岸政彦のレビュー一覧

  • 図書室
    一気に読んだ。読みやすい。記憶のこと考えるきっかけもらった。ノスタルジックで人に対して優しい視点のお話だった。
  • リリアン
    かぎ括弧のない会話は読んでいるうちに、境界線が溶けるような感覚に。
    最近、縁ができた我孫子周辺はもとより、万博や山田の描写に胸熱。散歩したくなる。
  • リリアン
    “人間いらんやん”
    “優しいやつは、役に立たんのや”
    生々しいリアルな会話、人肌の温もり、不器用なやり取り。
    優しい。
    なんだろうか。こういう優しさを何と言うのだろうか。

  • リリアン
    気持ちいいコード進行のような、
    流れるような会話が心地よすぎる
    大阪弁の会話ってこんなに優しく聞こえるの?
    切ないのに二人は悲しそうじゃない
    読んでいる私も悲しくはない

    絶対また読む!
    コルトレーン聴きながら♪
  • ビニール傘

    賑やかで暖かい場所にいると、後でひとりになったときの寒さが際立つ。
    舞台が大阪であることで哀愁が増す。


    妻を亡くした男性が主人公の「背中の月」での独白、

    「また行きたいね、あの店なんだっけと言いながら俺たちは結局、あの街にも、あの店にも、あの海にも、二度と行くことはなかった。」

    に、永田和...続きを読む
  • 大阪
    『だから何、という話でもないが、タイ人のおばちゃんが二十年前に大阪にやってきて、ふたりの娘を育て、私は一文無しの院生から大学に職を得て本を書くようになり、そして壁から生まれてきた子猫は友人のところへもらわれて、元気に指をあま噛みしている』―『はじめに/岸政彦』

    思わず国土地理院のアーカイブを広げて...続きを読む
  • 大阪
    住むことになった街と、住んでいた街の話。
    自分にとっては友人が住んでいる、という以外には思い入れはないが、住んでいる(いた)人の気配を感じ、思い入れを聞くのは好きだ。
    派手な街づくりからは見ることのできない、誰かが意図して覆い隠そうとする「誰かが住んでいる大阪」を覗き見る、良い機会だったのかもしれな...続きを読む
  • 大阪
    出てくる地名も位置関係もわからなくても、この街の手触りが、空気が、匂いが、伝わってくる。こういう街の描き方があるんだなぁ。二人の文章が交互に入っているのが、とても読みやすい。
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学
    オーラルヒストリーの大事なところはそれが事実かどうかではなく、話した本人にとって心理的に本当だったということ。
    他者の合理性を会話を通して理解する。
    映画なども有効?
    事実を聞くことと、語りを聞くこと。
    どのようにその会話、生活史ができてきたかを分析する。
    調査は暴力である、その暴力性に向き合い、可...続きを読む
  • リリアン
    この曲、知ってるわ。
    うん、これ、有名な曲やで。
    なんていうやつ?
    Isn’t She Lovely。スティービー・ワンダーやな、
    元歌は。
    そうなんや。名前だけ知ってるわ、そのひと。
    めちゃ有名なひと。
    そうなんや。
    うん。
    ええなあ。
    なんか、切ないな。
    そやな。
    切ないっていうか、懐かしいって...続きを読む
  • 大阪
    大阪・大正区に生まれ、市岡高校から大阪府立大に進んだバリバリの大阪っ子なのにいまは東京に住む柴崎友香氏、名古屋から関西大学を卒業したあと大阪に住み着いた岸政彦氏。この二人が語る大阪、ただし、それは古き良き日の大阪であって、いまの大阪ではない。
    二十年ほど歳が離れているのと、同じ大阪市内でも住んだ地域...続きを読む
  • 大阪
    ほんと、大阪ってこんなとこ。沈黙が大の苦手で、喋り続けるためのテクを競う世界。しょーもないなぁ(笑)
  • 大阪
    読み返したくなる本。

    岸政彦さんの文章のファンで
    手に取った本。
    柴崎さんのことは恥ずかしながら初めて知り、
    なんやあ岸さんの文章、この本の半分か、、(ちょっと落胆)
    ふうん柴崎さん同い年か、、?!
    と読み始めた。

    名古屋に生まれ大学は関西、
    首都圏ですごしたのち、
    名古屋に戻ってきた私と
    名古...続きを読む
  • 大阪
    岸先生の文章は「断片的な社会学」で好きになって、それからこちらの本を手に取った。先生の文章はいつも通り最高なんだけど、柴崎さんが年が一緒ってこともあって共感することしかり。90年代に20代を過ごしたような人は、仮に大阪に住んでなくても何かしら心に引っかかったり、残ったりすることがあるはず。最近では一...続きを読む
  • 大阪
    著者2人のそれぞれの大阪での生活を元に書いたエッセイ。

    私は大阪出身で、大阪を出た身です。
    『淀川の自由』
    『大阪と大阪、東京とそれ以外』
    特にこの2つのところが自分自身の実生活とも当てはまる部分が多く、帰省の際また別の視点で大阪の風景を見ることができます。本当にいい作品をありがとうございます。
  • 図書室
    中篇「図書室」と、エッセイ「給水塔」を収録。
    どちらもとてもよかった。
    私が知っている少し前の大阪が詰まっていました。
    懐かしく、自分も一緒にその時代を過ごしたような楽しさ、もう2度と戻ることができないと知ってしまった寂しさ、その両方を大切に心にしまうことができる時の流れも感じ、こころが温まるような...続きを読む
  • ビニール傘
    どんな人物にも背景があり、とりまく状況は自分の意思に反して、又は沿って、変わっていくものなんだなぁ。

    他者と自分との境界が曖昧な文体。冷たいようで優しい眼差しを感じました。
  • 図書室
    世界の終わりを過ごす少女と少年を描いた表題作「図書室」。「給水塔」は著者の大阪を語るエッセイ。両方ともねこねこしていて、すごく好き。
  • ビニール傘
    安いガールズバー、日雇いの仕事など、社会の中でも下層を表すワードを使っており、社会の暗い部分をあらわしているように思った。
  • ビニール傘
    生きている。
    たいした出来事が無くても、カップラーメンなんかを食べて、毎日生きている。
    楽しい事もある。
    でもいつも、寂しさや虚しさみたいなものが隣にいる。
    こんな小説に出会えるなら、まだまだ本を読んでみようと思う。