ルソーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
しばしば危険思想と目される人物による書籍だけあって、晩年の作品にも関わらずきわめて強烈かつ異様、芳醇な毒気を放っている。この作品は読む劇薬だと思う。僕も例にもれず、短い作品ながら頭がクラクラする思いだった。
この毒気は一読に値する。曖昧かつ内省的な文章が延々と並んでいるように見えるが、よく読めばすごい妖気だ。後のカントやトルストイが生涯かけて愛読したように、これはハマる人には途轍もなくハマる内容だ。
しかし一人の人間が必死に生きようとした、その軌跡の末尾として作品を見るならば、この著者にも共感を多く見出せるだろう。
小説にも哲学書にもカテゴライズしがたいが、その作品は紛れもなく文学だった。
この闇属性にはニーチェや太宰にも通じるものが含まれている。訳者の読み応えのある解説文にあった文言をつなぎ合わせて、僕は著者を『愛すべき邪悪』と呼びたい。
内容は人間社会への憎悪が主で、綺麗なバラに棘ありとの言葉通り、見た目(原文)は非常に美しいフランス語で書かれているらしい。
僕はこの訳者が好きなのだが、この本でもその美しく繊細な訳文は健在だ。原文のイメージを比較的に保っているのではないだろうか。蛇足だが、表紙が洗練されていて非常に美しい。