松尾匡のレビュー一覧

  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    《Summary》
    大雑把にいうと左派による左派自省の書。
    現在の左派(日本でいうと旧民主党系・共産党系)は、経済について語られることなく、イデオロギーの戦いに終始しているということを、左派自身で反省し改善するための方策を中心に記載している。
    面白いのは下記の4極の差異と比較を通じて、日本の左派として取るべき道を記載している。
    ①. ブレグジットに揺れ動くUK
    ②. ドイツを中心とした緊縮財政のEU
    ③. 極右/立つグローバルに舵を切ったUS
    ④. 右派的な政治スタンスを取りつつ金融緩和を続けるJP
    結論としては、右派左派というイデオロギーで思考を分断するのではなく、"経済"

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    2018年09月16日
  • 対話でわかる痛快明解 経済学史

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    最近では目覚ましい活躍を見せている数理マルクス経済学者(兼ニューケインジアン)の松尾匡による経済学史の本。本書では、スミスに始まりフリードマンまで八人の経済学者が取り上げられており、古典派経済学から現代経済学が対話方式で紹介されている。

    各章の出来はかなり差が激しい。リカード、マーシャル、ケインズ、ヒックスを扱った章はよくできている。特にリカードの章では、差額地代説と彼の穀物法反対の結びつきがクリアに説明されており、今まで差額地代説があまり理解してなかったが、ようやく理解できた。マーシャルの章での需要・供給曲線の導出も見事である。反面、ジェボンズ、メンガー、ワルラスのいわゆる限界革命トリオを

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    2018年07月27日
  • そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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    うーん、俺Leftだから、当然反緊縮だよ?
    弱者だからこそ保護が必要だと思う側だ。

    だから、この本でいうLeft1.0的なことを、この本で言う「日本型リベラル」が主張してないとも、ましてや緊縮を主張してるとも思ってないんだけど、
    いわゆる「フツーの人たち」がLeftを批判している文脈が理解できたのは良かった。
    Leftは緊縮を主張してると思われてるんだな。そりゃ排斥されるわ。

    ぼくとしては「安倍政権はセイの法則だよりで、金融で反緊縮してるけど、効くわけがない。使う人間に直接分配しなきゃ、需要は喚起できない。成熟社会で、供給が需要を生む筈ないだろ?」ってこと

    また(若干の違和感はあるけど)

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    2018年05月09日
  • 自由のジレンマを解く グローバル時代に守るべき価値とは何か

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    「自由」をめぐる錯綜した問題を解きほぐし、新自由主義と排外主義、リベラリズムとリバタリアニズムとコミュニタリアニズムの相克を乗り越える道を探る試みです。

    本書の最後に提示されている「培地/ウイルス」のモデルは、多くの示唆を投げかけているように感じました。私自身は現代の政治哲学ではローティのプラグマティズムにもっとも共感を抱いているので、「培地」の厚生に寄与するウイルスの自由な創意を活かすという考え方そのものは、受け入れやすいように感じています。

    ただ、そこに至るまでの議論の道筋が、どうもクリアには見えてこないように感じています。著者は、「ウイルス」を行動原理ないし考え方とする一方、「培地」

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    2017年09月05日
  • ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼 巨人たちは経済政策の混迷を解く鍵をすでに知っていた

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    移動中に読むには、難解な本です。読むのに苦労しました。30年前の冷戦時代に勉強した経済の理論は今は全く通用しないことがわかります。ソ連の崩壊が、社会主義の崩壊ではなく、経済政策の破綻ということはなんとなく理解できました。数年後は日本経済の破綻が話題になるのかな。

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    2015年02月20日
  • ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼 巨人たちは経済政策の混迷を解く鍵をすでに知っていた

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    水野和夫さんの本よりはためになる場所があるかも。現実にはこういうことですって説明はしないほうがいいと思うけどね。例えば漁業は漁師さんの判断のところでやるほうがいいでしょという主張をされていますが、漁業の話を今すると共有地の悲劇にふれないとおかしなことになっちゃうと思うんだよね。特に、ソ連がうまくいかなかったことは慢性的供給不足のせいです。そしてその理由はとかはすごく簡単にわかりやすくまとまってる。あとハイエクの思想とかも。この本に共感するのは心情左派だからなのかな

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    2015年01月19日
  • 対話でわかる痛快明解 経済学史

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    経済史ゼミの課題のために近所の爺さんに話を聞きに行ったら、そのテーマにあった過去の経済学者を降霊させて語ってくれたという設定で話が進む。
    でてくる学者は順番にスミス、リカード、マルクス、ワルラス、マーシャル、ケインズ、ヒックス、フリードマン。
    流れとしては降霊した学者がその時代の解釈を語り、ゼミの教授が現代の解釈を付け加えるといった感じ。

    市場メカニズムの評価、経済学的発想vs反経済学的発想、創始者か統合者かの3つの軸を元にそれぞれ主張を読み解く。

    経済学的発想は
    ・経済は人間の意図でコントロールできない
    ・取引は互いに得をする
    ・他者との比較ではなく自分の効用を求める
    反経済学的発想は

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    2013年12月21日
  • 新しい左翼入門 相克の運動史は超えられるか

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    「上からの啓蒙」と「下からの運動」に注目しながら左翼運動史を振り返り(1~8章)、それを受けて筆者が自らの運動論について述べる(9,10章)。

    終章の主張は、私が考えていたものとかなり合致する記述があり、共感しながら読んだ。
    これら9,10章の内容はちょっといきなりの感があるというか、若干説明が足りない。それについて理論的に詳しく説明されている書籍があればそれを読みたい。

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    2012年12月12日
  • 新しい左翼入門 相克の運動史は超えられるか

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     新左翼入門,ではなくて,それ以前の,明治から戦後までの日本の左翼について。エリートが理論を掲げて主導する道と,大衆の中から立ちあがる道の対立が,日本の社会主義運動には一貫してあった。
     大逆事件までの,キリスト教社会主義対アナルコ・サンジカリズム。大正期のアナ・ボル論争。昭和戦前の日本資本主義論争。戦後の共産党対社会党左派・総評。本書では,マル経教員の著者が,時代に沿って「二つの道」の相克を辿り,そしてそれをいかにして乗り越えるかを論じる。
     ただ,戦後が戦後まもなくで終わっていて,そのあと今後の話になるのは唐突な感じだ。
     あとがきにあった,右翼と左翼の定義には納得。右翼は世界をウチとソ

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    2012年11月21日