エドワード・ケアリーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ロンドンに実在する蝋人形館の経営者であるマダムタッソーの人生を描いた作品。
決して美人ではなく、恵まれた環境にもおかれないマリーが、たくましく、貪欲に、力強く人生を生きていく姿が一冊を通して描かれていると思います。
この物語の面白いところは聖人君子のような人間が出てこず、全員が一癖も二癖もあるような登場人物であるところ。わたしは、クルティウス先生が好きです。
いかんせん文量が凄いので、最初は読み進めるのに苦労したけれど、マリーがパリに渡ってからは怒涛の展開で、ページをめくる手が止まらなくなりました。
本当に素晴らしい作品に出会えた時は、一晩眠れなくなって誰かに読んだ本の話をしたくなるんだなと気付かせてくれた作品でした。 -
Posted by ブクログ
物語の舞台となるのは19世紀後半のロンドンのはずれにあるゴミ捨て場である。そのゴミ捨て場中央には大きな屋敷が鎮座し、アイアマンガーという一族が付近を管理・支配していた。
アイアマンガー一族には生まれつき誕生の品が与えられる。誕生の品は大事なもので肌身離さず持っているというのが、決まりであった。
そして主人公、クロッドは誕生の品の声が聞こえるのだ。
歴史的背景とファンタジー的設定が絡まり合って独特の世界観をなした本作は、特殊な能力を持ったアイアマンガーであるクロッドと無理やりアイアマンガー家に連れてこられた孤児のルーシー・ペナントという2人の人物を中心にして、読者の前で何度も何度も万華鏡のように展開を、世界を、変えてみせる。
そして、誕生の品やアイアマンガー一族の謎など驚くべき答えを見せつけながら予想もできない方向に物語を飛ばしていくのだ。
最初から最後まで面白く、打ちのめされるようなファンタジーの傑作。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ表紙を見ただけで絶対この本面白いと思わせる妖しさ!表紙も中のイラストも、ちょっとグロテスクなんだけどこの本の世界観がこれ以上無いくらいに表現されている。
まず設定がすごくて、アイアマンガー一族がみんな誕生の品を肌見離さず持っていること、それが一つ一つ名前があって自分の名前を喋ること、クロッドにだけその声が聞こえる(後に一族で何人かはそれが可能であることが判明するが)ことなどなんじゃこれはと思いながらもグイグイ引き込まれて、クロッドや、ルーシーに同調せずにいられない。
児童むけ?らしいが。ハマった。
早く続きを読みたい気持ちでいっぱいです。 -
Posted by ブクログ
550ページを一気読み。
うん、満足。
ロンドン市民や貴族たちからは、アイアマンガ―一族や穢れの町の人々など、一段下の人間、または人間以下としか 見られていない。
しかし原因不明の伝染病が蔓延し、人々はより安全なロンドンへと向かう。
もちろんロンドンはそれを阻止するために、彼らを迎え撃つ。
いったい何が原因でこんな戦いになってしまったのだろう。
最初はアイアマンガ―一族の話だったのに。
物やごみがあふれかえった堆塵館に住んでいたアイアマンガ―一族は、結集という、ごみが互いに引き寄せあいくっついて、巨大化する現象のため住む家を失った。
穢れの町では、人間が物に代わる奇妙な病気が流行っていた。
あふれかえるごみと、人間がゴミになる病を連れてロンドンに来たアイアマンガ―たちは何を企んでいるのか。
アイアマンガ―たちも穢れの町の人たちも、ロンドンの人たちですら次々に命を落としていく。
これは、自分たちの居場所を求め、守るための戦いの話だったのか。
いやいや、やっぱりこれはクロッドとルーシーの愛の物語だったのだ。
200ページを過ぎるまでルーシーの生死はわからない。
ルーシーの生存が明らかになるとクロッドに危機が迫り、クロッドが危機を脱出するとルーシーが敵に襲われ…。
少しずつ近づいているはずなのに、なかなか出会えない二人。
構成の妙は目次にも表れている。
第1部 外から見ると
第2部 中から見ると
第3部 裏が表に
第4部 表が裏に
第5部 逆さまに
幕切れ 新しい居場所
でも実は一番純愛だったのは、クロッドの婚約者のピナリッピーじゃないかと思う。
クロッドがルーシーを愛しているのを知りながら、年上で、毛深い自分を振り向いてくれないかと願う。
そのためにはルーシーの命を奪うことになっても構わない。
大事なのはクロッドと自分だけ。
ものすごく自己中だけど、純愛ってそういうものじゃないかしら。
自己中と言えば、物に執着する私たち。
物はいつかゴミになる。
壊れたら、汚れたら、年月が経ったら。
ゴミになるはずのものを大量に抱えている私たちが、アイアマンガ―であり、ロンドン市民なんだなあ。きっと。
ゴミと汚物にまみれた物語の最後は、生き残った者たちの安らぎの日々。
初めて居場所を得た人たちの穏やかな表情は、あの苛烈な日々があったからこそなのか。 -
Posted by ブクログ
いやあ、なんだろう。
ゴミがあふれかえり、汚物にまみれ、ネズミが逃げ出し、虫が湧く。
そんな世界の話なのに。
クロッドもルーシーも決して美形でもなければ清潔でもないのに。
彼らの愛は美しいと思う。
ロンドン中のごみの処理を一手に引き受けるアイアマンガ―一族。
しかし、彼らにとって金の生る木であるゴミに執着しすぎて、ついにごみの山に飲み込まれてしまった堆塵館。
物に執着しすぎて、物と人間の区別すら曖昧になる。
前巻で堆塵館から逃げ出そうとして果たせなかったクロッドとルーシー。
その生死すら定かでないまま巻は終わったのだが、この巻で二人は物に変えられ、離れ離れになっている。
クロッドは殺人鬼・仕立屋によって、ルーシーはゴミと一体化した人間・ビナディットによって人間に戻され、運命は二人を再びめぐり合わせる…のだけど、この事態を引き起こしたアイアマンガ―を止めるため、自分のするべきことをするために、二人は再び離れ離れに。
一族に取り囲まれてしまったクロッドと、雪崩のように押し寄せるゴミと業火に包まれたルーシー。
ふたりの運命は!?
ってとこでまた、次巻に続く。
ロンドンから離れたところに、ロンドン市民が見えないように、隔離され、押し込められていたゴミが、その臭気が、毒が、ロンドン市民を侵し始める。
その穢れをこれ以上拡散させないようにロンドンが決定したことは、穢れの町を焼き払うこと。
ゴミは出すけれども、後処理は見えないところに任せるロンドン市民は、現代の私たちと同じである。
そして抑えることのできなくなった穢れを、焼き滅ぼして清潔と言い張るのはまるで…。
この話が一体どのように終わりを迎えるのか。
あと一巻で終わってしまうのがもったいない。
こんなに穢れに満ちた世界なのに、離れがたいと思わせる筆力。
ああ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレえ~!!
ここで終わり?
これじゃ、すぐに続きを読むしかないじゃん!
というのが読み終わった直後の感想。
週刊少年ジャンプ並みの引きの強さ。
19世紀後半、ビクトリア女王の頃のイギリス…からちょっとずれた位相にあるロンドン郊外にある巨大なゴミ屋敷が舞台。
何しろ地上7階、地下6階の建物に一族みんなで住んでいて、館の中には駅まであるのだから、その巨大さも知れようというもの。
主人公のクロッドは純粋なアイアマンガーの一族として、地上に部屋を持ち、大勢のおじ・おばや従兄弟・はとこたちと暮らしている。
両親は彼が生まれてすぐに相次いで亡くなり、彼が物の声を聴くことができるという特殊能力を持っていることで、一族の人たちに蔑まれ苛められているため、親しく付き合っているのはいとこのタミスくらいのものだった。
もう一人の主人公は、何代か前までアイアマンガーだったという血筋の孤児の少女・ルーシー。
純潔ではない彼女は下働きとして地下の召使い部屋で暮らし、上の人たちと出会うことは禁止されていた。
しかしクロッドとルーシーが出会ったことにより、堆塵館に住むアイアマンガー達に大きな異変が起こり始める。
物事は見た目どおりではない。
アイアマンガー一族は、生まれた時に何か一つ『誕生の品』を与えられ、それを片時も手放すことなく大切に扱わなくてはならない。
人と物が一対なのである。
アイアマンガー一族がゴミの山に隣接するゴミ屋敷に住んでいるのは、もともとゴミ拾いだった先祖が、ごみの中から価値のあるものを見つけ出してはそれを売ることによって財産を得てきたから。
その強引な取引方法によって、周囲の住民たちからは忌み嫌われている彼ら。
アイアマンガーと非アイアマンガー。
純血とそうでないもの。
きっちりと線を引き、そこに上下関係を固定させ、かれらだけの理屈で存在するアイアマンガー。
ゴミを出し、ごみの処理をアイアマンガーに押しつけながら、彼らを忌み嫌うロンドン市民の姿は、現代の私たちに通じるものがある。
と、最初は思いながら読んでいたが、読み進むにつれ「千と千尋の神隠し」を彷彿とさせてくる。
見た目どおりではない物事。
汚染されたゴミの山に押し流されそうになり、逃げ惑う人々。
ゴミが結集してできている巨大な人型がとめようもなく暴力的に暴れ、そしてほどけていく様子は正に「カオナシ」のシーンそのものだった。
名前を奪われたルーシーを助け、ふたりで堆塵館から脱出しようとするクロッド。
で、ふたりの逃避行はどうなったのかが分からないまま(というか、失敗したっぽい?)、第2部に続くのだ。
これは読まなきゃいられないでしょ。
私は「千と千尋の神隠し」をイメージしたけど、書評家の杉江松恋氏は「未来少年コナン」だという。
作者は宮崎駿のファンなのかもしれない。
でも、ごみ溜めの悪臭と不快な感触は、「千と千尋の神隠し」なんだよなあ。
最後に、なぜ生きもの全てに惜しみない愛情を与える心優しいタミスは、一族の人から軽く扱われていたのかが気になる。
優しすぎて、心が弱いことがそんなに悪いことなのか。
タミスは…本当にいい子だったよ。 -
Posted by ブクログ
命が助かるためでも、トースト立てに戻ることを拒絶したローランド・カリスの矜持が痛ましい。私が物に変わるとしたら、何だろうと考えてしまった。理不尽な命の奪われ方をした穢れの町の子供たちもいるので、ハッピーエンドとは言えないけど。エレナーの家族は元に戻れたのか。理不尽な命令を下すウンビットと、子供を助けなさいと命を下したヴィクトリア女王。君臨する者の差が出たね。1876年ってヴィクトリアがインド皇帝になった年なのね。この年を舞台に選んだことと関係あるのかな。ルーシーは最強だった。クロッドはやっぱり優しかった。ウンビットみたいに無慈悲にはなれなかった。だから生き残れたのね。
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Posted by ブクログ
ネタバレ小中学生以来読んでいなかった海外ファンタジー。
時間は掛かったけど最後まで楽しめた。
劇場の中に呪いで閉じ込められ、狭い世界で生きてきたイーディス。大好きな街ノリッジを救ったのは広い世界を知っている大人ではなく、劇場の中で生きてきたイーディスだった。
狭い世界で生きていたからこそ、これまでノリッジで起きた事やマーガレットの不穏さに気付けた。
大人達が見ていたのは地位・権力・お金。
イーディスはノリッジの全て。
そしてマーガレットが話す事と自分が知っているノリッジとの違和感。
イーディスはそんな些細な違和感からノリッジを救う為に大きく動き出す。
大人になるにつれて世界は広がるけど、だからこそ見えなくなるものもある。肩書きや地位、環境で正しさを決める。そんな皮肉も込められているように思えた。