ルソーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「社会契約論」で有名なルソーが過ごした、孤独な晩年。
そこで彼が散歩しながら考えた、「自分自身」について。
自分の内面を深く深く掘り下げる、孤独な旅路。
「彼らの哲学は他人用なのだ。僕には自分用のものがあればいい。」
「自分が学ぼうと思った時には、それは自分自身を知るためであって、
教えるためではないのである。」
など、俗世的に生きる人々(彼を疎外した人々?)に批判的意見を飛ばします。
自分の内心を居所とする人間が最も強い、とするかのように。
こうした姿勢は独善的、自己中心的と批判されそうなものですが、
まあ、どっちもどっちでしょう。ただ、
「判断を練りに練ったうえで、その感情を選択することが肝要だ」
という一行には共感しました。
感情を選択できるという境地に至るほど自分を知ることができれば、
心強いように思います。 -
Posted by ブクログ
人間はなぜ互いに憎しみ合ったり、嫉妬しあったりするのだろう。なぜ不平等は生まれたのだろう。そういう骨太な問いに、18世紀を代表する知性が正面から取り組んだ傑作。とても感動した。
この問題を考える上で、ホッブズやロックらの先輩思想家がそうであるように、ルソーもまた社会が成立する前の「自然状態」を考える(ちなみに、なぜ彼らがそろって実際の歴史の探究ではなく理論的に過去を遡及するのか不思議だったが、そういう戦略をとらざるをえない理由が解説に書いてあった)。そして、ルソーはホッブズやロックの「自然状態」について、それらはすでに社会が成立した後の観念を反映させてしまったものだと批判しつつ、彼独自の人類の起源を探究していく。そして次にそこから、どのようにして「社会」が成立し、現在のような不平等に至るのかを説明するのだ。
まさに壮大な思考実験。人間性の本質は何か、私たちはどうしてこのようにふるまうのか、それを考え抜いた思考の軌跡がこの一冊だと言っていい。そして、ルソーが辿りついた結論はよく言われる「自然に帰れ」ではない。僕はこの本で初めてルソーの思想を知って驚いたのだが、ルソーはそんな復古主義的なことは全然言っていない。「わたしのような人間にとっては、あれこれの情念のおかげで、もはや原初の単純な暮らしぶりをすることは永久にかなわないことだ」(p225)といい、「美徳を学び、次にこれを実践する」ことを通じて、人間を高めていくことを決意する。おそらくこの決意が、次の『社会契約論』につながっていくのだろう(執筆時点で未読)。
また、もう一つ強く僕の印象に残ったのが、ルソーが自然状態の原理の一つとして「憐れみの情」をあげていることだった。これは、アダム・スミスが『道徳感情論』で同感能力を人間の基礎に据えたのと似ている。もちろんルソーはそう主張するだけの根拠もあげるのだが、僕はどうしてもそこに人間性に対するルソーの期待のようなものを読み取ってしまう。彼は、不平等な現実社会を見ても、決してあきらめていない。まして「自然に帰れ」などの復古主義を唱えてもいない。人間の現実を見つめながら、それでも希望を失わず、よりよき社会を構想した思想家なのだ。そして実際、彼の思想がフランス革命とアメリカ独立革命を用意していく。それが僕たちの社会へとつながっていくのである。現実社会の中で生きる者として、僕はもっと、こういう思想家の文章を読まねばならないと思う。 -
Posted by ブクログ
『孤独な散歩者の夢想』は、ルソーの徹底した自己内省が魅力である一方、読んでいて序盤は閉塞感を覚える。自分以外を信用せず、自分の考えはおおよそ正しいという前提で語られる世界は、対話の余地がなく、柔軟性に欠けている。深いメタ認知力はあるものの、他者の視点や思考の余白を認めず、思考が自己完結して硬直していく様は、高学歴で発達傾向のある人と会話しているときの「頭は良いが視野が狭い」という感覚に非常に近く感じた。
本の中での説明に加えてルソーの人物像,置かれている状況,精神状態などの情報を加味すると自分ならどうなりそうか?と想像して読み進めました。
一番印象的なのは第八の散歩です。ルソーが硬直的な思考から考え抜いて得た自己理解や内省への知見がまとまっており、柔軟さを手に入れる過程が見えました。 -
Posted by ブクログ
新訳でかなり分かりやすくなっているのかもしれませんが、かなり理解が難しい文章でした。それでも日本国憲法の基礎にもなっている人民主権の基本的な考え方は理解できたと思います。特定の統治者に権利を委譲するのではなく、国家に委譲しつつも各国民がその主権の一部であるという、話の抽象度の高さが難しさの理由の一つでしょう。
主権は国民にあり、政府は国民の意思を実行するために雇われているにすぎないという、教科書でも習うような当たり前なことです。でも選挙のたびに無力感を感じ続けてふと忘れがちになることを、18世紀の人の声で再確認させられるというのが面白いです。
国民全員の利益を追求する一般意志と、統治者の私利私欲による個別意思は完全に一致することはなく、それによって国家は必然的に衰退するというルソーの指摘が、今の日本に完全に当てはまっていることに感心してしまいました。その解決策が本書では明確に提示されていないところを見ると、日本は滅びるしかないのかと心が沈みます。 -
Posted by ブクログ
PSYCHO-PASSで紹介されてから購入し、だいたい5〜6年間、トライしては挫折を続け、やっとこさ読み終わることができました。
政治哲学に関する素養はないので、あまり大それた感想は書けませんが…
「自然状態」という事実かどうかは当時確かめようのない想定から人類の社会の誕生を考え、言語などをはじめとする文化の誕生に言及し、不平等がいかに誕生したのかという緻密な分析は、読んだ甲斐があると思いました。心理学的な人間理解にも通じるものがあり、1700年代にこのような人間理解をしたルソーはまさに天才であると感じます。
ルソーは他に、『社会契約論』や『エミール 』でも有名ですが、これらの本にもいつかは当たってみたいです。