あらすじ
母親の「私」と自殺してまもない16歳の息子との会話で進められる物語。著者の実体験をもとに書かれた本書からは、母親の深い悲しみが伝わり、強く心を打つ。他に類をみない秀逸な一冊。
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Posted by ブクログ
言葉で紡ぐことが難しい心の領域を、小説という形で見せてもらった気持ちになった。主観的でうつろいやすい気持ちを、著者の知性的な言葉でコーティングし外に出したような印象。この小説を、分かりやすさや客観性などの指標で評価することはナンセンスなのだろうと思う。
Posted by ブクログ
16歳で自殺した息子と、母親との対話。つまり母親の心の声。
母親と対等、或いは負かしてしまう程の息子の言葉。完璧を求めて生きづらくなってしまったのか。丁寧に言葉を紡ぎ、せめて心の中では息子を繋ぎ止めようとしているかのよう。
本書を読むと、安易に完璧と言う言葉は使えなくなる。
Posted by ブクログ
限りなくノンフィクションに近いフィクション。訳が素晴らしい。ただ、訳者あとがきに「胸をえぐるような小説」「読む者の涙をさそう」とあるが、そんな陳腐な表現はふさわしくないと思う。
相手が目の前にいないからこそ交わせる言葉、あちこちに引用されている詩の手触り、対話を通じて明らかになる自分の心の輪郭。できれば「どんよりしていて寒い(p.65)」日に、静かな場所で、自分の人生と重ね合わせながら読みたい作品です。
Posted by ブクログ
母と亡くしてしまった息子の著者の実体験に基づいたかのような私小説。明示的なセリフがなく、内的な心の世界と外的な現実世界の淡いをゆくような不思議な読み心地だった。
Posted by ブクログ
自殺した息子とその母親が言葉だけで繋がろうとする話。二人の会話を中心に進むけれど、結局は母親の頭の中で繰り広げられているので、「」はなくて、母が思っていることは筒抜けで、過去と現在がシームレスに移り変わっていく。
初イーユン・リー。
登場する親子は揃って言葉の正確さやそれらが孕む意味に鋭敏で、繊細で、彼らの話は比喩が多くて文そのもの私には共感できないというか分からないところも多かった。ただその中でやっぱり母親の愛情や、その裏側にある悲しみの深さにどきっとさせられたし、この物語そのものが安易な答えに辿りつくものじゃないんだろうなってことは分かる。本当に悲しいことは言葉にできないから、その他の部分を触れることでどう悲しいのか、どれだけ悲しいのかを表してる感じ。
訳者あとがきに書かれてたエッセイ読みたくなったけど邦訳されてないのか……
⚫︎あらすじ
母親の「私」と自殺してまもない16歳の息子との会話で進められる物語。著者の実体験をもとに書かれた本書からは、母親の深い悲しみが伝わり、強く心を打つ。他に類をみない秀逸な一冊。
(河出書房HPより引用)