岸政彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ注意
読書開始日:2021年4月28日
読書終了日:2021年4月29日
所感
図書室
回想シーンの男の子との会話で懐かしさを覚えた。
自分の小学生時代の会話もこんな感じだった。
お互い当時持ち合わせている最小の気遣いだけで、話したいことを次から次へと突拍子も無く話していた気がする。
まさに作中の2人もそれだった。
「私たちは、相手が吐き出した息を口から吸い込んでまた吐き出すように、お互いの言葉をやりとりしていた。」この一文で自分の記憶を言語化できた。
その会話の中心に、「子どものころに一度は訪れる死や地球滅亡への恐怖」を据えることで、さらになつかしさが増す。
歳を重ねるにつれ、気遣い -
Posted by ブクログ
ネタバレ突然の雨に見舞われ、コンビニで安物のビニール傘を買う。
傘の見た目や機能性なんてどうでもいい。どうせその場しのぎの傘なんだから。
また別のビニール傘を買ったっていいんだから。
他人との関わり方が、そんなビニール傘に似ている。
なんとなく誰かと話がしたい。相手は別に誰でもいい。でも自分の話をするのは億劫だから、相手の話を聞くだけがいい。
大阪を舞台にした、寂寥感たっぷりの物語。
毎日をただ淡々と機械的に過ごす若者たちがとてもリアル。
雨が降るとすぐに水浸しになるという湿地帯の大阪。でも大阪住みの若者たちの人間関係はドライなんやな。
途方もない切なさ、寂しさがひたひたと伝わってきて、何度も胸が -
Posted by ブクログ
社会学のイメージって、手広くやってるけど、実際学問として何やるの?くらいしか分かってなかった自分……。
量的調査と質的調査の相いれなさと希望に何度か言及する所が印象に残ったかな。
状況を捉えようと思えば、サンプルの量が必要で、そこからこうですよねって導き出すのが量的。
けれど、そのサンプルがたとえば100集めてこうですって言ったとして、別の100集めたら別の結果や意味が生まれたとしたら。(そうならないようにされているんだけども)
一人一人の感じてきたこと、考えてきたことは、同じ状況であっても違うんじゃないか。それなら、一人の語りを深く掘り下げることで、背景に見えてくるものがある、とするのが質 -
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この本を読むのは2回目だ。正直に言うと、読んでいる途中でなんだか見覚えがあるなと感じていて、途中で既に一度読んでいたことを思い出した。初めて読んだのは一年くらい前だったと思う(後で調べたら二年前だった・・)。質的調査の入門書として読んでいて、紹介されている参考文献を何冊か購入するくらいにはちゃんと興味も持っていた。ただし、購入した参考文献は未だ積読になっていて、今回の読書でさらに本書のブックガイドより数冊購入してしまった。
そもそもは、昨今の流行もあり、量的調査分析に興味があった。調査というか、データ分析?って何をするのレベルで関心があり、調査法の入門書や統計について何冊か読んでいた。量的調 -
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定職も貯金もある。一人暮らしだけど不満はない。思い出されるのは、小学生の頃に通った、あの古い公民館の小さな図書室のこと―
ひとりの女性の追憶を描いた中篇「図書室」と自伝エッセイ「給水塔」の2編収録。
まるで自分史のようだと思ってしまった。どうしてあの頃の私の気持ちも、今の私の気持ちも、こんなによく知っているの?と驚いてしまうくらい。
これと言った期待も希望も無いのに、「求められている」というステイタス欲しさに惚れた腫れたを経て、40にしてひとり暮らしを満喫する主人公。
胸いっぱいに感じる自由と孤独が、子どもの頃、公民館の図書室で覚えたソレと重なる。
『クラスの誰も知らない場所で -
Posted by ブクログ
岸政彦の「断片的なものの社会学」がとても好きで読んでみました。「断片的〜」の冒頭に出てくる、沖縄での生活史聞き取り調査の途中、取材者の犬が死んだ話が印象的で、この本にも出てきてます。「おとう犬が死んだ」と庭から聞こえる声に「おう」とだけ答えて、取材を続けたという話。行間にあるものを読み取ろうとする岸さんのスタンスがいいなぁと思う。ただ、この本は実践的な「生活史の方法」だったので、対象は思いっきり社会学専攻者。手みやげは何がいいか。レコーダーは何がいいか。徹底的に「方法」の話でした。岸さんのプロフェッショナリズムが伝わってくる。ただ、生活史そのものをぼくらは読むべき、な気もして、まだほとんど読