という感じ。
全く違う世界観なんだから、完全オリジナルですべきだったのではないだろうか?
ただし、主人公の「帝国」は間違いなくナチスドイツではあるが、ヒトラー的な存在は出てきておらず、その点は救いか。
(この先、ロンメルならぬロメールという人物が出てくるなど、どんどんネタ切れ感が強くなっていくようだが)
1巻の段階は、まだ作品に慣れておらず、非常に読みずらい。
回りくどい説明文が非常に多く、主人公も「幼女??」的でほとんど素顔を出さず、かわいらしさの欠片も無い。
単なる作者の個人的嗜好で描いているだけか?と思ってしまった。
2巻以降はやや慣れもあって読みやすくなり、3巻からストーリーが一気にテンポよく進み始めるのでスイスイ読めるように。
今度は現実の第二次世界大戦と重なりすぎるというマイナスも出るが、物語としては面白くなる。
また、主人公もようやく「幼女らしい絵」が見られるようになるし、主要キャラで出てくる女性も十分かわいい。
1巻は導入部分と思って耐え、2~3巻以降まで読み進めて判断して欲しいと思う。
ただ、5巻まで読んでも、「幼女」と「オッサンが神によって転生」という設定は必要ないと思え、むしろ普通の少女(16~18歳程度)かつ特殊な境遇出身という事で良かったのではないかとは思うけれど。
-
Posted by ブクログ
僕のすむ村には、入っちゃいけないっていわれる山があるんだけど、入っちゃいけないっていわれると、入りたくなる。でも、その山へ続く橋は他の橋とは全然違ってて気味が悪かった。今思えば、あそこでやめておけばよかったんだ。
***
久しぶりの読書。しばらくヒスイ地方で延々ポケモンを捕まえていたり、なんだりかんだり。レイワ怪談シリーズも早くも5冊目。既刊はこれで読み切り、今後の展開を楽しみにするというところである。今回の巻もゾッとする話ももちろんあるが、やや怖さは控えめでマイルドだと感じる。
1冊目がかなり怖かったので、ちょっとやさしめにしようということにやはりなったのかも?そんな中でも怖かったのは「山の学校」、「禁足地」。「山の学校」は小、中学生に向けて行われる林間学校のようなイベントで起こった出来事。中学生である語り手は、参加している小学生の面倒をみる立場にある。 それ自体は問題がないのだが、今から行われようとしている催し物に問題があった。夜の森を使っての肝試しである。怖い物やお化けにめっぽう弱い語り手は、この催し物が嫌でしかたがない。
小学生をサポートしなくてはいけないので、行かないわけにはいかないし、上級生として取り乱すわけにもいかない。自分の状況を憂いでいると、ボランティアとして参加している姉が、からかいの声を投げかけていた。他人事だと思って面白がる姉に立腹しながら、いよいよ自分の番になった頃、姉が見知らぬ女が混じっていたと言い出す。また、そんなことをいって怖がらせようとしているのだと思った語り手は、この発言をスルー。しかし、既にこの時から、語り手を襲う恐怖はそこまで来ていたのだった。 楽しいはずのイベントで見舞われた恐怖体験。
参加したくない肝試しをこわごわ終わらせ、一息ついている語り手に追い討ちをかけるようだった。この肝試しでなにか起こるのでは?と思っていたが、本当に怖かったのはそこから先の話。肝試しなんて、怖くともなんともなかったと思わせるほどの恐怖。避けたいのに避けられない、むしろ自ら向かっていってしまった語り手はこの後、果たしてどうなってしまったのだろう。この後何があったかは明らかではないが、存在を見つけてもらっただけで満足してくれていたらいいが……。
「禁足地」は入ってはいけない山をめぐる話。小学生である語り手のすむ村には、足を踏み入れてはいけない山があった。その山は『御山』と呼ばれ、長年禁足地として言い伝えられている山らしい。しかし、入ってはいけない明確な理由があるわけではない。理由もなく入ってはいけないと言われれば、真相が知りたくて入りたくなるのが人の性。禁足地である御山は、語り手の冒険心をくすぐるに十分すぎる存在だった。仲のよい友人ふたりと連れだって、御山まで赴いた語り手であるが、語り手達と御山とを隔てる川に掛かっている橋の異様さに早くも来たことを後悔しはじめていた。
怖じ気づき、帰ろうかという相談を始める語り手と気の弱い友人。しかし、もう一人の怖いもの無しの友人が、一人で行ってくると言い出す。とんでもない事を言い出した彼に面食らっていると、明らかに雰囲気がおかしい。いつものハツラツとした表情はみる影もなく。虚無をたたえた無表情。あまりの変貌ぶりに再びぎょっとしていると、不気味な笑みを口の端にはき、制止の声を振り切って、彼はそのまま橋を渡って山に分け入ってしまった……。
何人たりとも足を踏み入れてはならないとされる禁足地。入ってはいけないといわれているが、明確な理由を知る子どもはいない。だから理由が知りたいし、何があるのか知りたいというのが人間だろう。というか、この手の怪談は何で入っちゃいけない理由を子どもにいわないのだろう。大体大事に至った後に「実は……」と話し始める。まさにそこはセオリー通りだが、言っておけばこんなことにならなかったのでは?というのは無粋だろうか。理由が神聖なものならあんまり効き目はないかもしれないが、この度の理由はかなり不穏なものだ。
小学生だったとしても、かなり恐怖心をあおられ近づくこともためらっただろう。出来事自体は大昔にあったことだし、村の負の歴史をわざわざ子ども達に知らせることもなかろうと、隠していた大人達だがそれが完全に裏目に出てしまっている。橋を渡ってしまった語り手の友人は向こう側で何をみて、どんな目にあってしまったのだろう。友人がすでに語る術を持たない今となってはわからない。友人があまりひどい目に合うことなく……。ということを祈るばかりだが、負の歴史の忌まわしさを考えるに、多分そうはいかないだろう。
あと、それともう一つ。先では紹介しなかったが、お気に入りの話を。 「懐かしい広場」というタイトルのこの話は怖い話ではなく、感動する話でもなく、どこか物悲しさを含んだ怪談。地元に帰ってきた語り手が、子どもの頃の思い出を思い返しながら実家へと足を進める。その途中、よく遊んだ公園へ立ち寄った。懐かしい遊具を眺めつつ、さらに奥に足を進め昔遊んだ広場へ行こうとするが、道は途絶えそこにはたどり着けない。たどり着けないことを何となく知っていた語り手だったが、たどり着けない悲しさと寂しさに思わず胸を締め付けられてしまう……。
子どものころにだけたどり着けた公園の奥の広場。そこだけ聞くと素敵なファンタジーだが、大人になってしまったことによってその場所を失ってしまった語り手の心情を考えるとそうでもない。大人になることによって子供の頃に抱えていたものを失ったり、あきらめなくてはいけなくなったりするものだが、それがより一層感じられて、大人の私が読むと胸に刺さって逆にきつい。ひとしきり遊んだ後、帰るときに見た夕日が沈んで紫色になった空を見た時のような寂寥感が胸いっぱいにこみあげてきた話だった。
感想を書きながら、本をめくると、やっぱり怖い話が多いような気がする。私が怪談を読みすぎて慣れてしまったのか?それとも、感動する話が頭に残ってしまって、そのほかの怖さが薄れてしまっているのか。 どちらなのかちょっと判別がつかないが、12月に発売される予定の新刊が楽しみ!
(新刊3月だと思ってたけど、まさかの12月。ほぼ1年後……) -
匿名
購入済み面白いが読み難い
本格軍記物に近い内容は面白いですが
小説文としてはかなり読みづらさが目立つ作品です。
コミカライズは、その点をうまく消化して更に原作小説で書ききれなかった登場人物相互の認識齟齬など補う良作となっているため
作品世界を楽しむ上でも小説と合わせて読むことをお勧めします。
戦争の未来を歴史として知ってしまっている主人公と、その歴史を紡ぐ側故にその危機を全く理解出来ない異世界人。そのギャップ故のチートと、理解されない苦痛。ユーモアを交えて陰残な表現少なく進められる物語は、読み手を「戦争を盤上のゲームとしてしか捉えられない」擬似的な狂人の世界へ誘います。
今の段階では
幼女に転生している主人公の心身のギャップへの苦悩が作中でいまいち機能していないよう。
今後、それが決定的要素となる展開が出てくるかは注視したいところです。
欠点として
近代戦争史の基礎知識が不足していると、戦況描写や皮肉表現など各所で「?」となる。
心理描写とセリフ表現の順序立ての悪さとバランスから、ページを遡って見直さなければ会話の繋がりがわかりにくい。
などの読みづらい点が目立つため、気軽に読むには苦痛な作品です。 -
Posted by ブクログ
さて、分厚い戦争物の小説第2巻。
ネットで見る限り、やはりこの本は読みにくいという感想が多いですね。私もそうです。他の小説の倍以上の時間がかかってます。1冊10日くらいのペース。このままだと予定どおり読み終わらなくて困る。
さて、2巻は1巻で創設された第二〇三航空魔導大隊の初陣。大した考えもなく侵攻を開始したダキア公国軍の前近代的な軍隊を、見事なまでに標的にして、演習にしてるところがなんともはや。
60万という規模で浮き足立つ参謀本部に対して、歩兵なぞ相手にならんと蹂躙する大隊。この小説のメイン舞台となる大隊の記念すべき初陣です。
ダキアからノルデンへの転戦。ここでも圧倒的な大隊。参謀本部の空気を読んで、参謀会議を大荒れにする荒技。凄い図太い神経(笑)
協商連合戦線は、揚陸作戦を成功させて、早くも終盤戦。キーパーソンのアンソン大佐も登場です。しかし、小説だとだいぶ扱いが雑なんだなあ。
しかし、この辺りから最高統帥会議との溝ができてますね。
最後は、ラインにまで飛ばされます。どこまでも便利使いですね。アレーヌでの非人道的な状況が、戦争なんだなあ、と。
しかし、合理的に考えすぎて、また色々と誤解が生じてますね(笑)
それにしても、かなりマニアックな軍事ネタが多くて半分以上、意味がわからん。 -
Posted by ブクログ
偉大な将軍の逃れえない死、致命的なすれ違いの外交、そして同盟国への攻勢。
いよいよ物語は終盤へ向かって行くが、読者の私は盛り上がるかと言うとそんなことはなかった。
第一に、主人公が自分の置かれた状況から逃れることばかり考えており、もはや物語の中心ではなくなっている。
第二に、この巻で起こる事件は明らかに第二次大戦中の事件をモチーフにしているのだが、あまりにそのままで捻りがない。例えるなら、スープを注文したはずが、野菜とレシピが乗った皿だけを客に出されたような。作者が手を抜いているとしか思えない。
第三に、主人公が悲壮な決意を固めたある人物に対して、その朋友を最も効果的な殺害を献策しておきながら、自分は「平和主義者」「常識人」と弁明を続け部下のキャリアを尊重する素振りを見せる白々しさ。サラリーマンのセンスを通り越した詭弁を見ているようだ。
前巻までの「予備計画」をめぐる軍高官の暗闘の方が、よほど読みごたえがあったと思うのは自分だけだろうか。