岸政彦のレビュー一覧
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定職も貯金もある。一人暮らしだけど不満はない。思い出されるのは、小学生の頃に通った、あの古い公民館の小さな図書室のこと―
ひとりの女性の追憶を描いた中篇「図書室」と自伝エッセイ「給水塔」の2編収録。
まるで自分史のようだと思ってしまった。どうしてあの頃の私の気持ちも、今の私の気持ちも、こんなによく知っているの?と驚いてしまうくらい。
これと言った期待も希望も無いのに、「求められている」というステイタス欲しさに惚れた腫れたを経て、40にしてひとり暮らしを満喫する主人公。
胸いっぱいに感じる自由と孤独が、子どもの頃、公民館の図書室で覚えたソレと重なる。
『クラスの誰も知らない場所で -
Posted by ブクログ
一般の人々から、その人が体験したことについて、聞き取り、記録して、編集して論文や書籍に落とし込む、社会学の学術的な調査の実情を知ることができる本でした。
本書から得たものは、聞き手の在り方についての考察したところです。現場の対応としては、手土産やお礼は持っていくべきか?とか、何を持っていくのが相応しいのか?質問をするタイミング、話の腰を折ることになる懸念など聞き取りをする現場の疑問点が挙げられており、参考になります。あまり、聞き取り調査に参加することはありませんが、キャリアコンサルタントとしてや、職場の役職的に管理職であれば、人の話を聞く機会は常にあるわけです。さすがに手土産の心配は不要ですが -
Posted by ブクログ
生活史を書くにはどうしたら良いか、後半は具体的なハウツー本となっている。これから質的研究をする人たちにはなくてはならない本として不動の地位をえるだろう。新書だしね。
オーラルヒストリーは、今までの歴史では掬い取れなかった普通の人々の人生を見せてくれ、それが軽く見られていた近代の歴史観を変えてくれた。アレクシェーヴィチがノーベル賞を取ったことで、この手法は不動のものとなったといえる。
だが、同時に、オーラルヒストリーはやはり難しくもある。岸さんはその辺りの困難さも含み込んだ上で、生活史を書いているということがよくわかる。
打越さんの名前がよく出てくる。積読の「ヤンキーと地元」読まなくては! -
Posted by ブクログ
岸政彦の「断片的なものの社会学」がとても好きで読んでみました。「断片的〜」の冒頭に出てくる、沖縄での生活史聞き取り調査の途中、取材者の犬が死んだ話が印象的で、この本にも出てきてます。「おとう犬が死んだ」と庭から聞こえる声に「おう」とだけ答えて、取材を続けたという話。行間にあるものを読み取ろうとする岸さんのスタンスがいいなぁと思う。ただ、この本は実践的な「生活史の方法」だったので、対象は思いっきり社会学専攻者。手みやげは何がいいか。レコーダーは何がいいか。徹底的に「方法」の話でした。岸さんのプロフェッショナリズムが伝わってくる。ただ、生活史そのものをぼくらは読むべき、な気もして、まだほとんど読