岸政彦のレビュー一覧
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学生時代から初めて大阪に来てなじんだという社会学者・岸氏と大阪生まれで現在は東京に住む小説家・柴崎さんのエッセイの連作集(対話ではない。)大阪という町に対する二人の思い入れ、愛情に富んでおり、「大阪」という独特の語感からの何とも言えない感覚を満喫できた。「大阪って嫌い」と言われることが多いのも、その強烈な個性的雰囲気が物語っていることも同感だ。大阪弁は意味の伝達よりも、会話を続けること自体に意味がある。そして、喋り続けることにより、自分は怪しくない人ですよー、と表現しているのだと、柴崎さんの感想には笑った。彼女の幼少期からの大阪での成長ぶりが面白く、中学時代からエレファントカシマシの公演には
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先輩からのおすすめで。
私は文学畑の人間だが、社会学とは文学の対極に位置する学問なのではないかと思っている。個々の人間の「物語」を一般化する社会学の学問対象は文字通り「社会」、社会全体がどうすればより良いものになるのかを思考する学問で、(本著で岸政彦も述べているように)そこには暴力が伴う。インタビューは一人一人の人生に土足で踏み入る行為だし、かつ研究ではそこにある些末な感情などは捨象されうる。だから私は、社会学をやるような上等な国民には下層の人間のことなんかわかりっこない、ただの数字やデータに置き換えられるだけ、といつも感情的になってしまう。文学は多くを語らない、そこがいい。文学は学問であるよ -
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ネタバレ岸政彦さんの本はいつも読んでて本当に不思議な感覚に陥る感じがある
頭の中をスーンと何か静かなものが突き抜けて流れていくような感じ
流動的で普遍的〜連続性〜みたいな(自分で意味分かってないけど)単語が似合うような
登場人物に親しみを持って読んでいたら急にその人が消えるからさ、なんかそこで〜普遍的〜みたいなさ…分かってないけど…
柴田友香さんめっちゃ都会の学生生活で羨ましいんやけど…田舎って損だなあ
こんなに文化享受できなかったし行くとこなかったし暇だから時間は長く感じたよ
私こんな楽しそうな街一生知らないんだよなー
大学進学のときとか就職とかなんで出なかったんだろって後悔がまた湧いてくる
知 -
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ネタバレ読んでいて、ファンシーショップに行きたくなった。
本好きボーイが太陽爆発を語り死の予感をさせてくるのもなんだか覚えある。
スーパーマリオより先に
謎ルールの遊びで「イッキニキ」という命があって負けるたびに死んでた。
子どもなのに日々死にまみれていた。
命の復活も簡単だった。
大阪の土地て、どんないい加減なところも受け入れる器がある。
えらいとかえらくないとかでなく、みな横並びで、高級とかでなく、安いほうがありがたられる世界。
あの頃の自分を懐かしく思い出すと共に、
ハラワタのような苦みのある読後感。
でもなんだか、読み返したくなる。
岸政彦は優しい。
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Posted by ブクログ
ネタバレ質的調査が、個々のケースについて理解・解釈していく方法だとして、それでは実際の調査プロセスのなかで、何をどのように具体的に理解していくのでしょうか。
代表的な質的調査の例を挙げて考えていきましょう。P・ウィリスが1977年に出版した『ハマータウンの野郎ども』です。ウィリスは70年代に、あるイギリスの工場街(「ハマータウン」=ハンマーの街)の小さな高校で参与観察をおこないました。彼が分析の対象としたのは、その高校の主に二つのグループでした。ひとつは「ラッズ」(野郎ども)を呼ばれる不良少年たちで、もうひとつはイヤーホールズ)「耳穴っ子」)と呼ばれるガリ勉の優等生グループでした。
ウィリスは、