篠森ゆりこのレビュー一覧

  • 独りでいるより優しくて

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    登場人物の孤独に長い時間取り囲まれて孤独感にひたった後に、最後少しそれがほどける兆しで緊張感が緩んで、読んだ後涙とまらない。

    とても好き。孤独というテーマが響くのもあるけれど、登場人物や世界観が好きなのか、同じ作者の他の作品も読んでみよう。

    存在の耐えられない軽さを好きなのと、独りでいるより優しくてを好きなのと、似ているかも。

    誰かとの深い繋がり、心動かされる人間関係があることが幸せと分かりつつ、敢えて避けて孤独でいることで自分を守っている。後書きに、登場人物にとって孤独でいることは抗議と作者が発言したと書いてある。それはそれですごく良くわかる。うまくやれない、自分の幸せをかけて抗議した

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    2016年12月07日
  • 独りでいるより優しくて

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    物語は小艾(シャオアイ)の葬儀のシーンからはじまる。この章の視点人物は三十七歳の泊陽(ボーヤン)で、彼は小艾の母の代わりに火葬場に来ている。小艾は伯陽より六歳上だったが、誤って或は故意に毒物を飲んだせいで、二十一年間というもの病いの床にあった。その毒物は、泊陽の母が勤務する大学の薬品室から盗み出されたものだった。その日、彼と共に大学を訪問していた同級生の黙然(モーラン)と如玉(ルーユイ)の関与が疑われたが、はっきりした証拠といえるものがなく、解毒剤の投与で命はとりとめたこともあり、事件は有耶無耶のままに終わった。

    年齢の近い四人の若者とその家族は、中庭を囲んで四棟が方形を描く北京の昔ながらの

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    2016年05月14日
  • 黄金の少年、エメラルドの少女

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    「やさしさ」は、しんしんと降り積もった雪のように私の心に残り、単純作業の時などに、ふと思い出す。不幸な生い立ち、切な過ぎる思い出を、主人公は記憶に留め、生きている…。確かにそれらは愛「やさしさ」だから、主人公の心で生きている。

    人間として生まれたからに、感じる孤独をとても上手く描ききった珠玉の作品達。どうにも上手く回らない人生が、愛しい。

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    2016年04月08日
  • レシタティフ

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    完全な早とちりなのだが、カバーの折り返しを見て、2人の少女の名前を順番に白人黒人として読み始めたものの、途中頻繁にわからなくなるため、何度も何度も折り返しを見返しながら読んだ。

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    2026年03月01日
  • さすらう者たち

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    「反革命分子が処刑される」という物語を軸にそこに直接、間接的に関係する登場人物たちの人生で起こることが、著者の独自の感性をもって書き上げられています。
    物語が大きく動く、ドラスティックな展開にはならないけれどそこで生活する者の生活感、人生観を見事に書き表せています。

    文化大革命後の中国が舞台で、中国人の彼女が時には共産党を批判的に書く場面などは中国人からするとラディカルな描写に映るかもしれません。
    それが出来るのも筆者がアメリカに居住していることで、少し俯瞰的に母国を観れている証拠ではないでしょうか。
    ただ、本人はやはり共産党及び母国への愛情は有るように感じることも所々で感じさせてくれること

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    2026年02月23日
  • 自然のものはただ育つ

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    次男ジェームズの死を悼みながら、またイーユン・リーの類稀なるパーソナリティに驚かされながら読んだ。どうして二人の息子の死を「因果応報」と切り捨てるような母親から、このような女性が育ったのか。

    言語から詩的で音楽的で感覚的な喜びを見出していた長男ヴィンセントの死の際は、対話というフィクションの形を取った『理由のない場所』。哲学的な喜びを見出していたジェームズの死を扱った本作はノンフィクションとなった。

    「子どもたちの母親でいた長い歳月、ずっと油断なく気を配っていた」という意識の重さ。それでも結局リー家はどこまでも自由意志を信じ尊重する一家である。「彼は命を絶つ決断を私たちが尊重するのを知って

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    2026年02月20日
  • 理由のない場所

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    亡くなった者との会話、に興味を持った。でも、自らそれを選んだ子どもであることは大きく意味合いが違うと感じる。その違いと、違わないところを探しながら読み進めた。死者とのコミュニケーションを知るために、何度か読んでみたいと思う。

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    2026年02月16日
  • 自然のものはただ育つ

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    ネタバレ

    小説の答え合わせのために著書の人生を覗きたいタイプではないが、『理由のない場所』(イーユン・リーは、それをヴィンセントの本と呼ぶ)に込められた思い、希望のない場所で生きることの意味を知りたくて本書を手に取った(悲しいことに、彼女はこの本をジェームズの本と呼ぶのだ)。

    イーユン・リーの言葉を引く。
     “子供たちがーそれぞれの自己に成長する場をできるだけ持てるようにーその感性や特性を尊ぶことは、母親として私にできる最善のことのように思われた。私が子供たちを愛していたのは確かだし、今でも愛しているけれど、愛より大事なのは子供たちを理解し尊重することだ。そこには何より、命を絶つという選択を理解し、尊

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    2025年12月20日
  • ガチョウの本

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    子供時代の友情の尊さと儚さが丁寧に描かれてる。
    ファビエンヌとアニエスがお互いに“自分にないもの”を持っていて惹かれ合う気持ちもとてもよく分かった

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    2025年12月03日
  • 理由のない場所

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    言葉で紡ぐことが難しい心の領域を、小説という形で見せてもらった気持ちになった。主観的でうつろいやすい気持ちを、著者の知性的な言葉でコーティングし外に出したような印象。この小説を、分かりやすさや客観性などの指標で評価することはナンセンスなのだろうと思う。

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    2025年09月27日
  • ガチョウの本

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    ファビエンヌとアニエスという一心同体で共依存のような少女の関係性、13歳という年頃の少女たち特有の危うさと脆さが薄っすらと不穏な空気をはらんでいて嫌な予感を感じつつも惹き込まれた。
    序盤ではファビエンヌの方が才能があり成熟しているようにも感じるけれど、読み進めるうちにアニエスの方が大人を翻弄させる魅力や狡猾さを無自覚に備えているように思え少しゾクっとする。
    少女たちが始めたゲームは時に残酷で他人の人生を壊すけれど、何人もの大人たちが少女の才能を搾取することで自分の人生を豊かにしようとしていることの方が余程グロテスクだった。

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    2025年08月30日
  • ガチョウの本

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    ネタバレ

    社会に対して反抗的で、大人に不信感のあるこども心理を繊細に描いている。おそらくいずれ自分もその一員に加わることがわかっていて、それゆえ自由を謳歌し、反骨的に振る舞うも、満たされない。そんな2人だからこそのひねくれた絆が描かれている。

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    2025年05月11日
  • 水曜生まれの子

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    ネタバレ

    ちょっとウィリアム・トレヴァーを思い出したりもしたのだが、トレヴァーとは友人だったのね。

    悲しいだけじゃなく、途中クスクス笑ってしまうところもあって、それが一層リアルだなあと思った。どれもよいが、最初の1篇と最後の1篇が特によかった。

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    2025年04月26日
  • 独りでいるより優しくて

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    愛を遠ざけて生きると決めたとき、人に残されるものは何なのか。
    結婚、子供、仕事、財産といったステータスは、結局は他人との距離を測るための物差しに過ぎない。自らを飾るものを剥がしていったとき、手離せずに残る本質は、孤独だけなのかもしれない。

    誰にも傷つけられないために、あるいは自らを罰っするかの如くに 、人は孤独を選び取り、身につけてゆく。

    心の奥を突き刺すような数々の警句と、ひんやりとした無情さを湛えた筆致によって、イーユン・リーは僕を荒涼とした地平へと導いてゆく。
    だが、人の本当の姿が孤独であるならば、『Kinder than solitude(独りでいるより優しくて)』というタイトルが

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    2025年04月18日
  • 理由のない場所

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    ネタバレ

    16歳で自殺した息子と、母親との対話。つまり母親の心の声。
    母親と対等、或いは負かしてしまう程の息子の言葉。完璧を求めて生きづらくなってしまったのか。丁寧に言葉を紡ぎ、せめて心の中では息子を繋ぎ止めようとしているかのよう。
    本書を読むと、安易に完璧と言う言葉は使えなくなる。

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    2025年03月13日
  • ガチョウの本

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    フランスの田舎町に住む13歳の少女アニエスとファビエンヌ。ストーリーを作るというゲームを2人きりで楽しんでいた。やがて、アニエスのほうが字がきれいということでストーリーを文字に起こし、町の郵便局長でやもめ暮らしのムッシュ・ドゥヴォーに見せると、ドゥヴォーは興味を示し本として出版することに力を貸すことになる。二人で作ったストーリーだが、ファビエンヌの提案でアニエスの名前で世に出ることになる。
    アニエスは、天才少女とマスコミに取り上げられパリへ呼ばれる。やがて、将来のためにとイギリスのフィニィシングスクールで教養とマナーを教えられる事になり、家族やファビエンヌと離れ一人ロンドンへ。

    フランソワー

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    2024年11月12日
  • さすらう者たち

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    文化大革命後の中国で、紅衛兵だった29歳の女性が処刑されるところから物語は始まる。

    市井に生きる人たちの感情や生活が、仔細に淡々と描かれていて、時代を知る、時代の犠牲者になった人たちを知る、っていうペシミスティックな目線に立っているんじゃないところが、この小説の特長だと思う。
    自分が知らない時代の、土地の話になると、歴史ものだと思ってその中に出てくる人たちを遠くに感じがちなんだけど、それが本望でないっていう著者の思いがこもった筆致でした。
    ああ、みんな、自分とおんなじ人間だって思う。

    こういう小説を読んで、出てくる人たちを自分の身近に感じて初めて、歴史に起こった事実とかを本当にきちんと学べ

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    2024年07月26日
  • 理由のない場所

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     限りなくノンフィクションに近いフィクション。訳が素晴らしい。ただ、訳者あとがきに「胸をえぐるような小説」「読む者の涙をさそう」とあるが、そんな陳腐な表現はふさわしくないと思う。
     相手が目の前にいないからこそ交わせる言葉、あちこちに引用されている詩の手触り、対話を通じて明らかになる自分の心の輪郭。できれば「どんよりしていて寒い(p.65)」日に、静かな場所で、自分の人生と重ね合わせながら読みたい作品です。

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    2024年06月30日
  • さすらう者たち

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    ネタバレ

    ほぼ覚えていなかったから再読

    舞台は文革時の中国。反革命分子として処刑される女性がおり、彼女が暮らした街の住人達が、処刑を中心にぐるぐると回っていく感じ。

    でも文革も中国も超えて、普遍的な人間の愚かしさや、人生のままならなさの話。

    失うものがある人は、綺麗事ばかりでは生きていけない。綺麗事を言って胸を張れるのは、周りに守られているか、無知だからだ。

    何も持たない人だけが、こころ安らかに生きていける。でも、好きで物乞いをしているわけではないし、彼らも苦痛を経験している。

    登場人物がみな人間臭くて、みっともなくて、非常に面白かった。

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    2023年08月20日
  • 黄金の少年、エメラルドの少女

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    テーマもいいし文章も素敵だ〜。訳者もいいんだろな。
    タイトルから連想されるようなリリカルな話ではなかった。

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    2023年01月04日