川瀬七緒のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「仕立屋探偵 桐ヶ谷京介」の2冊目。
警察業務の民間委託って、一部の仕事では実際にあるようだが、捜査まで委託するのはかなりハードルが高そうね。
お話の中では、一足先に“捜査業務の一部民間委託依頼”が成立。『日本の法の隙間で苦しんでいる子どもを見つけ次第、行動に移せるコネがほしい』という桐ヶ谷と迷宮入りの事案を数多抱える未解決事件専従捜査対策室の利害が一致したところで、南雲警部が持ち込む6つの事件の顛末が描かれる。
相変わらずに持ち前の服飾技術や美術解剖学の知識からバッサバッサと事件解決へ辿り着くが、特異な能力から炙り出される事実はちょっと生々しくて重たい。で、ひと月も穿いたまま洗っていない男物のトランクスがずらりと並んでいる話を読まされるのはきついなあ。
謎解きに関してはまったく手が出ないので、話の展開により面白さも変わるのだが、それから言うと4話目の「攻撃のSOS」が一番。
桐ヶ谷が、すれ違った女子中学生の服から虐待の痕跡を見つけ、気になって同じ電車に乗り込んで追いかける、という展開だが、警察と関係が出来たとはいえ、おいそれと手を出すことができない事案にどう絡んでいくのかという筋立てが、このシリーズが特に訴えたいところに響いて面白く読めた。
『どんな場面であれかまわず空気をぐだぐだにできる』とか『あなたがいると実にばかばかしくて気が休まる』と評される小春が相変わらず良い味。
太鼓腹を何とかしようと腹筋に勤しむ南雲が、『やみくもに腹筋してるせいで腰と首に負担がきている』とか『腹筋よりも大腰筋と腸骨筋を鍛えるのが先』とか言われているのを読むと、私も桐ヶ谷に是非とも見てもらいたいものだと思う。 -
Posted by ブクログ
集団自殺で集まった4人の前に置き去りにされた赤ちゃんが、、、。あれよあれよという間にネット上で赤ちゃんの連れ去り犯に仕立て上げられ、4人は逃亡の末に追い詰められる。
最初の方は、ちょっとご都合的過ぎない?と思う展開の連続で興醒めしかけてたんだけど、そこはやっぱり作者の凄さといいますか、だんだんこっちも乗せられて、しまいにはページを捲る手が止まらなくなってしまった。昨今のSNSを使った炎上商法や人物特定などのやり口を、やられた上で逆にやり返す展開が痛快で面白かった。とは言え、私がその界隈にあまり首を突っ込まないように避けてるからかもしれないが、いくら何でもネット警察的な人間が多すぎだし、多くないと成り立たない設定なのは気になった。最後のまとめ方も良かったけれど、結局、猪ノ口の執拗さの背景が最後までよく分からなかったかな。名前だけで納得させるにはちょっと無理があるような(苦笑) -
Posted by ブクログ
ネタバレ集団自殺志願者の4人。
自殺予定現場で捨てられた赤ちゃんを偶然保護してしまう。
そこから4人と赤ちゃんひとりが追われる4日間を描いている。
16歳の陸斗、20代の夏美、60歳の長谷部、70代の千代子。
SNSを使って相手を操る2人と、SNSにやり込められた2人。逃走中、互いのバックグランドを理解するにつれ、チームとして機能し始める。
「クソみたいな」(本文より)人生を送ってきた人間にも得意分野はあり、それでギリギリのところをすり抜けたりする。読み始め、全員嫌な人間だと思ったが、ラストでは最高にまとまった家族のようになり、解散が惜しいと思うほどだった。
でもそこで他人に戻ることを選択するのがスッキリして、いい終わり方だと感じた。
そしてSNSには、注意しなければ! -
Posted by ブクログ
ネタバレ今回の目玉は赤堀の深刻な身の上こそが昆虫博士になる動機だった事、この過去も6作目だから小出しに出したという「ネタ」ではなくて、今回の謎解きに関わる構成になっている
岩楯と鰐川刑事コンビはおかしみがあり過ぎるのと、今回は機能していないが「捜査分析支援センター」に変人赤堀(昆虫)・広澤(プロファイリング)・波多野(指紋)という3奇人が架空警視庁を支えるのだ・・・多分
今回は「やけど虫=アオバアリガタハネカクシ」がウジ虫以上大活躍したが、それ以上にお菓子を食べるのが嫌になった作品
ゼリービーンズのフレバーにカストリウムが使われているがビーバーの肛門にある香嚢に溜まる分泌物である(日本のアイスにも使われている・・・)
シェラック(飴)のコーティング剤にカイガラムシの分泌物、ケーキに使われている抹茶風味の材料は蚕沙といい蚕の糞を乾燥させたもの