YAとして書かれた作品のようだけど、YAでは売れそうにないので一般向けとして売っている、という印象の本。
日本の中高生に受けるかは疑問。誕生の品含め、すさまじくたくさん名前が出てくるので、翻訳小説が苦手な人にもおすすめできない。
絵と設定は魅力的。ディケンズ的でもあるし、ティム・バートンのアニメ(
...続きを読むで見たい!)のようでもある。
ゴミで財をなした一族が世間的には地位が低いのに、実際は貴族のような暮らしをしているというのも、キリスト教徒がしたがらない金融業でのしあがったユダヤ人や、インドの不可触民の富豪を思わせ、象徴的。
ただ、この本ではまだ話が始まったばかりで、謎も多く残されたまま。これ続刊が出るほど売れなかったらどうするつもりだったのだろうか。
苦言をいうなら、キャラクター設定は陳腐。ひ弱な劣等生だが実は隠された能力のある貴族の子と、容姿には恵まれないが勇気と知恵のある召使が惹かれ合うとか、意地悪な優等生、見捨てられる変り者、不気味な支配者などは今までにもたくさんあったので、今後どうひっくり返してくれるかにかかっているが、主人公が能力に目覚めて召使とともに力を発揮し、敵を倒し、謎を解き、社会を改革するなんてことのないようにお願いしたい。