岸政彦のレビュー一覧

  • リリアン
    私より、まだまだ若いのに人生に疲れてしまった男女の話し。物語は、淡々と進み、淡々と終わった。 会話の中の大阪弁が柔らかいなあっと思った。
  • リリアン
    “「友達でも家族でも、お前のせいやないって、みんな言うけど、でもそれは優しいからやんか。でも何ていうかな。ほんまに俺のせいやなかったんやな、って納得するのって、そういうひとらの言葉じゃないよな」”(p.111)
  • リリアン
    リリアン

    著者:岸政彦
    発行:2020年4月7日
    新潮1384号(2020年5月号)

    注目作家の最新作。230枚なので、これまでの小説の中で一番長いかも。主人公は大阪市の南端でもある我孫子に住んでいるが、今回も岸作品ではおなじみの、野田と福島の間にある長屋、野田阪神、そして僕の住む西九条が出てく...続きを読む
  • 大阪
    本屋さんで見て反射的に手に取ったけど、あまり感傷的な読書をしたくない気分のときだったので棚に戻したのに、その次の日くらいにナオさんが(この本を入手して)「よっしゃー!」とツイートしてはったのでたまらず買いに走りました。

    想像していた通り、私より少しだけお兄さん、お姉さんの二人の著書が思い出を辿る記...続きを読む
  • 図書室
    図書室。50代の女性の子供時代、母との貧しい暮らし、公民館図書室、仲良くなった男の子との思い出。

    と、作者本人の大阪に対する想いを書いた給水塔。
    関西に馴染みがないのでなんとなく読んだ。
    これが自分の地元だともっとしっくりくるのか?
    大学を出て、飯場を転々とは作家としては珍しい?
  • 図書室
    ダヴィンチのプラチナ本オブジイヤーから。同コーナーで取り上げられたものは、結構積極的に読むようにしていて、それなりに当たりが多い印象を持っている。で、その中でもその年一番ってだけに、期待は大きくもなる。でもこれはダメ。少なくとも個人的には全くハズレ。今、文学モードじゃないってのも大きいのかもしらんけ...続きを読む
  • ビニール傘
    背中の月の彼が部屋を出て、ビニール傘の彼になるのか。
    大阪愛がちりばめながら、生きづらさを孤独をつながりを感じる。
    著者は社会学者。
    私は音楽家から知ったので、そちら関連も読んでみたい。
  • 図書室
    大人になった今はもう得られない、かけがえのない大切な時間。
    現実味のないことに真剣に頭を悩ます二人が微笑ましい。

    その人を形作る過去の思い出。
    トラウマ的なことではなくこういう何でもない日々から人生を見つめるのもいいもんですね。
  • 図書室
    子供2人の会話のテンポが良くとてもいい作品だった。
    子供の頃を思い出す、大人の女性。
    自分の母親の事、猫の事。
    そして図書室でいつも出会う男の子の事。
    その子との不思議な冒険。

    後半は作者のエッセイ。
    私の知らない大阪がいっぱい。
  • 図書室
    「何かを激愛する、ということを久しくしていない。何かを激愛したい。それで振りまわされたり、困らせたり、たまに泣かされたりしたい」

    50歳、独り暮らしの独身女性の美穂。
    定職もあり貯金もあり、何不自由なく日々を平穏に暮らしている。
    けれど、ふと思い出すのは11歳の頃の出来事。
    近所の公民館の小さな図...続きを読む
  • 社会学はどこから来てどこへ行くのか
    とても興味深く読ませていただきました。
    社会学自体が馴染みがなかったが、4人の討論のわりにはよく纏まっているので、読んでいるうちに「社会学」の輪郭や直面している問題について理解ができるようになってきました。
    社会学を専攻していない素人の方でも、楽しく、また気づきを得ることができる良書だと思います。
  • 図書室
    1人暮らしの50歳の女性が小学校の頃通った公民館の図書室のことを追憶する物語。
    小学生の頃、秘密基地を作って遊んだことを思い出した。
    印象に残った文章
    ⒈ 私たちはもう10歳かそこらで、男というものに絶望していたような気がする。
    ⒉ 図書室に行くと、彼はいつものようにベンチの上に本を積み上げて、本の...続きを読む
  • 図書室
    中編1編、エッセー1編
    小説の方は公民館の図書室で出会った男の子との思い出を中心に、エッセーは本人の自伝的なあれこれだが、どちらも主人公は大阪、淀川、千里山、など登場する土地の纏う雰囲気、人情で、文章から大阪への「愛」が伝わってくる。本当に懐かしい。
  • 図書室
    読み始めてから、何度も表紙を見返してしまった。
    この作者は本当に男性なのか?!・・・と(失礼m(__)m)
    それほど、子どもの頃に確かに感じていた孤独や希望やさみしさが主人公の少女を介して
    私の中に溢れて止まらなくなってしまったのだ。

    小説の中にも出てくるけれど、
    その年ごろの男の子は『アホウ』だ...続きを読む
  • 社会学はどこから来てどこへ行くのか
    岸さん、北田さん、筒井さん、稲葉さんによるトークリレー本。社会学の知見がないと読み進めるのが苦しい。大学で学んでいた社会学を理解するために購入したが、より難解になった気がする。そのくらい普通の学問の深みはすごいと言うことなのかな。
  • 図書室
    オーラルヒストリーの聞き取り調査等の方法論を得意とする社会学者であり、かつジャズベースのアマチュアミュージシャンであり、そして作家。3つの顔を持つ著者による表題作の中編小説と、自伝的エッセイをまとめた一冊。

    岸政彦の小説やエッセイに流れる視点は常に一貫している。それは徹底的に我々の日常の意識を再現...続きを読む
  • 社会学はどこから来てどこへ行くのか
    ちょっとしたきっかけで買って読むことになった本。もともと社会学がどういうものなのか分かってないのに「どこから来てどこへ行くのか」なんてどうでもいいんだけど,専門分野が異なる先生たちの対談というライブ感のおかげでそれなりに楽しく読み終えた。
    結果的には,社会学の中にいろんなジャンルがあること,ほかの経...続きを読む