岸政彦のレビュー一覧
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私が多感な時期を過ごした80年代から90年代は、アイドルがたくさんいて、トレンディドラマが流行って、海外の音楽なんかもすごく流行った時代だった。バラエティも盛んでドリフターズやひょうきん族を見て育った。今から振り返ると、随分とどんちゃん騒ぎだったなと思う。勢いがある時代だったんだなと、勢いがなくなった今の日本にいて思う。
そういうメディアでキラキラしたもの、明るいものばかりを見て育ったから、キラキラしたもの、明るいものが良いものだと思っていたけれど、正気になって落ち着いて見回してみると、社会はこの本に書いてあるような、さりげない、ちょっとしたエピソードや、少し寂しかったり、哀しかったり、意味 -
行き交いすれ違う。その時私は他人の人生に接近する。断片的な1場面は通り過ぎても尚続いていく…。他人の人生を意識し介入することはしない。だがそこに断片のかけらが確かに存在する。
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筆者も言うように、とらえどころもなく、はっきりとした答えもない、あやふやな本。エッセイ調の中にメッセージ性を感じた。人を尊重するということは人と距離を置くこと、相手をそっとすること、ほっておく、ということになってしまう。もっと人と面を向かって話して、関わってもいいのではないか、ということ。
どの話もなにか人との関わりに纏わっていた、ただ面白かった。
・手のひらのスイッチ
幸せのイメージに「一般的に」がつくと、途端にそれかそれ以外かの基準が生まれる。「私は」という主語から始めることが幸せについて大切なこと。
何かをするのは自由でいいこと、ただそれを規範として強制してしまうとそれが嫌な人にとって -
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パシリとしての参与観察を行った、打越正行さんの遺稿集。
ちくま文庫「ヤンキーと地元」にも書かれていたご自身のフィールドワークについての説明がさらに詳細に、また解説もあり深く知ることができた。
沖縄の社会で生きるヤンキーたちを近くで見て一緒に生活をした打越さんの迷いや落胆、辛さも感じるが、しっかりと社会学者として対峙している姿がある。
・沖縄の二次産業の特殊さ
二次産業がそもそも全国比で約半分、そのなかでも製造業は全国平均21.0%に対して沖縄県は5.3%しかなく、製造業が空洞化。ヤンキーがつきやすいからだを資本とする肉体労働である二次産業は建設業になる。
建設業につくためには、特定のしーじゃ -
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分厚さにたじろいだが、字の大きさに少し安堵。
何より内容がある意味シンプル、ある意味深かった。
私はこの打越正行さんを知らなかったのだが、沖縄のヤンキーの実態を知るべく、
自らパシリになりながら取材を続けた人らしい。
一年前に亡くなって、その遺稿をまとめ出版したのがこの本ということだ。
沖縄、米軍、公共事業、建設業、ヤンキー、暴力、中卒、就職、、、
この辺りがつながっているということを、取材記録がこれでもかこれでもかと、
訴えかけてくる。
そういえばこの辺りを小説にした本を読んだばかりだった。
沖縄。
本土がいろいろ押し付けたものが、沖縄の若者にのしかかっている。
そういう現実を見ずに、好 -
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今年一冊目。年末に読んだ村田紗耶香の世界99がものすごくヘビーだったので、少し軽めの読み口のものをと思い手に取った。
著者がXにあげておられるワンちゃんとの生活の写真が穏やかでいい感じに力が抜けているのが好きで、前からこの人の本を読んでみたいなと思っていた。
読み始めは、まだ世界99で没入していた荒涼とした世界観の中で異様なハイ状態だったのだけれど、著者の落ち着いた、そして遠慮がちに感じる声色の文体が優しく、人間を哀しいどうしようもない存在としてそのまま引き受けるような世界に少しずつ戻って来ることができた。
本書は生活史の書き方の仔細な指南書なのだけど、生活史を書く予定がない私にも、とて -
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岸政彦「生活史の方法」(ちくま新書)
ほぼ同時期にでた佐藤信「オーラル・ヒストリー入門」と一緒に読むと面白い。岸政彦のこの本では、市井の人へのヒヤリングから生活史を描いてきた著者の私小説的な面を含んだネタばらしとなっている。
どうやってアポを取るか、場所はどう選ぶか、手土産はいるのか、ヒヤリングや後々の出版の同意をどうとるか、ヒヤリング中にどの程度口をはさむか、録音や録画の機材をどう選ぶかなど、体験にもとづいて記されている。
ヒヤリング中の注意点としては、口火は切る必要があるがその後の展開は相手に任せる、一点に集中せず、積極的に受動的になること、相手が陳腐に思える一般論をしゃべっていても