篠森ゆりこのレビュー一覧

  • ガチョウの本

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    著者、イーユン・リーは北京生まれ。北京大学で生物学を専攻し、アメリカに留学して大学院で研究を続けていたが、進路を変更して創作の道に入ったという、なかなか変わった経歴。
    創作は中国語ではなく英語で行っている。
    中国を舞台にした作品が多いが、本作はフランスに住む少女たちを主人公とする。
    訳者のあとがきによれば、著者はこう語っている。
    人々は“中国について書けないか”と言います。ええ、中国について書けますけれども、中国だけが私のテーマではありません。私は友情についても書けますし、フランスの少女の友情について書くこともできるのです
    作家たるもの、それはそうだろう。

    主人公はアニエス。愚かではないが、

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    2024年10月21日
  • 黄金の少年、エメラルドの少女

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    寂しい雰囲気が全体に漂う短編集。必要に駆られて誰かと会話はするけれども、結局は一人なんだと悟っているような、孤独な人達が出てくる。
    代理母の話は中年夫婦が必死すぎて読んでて辛くなる。

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    2022年06月04日
  • さすらう者たち

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    素晴らしきイーユン・リー!
    でもこれは読むのがつらくてつらくて、休み休み進めた。
    短編で知られる彼女が、文革直後の小都市で起きた政治犯の処刑を巡る惨状…?を描く長編。
    文革とはかくも苛烈に人を歪めたのか。押し付けられた価値観が、中国の古き良き文化と伝統と共に、人の心のもっとも良い部分を破壊していく。立派になりたいと願う少年の善、虐げられた若者の間に生まれたはかない恋、長年を共にしてきた夫婦の絆…痛くてたまらない。
    これまで知らなくてごめんなさいシリーズだ…。本の学びにありがとう。
    でもしばらくはお気楽なミステリなどに逃避しまーす

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    2021年03月29日
  • 独りでいるより優しくて

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    ネタバレ

    一人の女の子の死(服毒自殺?他殺?)が、それに関わった三人の少年少女のその後の人生をまさに毒のように蝕む様子を書いた小説。三人とも自分を罰するように家庭を築くことに失敗し、他人との深いかかわりを避けて都市の中で漂流して孤独に暮らしている。
    天安門事件あたりの北京の暮らしの様子が生き生きと描かれているのは面白い。
    最後に明かされる死の真相は奇をてらわず順当にという感じだけど、よく泊陽は如玉をぶん殴らないで我慢できたね!泊陽のやれやれ系スカしたおっさんっぷりははっきり言って嫌いなんだけど、白々しく犯行について弁解して「で?殴れば満足するならそうすれば(笑)」という態度の如玉の不快度はそれをはるかに

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    2020年09月07日
  • 黄金の少年、エメラルドの少女

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    『ティエンイの物語』にもあった、共産主義社会下での諦めの境地。
    ティエンイは男性目線、本作はたいへん女性目線。
    愛とか夢とか語ってられる幸せを実感する。

    優しさ (Kindness 2010)
    彼みたいな男 (A Man Like Him 2008)
    獄 (Prison 2006)
    女店主 (The Proprietress 2005)
    火宅 (House Fire 2007)
    花園路三号 (Number Three,Garden Road 2009)
    流れゆく時 (Sweeping Past 2007)
    記念 (Souvenir 2006)
    黄金の少年、エメラルドの少女 (Golden b

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    2018年11月21日
  • 独りでいるより優しくて

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    モーランの罪は赦された
    南の暖かい風が泉のように、流れ 永遠に終わらない夕焼け
    振り返らないけれど彼女は穏やかで優しい世界にいるのでは 灰色の牢獄のような国を後にして

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    2018年09月22日
  • 独りでいるより優しくて

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    これまでの作品すべてが素晴らしかったイーユン・リーだけど、
    これはちょっとネタ切れ感というか、素晴らしい才能の上にあぐらをかいた感が否めない。
    この作品でいったん一区切りして、新しい境地を切り開いてくれるのかなーと期待をこめて☆3。

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    2018年08月17日
  • ハウスキーピング

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    米国の湖畔の町に両親を亡くしたルースと妹のルシールは、祖母と暮らしていた。やがて祖母が亡くなり、母の妹である叔母のシルヴィがやって来て、姉妹と暮らすようになる。しかし、シルヴィは流れ者とみられ姉妹の保護者としての資質には疑問が持たれる。姉妹は、半年もの間学校へ行かなかった。湖畔の自然の中で自由に暮らしていた。やがて妹のルシールは、自分たちの生活の異端さを意識するようになり、みずから家を出て学校の女教師の家に転がり込む。ルシールは、ラテン語の授業に打ち込むことで学校での居場所を見つけるが、シルヴィの誘いで学校を休んで湖へと向かっていく。シルヴィの奔放さに危惧を感じた住民たちは二人の生活に干渉する

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    2018年06月24日
  • ハウスキーピング

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    ネタバレ

    ハウスキーピング=家を維持すること
    家という言葉にはもちろん、家族、家系も含まれる…

    大きな湖のそばの一軒の家
    湖に落ちた列車の車掌だった祖父。病気でなくなった祖母。湖に車ごと飛び込んだ母。流れの労働者になった叔母。ルースとルーシー

    聖書の引用。耳馴れない言葉。長いワンセンテンス。
    とても美しい英語の小説と言われていますが、読むには味わう余裕が必要かも。

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    2018年06月11日
  • 独りでいるより優しくて

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    急速に発展する中国と豊かなアメリカの二つの大国を舞台に、ある事件に関わった3人は、それぞれ孤独であることを選ぶ。
    どこまで行っても、3人はずっと事件に縛られているが、事件にあった女性の21年後の死により、彼らは少しずつ変わっていく。
    でもやっぱり、事件から完全に逃れることはできないのではないか。
    誰には決して嘘がつけず、誰には嘘がつけるのか、難しい。

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    2016年01月29日
  • 独りでいるより優しくて

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    ネタバレ

    なんとも不思議な読後感があった。話はある女性の服毒による死から始まる。それに関わる三人の男女が21年に亘り、その事件を引きづり、人生の舞台から降りて自分の人生を謳歌することを回避し、孤独であることを選びとって生きている。
    その3人の人生も女性の死によって変化が起き、”独りでいるより優しい”方へと流れてゆく。
    作者の巧みな心理描写が主人公たちの猜疑心や悲しみ、孤独を描き出し、服毒事件というスリリングな設定であるにもかかわらず、人の心の葛藤を説得的に描いている。読み始めると手放すことができない魅力を持っている。

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    2015年11月02日