城平京のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ブリジット視点の過去篇ついに終幕。
ちいさな頃から甘やかされ、愛され、彼の人に対する態度、度量、戦略、謀略のすべを自然と学んでいった彼女がすごーくかわいらしく描かれております。 確かにそんな風にされたら愛するしかないのに、与えられたのは幾度にもわたる裏切りに、憎むしかなくなったのは理解できます。 まあ、ストラウスにも人を好きに愛する権利はあるので、ステラを愛したことが裏切りとはいえないかもしれませんが、乙女にとっては自分以外が恋愛の対象というのは裏切りのひとつに数えてもいいかと。
あーなんでブリジットじゃなくステラを選んだかなあ。(ステラの気風がよくてしぶといところ大好きですよ!) そう思ってしまうほどブリジットの思いは純粋すぎて切ないです。
閑話休題。
流石推理作家というべきか、本策にもまだまだ謎が残っています。現時点の覚書としてメモメモ。
?ステラ殺しの犯人は本当にアーデルハイトなのか
?アーデルハイトはステラ殺しの最大の物証であるはずの首飾りを、なぜ元老たちに渡したのか(渡せば自分がストラウスたちに犯人とみなされるにも拘らず、また彼女の軟禁を知らせるだけなら他にも装身具はあっただろうに)
?セイバーヘーゲンおよび周辺諸国はなぜストラウス「王」をあれほどに警戒したか。
?ステラと先代黒鳥・ユキとの相似は偶然か(ステラとセイバーヘーゲンとのかかわりは) -
Posted by ブクログ
トンデモ作中作の『新九郎忍法料理帖』と現実の殺人がリンクし始めた事で作中作のトンデモ具合にも深い意味が見られてくるのは面白い展開
特に現実の殺人が未解決であり、解決の鍵となりえる「金庫の鍵」が『新九郎忍法料理帖』の鍵である「賢者の石」とリンクするのは良いね。どちらにおいても鍵の行方が重要と成ってくるわけだ
ただ、これはそもそも『新九郎忍法料理帖』の主人公が九郎に似ているのではないかという疑惑から始まった調査。このトンデモ作に九郎はどう反応するのかと思いきや、琴子とは別ルートで知っていたというのは何とも間の抜けた展開
心配されずとも、九郎は九郎できちんと小説に籠められた想いを知っていたわけだ。おまけにそれを書いたのが人生の転機に関わる女性なら尚更に手助けしてやりたいとも思うか
桃子の明かす話は一種の犯人の自白に通ずるものでありつつ、本作が正統派ミステリではなく変則球の『虚構推理』であるように、これがそのまま答えに成るわけではない
桃子が話の続きを執筆し兄へと届けるのが困難であるように、予定されていた真実ではなく虚構へと作中作を塗り替える必要がある
まあ、だとしたら琴子がミステリと思い込んでいた物語がミステリでは無かったのは厄介だろうなぁ(笑) いや、読んでいるこちらもサラッと騙されたシーンだったけども。
未執筆部分の展開が琴子の予想の斜め上を進むように、谷崎マルスを現実においても犯人扱いするには斜め上の発想が必要になる
それは虚構構築において秀でた能力を求められる知恵の神・琴子にこそ求められる役割か
と、ここまで考えると今回の事件、琴子って『新九郎忍法料理帖』を発見する手柄は立てているけど、他の面では結構出遅れが目立つようなと改めて思ってしまったり
現実にリンクする殺人に気付いたり調べたりしたのは六花だし、前田雄司が誰にリンクするかも気付いていなかった。極めつけは作品ジャンルの勘違いか
事件の推移が予想から外れた為に小さな失敗をする事はあれど、明確な失策なんてそれこそ『逆襲と敗北の日』くらいしか印象にないだけに、今回の当て推量が外れる琴子の姿は少し意外に思えたな
それだけに最後くらい格好良く締めて貰いたいものだが