岸政彦のレビュー一覧

  • 断片的なものの社会学

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    事実を寄り集めて共通項を見いだせば
    理解はたやすくなるけれど
    触れた事実すべてに向き合ってみたい
    だから何になるとかじゃなくて
    見聞きする人生はみんな社会の一部

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    2025年03月13日
  • 調査する人生

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    「人生をかけて、相手の人生を聞く」という帯のまま。1つ目の岸さんと打越さんの対談から自分の知らなかった現実の話でとても興味深かった。沖縄特有の地域観や差別問題、調査することと支援すること、それぞれ最前線の人たちの話が読める貴重な一冊。

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    2025年03月08日
  • 断片的なものの社会学

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    なんとなく、これから何度か読み返すことがあるような気がした。聖書なんて読んだことないけど、救いを求めて聖書を読む感覚ににてるのではないかとか思った。

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    2025年02月26日
  • 図書室

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    すごく濃密な時間を過ごしたのに連絡先も交換せず、二度と会わなかった二人。なのに、名前も知らないただすれ違っただけのワンカップおじさんのことはなぜかいつまでも鮮明に覚えている。そういう綾が人の一生には縦横無尽に張り巡らされている。われ知らずとも。これが表題作『図書室』にも、続くエッセイの『給水塔』にも、通底しているテーマだと思った。自分の中の、二度と会わなかった人、忘れ得ない名も知らぬ人を数えて読後感をしばらくかみしめよう。

    印象的だったのは、『図書室』のふたりの会話。内容は年相応でありながら、なんだか名人芸の上方漫才を聴いているようで、絶妙だった。いとこい師匠(夢路いとし・喜味こいし)が笑い

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    2025年02月03日
  • 調査する人生

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    『断片的なものの社会学』で「質的調査」に出会って以来、著者の新刊やTwitterを追いかけてきた。そのせいか、本書で対談した6人のフィールドワーカー全員の名前は勿論、人となりだとか引用されたエピソードの数々がいろいろと数珠つなぎに思い出され、まるで私自身が現在進行形で配信を見ているような‥不思議な感覚で一気に読み終えてしまった。それにしても‥親しかった仲間から“打越正行を追悼しない”会で見送られるとは‥なんと短くも豊かな人生だったか!

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    2025年02月01日
  • 調査する人生

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    社会学、生活史、エスノグラフィー。人の生活、声、ヴォイスからしか見えてこない、わからないものが確かにある。

    昔働いていた職場で、沖縄出身の人がいた。基本的には明るい青年だったが、ある時から確実に目が死んでいた。そうしてふっと会社を辞めていった。岸先生の話の一部を読んで「そういうことだったのかもしれない」とも思う。

    部落問題やヤンキーと地元、暴走族や日雇いの建築現場など、様々な生活を文字通り人生をかけて体当たり?で話を聴いてきた方達の話。リアリティがありすぎてすぐには消化出来ない感じがまた頁をめくらせる。

    本を読むことは、自分以外の誰かの、もう一つの人生や生活を追体験することとある意味では

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    2025年01月30日
  • 断片的なものの社会学

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    大学で習った社会学とは違って、断片的で、ありのままで、でも語りの奥にその人の生活は続いていることが感じられた。中学も卒業せず風俗のキャッチをはじめ、最高級のクラブのホステスになって一流大学をでた人やブ人の話が面白かった。開店資金を出してもらったり、あるいはもっとストレートに愛人になる道を選ぶ人が多いが、一流大学をでた人やブラックカードを持つ人の相手をするうちに自分もそっち側の人間になろうと、思ったらしい。
    確かに女子学生は綺麗なウエディングドレスを着てみんなにおめでとうと言ってもらえる結婚というものに憧れがある人が多いみたいだし、結婚式は幸せなものだというイメージがあるし、結婚式では一日でも早

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    2025年01月15日
  • 断片的なものの社会学

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    久々にこんなに面白い本を読んだ。

    社会学者として、インタビューしてきた無数の人々の語りを「分析すること」の暴力性に言及した上で、「誰にも隠されていないが、誰の目にも触れない」事象について、散文的、あるいは映画的に描写している。安易な物語を回避して、偶然の中に意味を捉えず、そのものに近づこうとする。

    この本を読んで何か得られるわけではない。ただ、意味や教訓はないがかけがえもなく、無数に存在する「普通」の面白さに触れた。

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    2025年01月12日
  • 断片的なものの社会学

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    人生、幸せ、価値観、自由、人との距離感など日常を生きる中での断片的なものごとについて考える作品。
    綺麗事を並べた人生観ではなく、自分の人生は自分のものでしかないし、無意味だと思っても生きるしかないんだ。どんな人でも人生は選べないし生まれればいつか死んでいく、それは当たり前の事だなと考えたら少し息が軽くなるような感覚がした。人の数だけ人生があって、生活があって家族がいて、沢山の人の人生のお話に触れてちょっと旅をしたそんな気持ちになれて満足。
    人生や価値観について悩んだ時に読みたくなる作品です。

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    2025年01月10日
  • 大阪の生活史

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    話し手・聞き手が、もしかしたら大阪のどこかですれ違っていることを考えるとぞくりとする。
    もっと近くの客かもしれない、隣人かもしれない、友かもしれない。

    なんて濃ゆい本なのか。

    韓国のチョン・セランの小説「フィフティ・ピープル」のように、無意識のうち人間は交差し、複雑な織り目を作っていくのだろうな。
     
    人間の関係て相関図に表しきれないもだとハタと気がつく。フィフティ・ピープルの本を読みながら相関図を作ってみて思った。線だらけになって何を書いているのかわからなくなった。

    聞き取りという作業は、布のようにびっちり絡まった織り目の糸の一本を、丁寧に掬い上げることにも思える。
    その人(一本の糸)

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    2025年01月02日
  • ビニール傘

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    社会学者が書いた小説っていうのが気になった。
    自分の気分の浮き沈みが激しい時に読んだ。
    ずっと悲しさ切なさが付き纏ってる。
    小さなものが積もり積もってふとしたきっかけで一瞬で終わりになるのがリアルに描かれてた。

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    2024年09月25日
  • 大阪

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    連載でなんだかんだ半分くらいは読んでたかな。岸政彦、愛知の進学校出身、大学入る時に東京でもなく京都でもなく大阪に出て来てそのまま居着く、勝手に似てると思って親近感持ってるのよね。大阪出身やない分「4時ですよーだ」を見れてないのはちょっとコンプレックスではある。メンバメイコボルコスミ11も知らないし。いや、岸政彦が書いてるように大阪に産まれてたら今大阪に居なさそうな気もするけど。

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    2024年09月13日
  • 図書室

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    「給水塔」がとても良かった。世間にはいろいろな人がいる。しかし、表現は辛口だけど、大阪や、そこに住んでいる人間を肯定的に捉えているように思う。よしもとばななさんのエッセイの人間讃歌を辛口にしたような感じ。

    「大学の四年間はいろいろなことをした。膨大な量の音楽を聴き、本を読み、酒を飲み、ゲロを吐き、たくさんの女の子と付き合い、いろんなバカなことをしたが、その四年間のなかでもっとも良い思い出、美しい記憶になっているのは、わずか三十分の散歩である。」

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    2024年08月25日
  • 大阪

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    思い出、人生、出会い、暮らし、そういうものが集まった自分の大切な街について書いている。静かで淡々とした2人の文体が心地よかった。

    特に印象に残ったのは、
    岸さん→「淀川の自由」「トニーのこと」
    柴崎さん→「大阪の友だち」「大阪と大阪、東京とそれ以外」

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    2024年08月20日
  • 大阪

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    どこかでこの著者達とすれ違っていたとしても不思議ではない、そんな距離感の過去の場所場所にノスタルジックな気持ちになる。あの時の自分や色んな人、風景はもう帰ってこないけど、その場所は少しずつ変わりながら今もあり続ける。
    近い場所と時代を共有したエッセイならではの感傷に浸ることができました。

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    2024年08月04日
  • 大阪

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    20代、30代の頃はミナミでよく遊んだ。ホームグラウンドだった。梅田にはないバタ臭さとごった煮感が自分の肌感覚に合っていた。あらゆる道を歩いて知らない路地はなかった。働いたお金は大体洋服か友人、彼女とのご飯代に変わっていった。居酒屋、バー、カフェ、立ち飲み、レストランが好きで新しいお店を開拓しては仲間と語らいバカみたいに飲んで朝方始発で帰るような生活をよくしていた。大阪を読んでいるとまんま自分と同じ生活を感じて同じような感覚で街を捉えている2人の体験が綴られていて夢中で一気に読んでしまった。自分があの頃に感じていたミナミと今のミナミは同じで違う存在なんだなと改めて突きつけられた。

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    2024年07月02日
  • 大阪

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    岸政彦さんと柴崎友香さんによる、大阪に纏わるエッセイが交互に展開される。岸さんは上新庄に住まわれていて淀川河川敷の話などあり、私も淀川沿いの大学で、社会人になってから1年半ほど上新庄に住んでいたので同意するエピソードが多々あった。柴崎さんは1973年生まれということで、私は1972年なのでほぼ同世代。中学校の頃の「4時ですよーだ」など2丁目劇場や、ミニシアター系、音楽の話題など同じような感じ。最近の小中高生がどんな感じかよくわからないけど、昔の方が無駄があったというか、時間がゆっくりだったような気はする。そんな以前の大阪をロマンティックに書かれていないところが、貴重な記録というか自分にも近い当

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    2024年06月24日
  • リリアン

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    身を潜め やがて星空の万博公園 リュックから毛布と水筒に入ったホットコーヒー 改行も括弧もとりとめもない 息づかいが聞こえてきそうな会話文 この夜のことは僕も知っているかもしれない 物語のしおれ方もリアルで良かった

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    2024年06月24日
  • 大阪

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    上京物語は掃いて棄てる程あるが、下阪(なんて表現はないが都に住む以外が全て下るのであるならば)物語は中々ない。大阪ですらそうなのだから他の各地では尚更だろう。

    最近の「移住しました」系のYouTubeともどこか似て非なる、進学就職を機に移り住み、そのまま居着いてしまった人達の中の一定数には、その居着いた土地に対して染まらない染めれない感情と、一方で愛したい愛されたい感情が相反して内在している。

    他所から大阪に移り住んだ、という点では岸氏と立場を同じくするが、自分は故郷を棄ててしまった訳ではない。故郷忘れじ、という点では柴崎氏と同じである。愛惜ある土地が複数ある事は幸せな事、と思う。

    「大

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    2024年06月22日
  • 大阪

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    岸さんの言葉はどうしてこうも胸の奥を揺さぶるのだろうか。子どもの頃からすれ違ったひと、知らない遠い街、知らない誰かの生活を想像することが好きだった。想像だけでなく本当にあるそんな話を岸さんの言葉で聞くのは、面白くてどこか切ない。最高。

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    2024年06月12日