あらすじ
現代中国を舞台に、代理母問題を扱った衝撃の話題作「獄」、心を閉ざした四〇代の独身女性の追憶「優しさ」、愛と孤独を深く静かに描く表題作など、珠玉の九篇。O・ヘンリー賞受賞作二篇収録。
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Posted by ブクログ
こういう言葉にしてしまうことで読み方を絞るのは勿体ないからすべきじゃないと思いつつも、
やっぱ社会に性的な縛りがあるからこそ生きにくい人たちの話だなと思った。
静かながらも、わりと大きめの過去があったりするし、
必ずしも受動的とは言えない主人公たちなのに、
やっぱり抑圧されてる感じがじわっと効いてくる。
この著書の作品は初めてでしたが、
他の作品も読みたいです。
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自らの少女時代、自らを育てた国を「想っている」物語たち。
リーの声には何も求めない静かな寂しさの弦が鳴っていて、ふとよぎる、全てを受け容れる優しさ、一瞬一瞬のその視線。物語たちはリーの声に語られるのを静かに待っている。彼女の声が聞こえるまで、静かに。
表題作と「獄」が好き。どの作品にも中国に深く根付いた家父長制や女性の結婚に対する伝統的な考えや、それから国外へ移住していく多くの中国人の思いがある。代理出産をテーマにした「獄」は、その重い選択ゆえに払う代償をそれでも淡々と描いている。リーがそっと包んだ悲しみから、誰も出られない。
リーの小説は比喩と、中国の古い言葉をリーの感覚で英語に訳し、そして日本語に変わってくる過程が本当に美しい。表題作も中国語で「金童・玉女」(理想的なカップル)というそうだけど、それが『黄金の少年、エメラルドの少女』に変わってここにやってくるその美しさに、ため息をついてしまうのだった。
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「やさしさ」は、しんしんと降り積もった雪のように私の心に残り、単純作業の時などに、ふと思い出す。不幸な生い立ち、切な過ぎる思い出を、主人公は記憶に留め、生きている…。確かにそれらは愛「やさしさ」だから、主人公の心で生きている。
人間として生まれたからに、感じる孤独をとても上手く描ききった珠玉の作品達。どうにも上手く回らない人生が、愛しい。
Posted by ブクログ
イーユン・リーさんの本は2冊目。
1冊目に読んださすらう者たちの登場人物たちと同様に、この短編集の主人公たちもみな、強い信念を持ちながら孤独な生活を送っている。
みな孤独なのに、物語のテーマは全て異なり、今度はこんな話か!と飽きなかった。
Posted by ブクログ
中編くらいのものも含め、全9編が収められた短編集。Yリー作品は初めてだけど、概ね淡々とした語り口で綴られていく。不貞を中心とした家庭内の不協和音が、別段恨みがましくもない調子で語られていて、同判断するかは基本的に読者に委ねられている。どの物語も真相らしい真相は明かされないし、そのあたりも淡々とした印象の原因かも。突出した逸品がない分、可もなく不可もなしと思えてしまったけど、読み心地は悪くなかったです。
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寂しい雰囲気が全体に漂う短編集。必要に駆られて誰かと会話はするけれども、結局は一人なんだと悟っているような、孤独な人達が出てくる。
代理母の話は中年夫婦が必死すぎて読んでて辛くなる。
Posted by ブクログ
『ティエンイの物語』にもあった、共産主義社会下での諦めの境地。
ティエンイは男性目線、本作はたいへん女性目線。
愛とか夢とか語ってられる幸せを実感する。
優しさ (Kindness 2010)
彼みたいな男 (A Man Like Him 2008)
獄 (Prison 2006)
女店主 (The Proprietress 2005)
火宅 (House Fire 2007)
花園路三号 (Number Three,Garden Road 2009)
流れゆく時 (Sweeping Past 2007)
記念 (Souvenir 2006)
黄金の少年、エメラルドの少女 (Golden boy,Emerald Girl 2008)