吉野朔実のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小川洋子さんの文と吉野朔実さんの絵ということで借りる。
本書は小川さんの『アンネ・フランクの記憶』をもとに児童向けに新たに編み直したものとの巻末の注記。
吉野さんの絵は表紙と人物紹介の頁の他、カットが数点で期待してたのとはちょっと違った。
1994年に小川さんがアンネ・フランクの親友ジャクリーヌさんとアンネ一家の隠れ家生活の手助けをしたミープさんを訪問し、アウシュヴィッツを見学したことが記されている。収容所を見学する記述では、やはり胸が苦しくなる。
特に展示室を埋め尽くす靴を前にして、心の中で「無数ではない」と繰返し自分に言い聞かせる小川さんの述懐が胸に迫る。 -
Posted by ブクログ
学生時代、ですからもう10数年以上も前に
買った本だったと思います。
先日本棚の整理をしたら出てきて、
大切にとっておいたものらしくとても状態がいいのです。
表紙もとても凝っています。
吉野朔実さんのイラストが淡い色彩で入っていて、
型押し加工までしてある。綺麗な本。
買った当初のことを思い出しながら再読しました。
大学を卒業したものの就職もせず、
たまにバイトをしながら自宅で暮らす、
今で言うとニートになるのかしら、女の子のお話です。
親に甘えて一見のらりくらりと気ままな生活を送りながら、
その内面は子どもと大人の狭間くらいでゆらゆらと揺れている。
吉野さんは淡々とした描写のなかに、 -
Posted by ブクログ
【ネタバレ有】●兄弟は、田舎の施設に暮らしている。
すっかり穏和な性格になってしまった父親が、家を弟夫婦の借金返済に当てた結果、兄弟には行き場がなくなってしまったのである。
兄は、その論理的思考力と落ち着いた性格がわざわいして、教師から迫害を受け、とかく暴走しがちである奔放な弟は、乱暴ないじめっ子たちと抗争する日々ではあるが、ともあれそれなりに施設には馴染んでいる。
一方、病人となった父親は、父親の妹すなわち彼らにとっては叔母が引き取り、つきそわれている。
夏休みに叔母の家に遊びに行き、二人を見た兄は、彼らを見て、「華ちゃん(=叔母)はまるでお父さんの恋人みたいだった」と表現する。・・・ ●・