エドワード・ケアリーのレビュー一覧

  • 堆塵館
    ゴミの山に囲まれた館,堆塵館は一つの宇宙である.この世界の中の秩序はアイアマンガーと分かち難く結ばれた誕生の品にかかっているようだ.一人の少女ルーシーがアイアマンガーのクロッドと出会い,その逢瀬が恋と館の崩壊へと進んでいく.最後,クロッドの善良なる心の結果のもたらしたものを思うと残念で,だから次の巻...続きを読む
  • 肺都
    三部作完結。あとがきにもあったけど、本当に読み終えるのが惜しかった。先が気になるけど、まだまだこの世界観に浸っていたいっていう感覚、ありそうでなかなか味わえない。そういう意味でも希少な読書体験でした。何となくわかっていたことだけど、改めてアイアマンガーと物との関係性が明らかにされ、多くの人が犠牲にな...続きを読む
  • 堆塵館
    BURRN!の書評欄で、そこを担当する本訳者自身が勧めているのを見て読みたくなった作品。まだ三部作の一だけど、のっけからグイグイ惹き込まれる内容。ゴミ屋敷が舞台で、冷静に考えると気持ち悪くなってくるんだけど、たぶんそこに住まう人同様、読み手の側もだんだん慣れてマヒしてくる。人とモノの関わりが物語の中...続きを読む
  • 堆塵館
    物語の舞台となるのは19世紀後半のロンドンのはずれにあるゴミ捨て場である。そのゴミ捨て場中央には大きな屋敷が鎮座し、アイアマンガーという一族が付近を管理・支配していた。
    アイアマンガー一族には生まれつき誕生の品が与えられる。誕生の品は大事なもので肌身離さず持っているというのが、決まりであった。
    そし...続きを読む
  • 堆塵館
    表紙を見ただけで絶対この本面白いと思わせる妖しさ!表紙も中のイラストも、ちょっとグロテスクなんだけどこの本の世界観がこれ以上無いくらいに表現されている。
    まず設定がすごくて、アイアマンガー一族がみんな誕生の品を肌見離さず持っていること、それが一つ一つ名前があって自分の名前を喋ること、クロッドにだけそ...続きを読む
  • 肺都
    550ページを一気読み。
    うん、満足。

    ロンドン市民や貴族たちからは、アイアマンガ―一族や穢れの町の人々など、一段下の人間、または人間以下としか 見られていない。
    しかし原因不明の伝染病が蔓延し、人々はより安全なロンドンへと向かう。
    もちろんロンドンはそれを阻止するために、彼らを迎え撃つ。

    いっ...続きを読む
  • 穢れの町
    いやあ、なんだろう。
    ゴミがあふれかえり、汚物にまみれ、ネズミが逃げ出し、虫が湧く。
    そんな世界の話なのに。
    クロッドもルーシーも決して美形でもなければ清潔でもないのに。
    彼らの愛は美しいと思う。

    ロンドン中のごみの処理を一手に引き受けるアイアマンガ―一族。
    しかし、彼らにとって金の生る木であるゴ...続きを読む
  • 堆塵館
    え~!!
    ここで終わり?
    これじゃ、すぐに続きを読むしかないじゃん!

    というのが読み終わった直後の感想。
    週刊少年ジャンプ並みの引きの強さ。

    19世紀後半、ビクトリア女王の頃のイギリス…からちょっとずれた位相にあるロンドン郊外にある巨大なゴミ屋敷が舞台。
    何しろ地上7階、地下6階の建物に一族みん...続きを読む
  • 肺都
    命が助かるためでも、トースト立てに戻ることを拒絶したローランド・カリスの矜持が痛ましい。私が物に変わるとしたら、何だろうと考えてしまった。理不尽な命の奪われ方をした穢れの町の子供たちもいるので、ハッピーエンドとは言えないけど。エレナーの家族は元に戻れたのか。理不尽な命令を下すウンビットと、子供を助け...続きを読む
  • 穢れの町
    アイアマンガー三部作その2。
    解説の深緑さんが想起する作品群を列挙してくれている!ディケンズ、エンデ、マーヴィン・ピークの<ゴーメンガースト>シリーズ、レモニー・スニケット<世にも不幸なできごと>シリーズ、ジャン=ピエール・ジュネ&マルク・キャ呂『ロスト・チルドレン』、宮崎駿『天空の城ラピュタ』、大...続きを読む
  • 堆塵館
    映画の「東京ゴッドファーザーズ」や「ミックマック」をイメージしながら。
    ごみ山って魅力的なんだよなあ…臭くなければ。
  • 堆塵館
    「絶賛意見が多いけど、ジュブナイルものだから微温いんだろうなぁ」と失礼なことを思いながら読みはじめたところ、傑作。

    それまで寓話的と思われたストーリーがぐっとリアルになる中盤の展開には唸ってしまう。
  • 肺都
    先の展開も、行き着く先も全く予想がつかず、本当に完結するのかとハラハラしたけれど、ちゃんと大団円を迎えたので安心、そして大満足。
  • 穢れの町
    英国の話だけど、何かフランス革命を連想した。月桂樹の館はバスティーユ、クロッドがオスカル、ルーシーがアンドレ?クロッドのように誕生の品を同等に扱うのは少数派なんだろうな。いざ、ロンドンへ。アイアマンガーよりロンドンの方が容赦ない。真の敵は誰?
  • 堆塵館
    これが児童文学なのか。名前が力を持つ。ロンドンの汚穢を引き受けた一族。富を持つと同時に、差別もされる。当時のロンドンやパリってあまり清潔ではなかったんだな。そういうところはオースティンもブロンテ姉妹も描かない。江戸の方が多分清潔。これからはゴミ屋敷ではなく、堆塵館と呼ぼう。幼い恋の行く末がどうなるか...続きを読む
  • 望楼館追想
    ジョジョの敵キャラだけを集めて話を作ったら・・・? というお題を出されたらこの本を出せば良い。というほどに登場人物全員が異質で奇妙で偏執狂的だ。
    特に素晴らしいのが主人公の性格がめちゃくちゃ悪い事である。息をするように物を盗み、自分のコレクションにする。この「盗む」ことが重要で、社会から外れた主人公...続きを読む
  • 肺都
    読み終わってしまった・・・。
    おもしろかった。しばらくたったら再読しよう。

    また違った発見があるようなそんな奥深い本です。
  • B:鉛筆と私の500日
    幻想的かつユニークな小説で私たちを楽しませるエドワード・ケアリーが500点ものスケッチを描き、1冊の本が出来上がりました。コロナ禍の世界を憂い、時に希望を見出して日々を記録しています。
  • 穢れの町
    まさに”怒涛”の展開!
    1部の終わりが「ええっ!!!」で終わったので、続きが楽しみな続編です。
    第3部の完結まで発行されてから購入、読み始めたので、1部と2部の間隔があまり空いていないからいいものだけど、これ発行当初に読んでいたら待ちくたびれて、狂いそうなレベルです。

    2部の主役は、完全に召使の女...続きを読む
  • 呑み込まれた男
    エドワード・ケアリーはとにかく日常に溢れる小物達、特に日用品達を生きている対象物として描く事が持ち味なんだけれども今回もその味わいがこれでもかと発揮されていた。ストーリーはピノッキオの生みの親ゼペット爺さんが魚の腹で独り暮らしていた時の話。爺さんが孤独を紛らわす為に手に入ったもので日記を書き、絵を描...続きを読む