ルソーのレビュー一覧

  • 人間不平等起源論

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    人間はなぜ互いに憎しみ合ったり、嫉妬しあったりするのだろう。なぜ不平等は生まれたのだろう。そういう骨太な問いに、18世紀を代表する知性が正面から取り組んだ傑作。とても感動した。

    この問題を考える上で、ホッブズやロックらの先輩思想家がそうであるように、ルソーもまた社会が成立する前の「自然状態」を考える(ちなみに、なぜ彼らがそろって実際の歴史の探究ではなく理論的に過去を遡及するのか不思議だったが、そういう戦略をとらざるをえない理由が解説に書いてあった)。そして、ルソーはホッブズやロックの「自然状態」について、それらはすでに社会が成立した後の観念を反映させてしまったものだと批判しつつ、彼独自の人類

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    2010年10月16日
  • エミール 上

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    ジャン・ジャック・ルソーの書いた名作。彼は理想主義者であるが一部の彼の発言には今の我々が共感すべきところがある。
    エミールという少年が学校には行かず家庭教師と一緒に生活しそこから人間のありのままの道徳を教えられていく物語である。

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    2009年11月11日
  • 孤独な散歩者の夢想

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    『孤独な散歩者の夢想』は、ルソーの徹底した自己内省が魅力である一方、読んでいて序盤は閉塞感を覚える。自分以外を信用せず、自分の考えはおおよそ正しいという前提で語られる世界は、対話の余地がなく、柔軟性に欠けている。深いメタ認知力はあるものの、他者の視点や思考の余白を認めず、思考が自己完結して硬直していく様は、高学歴で発達傾向のある人と会話しているときの「頭は良いが視野が狭い」という感覚に非常に近く感じた。
    本の中での説明に加えてルソーの人物像,置かれている状況,精神状態などの情報を加味すると自分ならどうなりそうか?と想像して読み進めました。
    一番印象的なのは第八の散歩です。ルソーが硬直的な思考か

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    2025年04月21日
  • 孤独な散歩者の夢想

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    晩年のルソーが綴った本で、私小説、哲学書のような内容となっている。冒頭に書いてあるように、ルソーは地上でただの一人きりになってしまったと吐露する。それ以降、ルソーの孤独な内面が次々と垣間見えていく。また本作でも言及されているが、思想家としての側面のみならず、植物学者としてのルソーの様子もわかる。

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    2025年03月29日
  • エミール 下

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    女の子の育て方についても書いてあった
    エミールとソフィーの結婚から突然政府論になったの少し急だな!とびっくりしたけど、家庭は社会の最小単位の集合体だもんね

    何でもしたいがままさせたいがままが自然じゃなくて、秩序も必要

    ルソーの考えが好きだよ

    最後の手紙を読んで、傷ついてる時や悩まされている時って自然を求めるというか自然に帰りたくなるよな。。。と思った
    楽しみがたくさんある都会生活を好んで送っているくせに、飽き飽きしている私にグサグサ刺さりました

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    2025年02月24日
  • エミール 上

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    現代の感覚からすると差別的だったり、非科学的だったりする主張もありましたが、参考になる考え方も多かったです。
    経験の伴っていない観念のみを教えても意味はないという主張には深く共感しました。ただ、観念を先に知っておいて、その後経験した出来事によってその理解を深めるといったシーンも、実際の人生ではありそうです。

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    2024年11月09日
  • 孤独な散歩者の夢想

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    外側にあるものは問題とせず、平穏な幸福は自分の中にこそあるとして始める「孤独な夢想録」。その語り口は「高校生の頃のおれ」そのものだし、言ってる事自体は「晩年のルソー」すぎるし、アプローチ法は哲学的。安易な言い方だとドストエフスキーとかが好きな厨二病気質には刺さる。個人的には「第四の散歩」が好き。ただ訳が堅い。読みづらい。

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    2024年03月15日
  • 孤独な散歩者の夢想

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    翻って考えてみるに、酷く心を乱していながらも、当時そして現代にも通底するような、一種の真理に近いものを看破し得るのは、正に彼の著述の才能と、物事を掘り下げて深く考える能力の残滓が、錯乱状態にあっても確かに残っていたからであり、その一貫性に驚嘆した。所々真実かどうか疑わしい記述、どうも妄想ではないかと思われるような部分があるのは確かだが、精神に異常を来たし、老いたとしても、ここまで重厚なものを書ける人は稀有だと思う。

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    2023年09月21日
  • 社会契約論/ジュネーヴ草稿

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    新訳でかなり分かりやすくなっているのかもしれませんが、かなり理解が難しい文章でした。それでも日本国憲法の基礎にもなっている人民主権の基本的な考え方は理解できたと思います。特定の統治者に権利を委譲するのではなく、国家に委譲しつつも各国民がその主権の一部であるという、話の抽象度の高さが難しさの理由の一つでしょう。

    主権は国民にあり、政府は国民の意思を実行するために雇われているにすぎないという、教科書でも習うような当たり前なことです。でも選挙のたびに無力感を感じ続けてふと忘れがちになることを、18世紀の人の声で再確認させられるというのが面白いです。

    国民全員の利益を追求する一般意志と、統治者の私

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    2022年12月31日
  • 孤独な散歩者の夢想

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    初めてのルソーでした。
    彼の哲学は個人的には少し共感もありました。
    自分の置かれている身にとっては、良い本に出会えました。
    ルソーという人物が知りたい方、初心者にはこの本が良いかもしれません。
    彼は繊細な方だという印象を受けました。
    訳が非常に分かりやすく、また読みやすかったです。
    光文社も初めてでしたが、これから躊躇なく手に取ろうとも思いました。
    なんか、ルソー可愛かったです。

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    2021年07月01日
  • エミール

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    じゃんじゃんルソーの教育本「エミール」を実践したじゃんじゃんの息子、レオのお話。レオの生涯を通して「エミール」の内容が大まかに分かる内容となっている。非常の簡潔で分かりやすく興味が持てたので、次は原本も読んでみたい。
    PS:じゃんじゃんは草

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    2020年05月26日
  • 人間不平等起源論

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    PSYCHO-PASSで紹介されてから購入し、だいたい5〜6年間、トライしては挫折を続け、やっとこさ読み終わることができました。

    政治哲学に関する素養はないので、あまり大それた感想は書けませんが…
    「自然状態」という事実かどうかは当時確かめようのない想定から人類の社会の誕生を考え、言語などをはじめとする文化の誕生に言及し、不平等がいかに誕生したのかという緻密な分析は、読んだ甲斐があると思いました。心理学的な人間理解にも通じるものがあり、1700年代にこのような人間理解をしたルソーはまさに天才であると感じます。
    ルソーは他に、『社会契約論』や『エミール 』でも有名ですが、これらの本にもいつかは

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    2020年01月22日
  • 人間不平等起源論

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    ネタバレ

    自然法(ドロワ・ナチュレル)という考えは、人間の本性にかかわる概念である。p38

    【二つの原理ー自己愛と憐れみの情】p41-43
    学問的な書物はどれも、すでにできあがった状態の人間について理解するために役立つだけであり、ここでは無用のものである。それよりも大切なことは、人間の魂の原初的でもっとも素朴な働きについて考察してみると、理性に先立つ二つの原理を見分けることができるということである。一つの原理は、わたしたちにみずからの幸福と自己保存への強い関心をもたせるものである。もう一つの原理は、感情をもったあらゆる存在、とくに同類である他の人間たちが死んだり、苦しんだりするのをみることに、自然な反

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    2018年02月22日
  • エミール 上

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    100分で名著で放送していたので久しぶりに読んだ。エミールとのやり取りの場面ばかりテレビでは取り上げられていたが、そうした場面は意外と少ない。

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    2017年04月10日
  • 人間不平等起源論

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    ネタバレ

    社会契約論よりは読みやすい部類に入るでしょう。
    ただし、解説なしで読むのはかなりつらいので
    面倒くさくても、解説はきちんと読みましょう。

    そもそも私たちが人間としての
    人と協力し合う、という選択肢を選び始めてから
    不平等というものは生まれてしまったのです。
    だけれども、原初に戻る?と聞かれて
    私たちはイエスということはできないことでしょう。
    もう戻るには遅すぎます。

    そして、この本を読んでいて違和感を覚えるでしょう。
    これって、今の状態のままじゃないの。
    結局富めるものは強いまま、
    そうでないものは搾取されるまま。
    自由に生きることさえ、許されないわけで。

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    2016年01月21日
  • 社会契約論/ジュネーヴ草稿

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    教科書でもこの書名は出てくるでしょう。
    でも大学等でこれを読み進める機会がない限り
    読む機会もまずないでしょう。

    非常に難解です。
    そう、理想の国家について長々と出てきます。
    ちなみにこの2つは同じものですが
    微妙に違います。

    共通なのはキリスト教のところですね。
    これは当時としては強烈なことを
    いってしまっているので教会を
    確実に敵に回しています。

    この本はフランス革命の
    きっかけになったそうです。
    ある制度にどっぷりつかってしまってましたからね…

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    2016年01月11日
  • 社会契約論/ジュネーヴ草稿

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    『社会契約論』と巻末の解説を読んだ。ルソーの言う「一般意志」というのが、昔からどうもうまくイメージできなくてもやもやとしていたのだが、これを読んでやっとわかった。やはり解説本を何冊も読むより原典(訳本ではあるが)にあたる方が早いなと思った。「一般意志」についてルソーはかなり丁寧に繰り返し書いてます。「一般意志」は立法を行うのであり、執行権に関わるものではない、ということ、また、一般意志とは、自分よりも全体を優先するということではなく、それぞれの成員が他人にも納得できるような自分の都合を出し合う中で形成されるものであるということがわかっただけでも収穫でした。

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    2015年10月15日
  • エミール 上

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    人間は良いものとして生まれているが社会がそれを堕落させる。
    現代においてルソー、賛否両論ありますが一読しておいた方がいいでしょう。

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    2015年03月25日
  • 孤独な散歩者の夢想

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     ルソーの先見性は計り知れない。
     彼の自我や自意識への拘り及び探求が、その後の学問や近代文学に与えた影響の甚大さをみても、それは証明される。彼も、当時の人間には理解されないところの所謂、天才の一人に数えられている。特に、精神分析の発達こそがルソーの捻くれた性格や相反する感情の衝突などの現象を解明させる契機となった。文学では、かの有名なトルストイなどはルソーの影響を直接に受けているらしい。
     幸福とは、本人の中に眠っているもので、外部にそれを求めようとしても無駄に終わると、彼は語っている。彼は、作家として若い時期に華々しく文壇にデビューしたが、自分の子供を全て孤児院に入れてしまったり、激しい思

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    2015年02月17日
  • 社会契約論/ジュネーヴ草稿

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    社会契約論のみ読破。訳がわかりやすく珍しくやや理解できた。
    「どうすれば共同の力のすべてをもって、それぞれの成員の人格と財産を守り、保護できる結合の形式をみいだすことができるだろうか。この結合において、各人はすべての人々と結びつきながら、しかも自分にしか服従せず、それ以前と同じように自由であり続けることができなければならない。」という問題の解決策が社会契約論。
    具体的には自らと自らの所有する全権利を共同体の全体に譲渡する。(誰にも同じ条件が適用され人びとは他人の条件に無関心になるとあるがどうだろう。)
    そして自らがさしだしたものと同様の権利を契約によって受け取る。

    全ての人民のとって共通する

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    2014年10月19日