岸政彦のレビュー一覧

  • 社会学はどこから来てどこへ行くのか

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    社会学を専攻していないとわからない”雰囲気”はあるものの,問題の骨子は刺激的。

    たとえば,事例研究における代表性をどう考えるか?というトピックは社会学だけに留まらないであろう。

    対話記録であるため,会話感覚で読めるのも本書の良いところ。サクサク読めてしまう。

    しかし,内容の深みはあるので,しばらく知識をつけた後に読み返すと,また違った感想を抱くような気がする。

    ちなみに,著者らの情報量(知識)がすごすぎて圧巻,もっと勉強しなければと思わされました。

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    2019年04月17日
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

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    岸雅彦、石岡丈昇、丸山里美
    中野卓、桜井厚、谷富夫の理論を通して、語りは「事実」か「物語」という問題を洗い直す下りはいずれ再読する

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    2018年11月15日
  • 生活史の方法 ――人生を聞いて書く

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    ネタバレ

    著者の岸さんが、「生活史」についての話をされている記事を読んで、なんかちょっとこれまでにないコミュニケーションのような感じがし、「興味」のビットが立ってしまったので読んでみることにした。

    よく「自分史を書いてみよう」みたいなアイデアはあるようだし、巷にもそのような本も見かける。「この世に誕生した自分というものが、どんな人生を歩んできているのか?」自分の人生を振り返ったり、自分の成果を明確化したり、そんなものが「自分史」と言えるだろうか?

    それに対し、「生活史」というのは、どうやら全くの他人が、ある人の人生にかかわる生々しいエピソードを聞き出して、それをなるべくありのままの形で、例えば本の形にして出版するというようなもの。「自分史」は自分が書くが、「生活史」は他人が書くというところが大きな違いだ。

    著者は本書の中でも、そのアウトプットを「作品」と表現されていることがあるが、そういう意味で著者の「作品」には、「東京の生活史」「沖縄の生活史」「大阪の生活史」というようなものがある。

    「沖縄の生活史」は比較的イメージしやすい。悲惨な沖縄戦を生身で体験した沖縄在住の人びとの生々しい人生を一人ひとり丁寧に聞き取って、その個々の人生に焦点をあてて綴られたものだ。

    よくあるアンケート票を書いてもらって回収し(=量的調査)、「沖縄戦とはこんなものだった」と一般論としてまとめ上げる本ではなく、個々それぞれの異なる貴重な体験が、並列に存在し、それが全部で束になって訴えてくるインパクト(質的調査)は、語り手の人数倍の威力があると思う。

    本書は、「生活史とはどういうものか」ということには触れず、「生活史をつくる方法」について細かく述べられている。語ってくれる人を募り、頼み、同意してもらい、語っていただき、それを聞き取り、文章に起こし、編集するという一連の工程について、流れだけでなく独特の苦労(つまりは著者の生体験)が綴られていた。

    その中で自分が本書を通じて、もっとも興味深かったのは、「話を聞く」姿勢のことだった。著者はこんなことを述べている。

    ″聞き取り調査では「私の話を聞いてください」と語り手のほうから積極的にお願いされることはほとんどありません(このあたりが、臨床心理やカウンセリングと一番違うところかもしれません)。”

    こう著者は言っているが、実際のところは、臨床心理やカウンセリングでも「私の話を聞いてください」というのはなくて、「どうすれば語ってもらえるか」ということが課題点で、違いはないのではとも思った。

    本書の中での著者の言葉で、刺さった表現がいくつかあった。一つは「必死で受動的になる」とか、「積極的に受動的になる」という言葉。主役は語り手というスタンスに徹していた。

    そして聞き取りの際に著者は、語り手の語り始めやすい質問をなげかけ、それによって生まれる会話をこのように表現していた。

    ”一つの質問が次の言葉を生み、その言葉がまた次の質問を生む。生活史の語りは、ものすごく大雑把に言えば、質問と答の連鎖です。”

    また、語り手の自由な語りを尊重していた。

    ”生活史の語りは、その自由さや豊かさに大きな価値があるのです。生活史の語りには脱線や誇張、曖昧さ、主観的なイメージや感情、思いもよらないような展開、大胆な比喩、語り手自身による強い意味付け、笑顔や涙が伴うのが普通です。そこには事実関係の間違いや明白な虚構さえ含まれているのです。こうした豊かな語りが聴けるかどうかは、語り手がどれくらい自由に、楽しく語ってくれるかにかかっています。”

    この「生活史」づくりでの語り手、聞き手の在り方は、自分たちの日々の生活の中で重要な視点かもしれないなと感じた。例えば、家族に対して、積極的に受動的になれているか?とか、逆に家族が互いに自由に楽しく、時には虚構も交えて、語っているか?とか。

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    2026年10月06日
  • リリアン

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    街外れで暮らすジャズベーシストの男と、場末の飲み屋で知り合った年上の女。大阪の街であてどない日々を送る男女の繊細で温かな会話から浮かび上がる人生を描いた作品。

    読み始め、「」のない穏やかな大阪弁の会話文の中から、うら寂しい世界が浮かび上がってくる感じが素晴らしい。純文学ですね。絵画で言えば静物画、「何を描くか」ではなくて「どう描くか」が問われる世界。
    しかし、ダイビングから始まった話が、年上の女性との恋愛、そして生業とするジャズへと流れて行き、そのコード進行が語られるあたりから、そうした知識の無い私はついて行けなくなりました。どこかとりとめもなく流れて行く話。やっぱり私としては「何を」を少しは整理して欲しいのです。
    雰囲気は良いのだけれど、ちょっと間延びした感じでした。

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    2026年09月25日
  • 生活史の方法 ――人生を聞いて書く

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    一般の人々から、その人が体験したことについて、聞き取り、記録して、編集して論文や書籍に落とし込む、社会学の学術的な調査の実情を知ることができる本でした。
    本書から得たものは、聞き手の在り方についての考察したところです。現場の対応としては、手土産やお礼は持っていくべきか?とか、何を持っていくのが相応しいのか?質問をするタイミング、話の腰を折ることになる懸念など聞き取りをする現場の疑問点が挙げられており、参考になります。あまり、聞き取り調査に参加することはありませんが、キャリアコンサルタントとしてや、職場の役職的に管理職であれば、人の話を聞く機会は常にあるわけです。さすがに手土産の心配は不要ですが、聞き手として注意するべきことで、学びがありました。

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    2026年09月05日
  • 断片的なものの社会学

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    「断片的な人生の記録を、一般化することは暴力だ」という考え方は、人類学者の磯野真穂さんが「急に具合悪くなる」の中で、人類学者として人の人生を文章にまとめる行為について言及した箇所に、通じるものを感じた。
    フィールドワーカーは、言葉にするとこぼれ落ちてしまう、感情や経験を保存し切れないジレンマを常に抱えており、だからこそ行間にある雰囲気や、一見意味のない出来事に惹きつけられるのだと思った。

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    2026年08月08日
  • ビニール傘

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    「ビニール傘」(岸 政彦)を読んだ。

    〈あぁそうなんだよな・・・〉という感じであっという間に読み切ってしまった。

    SNS をスクロールして雑多なつぶやきを流し読みしている感覚だけれどそこにはリアルな倦怠感や寂しさや哀しさが溢れている。

    本の帯には『気鋭の社会学者による、初の小説集!』ってあるけど、この方を存じ上げていないのである。

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    2026年07月30日
  • 断片的なものの社会学

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     社会学者の著者が調査を進めるうえで出会った人々、土地の記憶を集めた、文字通り断片的な記録だ。断片的であるが故、著者の記憶に強く残った人、風景が書かれている。

     自分が見て、感じた60年余りは、所詮一人の目が見た狭い範囲の世界にすぎない。世の中は広く多様だ。想像しきれないほどに多様だ。だから僕は本を読む。他者を想像できるように。多様性を織りなす社会を知るために。

     本書は結論めいたことは描かれていないが、多様な社会を生きる隣人を知る一助になる本だ。

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    2026年07月29日
  • 生活史の方法 ――人生を聞いて書く

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    生活史を書くにはどうしたら良いか、後半は具体的なハウツー本となっている。これから質的研究をする人たちにはなくてはならない本として不動の地位をえるだろう。新書だしね。
    オーラルヒストリーは、今までの歴史では掬い取れなかった普通の人々の人生を見せてくれ、それが軽く見られていた近代の歴史観を変えてくれた。アレクシェーヴィチがノーベル賞を取ったことで、この手法は不動のものとなったといえる。
    だが、同時に、オーラルヒストリーはやはり難しくもある。岸さんはその辺りの困難さも含み込んだ上で、生活史を書いているということがよくわかる。

    打越さんの名前がよく出てくる。積読の「ヤンキーと地元」読まなくては!

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    2026年06月30日
  • 生活史の方法 ――人生を聞いて書く

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     岸政彦の「断片的なものの社会学」がとても好きで読んでみました。「断片的〜」の冒頭に出てくる、沖縄での生活史聞き取り調査の途中、取材者の犬が死んだ話が印象的で、この本にも出てきてます。「おとう犬が死んだ」と庭から聞こえる声に「おう」とだけ答えて、取材を続けたという話。行間にあるものを読み取ろうとする岸さんのスタンスがいいなぁと思う。ただ、この本は実践的な「生活史の方法」だったので、対象は思いっきり社会学専攻者。手みやげは何がいいか。レコーダーは何がいいか。徹底的に「方法」の話でした。岸さんのプロフェッショナリズムが伝わってくる。ただ、生活史そのものをぼくらは読むべき、な気もして、まだほとんど読んでない積ん読の「東京の生活史」をもう一回開きたくなりました。

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    2026年04月04日
  • 断片的なものの社会学

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    はじめてのエッセイ(これがエッセイと表現していいかわからないが)。
    自分には合わないと思ったが、読んでいて、どこかしか素朴な時間を得られた気がした。

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    2025年12月22日
  • 断片的なものの社会学

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    物や出来事について、過度に意味付けをしたり結び付けたりせずに、ただそのものとして見る。
    自分もどちらかというとそうだから、共感できた。

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    2025年12月15日
  • 東京の生活史

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    全部読むつもりではなかったので、何人かのお話を読んでとりあえず終了にする。またいつか、開いてみたい。

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    2025年12月13日
  • にがにが日記

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    猫介護部分に興味があり読んだので、「おはぎ日記」以外は拾い読み。
    生活圏が重なるので、ネタとしても楽しんだ。

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    2025年12月08日
  • 調査する人生

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    社会学がどういうものなのか、少し理解できました。全然詳しくなくて、誰一人として知る者がいませんが、興味を持つフィールドが各々違って、調査の仕方も異なり、聞き書きもその人らしさが出ているんだろうなぁと思います。お一人お一人を調べながら読み、それぞれの方の社会学の本を読んでみたくなりました。上間陽子さんの言葉に気付きがありました。強く優しいお人柄で、先ずは上間さんの著作を読んでみたいです。このような社会学者がいらっしゃるお陰で、自分自身にも気付きが与えられ、世の中に知られる事で、少しずつ良くなっていくのかな。

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    2025年12月06日
  • 生活史の方法 ――人生を聞いて書く

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    本編中にハッキリと言及されることはなかったけれど、深夜にタクシー代を払う代わり家について行き、その人に話を聞いたり、ある特定の場所に72時間カメラを構えて、そこを訪れる人に話を聞く。というような番組をよく観ているし、似たような番組を作ったりしているので、ためになった、というよりは耳が痛かった。どこまで、真剣に考えたのか。

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    2025年11月25日
  • 断片的なものの社会学

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    作者が色々な老若男女問わず、方々で取材したことを題材に、人や社会との関わりに関する見解を述べているエッセイ。
    1つの章に対して場面展開が激しく(色々な人の体験談が多い)、個人的には理解しにくかったが、筆者が伝えたいことは何となく分かった気がする。
    現代は人と仲良くしようとすればするほど、個人を尊重する(見守ろう、1歩引こう)風潮があり、矛盾しているのではないか、という描写は確かにと感じた。

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    2025年11月21日
  • 断片的なものの社会学

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    つかみのどころのない本だけど、道端で、SNS上で、どこかですれ違ってきた人にも、その人の人生がある。10年ぶりに再読しても、覚えていたエピソードもあった。この本の感想を書くのは難しいのだけれども、人に興味がある人には、ぜひ読んでみてほしい。【再読】

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    2025年11月19日
  • 断片的なものの社会学

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    断片的なものとは何か。
    それぞれのストーリー。
    「寄せ鍋理論」は面白かった。私たちは、相手の目を見たくないし、自分の目も見られたくない。鍋が間にあるから、私たちは鍋を見ていればよく、お互いの目を見ずにすんでいる。
    誕生日についての「ただその日に生まれただけ」も言いたいことはわかるのだけど‥記念日ってそんなもんだと思うしな。
    「本人がよければそれでよい」は確かに理屈づけて逃げてるのかなと思った。止めることができないことを正当化しているようにも感じる。

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    2025年11月11日
  • 調査する人生

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    面白かった。社会学者の岸政彦さんと、同じような研究者の方たちとの対談。奥さんとの対談、面白すぎるが、ちゃんと学者として話しているのもそれはそれで面白い。大変だったね、で終わらないためには。社会学の本はいろいろ大学生時代に読んだが、インタビューなど生活史、人としての人生を学問にする、というのも不可能や、意味のないことではなく、そういうもの自体があることの意義を考えさせられた。

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    2025年09月04日