岸政彦のレビュー一覧

  • 断片的なものの社会学
    戸川純に「諦念プシガンガ」という名曲があり、PHEWをボーカルに迎えたONJE(Otomo Yoshihide New Jazz Ensemble)によるアレンジバージョンが非常に好きなのだが、この曲を聴いて以降、「諦念」という概念に心惹かれ続けている。

    それは何となく考えていた、「特別な自分」と...続きを読む
  • ビニール傘
    『断片的なものの社会学』に出てくる人々。それぞれ1人ずつが小説の登場人物のようだったが、本書では彼等が実際に動き出す。大阪の土地勘がほとんどないにもかかわらず、景色が眼に浮かび、会話が耳で聞こえてくるような‥リアルで不思議な読後感だった。
    惜しくも芥川賞受賞を逃したことをネタにされる著者のお人柄も含...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    読むことで何かを理解したり、正解を見つけたり、と言う本ではない。しかし、作者と並んで歩いているような錯覚に陥る。毎日見ているであろう絶妙に思い出せない夢に近い。そう言う夢って魅力的だから。
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学
     質的調査が、個々のケースについて理解・解釈していく方法だとして、それでは実際の調査プロセスのなかで、何をどのように具体的に理解していくのでしょうか。
     代表的な質的調査の例を挙げて考えていきましょう。P・ウィリスが1977年に出版した『ハマータウンの野郎ども』です。ウィリスは70年代に、あるイギリ...続きを読む
  • にがにが日記
    にがにが日記は、ハッと気付かされたり、気付かされたりすることもあったが、対で向かいあう(読み進める)ことがむずかしい。恐らく、連載のペースで読むのが本当にいい匙加減だったのだろうと思う。
    おはぎ日記は、生々しい記憶が呼び起こされたけど、命の煌めきや心配する気持ち、生を強く感じられる話であった。読み進...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    感想
    平凡さと特殊な経験。どうして1人の人間の中に同居できるのか。彼らは何を考えどう生きているのか。翻って。きっと自分も何か欠けているはず。
  • 図書室
    誰にでもありそうな思い出の断片を淡々と綴ったストーリーが、どうしてこんなに惹きつけられるのだろうか。
    この人の作品を読むとつくづく思う。
  • 断片的なものの社会学
    断片的に様々なテーマについて触れられた短編が収録されている。書いてあることすべてを理解できた気はしないけど、読んでいると心の軸がいい位置に落ち着くような、少し気分がスッキリするような、そんな感じ。時々パラパラと読みたい。
    全体的にふわっとした表現が多く内面的で理解が難しく感じるのですが、子どもを持つ...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    断片的な物語を集めた本であった。著者は自分はマジョリティと考えていても、断片的な存在の苦しさや社会における厳しさを把握している。それを乗り越えるのは難しいと理解しながらも、昔拾った石が存在しているように、その物語をあつめる一つの社会学が存在していることを知られて良かったとおもえた。
  • ビニール傘
    単行本にしては(物理的に)妙に軽い気がして、語り手の空虚さ心許なさがうつっているように思えてくる。余白の多い装丁も。
  • にがにが日記
    岸政彦の本は結構読んでて、特に「断片的なものの社会学」に感銘を受けたのだ
    社会は街の人ひとりひとりによって成り立っているんだなぁという実感というか。

    で、この本は岸政彦の日記なのだが、面白い。日記本でこんなに面白かったのは初めてだ。植本一子でもここまではなかった。

    それは、岸政彦の本が好きだった...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    誰かの人生や言葉。関わろうとしなければ一生無縁の断片的なものごと。私が当たり前だと思って見過ごして来たことを、岸政彦さんは立ち止まって、じっと見つめているんだな。それを共有させてもらったと感じた本。
  • ビニール傘
    大阪というと賑やかで華やかで雑多なイメージですけど、これは、その裏にある陰の大阪だと思いました
    それなりに生きられているのに、頼りない、流されている感じが頭から消えない、
    一見すると出口のないような閉塞感が漂っているようですが、市井の人たちが、誰かや誰かと過ごした思い出と寄り添いながら、静かに暮らし...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    理解するのに難しいこともあったし、共感できることもあった。
    それでいいんだと思えた本だった。
    また読みたいなと思う本。
  • 図書室
    二つの作品が収録されてます。大きな事件が起きるというより、訥々と、何があったか、どんな場所で、どんな人がいたかとかが語られていきます。力みのない書き振りのためか、水が流れるとか風が吹くみたいな自然な、独特の落ちつく感じがありました。

    日々の生活の中での、何気ない、でも大事な思い出とかワンシーン、っ...続きを読む
  • リリアン
    さらさらと流れるように
    身体の中に入ってくる文章で、ほんとにほんとに
    美しくて、日常が違って見えます。

    美沙さんとの話、もうちょっと聴きたかった!
  • 断片的なものの社会学
    読んで落ちつく本でした。社会学者の筆者の聞き取り調査の一部や、日常の中でなぜか印象に残っている出来事とともに、筆者の思いや考え方が書かれています。矛盾することに対しても、答えを出さずにただあるがままを書いている感じがよかったです。
  • 断片的なものの社会学
    世界に転がる「無意味」なものの集積だという本書は、エッセイと論考のあわいをふわふわと漂う。断片を渡り歩く中で、思いがけず、大阪の喧騒や沖縄の風に打たれる体験が心地いい。本を閉じて、泣きそうになっている。
  • 断片的なものの社会学
    いつも切ってもらっている美容師さんがお勧めしていたので読んでみた。社会学というものにはこれまで馴染みがなかったのだけど、あとがきに書かれていた「とらえどころもなく、はっきりした答えもない、あやふやな本」というのが実にしっくりくる。あやふやなんだけど、おそらく多くの人が、何となく知っている/覚えのある...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    再読。
    感情の吐露があったかと思うと、理性的な文がその後に続き、不思議と心地良かった。
    人生の意味なんてわからないし、それぞれ孤独だけど、自分がいいと思ってるものを表現することを放棄せず、他人と対話することも放棄しない。