エドワード・ケアリーのレビュー一覧

  • 望楼館追想

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    初めてケアリーを読みましたが、冒頭からの掴みと、その後のストーリー展開や物語の順序が巧みだなーと感じました。独特の文体と展開が、長い物語を飽きずに読ませてくれます。巻末の付録が最高です。

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    2025年08月11日
  • 肺都

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    ネタバレ

    アイアマンガー三部作の完結編.
    ロンドンに乗り込んだアイアマンガー一族とロンドンとの戦い.
    主人公のクロッドは,結局一族側につくことになるが,許嫁のピナリッピー,途中で拾ったベネディクト(ビナディット),結集(という名前のものです),もう一人の主人公のルーシーも絡み,最後にはビクトリア女王も登場して,三部作は終焉を迎える.最終章の文体が好きだな.クロッドは例の力(元々の能力,ではなく,第三部で身につけた力)をまだ持ってるのだろうか?

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    2024年09月21日
  • 堆塵館

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    アイアマンガー三部作のうちの第一部.
    ロンドン郊外のゴミの山に築かれたゴミ邸宅にすむアイアマンガー一族.その中のクロッド少年と家政婦として外部からやってきたルーシーが主人公で,アイアマンガー一族は生まれてすぐに「誕生の品」をそれぞれ贈られ,それを一生身につけて暮らすという謎の習慣があるが,実は誕生の品とは・・・というお話.
    なかなか奇妙で,「シザーハンズ」や「チャーリーとチョコレート工場」と言ったら通じるか?

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    2024年08月26日
  • B:鉛筆と私の500日

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    コロナ禍で毎日一つスケッチを書くと
    宣言し
    人物 架空の精霊 動物達を描き
    SNSに投稿
    それにしても凄い
    人物は表情豊かでなにか
    語りかけてきそうな感じ
    犬の目や鳥の目
    犬は愛くるしいものから淋しいものまで 毛並みまで艶々している
    鳥の目と嘴は鋭く野生そのまま

    500日で終わったが
    これらの作品を10分から1時間半くらいで書き上げたというのにも驚く
    人の創造する力は無限だ

    無理だけどスケッチしたくなった
    B型鉛筆よ永遠なれ
    ちびた鉛筆の山の写真が
    流れた時間を感じさせてくれる

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    2024年05月04日
  • 肺都

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    ネタバレ

    3部作をまとめての感想。

    簡単に言うと
    内気な少年クロッドと勇敢な少女ルーシーの愛の物語。

    もう少し長くすると
    ゴミを支配する権力者アイアマンガー一族、アイアマンガー一族の力の源である「誕生の品」になる普通の人々、ゴミを嫌悪するロンドン市民、はてはヴィクトリア女王までを巻き込んで進むゴミと物と愛の話。

    物が自分の名前を語ってクロッドに話しかける箇所がとにかく好き。

    浴槽栓「ジェームズ・ヘンリー・ヘイワード」

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    2023年08月20日
  • 望楼館追想

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    とにかく最初から濃い。半分迄はなかなか入り込めず疲れてしまったが後半父母の記憶の章からは一気読みだった。前半と後半で味わいが変化する、というより早々キャラが減ってしまった時にはどうするの?!と思ったけれどそれもあの建物の歴史の一つとして飲み込まれた。まさにアイアマンガーシリーズで描かれた話の萌芽がこの作品にはある。物に刻まれた沢山の記憶達、そしてその際たる物はその建物そのものなんだという事。主人公のフランシスは奇妙な男だけれど妙に親近感を覚えるのも不思議ではあった。

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    2023年06月18日
  • 呑み込まれた男

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    ネタバレ

    『The other side of ピノッキオ!ジュゼッペ爺さんの物語』

    ピノッキオを探しているうちに巨大魚に呑み込まれてしまったジュゼッペの、魚の腹の中での生活を綴った物語。暗闇の中でただ一人生活するジュゼッペの機微を、作者の挿絵が効果的に描く。自分だったら気が狂いそうだな…

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    2022年10月19日
  • 呑み込まれた男

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    圧倒的な孤独。巨大な鮫に飲み込まれてピノッキオのバッポであるジュゼッペ爺さん。鮫のお腹の中での二年間の孤独が幻影、記憶、悔恨、ピノッキオへの想いと、さまざまな創作物とともに描かれている。最後に現れたピノッキオは、幻影か、、死への誘いか。少し怖さと狂気を感じながら読みました。

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    2022年10月15日
  • 呑み込まれた男

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    エドワード・ケアリーが作り出すもう一つのピノッキオ物語。呑み込まれたおじいさんは暗闇でどのように生き、考えたのか?
    冒頭から引き込まれ一気に読みました。この本は面白いです。

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    2022年08月27日
  • おちび

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    ロンドンの蝋人形館の創始者として有名なマダム・タッソー。
    フランスで生きた若い頃の波乱の人生を描きます。
    マダム・タッソーが描いたことになっている、筆者の絵も魅力的。

    マリーは可愛いとは言えない特徴のある顔の、小柄な女の子。
    早く両親を亡くし、ひたすら働き続けます。
    医師のクルティウス先生のところに住み込み、蝋で人体のリアルなパーツを作る手伝いもしました。
    やがてパリに出た医師は、蝋人形で評判をとります。
    大家である未亡人は癖が強い人物で、マリーを嫌い冷たく当たりますが、最後には態度を軟化させるのが意外な展開でちょっとほっこりしました。

    ベルサイユ宮殿でルイ16世の妹と親しくなったマリー。

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    2022年04月14日
  • おちび

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    ネタバレ

    1761年、スイスの小さな村で生まれたマリーは、父を亡くし町の医師クルティウス博士の家で母と共に働くことに。だが、人馴れしない博士の仕事とは病院から運ばれてきた遺体の型を取り、蠟で標本を作ることだった。クルティウスの弟子となり型取りの技術を身につけたマリーの運命は、舞台が革命前夜のパリに移ってから大きく動き始める。ロンドンの蝋人形館で有名なマダム・タッソー(本名マリー・グロショルツ)の前半生にスポットをあて、イマジネーションを駆使して個性豊かな人びととの出会いと別れを描いた自伝風歴史小説。作者本人による挿絵付き。


    マダム・タッソーの来歴をぜんぜん知らなかったので驚く展開のたびにWikiを開

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    2022年01月13日
  • 飢渇の人 エドワード・ケアリー短篇集

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    表現の仕方がたまらなく好き!

    動物や昆虫に家族の名前をつけて寂しさを紛らわす1人者だったり、頬張る様子が『空豆が空豆を追いかけて、体のなかに入っていく』と表現されていたり、目の付け所がとてもユニーク!

    甲乙つけがたいんだけど、「私の仕事の邪魔をする隣人たちへ」と「かつて、ぼくたちの町で」が特に好きかな。

    ミニマリストだけど、この本は所有したいと思った。

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    2021年10月14日
  • 肺都

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    ページ数が少なくなるにつれて、ああ、まだ終わらないでと思ってしまうくらい、愛しい物語でした。

    訳者のあとがきを読み、作者の物に対する溢れるほどの想いの深さを知ると共に、物語のテーマの深さも伺い知れたような気がします。物と人との関係性について。それは、決して薄いものではないこと。特に、ローランド・カリスの生き方は考えさせるものがあったし、彼の行動は意外だった。

    また、終盤のアイアマンガー一族の展開については、因果応報という言葉も浮かんだが、結末を見ると、そうでもないと思えました。こんな結末にすることも出来るのだと。クロッドもルーシーも本当に感情を激しく動かされて、色々と大変な思い、経験もして

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    2020年11月28日
  • おちび

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    おもしろかった…!
    ずっと読みたかったんだけど値段にビビって買えずにいた♡
    結果買ってよかった…!久々に続きが気になって睡眠削ってまで読んでしまった。
    大好きなマダムタッソーミュージアム。
    本当楽しくて何回も行ってるけどその歴史は全然知らなかった。

    まさかのこんな苦労人の女性だったなんて。
    もちろんこちらはフィクションではあるが、エリザベート王女に仕えてたことやマリーアントワネット達のデスマスクを作成してたなんて…
    その時代の作品って沢山あるけどまた新しい視点から見たパリでとてもおもしろかった。

    クルティウス先生はフィクションの中の登場人物感が拭えなかったけどみんな必死に生きててよかった。

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    2020年11月23日
  • 穢れの町

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    舞台はルーシーの故郷、穢れの町へと移り、辛い現実を、さも当然であるかのように受け入れている人々に対するルーシーの勇気ある行動が気高く、まるで革命を起こす中心的人物であるかのよう。

    ルーシーに負けず劣らず、クロッドの成長も清々しいものがある。かつてはアイアマンガー一族であることに、なんの疑いもなくひっそりと暮らしていたクロッドが、ルーシーと出会ったことで、世の中を見つめ直し、自分に出来ることを見いだしながら、
    「自由でなくちゃおかしい。」とまで言うようになったのだから。こんなに行動的じゃなかったのにね。

    こうした二人の成長も含めて、物語の展開に入り込んでしまうのは、どんな境遇であっても、挫け

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    2020年11月13日
  • 堆塵館

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    最初こそ、設定の奇抜さに戸惑ったが、世界観を理解した瞬間、変わりました。これは面白い。

    十代の少年少女向けに書かれたというのも、奇妙な絵や世界観でありながら、単純に「クロッド」と「ルーシー」のハラハラドキドキの大冒険にハマってしまい、読書の止めどきが難しい感じで分かる。

    それにしても、この世界観、私は好きですね。
    人々から捨てられたもので造られた館の周りに、更に屑山があり、館の地上と地下で住む人々が分けられている、この設定自体がひとつの人生を象徴しているようにも思えてきます。前者は私の嗜好で、後者は私の性格なんてのは、悲観的すぎるだろうか。

    更に、その屑山の中から価値のあるものが誕生する

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    2020年10月30日
  • 肺都

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    ネタバレ

    アイアマンガー3部作、ついに最終作。いや、スゲー最後を飾るにふさわしい力作!
    ページ数も中身の詰まり方も圧倒的ボリュームで読み応えたっぷり。

    アイアマンガー一族を葬り去ろうとするイギリス政府、反撃を企てるアイアマンガー一族。その2つの対立を基軸に、それぞれの勢力や第3勢力群の複雑に絡みあう利害関係、肺都ロンドンを舞台にそれらの対立と共闘がダイナミックに繰り広げられる様の圧倒感。なんだかゼータガンダムの後半を思い出してしまう、そういや登場人物たちのセリフの熱さもそれっぽい…。

    スゲーのは、その血沸き肉躍る闘争劇が、ゴミと糞尿と塵煙にまみれて行われるところ。主人公はゴミの声を聴きゴミを動か

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    2020年10月12日
  • おちび

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    主人公の「おちび」(原題はLittle)とはマダム・タッソーのこと.例の蝋人形館には30年ほど前に行ったことはあってタッソーとは設立者だろうな,ぐらいにしか思っていなかった.7歳でパリに連れられてきた彼女がフランスで革命の激動に巻き込まれ,41歳でイギリスに渡るまでの期間を描いた話.
    どうやら史実にフィクションを重ねているらしいが,愛を与えられなかったおちびの切ない物語である.とはいえ悲壮さはなく,ディケンズ(最後の方にちょっとだけ名前が出てくる)風の人間ドラマである.

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    2020年09月12日
  • 堆塵館

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    三部作、貪るように読みました。子供の頃ハリーポッターにハマった時と同じ気分を味わえました。
    ティムバードンの世界観が好きな人にはおすすめ。映画化に期待…!

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    2020年07月24日
  • おちび

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    ロンドンに実在する蝋人形館の経営者であるマダムタッソーの人生を描いた作品。
    決して美人ではなく、恵まれた環境にもおかれないマリーが、たくましく、貪欲に、力強く人生を生きていく姿が一冊を通して描かれていると思います。
    この物語の面白いところは聖人君子のような人間が出てこず、全員が一癖も二癖もあるような登場人物であるところ。わたしは、クルティウス先生が好きです。
    いかんせん文量が凄いので、最初は読み進めるのに苦労したけれど、マリーがパリに渡ってからは怒涛の展開で、ページをめくる手が止まらなくなりました。
    本当に素晴らしい作品に出会えた時は、一晩眠れなくなって誰かに読んだ本の話をしたくなるんだなと気

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    2020年07月06日