岸政彦のレビュー一覧

  • にがにが日記

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    こういうことはあまり多くはないんだけど、「いつもなら絶対に寝ている時間帯(AM3〜4時)になぜか寝れずに起きている」って時に、ひとりぼっちで岸先生の本を読みます。なんだろう、ふと自分の人生のことを考えてしまうからでしょうか。

    「にがにが」ではありつつも、おでんのおだしのような本でした。後半は読んでいて堪らない気持ちになり、家を飛び出して開店前のコメダ珈琲に並んだりして。

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    2024年05月03日
  • 図書室

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    岸政彦先生の小説をまた読んだ。岸先生、生活史を研究しているだけあって綴られる話もただひたすらにそこに生きる人たちが日々の生活を営んでいて、そのなかで出会う人や些細な出来事を書いてくれている
    そういう話を読んでいると特に何のおもしろみもないような自分の1日や1週間、一ヶ月がこの本に綴られている内容のように苛烈ではなないけれどおもしろいことなのかもしれないと思わせてくれる
    自分がただ営む生活も小説のように大切に読まれるような、そういうものだと想ってもいいのだ。なんとか生きている自分のことをもえらいよ、よくやってるよと言いたくなってくるのだ
    また「給水塔」という書下ろしエッセイも入っているのだけど、

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    2024年04月12日
  • にがにが日記

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    著者のことを知ったのは2015年、『断片的なものの社会学』の頃。以来Twitterでもフォローしていたから本書の内容はほとんどリアルタイムで読んで、いろいろ知っているのに何度も大笑いしつつ、最後は嗚咽するほど泣きながら読んでしまった。『大阪の生活史』できましたね!まだまだ先になりそうだけど読むのを楽しみにしています。

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    2023年12月01日
  • ビニール傘

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    孤独と絶望のすぐ近くで暮らしている人たちの、でも実は自分もすぐ近くにいると感じさせる、独特なようで当たり前の、実は見慣れた毎日の風景。
    この人の文章は、どうしてこんなに燻んでいて、希望が見出せないのに、引きつけられるんだろう。

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    2023年11月14日
  • リリアン

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     岸さんの文章、綺麗すぎて、尊すぎて、毎回、感想文を書くのに気が引けちゃうんだよなあ。わたしの拙い日本語で感想を述べていいような代物ではないとだけ書き残しておこう。すごく良かったです。というかいつもとても良い以外の感想が思い浮かばないです。

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    2023年11月07日
  • 東京の生活史

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    少しずつ読んで、読み終わってしまった。
    今年を生き抜くために買ったけど持ち運べないから部屋に爆弾抱えてる感覚だった
    大学生のうちに読めてよかった
    大阪の生活史も楽しみです 社会人になるからもっともっと時間はかかるだろうけど

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    2023年10月13日
  • ビニール傘

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    日々すれ違う他人には、自分と同じように人生のストーリーがあるんだということを忘れてしまうと、
    他人に対して乾いた対応をしてしまうことがある。

    他人の人生を覗き見る感覚で読み始めたが、
    なぜか古き良き温もりと、人と重なる温度の幸福感が沸々と蘇えり、ああ、コロナやらなんやらで、
    とても大切なものをなくしてるんじゃないかと怖くなりました。

    読み終わった後、なんともいえない味わいを
    噛み締める時間が暫く必要でした。

    何回も読み返したい本です。

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    2023年09月23日
  • 沖縄の生活史

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    2021年12月から「沖縄タイムス」で始まった
    「沖縄の生活史」プロジェクト。それは、現代の伝承。
    100名の聞き手が100名の語り手から聞いた、生活史の数々。
    ・はじめに 岸政彦  ・おわりに 石原昌家

    100通りの沖縄生活史は、実際に体験した人々の経験と記憶。
    一人につき1万字の飾らぬ言葉には20代から99歳の、
    戦前・戦中の生活、戦後の沖縄が日本ではなかった時代、
    沖縄復帰後と現代の、複雑で様々な思いが込められている。
    日本軍の兵士、空襲、手榴弾、身近過ぎる死、捕虜、収容所、
    移民と沖縄への帰還、終戦後の本土から沖縄へ帰るまでの苦難、
    マラリア、ハンセン病、本土での差別、パスポート、

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    2023年08月01日
  • 沖縄の生活史

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    ひとりひとりのページ数はさほど多くはないが、それが100人分集まった本自体の物理的な重量と内容が手首と心にずっしり響いた。過酷な体験ばかりではなく、戦争マラリアのこと、生きるための知恵や工夫、沖縄の歴史や家族の大切な記憶。
    その時その時を必死に生きてこられた方々の証言を聞き取り共有してくださりありがとうございます。

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    2023年06月28日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    質的社会調査、社会学の入門書である。大学院に在籍しながら、「調査」の仕方を勉強してこなかった自分にとって、とても良い入門書となった。
    ただそこにあるのは、ノウハウではない。「他者の合理性の理解社会学」と副題がついたことからも想像できるように、著者3名の経験に基づいて調査を通して同社会と関わるか、が書かれていて、教科書にありがちな無味乾燥さはない。読み物としても抜群に面白い。

    あとがきに「『社会調査』である限りは、人びととのコミュニケーションの中で鍛えられ、試され、厳しく批判される」とある。この一節がこの本全体を貫く思想になっていると思う。
    論文のテーマを再構築していこうとする中、非常に有意義

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    2023年04月01日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    有斐閣なのでフィールドワークの教科書という位置づけであるが、研究者のインタビューの関わりがとても丁寧に具体的に書いてあるので、フィールドワークについて書かれた教科書の中で最も面白い本の一つである。
     質的調査の領域の説明をすべて網羅しているわけではないが、フィールドワークをどのようにすればいいのだろうかということについては、学部生から修士の院生、博士論文を書こうとしている院生まで全ての学生に役立つと思われる。

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    2023年03月09日
  • 図書室

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    ネタバレ

    2部構成の話になっている
    1部目は「図書室」というタイトル
    大阪の別々の学校出身の小学生2人が、世界から人がいなくなって自分達2人しか生きていないことにして、スーパーで缶詰を買い淀川の河川敷にある小屋でお話しする話
    特にこれといった内容は無いけど、2部で著者が何もないことを、特別じゃないことを、書き出したいって言うことをお話しされていて、
    何もないことだけど実はそれぞれの人生の背景に何かがあったり
    文字の羅列の出来事からは想像もできないことが人の歴史にあったりするから
    一部を一発目に読んでうーんと思ったけど、2部の「給水塔」を読むと1部をもっと違う読み方で読めると思った


    2部「給水塔」めっ

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    2022年12月11日
  • 東京の生活史

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    150人の人が、その人と何らかのかかわりのある人に、人生についてインタビューした記録集。2段組1,200ページのボリュームで、読むのに1年近くかかった。
    聞き手、語り手の年齢やバックグラウンド、関係性もわからないので、いつのこと、何のことを語っているのかわかりにくいところもあるが、祖母の子どもの頃だったり、同僚の知り合う前の話しだったり、同級生の卒業してからの経験だったり、読み進めるうちに少しずつわかってくる。病気、犯罪、ビジネス的成功や失敗、離婚、貧困、戦争体験、政治、人との出会いや別れなど、話の内容は極めて雑多であり、普通に暮らしている一人一人の人生があまりにも異なること、どんな体験をして

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    2022年11月19日
  • 図書室

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    ひとりの女性のノスタルジックな過去の追憶。ふたりの空間が可愛くて儚くて愛しくて夢を見ているような気持ちになった。

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    2022年07月13日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    とっても面白かった、知的興奮をありがとう。
    最も興奮したのは、自分が仕事やプライベートで楽しくやっている街歩きやフィールドワークが、実は無意識に社会学的方法をだいぶ実践できていること。
    何も習ってないのに自分でできすぎててビビッた。天性のフィールドワーカー なんですか!?

    大学院に行きたい気持ちもなおさら高まった。
    それからもちろん色々気づきもあった。
    以下備忘録。


    ☆社会学=私たちとは縁のない人びとの。一見 すると不合理な行為の背後にある 「他者の合理性」を誰にでも分かる かたちで記述し、説明し、解釈すること

    ☆社会は、複数の、お互い矛盾する「ゲーム」で 構成されている。それらが同時

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    2022年06月12日
  • 図書室

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    「図書室」主に会話で綴られる、あるかつての女の子の出会いと別れ、そこにあった図書室の話。私は少女の語りを男性にされると違和感を覚えてしまうタチなのだが、こちらは全く違和感なく読んだ。大阪の持つ、あのうら寂しさや切なさが胸に迫る。外向きに演出された大阪じゃないのが嬉しくて、好きだ。
    「給水塔」後半に収録されたエッセイ。大阪へのものすごい愛。読みながらぐずぐずに泣いてしまった。大阪に帰りたくて。街の空気を吸いたくて。

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    2022年01月25日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    社会調査の方法だけでなく、社会学全般についてわかりやすく書かれていて良かった。もっと早くにこの本を読むべきだったと後悔。

    以下、読書メモ
    面白いの軸の話
    自分と他人
    ゴシップ的面白さと社会学学的面白さ
    →バージョンアップができるか否か

    メモの重要性
    出来事のメモ(雑記メモ
    出来事から浮かんだ社会学的発想(論点メモ
    日記(気分を書く

    人ではなく、人の捉え方を見る
    「時間的予見」の問題としての貧困

    論文執筆
    理論を使う
    枝葉を切り落とす、一言にまとめる
    調べたことを書いても論文にはならない
    調べたことから何を考え、何を調べ直したのか

    「他者の合理性」
    枠組みを問い直し、対象を論じ直す
     

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    2021年12月02日
  • リリアン

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    年末の長期休みが始まって2〜3日後の、とうに昼夜逆転してしまった夜。
    眠れなくて同居人とハーゲンダッツを買いにコンビニに行く時に似ている。

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    2021年11月09日
  • 東京の生活史

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    岸政彦さんが監修ということで期待して、楽しく読んだ。まさか「海をあげる」の上間陽子さんの聞き書きまで載ってるなんて… 素晴らしい。

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    2021年10月17日
  • 図書室

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    説明がつかないけどすごく好き。朴訥とした文章が好き。風景、記憶の切り取り方が私と似ている気がする。最後のあの波は良かった。のラストになんだか泣きそうになる。
    人が一生をかけて手に入れたいと願う幻のキノコみたいなものをこの人は小学生で手にしてしまった。この人は、このまま一生ひとりなんじゃないかな。

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    2021年09月20日