兵士の帰還

兵士の帰還

小説・文芸
1,881円 (税込)

9pt

3.5

記憶をなくした男とその妻、十五年前の恋人

戦場で記憶を失った男をめぐる三人の女性の心理劇。ケアの視点からも再評価される英国モダニズム小説。併録「終わらない結婚生活」。

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    Posted by ブクログ

    【目次】

    兵士の帰還
    終わらない結婚生活

    解説

    【感想】

    「兵士の帰還」「終わらない結婚生活」の2作を収録。前者は第一次世界大戦のさなか、シェルショック(現代のPTSD)により記憶喪失になって戻ってきた男をめぐり、いとこ(語り手)・妻・元恋人が恋慕、嫉妬、純愛を向けあう。階級社会ならではの、悪気のない優越感のまなざしも見どころ。後者は平凡なスペックの男性が、活発で魅惑的な妻に対して思い違いゆえの憎しみを募らせていく。

    両話とも読ませる場面はままあったけど、夫婦のなれそめの描写に乏しく結婚の必然性が曖昧。そもそも結婚してなけりゃこんな不幸せにも遭わなかったろうに。

    【備忘】

    - 「育ちの良い人たち」が交わす言葉の節々に、「富める者が貧者に抱く嫌悪」が暗に練りこめられていて、好きになれなかった。
    - 戦地は凄惨な環境ゆえ、そこから帰還した人をかつての当人とは似ても似つかない別人に変えてしまう、というのは往々にしてあることだろうと想像できるが、本作では兵士が帰還することと、兵士へと帰還することの両面が読みどころ。
    - 記憶を取り戻して普通に戻ることよりも、記憶を失ったまま幸せでいつづけるほうがよいのでは、という誘惑。

    0
    2026年02月22日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「兵士の帰還」は、なかなか恐ろしい物語である。
    愛しい夫がやっと戦地から戻ったと思ったら、自分と過ごした15年間の記憶をすっぽり失っていて、15年前にささいなことでケンカ別れした女のことをまだ愛していると思っていて、現在の妻である自分のことはまったく好みではないし愛していないし結婚した覚えもないという状況に陥ったら…。

    読み終わってしばらくして、タイトルの「兵士の帰還」には、文字通り、戦場から傷を負って帰還した男、という意味と、束の間過去の美しい思い出の中で休息の時を過ごした男が現実という「戦場」に帰還したという意味があるのではないかと気づいてはっとする。いやはや。

    一緒に収載されている「終わらない結婚生活」は、また違うテイストのはなしたった。

    0
    2026年02月05日

兵士の帰還 の詳細情報

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