松尾匡のレビュー一覧

  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    この本で語られていることの重大さに、今更ながらに気づく、というか、刊行当時に読んでおくべきだったと強く思った。今現在も尚、不況にあえぐ日本にとって、どこか変換点だったのかがよく分かるし、左派に対して何が足りないのか、もっと言えば民主党政権時代に、何が圧倒的に欠如していたのかがよく理解できた。刊行から年数は経っているし、世界情勢は今まさに大きく変動している中、今の日本に必要な経済に対する考え方が詰まっている。左派はあまりに経済に対して無頓着であったかを自らを含めて痛感させられた。

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    2024年10月13日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    (2018/7/11)
    ブレイディみかこ
    松尾匡
    北田暁大

    左派による反緊縮政策を!がテーマの本。
    保守、リベラル、右派、左派という言葉の定義が、
    今の政治家の振る舞いの中で意味不明になりつつある。

    保守本流を名乗る安倍政権の金融緩和政策が実はリベラル的だったりしているのがその証左。
    と言って安倍さんにリベラルな気持ちなど全くなく、
    ただ、国民受けする政策をして支持率を上げて、悲願の憲法改正がしたいだけ。
    自民党のその他の有力者は皆財政均衡、消費税増税派。
    田中角栄時代の自民党はもうないのだ。

    だからこそこの本は問う。
    今こそ左派は反緊縮政策を掲げ、現政権を倒せと。

    政治は経済だ。
    私は、今は諸悪の根源のように語られることの多いミルトン・フリードマンの理論の信仰者。
    彼の理論を「新自由主義」とすることには違和感はある。
    大きな政府、国民から税金を集め恣意的に使う、というやり方に反対、
    というのは正論だと思う。今でも思う。
    そんな大金の投資先を、正しい判断が出来る人なんていないだろうと。

    その点、消費税増税はある意味大きな政府につながるわけで、
    フリードマンがたたかれるのもそういうことか?

    ベーシックインカムはありだと思う。
    よくよく考えれば、民主党の子供手当は、ある意味子供へのベーシックインカムだったのではないか。
    これを国民全員に広げる。
    財源は?
    日銀が刷る。
    それで行けるのではないか。
    ハイパーインフレが怖い?
    貯金している人が怖いだけ。持たない人は怖くない。

    そもそも今の財政不均衡とやらも、実は不均衡ではないのだ。
    金持ちの貯金が銀行を経由して国債となって日銀に買われているのだから。
    貯金という生きていないお金が借金の形を取って生きるのだ。

    そもそも経済でこれが正しい、なんてことはない。
    昔は金本位制が正だった。今誰もそんなこと言わない。
    今や国の保証さえいらない、という仮想通貨が出回っている。
    要はものが、役務が動けばいいのだ。

    老人が老後の心配にとっておいている金を市場にださせればいい、と「心理経済学」で
    大前研一氏が言っていたが、まさにそうだ。
    お金、なんてなんでもないのだ。

    皆が人の役に立てば、世の中は回る。
    そういう世の中を作らなきゃ。

    老人が自分の財産にしがみついて若者を犠牲にする社会に未来はない。
    老後の備えの財産が1800兆?国民一人当たり1500万?
    信じられん。


    第1章:下部構造を忘れた左翼
    第2章:「古くて新しい」お金と階級の話
    補論1:来るべきレフト3.0に向けて
    第3章:左と右からの反緊縮の波
    第4章:万国のプロレタリアートは団結せよ!
    補論2:新自由主義からケインズ、そしてマルクスへ

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    2024年06月27日
  • 黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命――元財相バルファキスが語る「ギリシャの春」鎮圧の深層

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    財政関係の本にしては文章が小説のようでとても読みやすかったのですが、馴染みのない固有名詞が乱発するので、いちいち調べたり確認をしたりしながらの読書となり、かなり時間がかかりました。
    政治における新興勢力が様々な工作により分断させられていく様子に無力感を覚えますが、これを一つのケーススタディとして活かすこともできるのではないかとも思いました。

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    2024年01月22日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    「左派」論者3名による経済政策論かつリベラル批判の対談書。日本のリベラル派を、経済成長政策を疎かにしてきたと批判し、文化的・制度的な面での公正性を重んじるだけでなく、「明日どうやって飯を食っていくか」に直結する経済政策もちゃんと考えろと指摘している。この本を読むことで、リベラルを自称し人権を重視し・・・と考えている人が、自分の視野の狭さに気付かされるかもしれない。僕はそうだった。

    対談の著者は三名。①『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で有名なイギリス在住の文筆家、ブレイディみかこ。②マルクス経済学を専門にする立命館大学の経済学教授、松尾匡。③理論社会学でメディア史を専門にする東大大学院教授、北田暁大。戦後史、経済理論史、時事問題(ブレグジット、ギリシャ危機など)を幅広く取り上げつつ丁寧に説明しており、我々はどこからきて、今どこにいるのか、そして今後どこへゆくのかの文脈について、整理することができる。面白い。

    また、この本を読んで感じたのは、経済政策を評価(立案・投票などすべて)するとき、私たちはどんな社会(国)作りがしたいのかをそもそも考える必要があるということ。
    税金の使い道についても、税の累進性の政策の是非についても、結局何がしたいのかの目的に紐づけて、メリデメを評価する必要がある。
    ついては、日本にそういった明確なビジョンがあるだろうかと思うと、色んな政治家がビジョンを出していることにようやく気づく。また様々な政策研究会議においてビジョンらしきものが提示されている。
    「株式会社ニッポン」があるとしたら、世界市場でどんなポジションで、どういうミッション・ビジョン・バリューを持ってやっていこうとしているのか、もっと明確に理解していきたい、、、

    本書が重要だと思えるのは、現実主義的な語り口だからだ。ライツ・トーク(rights talk)と呼ばれる、人権をベースとするリベラリズムの考え方(とくに、rights as a trump *人権の切り札性)の理想主義的な部分を認め、それだけで物事を判断しきれない、また政策として不十分な部分を解消するために、適切な経済成長や、適切な財政出動を推奨しているからだ。

    一方で政策論はそれとして、その政策を実現するためには民意を動かしていく必要があるが、その民意が分断されている(=ソーシャルアパルトヘイトの)現状で、どう人々が交わっていくかについては、この本のスコープではカバーされていない。「リベラル」な自分が本当のところ「左派」になれないのは、この分断を作っている一員だからだと感じるが、これを乗り越えるために何ができるのか、強い課題意識を持った。

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    2022年04月03日
  • 黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命――元財相バルファキスが語る「ギリシャの春」鎮圧の深層

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    「黒い匣(はこ)」とは、管理者側もその全容を理解できないほど巨大で多くの人に影響を多大に与える重要なシステムのこと。

    金融工学者が複雑化し続けるデリバティブを隅々まで把握できないことや、グローバル銀行、グローバル企業のCEOが自身の所属組織の全容と影響力を把握しきれないなどが”「黒い匣」と権力者の関係”にあたる。

    「陰謀論」では「黒い匣」の中で権力者らが「お主も悪よのぉ」と不敵な笑みを浮かべながら公共善と弱者搾取のための悪巧みをしていると語られがちだが、政府関係者やIMF高級官僚たち、グローバル企業の幹部たちの多くは職務に真面目に取り組んでいるし、結果的に公共善を毀損し弱者搾取になっていたとしても自分たちがそれに加担しているという自覚がないのが現実だ。日本人の多くがペットボトル飲料を飲んで捨てることが中国やマレーシアにプラゴミの山を生んで環境破壊に拍車をかけているのを知らないのと同様だ。

    ただ、「黒い匣」の中の人々は、インサイダーの一員である自覚はある。例えば政治家から偏向記事を依頼されたジャーナリストであれば、その仕事を拒否すればその政治家とのパイプが切れて「黒い匣」から追い出されてしまうことを知っている。こうして「踏み絵」や「毒まんじゅう」などでインサイダーかアウトサイダーかを常にテストされ、インサイダーとして認められる術も心得ている。一度アウトサイダーとして追い出されると、裏切り者としてインサイダーからの総攻撃のリスクにさらされることも知っている。

    本書は、2013年のギリシャ金融危機の時に財務大臣を務めたヤニス・バルファキスが、インサイダー側のEUやIMF、欧州中央銀行、独仏政府を相手に、ギリシャ国民を守るためにアウトサイダー側に立って戦い抜いた回顧録だ。

    一方こういう告発に対して、インサイダー側からはヤニス・バルファキス個人やギリシャの怠惰な国民性、当時の政権へのスキャンダラスな叩き記事で感情論に訴えて、彼らは信用に足りない、との印象操作が怒涛のごとく連打されることもコンテンツ消費者としては留意しておきたい。つまり、政治に関係のないスキャンダルや証明できない情緒的な叩き記事などで騒がれている政治家は、インサイダー側から総攻撃を受けるほど「仕事をしている(既得権益と戦っている)」というシグナルなのである。

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    2021年09月12日
  • 黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命――元財相バルファキスが語る「ギリシャの春」鎮圧の深層

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    ギリシャが破綻する間際の2013年の財務大臣に任命された著者がトロイカ(IMF,EU、ECB)を相手にしてギリシャの未来を守るために侃侃諤諤の議論をして戦い抜いたノンフィクションです。小説調で進んでいくので大変読みやすいです。このノンフィクションでは、小説ではとても書けないようなギリギリの状況で交渉を行ってきたことが描かれており、まさに事実は小説より奇なりです。仲間の裏切りで追い込まれても追い込まれても、なんとかギリシャの有権者の為に尽くそうという著者の献身には尊敬に値するものがあります。この本は、のちの若い人がギリシャの破綻の経緯を知るための貴重な本だと思います。

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    2021年03月29日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    イギリス在住ライターのブレイディみかこ、経済学者の松尾匡、社会学者の北田暁大の3名による鼎談本。
    ブレイディさんのヨーロッパ政治経済の知識と、松尾さんの経済学をベースに、北田さんが整理している感じ。「アベノミクス憎し」で経済政策が混迷している左派に警鐘を鳴らしている。

    第二次安部政権のアベノミクスのうち、金融緩和はデフレ経済では当然の政策で批判されるものではないのだが、左派はアベノミクスに反対せざるを得ないので賛成できないという奇妙な立場にあった。

    続けて財政出動も、脱デフレを目指す雇用創出のための妥当な政策だった。
    これらは小泉政権の新自由主義ではなく、むしろ逆に左派的な経済政策なのだが、安部首相が主導しているせいで左派はなぜか逆にこれを批判する形になった。

    アベノミクスで批判されるべきは財政出動が選挙前に限られていたことや、規制緩和は金融緩和・財政出動と関係がなく、場合によっては矛盾することにあり、左派は本来「もっと財政出動しろ」と言うべきだった、というのが本書の主張。

    安部首相がこのように左派的な経済政策をとった裏には支持を得て改憲など「本当にやりたいこと」をやるための下地作りがあったと思われ、これは一定以上に成功したが、改憲などに移る前に、森友・加計問題や「桜を見る会」などのお友達優遇や支持率は下がり、そこに新型コロナウイルス対策も重なり体調不良により辞任し、菅政権となった。

    菅政権は、安部政権以上に権力を好き放題に振るう一方、経済政策は方向性が全く見えないため、左派にとっては有利な状況と言える。
    しかし本書に従えば、野党は相変わらず不祥事の追及などに終止していて、アベノミクスのような「期待を持たせる経済政策」を打ち出さない限り、積極的な支持を得ることは難しいだろう。

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    2021年02月28日
  • MMT現代貨幣理論入門

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    たしかに今までの金融・財政理論とは異質だが、否定する内容ではないと思った。トリクルダウンが上手くいかなくなった時、就業保証プログラムで需要側を刺激するのは、まさにイマ使う手なのかもしれない。

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    2020年05月23日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    いずれ読み返したくなるような、素晴らしい内容。
    結局みんな自分の生活が1番大切なんだよ!っていう当たり前のことなんだけど、きちんとそれを説明してもらった感覚で、とても勉強になりました。

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    2020年01月18日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    超面白い。
    流行った消費社会論が経済の方向に行かずにアイデンティティ論に終始したというのは本当にその通りだと思う。
    まだわからない部分が大きいけども、経済に興味が出てきた。

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    2019年12月11日
  • 黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命――元財相バルファキスが語る「ギリシャの春」鎮圧の深層

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    【偉大な悲劇作家たちが教えてくれたように、最高の権威とまったくの無力さの組み合わせほど、悲惨なものはないのだ】(文中より引用)

    金融危機の最中にギリシャのチプラス政権の下で財務大臣を務めたヤニス・バルファキスが記した回顧録。EUエスタブリッシュメントとの行き詰まる交渉から政権内での駆け引き、そしてあるべきヨーロッパの姿に到るまでを縦横無尽に語り尽くしています。原題は、『Adults in the Room: My Battle with Europe's Deep Establishment』。

    上下段組みで500頁超えという圧倒的な分量ですので、分野に興味がない読者にとってはとっつきづらいかもしれませんが、文句なしに圧倒的なインサイダー情報が得られる一冊。国際金融や欧州情勢のみならず、民主主義や財政の問題などについても広く考えの糧を与えてくれる読書体験でした。

    素直に読んで良かったです☆5つ

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    2019年09月30日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    反緊縮政策の有効性や左派の思想史などについて学べる本。

    ・左派の立場から、勢力を盛り返すために現在の安部政権を上回る経済政策を提案しなければだめだ。そのためには、いままでのような緊縮ではなく、反緊縮政策を提案し、福祉などしかるべきところに再配分をしっかりと行うべきだ。
    ・WWⅡ前後の左派の歴史を整理、レフトの思想が歩んできた歴史とその総括について。労働者の味方だった左派が、下層の人々を忘れ多様性に焦点を絞るようになってしまったこと。
    ・メリトクラシー(能力主義)が勃興した結果、下層の人々に対する差別が生まれたこと。「能力が無いのは自己責任」。グローバリズムについていけない人たちが新たな差別階級になった。英国ではチャブ。日本ではマイルドヤンキーやB層。また、そうした状況の中で下層の人々が社会の中で取り残されていること。

    現在の世界での潮流。トランプ大統領やジェレミー・コービン氏、安部首相がなぜ支持されているのか。という説明を非常にわかりやすくしている本だと思う。「緊縮政策で国内経済がボロボロになり、上下構造や明日の飯を食えるかというのが大きな関心になっていたところに、大々的に財政出動を主張する政党や政治家が現れ支持された」という説明は非常にわかりやすいものだったし、最近見たヨーロッパ情勢の本を読んで得られた実感とも重なる。ギリシャ危機に対する、ドイツやeuの掲げる経済政策への不信とかね。

    ただ、本書のコンセプト自体が左派の復権を目指したものというか。右派の否定でもある気がしたので、モヤモヤするところもあった。左派・右派という二項対立に陥ってしまっている気がする。「効果のある経済政策を行い、右派から支持層をもぎ取ろうみたいな」。

    右派の極致はナチスかもしれないが、左派の極致はソ連や中国共産党やグローバリズムの中で多様性を認めることを強制される社会だと思う。良い部分と悪い部分がお互いにある。
    階級による差別はいかんという意見には完全に同意するし、そこに目がいくのはやはり左派の人たちだろうなと思うからこそ。

    イデオロギーは違う価値観を持つ世界みたいな。自分がそこに属していたら、その世界と相手の世界を分けてしまうみたいな。政治思想を理解するにはイデオロギーを理解しなければいけないけれど、そうなるとイデオロギーによって自分と意見の違う相手を分かつことになる。「こちら側とあっち側」が出来上がる。レッテル貼りも生まれる。それぞれのいいところを理解するための邪魔になっている気がする。

    囚われてしまうと、政策は結局のところ「相手を倒す道具」になってしまう。そこを乗り越えて、みんなを幸せにするためにはどうしたらいいのかを必死に考えることが一人一人に求められていく視点だと感じた。理想論だけれども。

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    2019年05月03日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    野党の経済政策のなさや、成長が欠落していることに違和感がある人にはおすすめ。モヤモヤが無くなった。対話式だが読みやすい。章によって段組がバラバラなのが玉に瑕。

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    2018年09月30日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    ネタバレ

    専門の異なる3氏の鼎談で、主に欧州の政治、社会から日本のそれを分析しつつ、「左派」に対する提言が行われています。以下、要約です。

    <ネタバレあり>
    若者をして「『ビッグになろう』と考えたらあかんのかな」と言わしめる左派主導の脱成長的な風潮。左派はアイデンティティポリティクスや文化の問題に耽溺し、「下部構造」を忘れてしまったのではないか。

    一方、欧州ではドイツあるいはECB主導の緊縮政策に対し反緊縮(緩和的な金融政策と積極的な財政支出)を唱える左派(一部右派)が勃興。例えば英国では、2015年に労働党党首として強硬左派、”オールド・レイバー”のコービン党首が選出され、2年後の総選挙で善戦。かかる左派は、第2次大戦直後に勃興し70年代に行き詰まった”レフト1.0”、その反省の上に立ち90年代に隆盛を迎えるも貧困に対処できなかった”レフト2.0”の思想を乗り越える、”レフト3.0”と言えるもの。

    ”レフト3.0”は、”レフト2.0”がもたらしたマイノリティによる多数派の抑圧から脱し、”労働者”全体を復権させることを目指し、金融緩和と”大きな政府”(財政出動)を通じた経済成長、雇用拡大がその政策の目玉となる。一周して”レフト1.0”に戻った感もあるが、現代的にジェンダーやマイノリティの問題も取り込んでいるもの。

    このような欧州の状況を踏まえると、日本はどう評価されるか。まずアベノミクスについて。3氏は、アベノミクス≠ネオリベ政策と評価する。金融緩和と財政支出の組み合わせであるから。これに対し左派は緊縮主義的に批判する。欧州の状況と比べると”ねじれ”が存在。アベノミクスにも第2の矢=財政支出が不十分という問題があるが、(旧)民主党政権下と比べ明らかに安定している安倍政権下の経済を前にしては、「きちんとした経済政策を出していかないと、いつまでたっても有権者の支持を得ることはできない」(176ページ)。「『ご飯をたべたい』という、民衆として普通、当たり前の願いを拒否したり、侮蔑したりしていては、左派は信頼を得られない」(216ページ)。そのため「コンクリートから人へ」の実装、消費増税反対・反緊縮を訴えるべき。
    (上記では端折っていますが、ブレイディみかこ氏のあげる欧州、特にイギリスの人の生き方、考え方の例がいちいち魅力的でした。是非入手してお読み下さい。)

    以上が要約。経済政策だけ見れば3氏が左派に期待する理由は薄い訳ですが、そこはやはり”リベラル”(ただしこれも多義的)な社会を守るため、野党に期待せざるを得ない訳であります。

    選挙を通じた民主主義政体を採っている以上、いつでも政権交代可能な緊張感のある状況が望ましいと思いますが、失業こそしなかったものの私も(旧)民主党政権下では経済的に苦労させられました。当時の主要メンバーが各所で生き残っている野党の状況をみると野党に票を投じることについては躊躇させられます。

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    2018年08月24日
  • 近代の復権 : マルクスの近代観から見た現代資本主義とアソシエーション

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    必ずしも国家権力を奪取して革命を起こす必要はなく、むしろそこかしこで「民主的経営」や民主的運営組織を確立していくこと。それが現在の「社会主義革命」への道であると筆者は言う。

    生産のME化、コミュニケーションの深化によって、国家権力奪取による上からの革命によらなくても、すでに下からの革命の道筋はすでに開かれているというのがその理由である。生産方式が変化して労働力の編成の方式も変化するからそれに対応して変革への道筋やその組織も変化する、と言うのはネグリの議論でもある。国家権力の奪取はそれが必要な社会であったからで、生産力が高まって人々のコミュニケーションが深化すればむしろ下からの革命の条件が生まれている、とする。

    この議論を敷衍すると、社会的な問題があるならそれを行政に対して糾弾するのではなくて、むしろ自分たちで解決できるように組織を作り運営して解決に向かっていく、ということになる。これは旧来型「左翼」のあり様から一歩踏み出している。旧産炭地での労働者協同組合の取り組みや労働組合による生産拠点の自主管理など、一部では取り組まれてきたものであるが、こうした取り組みにはとかく「資本-賃労働の対抗関係を見ない弥縫策だ」との批判が「旧左翼」からなされてきた。こうした取り組みの主体が組織的に排除されてきた例も多い。しかし筆者の議論を踏まえればその取り組みに胸を張ればいい、ということになる。

    排除する側に理があるのか、排除された側に理があったのか。

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    2015年02月10日
  • 経済の論点がこれ1冊でわかる 教養のための経済学 超ブックガイド88

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    様々な〇〇経済学の触りの部分とそれらの経済学のおすすめ本を紹介している本。経済学にしてはとっつきやすかった。紹介している本をまだ読んでいないので評価し難いが、触りの部分の説明が分かりやすかった。

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    2026年05月15日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    面白かった。
    今の野党に経済政策を仕込むより現政権に社会保障制度を手厚くさせるほうがハードル低いような気がする。保守支持層も読むべき。

    2023年4月現在の物価高が始まっている環境でどこまで緩和政策が続けられるのか、緊縮が始まったタイミングが野党の攻め時。

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    2023年04月05日
  • 資本主義から脱却せよ~貨幣を人びとの手に取り戻す~

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    ネタバレ

    目に入りやすいのは井上氏の井上氏のBIにつながる論議だが、各々の視点から経済構造の問題について取り上げる書式は読み進めるに小気味よく、論理的な疑問すらもさらなる探究には役立つと思う。

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    2022年12月12日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    岸田内閣が発足し総選挙が行われることになった。岸田内閣に期待すること、あるいは、衆院選の論点として考えるべきこと、という内容で、日本経済新聞が朝刊に連載をしているが、今日の朝刊のテーマは「成長か分配か。まずは成長を優先すべき」という内容のものであった。

    本書は、ブレイディみかこさんと、経済学者の松尾匡氏、社会学者の北田暁大氏の対談で構成されている。発行は2018年5月のことなので、今から3.5年前のことであり、岸田内閣はもとより、菅首相の前の安倍首相、経済政策で言えばアベノミックス時代の発行である。
    本書の大きなテーマの一つは、書名にもなっているが、日本の左翼・左派に対して疑問を呈する、というものである。
    経済だけが大事なことでないことは言うまでもなく、経済以外にも大事なことは山積していることも言うまでもない。ただ、私は、経済問題は現代の日本の大きな問題の一つだと思う。格差問題、あるいは、日本にも貧困層が生まれており、その格差や貧困は世代間で受け継がれる、要するに固定化・階級化しつつある、ということは、かなり以前から指摘されており、解決すべき政治的イッシューであるはずだ。
    この問題へのアプローチには2つある。1つは経済成長が大事だとするもの。日本の1人当たりGDPはバブル崩壊以降、ほとんど増えておらず、今やそれを指標とすれば、日本は既に世界で最も豊かな国の一つとは言えなくなっている。これは事実であり、日本全体が豊かにならない限り、国民に所得として行き渡る原資はないのだから、まずは経済成長を優先させようとするアプローチ。冒頭に記した今朝の日経新聞の論調である。
    もう1つのアプローチは、分配が大事だとするもの。格差があるのであれば、格差を均せば良いではないか、というアプローチである。富裕層への課税を強化したり、あるいは、大企業への課税を強化し、そこで得た原資を、例えば医療費や介護費や貧困世帯への援助に回そうとするものである。
    本書でのブレイディさんをはじめとする3人の方が感じている違和感は、日本の左派が「経済」について語らないということである。日本の左派は、例えば環境問題、原発問題、等についての主張が多く、そのこと自体は何の問題もないのだけれども、日本の大きな問題の一つである「経済問題」、特に、如何に日本の経済を成長させるかについては、ほぼ語るところがない。なかんずく、不況時の重要な経済政策の一つである政府支出について、国の財政均衡(要するに国の借金は良くないことなので、単年度の国の税収と支出をバランスさせましょうという考え方。政府支出を減らすことは、GDPを減らすことに繋がる)を優先させる考えを左派がとる(民主党政権時代の「事業仕分け」は皆さん記憶に新しいと思う)のは、ほとんどあきれるという内容である。

    「成長か分配か」という、ものの考え方では何も解決できない。正しくは、「成長も分配も」であると私は思うし、本書の主張も同じ。日本の左派が「分配」については語るが「成長」について語らないのは、政治家としての一種の責任放棄ではないか、と私も思う。
    本書の主張に同感だ。

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    2021年10月16日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    ネタバレ

    「年収1000万円以下所得税免除」「消費税5%」=某野党の公約。本書が出された2018年からは大きな進歩。しかし、「プライマリーバランス」は”凍結”で、「消費減税」は時限的。両方とも廃止でよいではないか?英国でも労働党ブレア政権が緊縮だったが、現党首コービンは反緊縮で票を伸ばした。他の欧州各国も似たような動き。レフト2.0から3.0への進化とされる。米国で労働者の票を逃したクリントンに学んだバイデン政権。安倍一強に学べない野党。理想の啓蒙よりも目の前の暮らし。まだまだ本書に手にして欲しい左派がいる。

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    2021年10月11日