小山太一のレビュー一覧
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終始、面白可笑しい皮肉調で描かれているから、クスクス笑いながら読んでしまう。何か衝撃的な出来事があるわけではないけど、全場面が楽しくて、非常に好きな作品になった。つまらない場面が全くなかった。
登場人物の生き方はみんな違っていて、それぞれの生き方は悲しかったり、惨めだったり、皮肉に思えたりする。人間の性質や流涎している思想の具現化にも思えた。
どの登場人物についても、客観的な納得のいく描写によって、その人間性が鮮やかに描きだされている。仔細な人間描写により、読者は登場人物を身近に感じることができる。物語の世界に引き込まれる。エリザベスがダーシーの人間性を誤認し、嫌悪してしまういきさつ、手紙でのダーシーの弁明、エリザベスの誤解解消への心の動きが、十分すぎる程の説得力を持っていて、読者に自然に感じられるのは、オースティンの描写能力があってこそだなと感じた。
自分も、エリザベスのように人間を批判的に見てしまうところがあるから、非常に共感する点が多かった。共感するからこそ、身につまされる点も多かった。高慢な態度で偏見を抱き、それが正しいと思い込まないように…。
エリザベスは、洞察力が高くて、深く物事を考えるタイプで、社交的で、柔軟性があって、機知に富んでいて、芯があって…何もががカッコいい。地位や階級を重んじる社会を理解して納得してはいるけれど、それよりも人間の尊厳や慈愛を大切にしていて、その信念を貫いているところがすごく好き。こういう人間でありたいなぁと思った。
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ネタバレ頭の弱いお人好しのバーティーと、完全無欠な執事のジーヴズのコンビシリーズ、第二弾。
バーティーを取り巻くメンツは第一弾の「才智縦横の巻」で出てきた顔ぶれと同じで、バーティーの子ども時代からの友人のビンゴ・リトルは女性を見れば誰であってもとりあえず惚れるというのは相変わらず。バーティ―の従兄弟の双子、クロードとユースタスのダメ人間ぶりと鬱陶しさも相変わらず。
全ての登場人物が強烈な個性を発揮しつつ、基本的には彼らの行動の全てがバーティーにとって不幸と災いの種にしかならない、というのがこの作品の面白いところ。優柔不断で頼みを断れず、されるがままに流されるバーティーをすんでのところで救い出し、問題を解決してしまうジーヴズの手腕がこの作品でも楽しめる。
しかし、イギリス人は賭け事が好きなんだなぁ、というのがこの作品からはつくづく見て取れる。登場人物のほぼ全員が、ギャンブルで散財するか苦境に陥るか、あるいはギャンブルに金をつぎ込むために誰に軍資金をせびろうか、ということしか考えてない気がする。前作でもギャンブルはストーリーの大きな構成要素の一つであり、問題解決役のジーヴズですら、小さな(でも確実に勝てると分かっている)賭けに手を出している。時代を問わず、イギリスの一つの文化のようなものなのだろう。 -
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徹底的なお気楽さに救われた。
このジーヴスの世界観を読んでいる間は、現実の嫌なことや不安なことを思い出さないですむ。
悪意のある人間は出てこない。
人間関係のドロドロも、悲しい出来事も不安になる心配もない。
どんなにバーティが泥沼にはまっても、最後は執事のジーヴスが絶対に何とかしてくれる。
ものすごく恵まれた現実味のないユートピア。だからこそ、現実逃避するようにこの世界に引きこもりたくなる。
「おバカだなぁ」と笑っているうちに、いつの間にか気持ちが軽くなる。
エピソードそのものは、個人的には『第2弾 大胆不敵の巻』の方が面白かったけど、この本の解説には興味深い話があった。
第二次世界大戦中、ドイツ軍に捕らえられたウッドハウスが、自分の無事を知らせたい一心で敵国のラジオ放送に出演したことで英国で激しく批判された。その際にジョージ・オーウェルなどがウッドハウスを擁護したという。
まさかこんなところでオーウェルとつながるとは!
『一九八四年』のあのオーウェルとウッドハウスに、こんな接点があったことが意外で、とても興味深かった。
もっと知りたくなって思わずググったら、作品だけでは見えてこなかった、二人の人物像を知ってますます興味が湧いた。
解説からもウッドハウス自身は主人公バーティのような余裕のある生活を送っていたわけではなく、むしろ苦労の多い人生だったことがわかる。
それでも作品はどんな時代の読者も笑わせ、明るい気持ちにしてくれる。
国境や時代を越えて今も世界中で愛されているのも、きっと私と同じようにこの作品に救われてきた人がたくさんいるからなんだろうな。
昨日はクリスティとの接点に驚いて、今日はジョージ・オーウェル。
これまで読んできた作品の作者たちが思わぬところで繋がっていて、こういう思いがけない繋がりに出会えたことも嬉しかった。
なぜだかわからないけど、英国の古典にとても惹かれる。 -
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ネタバレービングリーがジェインを熱狂的に愛しているのは確かだけれども、彼が期待している幸せには、理性的な根拠があるに違いない。なぜなら、その根本には2人の優れた分別があり、ひときわ優れたジェインの気立てがあり、心の動きや物事の好みのすべてにわたる一致があるからだ。
大好きな姉が、素敵な人と結婚するのを目の当たりにして、結婚は本来こうあるべき、をエリザベスが考えて賞賛する言葉である。
それは、いまの現代にも通じるものだと思う。
ーねえ、リジー!愛のない結婚だけはしちゃだめよ。ちゃんと愛を感じてるって言い切れる?
この一節だけで、このお話が、現代にも通じる婚活物語だとわかる。
タイトルの「自負と偏見」これがまた!これだけで語り尽くせる。プライドあんどプレデジッション。
プライドは、ダーシーの性格だ。傲慢、高慢。自分のように見た目もよく、地位も高く、お金もある人間が、あなたのような家族の知性も低く、地位も低いのにあなたを好きになってしまうなんて!とプロポーズする。最悪である笑
それに対して、エリザベスはあなたみたいな高慢な人は絶対お断りです!と断る(あたりまえだ)
が、実はエリザベスにも誤解したところがあって、周りの噂に惑わされた偏見の目で見ているからでもある。
そう、偏見の方はエリザベスだ。その偏見の結果、事実と見合う見方をしていたことに気づき、反省して、そして偏見を捨ててダーシーを見ることで愛していくのだ。
偏見があったからギャップがあったともいえ、偏見は結婚の妨げにもなるが、また、結婚を後押しするものでもある。
親戚があんな品位の低い人と結婚するなんて許さない!向こうはそんなの関係ないなんて言ってたわ!と偏見おばさんに言われて、ダーシーはエリザベスの気持ちに気づくわけだしね。
ダーシーの高慢はプライド(自負)でもあるので、簡単に人に迎合しないし、そこが彼の品位を保っているとも言える。
それにしても、1800年前後イギリスの、結婚制度(女性が自活する方法はなく、結婚するしかない。身分は釣り合っていないといけない。親族の質や財産も見られる)や、商売をしているといくらお金があっても身分が低いとか、そういうのも勉強になったし、でもその釣り合ってるか?みたいなところと、でも誰でも良いわけではない。愛がないと!というバランス。じゃあなんで惹かれるか?といえばある程度釣り合っているからだし…という狭間の葛藤は今の婚活にもある。
ジェーンオースティン、何百年も愛されるものはやはり良い。面白く読めました。
今このタイミングで読んだことも良かったと思う。
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ネタバレ「兵士の帰還」は、なかなか恐ろしい物語である。
愛しい夫がやっと戦地から戻ったと思ったら、自分と過ごした15年間の記憶をすっぽり失っていて、15年前にささいなことでケンカ別れした女のことをまだ愛していると思っていて、現在の妻である自分のことはまったく好みではないし愛していないし結婚した覚えもないという状況に陥ったら…。
読み終わってしばらくして、タイトルの「兵士の帰還」には、文字通り、戦場から傷を負って帰還した男、という意味と、束の間過去の美しい思い出の中で休息の時を過ごした男が現実という「戦場」に帰還したという意味があるのではないかと気づいてはっとする。いやはや。
一緒に収載されている「終わらない結婚生活」は、また違うテイストのはなしたった。 -
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モームの世界十大小説のひとつ。(読むのは、カラマーゾフの兄弟、戦争と平和、ゴリオ爺さん、赤と黒、に続いて5作目)
日本で言うと寛政の改革の頃の作品というから驚きだ。(シェークスピアの200年後の作品と思えば十分現代に近いが。)
200年以上前に、宗教も文化もまったく異なる異国で描かれた作品がスラスラ読めてしまうということは、それだけ、人類普遍の真理を扱った作品ということだろう。
テーマは結婚。登場人物は、ほぼ全員上流階級の人たちだが、下はジェントリー(ベネット家)、上は伯爵家(ド・バーグ家)で、身分差は厳然としてある。
ベネット家の5人姉妹、ジェイン、エリザベス(リジー、イライザ)、メアリー、キャサリン(キティ)、リディア、のうち、3人が、物語の終盤バタバタとほぼ同じタイミングで結婚する。
夫の社会的身分・人格が、夫人の気高さにほぼ比例していて、面白い。五女リディアとジゴロ士官ウィッカムのダメ夫婦振りは読んでいて清々しい程だ。ダーシーも助けたりせずに放って置いて破滅させれば良いのに、と思うけれど、「家の恥」の制約は今よりうんと強いのだろう。
最後の方での、エリザベスと、ダーシーの伯母レディ・キャサリン・ド・バーグの間の、未来の嫁姑戦争にも似た舌戦は非常に現代的でおもしろい。レディ・キャサリンの奮闘が裏目に出て、ダーシーがプロポーズの気持ちを固める、という流れはメロドラマのお手本のような筋書きで、後世に大きな影響を与えているのではないだろうか。
エリザベスにとって、ダーシーの第一印象は最低だったのに、いつのまにやら、好意に変わっていく様の自然さは読んでいても不思議なほどだ。
ダーシーの妹ジョージアナが兄夫婦を見て、妻が夫をからかって良い、ということに気付いて驚く、というシーンにドキッとする。この辺りはやはり200年前なんだな。また、作者ジェイン・オースティンの名が作品に付されるようになったのは死後漸く、という点も。
女性の男性を見る目のシビアは、有性生殖がこの世に誕生して以来の普遍の真理だろう。
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今から200年以上も前の西暦1813年にイギリスで刊行された恋愛小説で、題名は『高慢と偏見』と訳されることの方が多いのじゃないかな。映画やドラマは『高慢と偏見』というタイトルで販売されている。
ドタバタというほどではないにせよ、ほぼコメディ小説。「いるよなあ、こういうタイプの人って」と笑ってしまう登場人物だらけで、会話文も現代訳のため、非常に読みやすい。
ただ、例えば主人公のエリザベス・ベネットが状況によって「エリザベス」「リジー」「イライザ」「ミス・ベネット」と様々な呼ばれ方をしていて混乱しやすい。当たり前だがエリザベスの姉のジェイン・ベネットも「ミス・ベネット」だし。
どこかから登場人物一覧や相関図を引っ張ってきて、それを手元に置いて参照しながら読むと良いかも。 -
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ネタバレ個性豊かな四姉妹が出征した父親の留守中、いい人間になることを目指して奮闘する話です。
うちも三姉妹なのでマーチ姉妹のわちゃわちゃした感じすごいわかります(笑)
女ばっかりってうるさいんですよね。
ジョーは作者の投影なのかな?
サバサバしてて読書好きですごく好感が持てました。
みんないい人間になろうとするけど、要所要所で失敗して反省するとこがリアルでいいですね。
ラスト、メグとミスター・ブルックがいい感じになっちゃってどんよりするジョーの気持ち、すごいわかるなあと。
私も妹達が結婚することになった時はそんな感じでした。
今まで同じ家に住んで楽しくやってたのに知らない男が1番になって出てっちゃうのはつらいですよ……
最後は大円団で安心しました。