感情タグBEST3
Posted by ブクログ
とにかく最初から濃い。半分迄はなかなか入り込めず疲れてしまったが後半父母の記憶の章からは一気読みだった。前半と後半で味わいが変化する、というより早々キャラが減ってしまった時にはどうするの?!と思ったけれどそれもあの建物の歴史の一つとして飲み込まれた。まさにアイアマンガーシリーズで描かれた話の萌芽がこの作品にはある。物に刻まれた沢山の記憶達、そしてその際たる物はその建物そのものなんだという事。主人公のフランシスは奇妙な男だけれど妙に親近感を覚えるのも不思議ではあった。
Posted by ブクログ
ジョジョの敵キャラだけを集めて話を作ったら・・・? というお題を出されたらこの本を出せば良い。というほどに登場人物全員が異質で奇妙で偏執狂的だ。
特に素晴らしいのが主人公の性格がめちゃくちゃ悪い事である。息をするように物を盗み、自分のコレクションにする。この「盗む」ことが重要で、社会から外れた主人公の社会との唯一の接点が盗む行為なのだ。これは万引き家族とも通じるテーマだなと思った。
次に微妙だと感じた部分。
この小説の物語構造として、過去の出来事が次々と判明して彼らがなぜこのような異質な人間になったのか? ということが語られる。彼らの異質さの多くは過去の事件の影響ということで括られ、原因が開陳された後は普通の人間に戻るか、死ぬかの二通の末路が用意されている。この回収のされ方はせっかくの彼らの異質さを「幽霊の正体見たり枯れ尾花」式に矮小化させてしまっている。もっと無茶苦茶な終わり方で良かったのではないかと思わずにはいられない。