松尾匡のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
(2018/7/11)
ブレイディみかこ
松尾匡
北田暁大
左派による反緊縮政策を!がテーマの本。
保守、リベラル、右派、左派という言葉の定義が、
今の政治家の振る舞いの中で意味不明になりつつある。
保守本流を名乗る安倍政権の金融緩和政策が実はリベラル的だったりしているのがその証左。
と言って安倍さんにリベラルな気持ちなど全くなく、
ただ、国民受けする政策をして支持率を上げて、悲願の憲法改正がしたいだけ。
自民党のその他の有力者は皆財政均衡、消費税増税派。
田中角栄時代の自民党はもうないのだ。
だからこそこの本は問う。
今こそ左派は反緊縮政策を掲げ、現政権を倒せと。
政治は経済だ。
私 -
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Posted by ブクログ
「左派」論者3名による経済政策論かつリベラル批判の対談書。日本のリベラル派を、経済成長政策を疎かにしてきたと批判し、文化的・制度的な面での公正性を重んじるだけでなく、「明日どうやって飯を食っていくか」に直結する経済政策もちゃんと考えろと指摘している。この本を読むことで、リベラルを自称し人権を重視し・・・と考えている人が、自分の視野の狭さに気付かされるかもしれない。僕はそうだった。
対談の著者は三名。①『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で有名なイギリス在住の文筆家、ブレイディみかこ。②マルクス経済学を専門にする立命館大学の経済学教授、松尾匡。③理論社会学でメディア史を専門にする東大大 -
Posted by ブクログ
「黒い匣(はこ)」とは、管理者側もその全容を理解できないほど巨大で多くの人に影響を多大に与える重要なシステムのこと。
金融工学者が複雑化し続けるデリバティブを隅々まで把握できないことや、グローバル銀行、グローバル企業のCEOが自身の所属組織の全容と影響力を把握しきれないなどが”「黒い匣」と権力者の関係”にあたる。
「陰謀論」では「黒い匣」の中で権力者らが「お主も悪よのぉ」と不敵な笑みを浮かべながら公共善と弱者搾取のための悪巧みをしていると語られがちだが、政府関係者やIMF高級官僚たち、グローバル企業の幹部たちの多くは職務に真面目に取り組んでいるし、結果的に公共善を毀損し弱者搾取になっていた -
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ギリシャが破綻する間際の2013年の財務大臣に任命された著者がトロイカ(IMF,EU、ECB)を相手にしてギリシャの未来を守るために侃侃諤諤の議論をして戦い抜いたノンフィクションです。小説調で進んでいくので大変読みやすいです。このノンフィクションでは、小説ではとても書けないようなギリギリの状況で交渉を行ってきたことが描かれており、まさに事実は小説より奇なりです。仲間の裏切りで追い込まれても追い込まれても、なんとかギリシャの有権者の為に尽くそうという著者の献身には尊敬に値するものがあります。この本は、のちの若い人がギリシャの破綻の経緯を知るための貴重な本だと思います。
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イギリス在住ライターのブレイディみかこ、経済学者の松尾匡、社会学者の北田暁大の3名による鼎談本。
ブレイディさんのヨーロッパ政治経済の知識と、松尾さんの経済学をベースに、北田さんが整理している感じ。「アベノミクス憎し」で経済政策が混迷している左派に警鐘を鳴らしている。
第二次安部政権のアベノミクスのうち、金融緩和はデフレ経済では当然の政策で批判されるものではないのだが、左派はアベノミクスに反対せざるを得ないので賛成できないという奇妙な立場にあった。
続けて財政出動も、脱デフレを目指す雇用創出のための妥当な政策だった。
これらは小泉政権の新自由主義ではなく、むしろ逆に左派的な経済政策なのだが -
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この本は、予想以上に面白い本であった。
現在日本では「左翼」がネトウヨ達から「パヨク」とか散々にこき下ろされており、政党支持率や選挙結果などもボロボロになっていますが、世界的にはイギリスのブレア政権、ギリシャの急進左翼連合、スペインのポデモス、アメリカのサンダース等の左翼はそれなりに支持を集めています。
この左翼について、1970年代までのレフト⒈0、1990年代に全盛期を迎えたレフト⒉0、そして2010年代以降に生まれたレフト⒊0の3つに分けてそれぞれの時代背景とその主張内容をわかりやすく書いています。そしてこの本で特筆すべきは、筆者が明確な「反緊縮主義」の立場に立って、経済学者として -
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【偉大な悲劇作家たちが教えてくれたように、最高の権威とまったくの無力さの組み合わせほど、悲惨なものはないのだ】(文中より引用)
金融危機の最中にギリシャのチプラス政権の下で財務大臣を務めたヤニス・バルファキスが記した回顧録。EUエスタブリッシュメントとの行き詰まる交渉から政権内での駆け引き、そしてあるべきヨーロッパの姿に到るまでを縦横無尽に語り尽くしています。原題は、『Adults in the Room: My Battle with Europe's Deep Establishment』。
上下段組みで500頁超えという圧倒的な分量ですので、分野に興味がない読者にとってはと -
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反緊縮政策の有効性や左派の思想史などについて学べる本。
・左派の立場から、勢力を盛り返すために現在の安部政権を上回る経済政策を提案しなければだめだ。そのためには、いままでのような緊縮ではなく、反緊縮政策を提案し、福祉などしかるべきところに再配分をしっかりと行うべきだ。
・WWⅡ前後の左派の歴史を整理、レフトの思想が歩んできた歴史とその総括について。労働者の味方だった左派が、下層の人々を忘れ多様性に焦点を絞るようになってしまったこと。
・メリトクラシー(能力主義)が勃興した結果、下層の人々に対する差別が生まれたこと。「能力が無いのは自己責任」。グローバリズムについていけない人たちが新たな差別階 -
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ネタバレ専門の異なる3氏の鼎談で、主に欧州の政治、社会から日本のそれを分析しつつ、「左派」に対する提言が行われています。以下、要約です。
<ネタバレあり>
若者をして「『ビッグになろう』と考えたらあかんのかな」と言わしめる左派主導の脱成長的な風潮。左派はアイデンティティポリティクスや文化の問題に耽溺し、「下部構造」を忘れてしまったのではないか。
一方、欧州ではドイツあるいはECB主導の緊縮政策に対し反緊縮(緩和的な金融政策と積極的な財政支出)を唱える左派(一部右派)が勃興。例えば英国では、2015年に労働党党首として強硬左派、”オールド・レイバー”のコービン党首が選出され、2年後の総選挙で善戦。か -
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必ずしも国家権力を奪取して革命を起こす必要はなく、むしろそこかしこで「民主的経営」や民主的運営組織を確立していくこと。それが現在の「社会主義革命」への道であると筆者は言う。
生産のME化、コミュニケーションの深化によって、国家権力奪取による上からの革命によらなくても、すでに下からの革命の道筋はすでに開かれているというのがその理由である。生産方式が変化して労働力の編成の方式も変化するからそれに対応して変革への道筋やその組織も変化する、と言うのはネグリの議論でもある。国家権力の奪取はそれが必要な社会であったからで、生産力が高まって人々のコミュニケーションが深化すればむしろ下からの革命の条件が生ま -
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岸田内閣が発足し総選挙が行われることになった。岸田内閣に期待すること、あるいは、衆院選の論点として考えるべきこと、という内容で、日本経済新聞が朝刊に連載をしているが、今日の朝刊のテーマは「成長か分配か。まずは成長を優先すべき」という内容のものであった。
本書は、ブレイディみかこさんと、経済学者の松尾匡氏、社会学者の北田暁大氏の対談で構成されている。発行は2018年5月のことなので、今から3.5年前のことであり、岸田内閣はもとより、菅首相の前の安倍首相、経済政策で言えばアベノミックス時代の発行である。
本書の大きなテーマの一つは、書名にもなっているが、日本の左翼・左派に対して疑問を呈する、とい