川瀬七緒のレビュー一覧
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この作者の本は初読となる。最初、あらすじを読んだ時にはありきたり、とまではいかないが結構ありふれている導入部だったので、そこまで期待せずにミステリならいいや気分で読み始めた。そして読み終わって正直言うと、エンタメ小説としてはとても面白かった。まずキャラが良く、主人公やその相棒のカメラマンも最初は薄い人間性しか感じられなかったのが、読み進めるうちに段々と愛着を持てるようなキャラクターとなっている。本格ミステリを求めて読むと物足りないだろうが、ミステリ風のエンタメ小説としては上等の部類に入るだろう。続編があるのならば読みたいと思うぐらいには面白かった。
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賞金稼ぎスリーサム!シリーズ、2作目。
元敏腕刑事の薮下、御曹司でありながら警察マニアの淳太郎、乙女系の風貌でありながら実は凄腕のハンターである一花の三人により、刑事事件専門調査会社「チーム・トラッカー」が立ち上がった。
川瀬さんの作品は、なかなかの個性強めなキャラクターがとても魅力的なのだけれど、このシリーズはあまりにも皆が皆、それぞれ方向性のバラバラな個性が強すぎて未だに付いていけていないのが正直なところ。本来であれば、一花に一番魅力を感じなきゃいけないところなのだろうけれど、私の想像力が乏しすぎるのか、なかなか彼女のイメージが定まらず、モヤモヤしてしまう。凄腕ハンターならではの魅力があるのは解るんだけどね。
事件の方も思わぬ形でサイコパスなシリアルキラーが絡んできて、意外性があって面白く読めたのではあるが、肝心の賞金稼ぎの趣旨がすでに弱くなってしまっているようで拍子抜け。しかも、前作も今作も、完全決着とは至らず、今後もズルズルと引き延ばしに遭うのかと思うとちょっとげんなりしてしまう気持ちも。シリーズとして続くのならば、「チーム・トラッカー」の特性を生かし、毎回多種多様な犯罪を相手にしてほしい。 -
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帯の
“ 警告「この本を読んではいけない。」 ”
に惹かれてジャケ買いした本。
また、タイトルや装丁から江戸川乱歩の香りがした事も購入の決め手となったのだけど、乱歩賞でデビューした作家さんと知り受賞作も気になった。
「女學生奇譚」を読み進める部分は面白かった。
警告はどこに繋がるのだろうと興奮したが、落ち所が弱く伏線もうまく回収できていないのはシリーズ刊行予定だからなのか?
とにかく属性やトリックが多すぎて忙しない印象を受けた。最後の編集長とのくだりは要らなかったと思う。
オカルティックな事件を追う冷静沈着フリーライター(料理好き)×長身豪快女子の男女バディもの、シンプルにそれだけでも充分面白いのだけど。読みやすい文章でキャラの会話も小気味良い。
好きな部分も多かっただけに、読後にもやもやが残るのが残念です。 -
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前作が面白かったのでシリーズ化したことに喜んだ。多少現実離れしているけれど、そこは娯楽小説と言うことで素直に楽しむ。とにかく三人の個性が光る。一花がダントツだけど、乙女的なはずなのに猟銃を持っているそのギャップがいい。子供との戯れ方に笑う。淳太郎の洞察力や女性を虜にする技?も見事だけど。そんな濃すぎる二人を藪下がうまくフォローしているからこそ面白いトリオなんだろう。今回もまた恐ろしげな人物が出てくるけれど、この純粋に楽しむ悪意を持つ人間って現実にいそうな気はする。現実離れの面白さと現実的な怖さがあるところがこの小説の魅力なのかもしれない。次も期待して待とう。
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ネタバレ面白い、くない、という議論ならむしろ面白い方に入ると思う。
ただ、個人的には非常に入り込みづらかったので、備忘録的に書いておこうと思う。ネタバレありなので、読む際には注意。
面白いな、と思ったのは呪術に関する丁寧な表記。
オタク気質なのかどうしてもディテールがしっかりしていると読み込んでしまう。文化人類学者とJKという取り合わせ、え、作者はそういったバックグラウンドの人?と思ったら文化服装学園出身とのこと。え、じゃあご自身でここまで研究したのかすごいな、と、読み進む。陰惨な殺人、温和であったはずの被害者、おどろおどろしい呪術の道具、禁忌の呪術集団…すげ~~!
ただ、どう~~~~しても納得いかなくてう~~ん、と頭を抱えたのは以下。
1)「ノートパソコンを開いてブラウザ…」という記載があるのに、最初の殺人の凶器が、最後に偶然それを見るまで出てこない。いや、たしかに変わった形状かもしれないけど「鷹鉈」ってグーグルで簡単に出てきた。包丁、ナイフ、鉈なんて、ざっと調べるんじゃないのかな。警察までいつまでも凶器さえ確定できないの、あんまりじゃない?
2)一番駄目だったのは、主人公とJKの会話の古臭さ。
>なるほど、アポなしの珍客は美少女というわけか。いや、美少女と言い切っていいもんかどうか、若干検討の余地があるかもしれんな。なんせ服装面での問題が大きい。
これ、地の文じゃないの。主人公がいきなり訪ねてきたJKに本当に「発する」セリフなんだよ。ちょっとありえないわ~~って思ってしまったんだよね、個人的には。しれんな、なんせ…なんて初対面のJKに30代のおっさんが、言う?
3)被害にあう子供の年齢が、6歳と4歳と3歳。それを子供だけで、国道脇で、しかも雪の降る日に遊ばせる?もう、保護責任者の問題じゃない?って思った。ひかれる前に怪我したり凍えたり動物に襲われるでしょ?
4)何十年も口をつぐんでいたはずの人たちが、JKに「おじいちゃんが死んだんです!」の一言で、ぺらぺら大した逡巡なく(そう見える)しゃべっちゃう点。え~~~そりゃないよ。
5)主人公と行動するJKが、めちゃくちゃおしゃべりだし理論的だしばんばんやれ四国だ福島だって行動しちゃう、スーパーJK。
まあそれを100歩置いといて、実は…それがフリでした、両親に虐待されて実は完全に心を壊されていたのをじいちゃんに助けられ…っていうのだけれど、出会った父親へのリアクションがすごい。
普通に考えたらトラウマだし、その父親は30代の、かなりフィールドワークなんかで鍛えているはずの主人公をぼこぼこにする超・暴力男なんだけど、それにぎゃんぎゃんののしって、自分も吹っ飛ばされたりするんだよね。いったん自分が破壊されるほどの当の相手に、そんだけものすごい反撃に出られるもんか?
6)主人公とJKが、シングル2つをとったはずがダブル1室しかとれずに一緒のベッドで寝て抱き合っちゃう。その次の日の流れでここが必然、って描写が私には見えなかった。ホテル側としてシングル2つをダブル1室に間違えるのもひどいけど、未成年のJKをダブル1室で30代男性と泊まらせるかな???
あたりが気になって気になって、ちょっと入り込めませんでした。
江戸川乱歩賞受賞作品は今度から、講評付きの新書版で読むようにしよう。自分の気持ちがどう、審査員の人に斟酌されたのかあるいはされなかったのか、興味あるもんね~~
なんどもいうけど、面白い部類だった。ただ、どうしても入り込みづらいところが目立った、ということ。同じようなテーマをこの作家さんが書かれるようであれば、またぜひチャレンジしたい。
(ディテールにひかれて読んでそれがほぼフェイク、というのは好きではないので、鳥類学者シリーズはたぶん、読まない) -
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法医昆虫学捜査官シリーズ第5弾。
伊豆諸島にある神ノ出島で若い女性の遺体が発見された。解剖所見から首吊りによる自殺、死後3か月以上と推定された。ところが、目と口の中は蛆に激しく喰われた形跡があるのに、体内では見つからず内臓も脳も無傷で残されたままミイラ化していた。
法医昆虫学者・赤堀涼子が遺体と蛆の発生状況に違和感を覚え虫の動きをたどりながら捜査をするうちに、さらなる驚愕の事実に突き当たる・・・。
今回は蛆の登場が控えめでちょっと寂しい気がするのはこのシリーズに首までどっぷりつかっているからか。その代わりに登場するのが島の生態系をも脅かす恐ろしい虫。
岩楯警部補とバディを組む新島署の兵藤巡査部長は、病的なほどに潔癖な男。ことあるごとにウエットティッシュを配り、除菌剤も欠かさない。昇進試験の勉強のためだけに離島勤務を志願した男が、岩楯や赤堀と仕事をすることで成長していくというのもお約束。
事件の捜査過程で絡みのあった、東京で起こったひき逃げ事件の捜査班にあのメモ魔・ワニさんがいて、一瞬だけ登場するというサービスも嬉しい。
ミステリ、サイエンス、警察官の成長、そして社会問題と様々な要素を盛り込んで、今回も安定の面白さでした。 -
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法医昆虫学捜査官シリーズ第4弾。
東京西多摩の山中で、腐乱した男性のバラバラにされた腕が発見された。警視庁の岩楯警部補は、四日市署の警官で山岳救助隊員でもある牛久巡査長とコンビを組み捜査を始める。
毎回、岩楯と組むバディの所轄警官が楽しみの一つでもあるこのシリーズ、今回の牛久は山岳救助隊員だけあって肉体派、地元愛に溢れた熱血漢。ただ、結婚相手への理想が非現実的で子供じみていてなんだかな~。やっぱり、プロファイラー志望のメモ魔・ワニさんにはかなわない。
山間の村に隠されたよそ者への悪意と疑念、大量発生した蚊の謎、大雨の日にタクシーで訪れた男の正体・・・事件の背後にも目が離せない。
リケジョならぬウジジョ、フラジョ(腐乱女子)と呼ばれたいという赤堀の分析は今回も冴えわたり、解剖医の発表した死亡推定日に異を唱えそれを結果的に証明してみせる。
シリーズも4回目となり、蛆には慣れてきたところだけど今回の蛆の量は半端じゃない。山深く分け入った頭上から雨のような音をたてて蛆が降る、降る、降る・・・
このシリーズドラマ化してほしいけど、やっぱり実写化は無理だわ~( ゚Д゚) -
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法医昆虫学捜査官シリーズ第2弾。
東京・葛西のトランクルームで女性の全裸腐乱死体が発見された。死体に群がる夥しい蠅と蛆。前作で事件解決に貢献し今回も捜査を依頼された法医昆虫学者・赤堀涼子は、捜索の過程で場違いな植物の種子を発見したことに着目し、コンテナ周辺にあるアリの巣を掘り返した結果、珍しい脱皮殻を発見する。そこから手繰り寄せられる驚くべき事件の真相とは。
お馴染みの岩楯刑事と赤堀准教授に加え、今回岩楯とバディを組む所轄の刑事・月縞もなかなかの男。見た目イケメンなのに、「だるいな」が口癖で小笠原駐在所への異動を希望する無気力刑事。この月縞が岩楯と組むことで少しずつ瞳に光を取り戻す過程も見どころ。
様々な問題を盛り込みながら、最後にはしっかり収束させるところは前作と同じ。サイエンス・ミステリであり、警察小説でもあるという様々な魅力をもったこのシリーズ、次作には前作のメモ魔・鰐川刑事が再登場するらしいのでこれまた楽しみ~ -
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ネタバレ東京都の小さな離島で、ミイラ化した若い女性の遺体が発見された。
通常とは異なる遺体の状態に法医昆虫学者の赤堀に出動要請が入り、彼女の世話係の警視庁の岩楯も島に向かう。
解剖医は自殺と断定し、死亡推定月日は3ヵ月以上前と判明するが…。
遺体に群がる虫の痕跡から事件を紐解いていく昆虫学捜査官・赤堀涼子を主人公にしたシリーズももう五作目。
毎回異なるパターンの虫や現場が出てくるので、飽きない作品です。
今回はミイラ化遺体ということで、大量のウジ虫ちゃんが出てこないのでそんなにグロくなく、物足りない感じ。
私は別にグロいのが得意なわけではないのですが、このシリーズを読んでいるうちに耐性ができてしまったようです。
昆虫相から死の真相を調べる赤堀と、被害者の周辺の聞き込みによって捜査していく岩楯たち警察。
同時並行の推理がやがて一つの真実に辿り着き、集約していく様子はスリリングで、圧倒的なカタルシスを感じることができます。
女性の多い職場ならではの陰湿なやり口でいじめられ、家族からも忌避され、最後は離島を観光で盛り立てようとする地元の野心家たちの餌食になり、死んでいった被害者。
そんな暗い影を落としていた被害者をめぐる状況と不気味な虫たちの生態が二重写しにされ、より一層の陰惨さを際立たせています。
ちょっと薄暗い話ですが…でも、最後に二人の登場人物(兵藤と由紀)が事件を通して少し前向きになり、かすかに明るい兆しがもたらされるのは良かったです。
また、赤堀と岩楯の、仕事への自負とバディとしての信頼感が感じられるラストも読後感が最高でした。
次巻が楽しみ~。