岸政彦のレビュー一覧

  • にがにが日記
    こういうことはあまり多くはないんだけど、「いつもなら絶対に寝ている時間帯(AM3〜4時)になぜか寝れずに起きている」って時に、ひとりぼっちで岸先生の本を読みます。なんだろう、ふと自分の人生のことを考えてしまうからでしょうか。

    「にがにが」ではありつつも、おでんのおだしのような本でした。後半は読んで...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    世の中の
    良いとされていること
    悪いとされていること
    そしてその背景を丁寧に捉えつつ、
    その先、へ進もうとする姿勢が素晴らしく、
    まさに断片的なものの社会学。

    アウティングと親友の鍋の話
    そして豪雨の中干からびた観葉植物の話
    が特に印象に残った。

    岸先生の描写、捉え方、そこからの解釈
    その全てが...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    本当にいろんな人がある。会社の同僚、上司、部下。家族、親戚、友人、知人。人それぞれにそれぞれの物語がある。

    私にも、とても人に言えないような話はある。著者の岸先生になら話してもいいかもしれないと思った。寧ろ聴いてほしい。吐き出して楽になりたい。

    世界は複雑で、美しいだけではない。

    美しい面ばか...続きを読む
  • 図書室
    岸政彦先生の小説をまた読んだ。岸先生、生活史を研究しているだけあって綴られる話もただひたすらにそこに生きる人たちが日々の生活を営んでいて、そのなかで出会う人や些細な出来事を書いてくれている
    そういう話を読んでいると特に何のおもしろみもないような自分の1日や1週間、一ヶ月がこの本に綴られている内容のよ...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    友人が貸してくれたエッセイ。自分があまり読むタイプでは無かったので最初はその世界観にたじろいだ。練りに練られた言葉というよりは作者の強い思いが溢れ出し、何とか言葉としては封じ込めたように感じた。普段何気なく過ぎていく「日常」。当たり前だがやはりこれが人間の数だけあるのだと強く感じた。読み終わる事が惜...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    タイトルの通り、いろいろな人の人生について綴っている。
    ざっくりとした解説ではなく、概念的に事細かく解析している岸さん。なんて面白い本なんだ。
  • 断片的なものの社会学
    短期間で3回も読んでしまった。。。
    目の前で起きている事を、そのまま理解する「観察」は今最も重要な事の一つだが、これが意外と難しい。どうしてもバイアスがかかる。
    この本の作者の岸さんは、目の前で起きる、語られらるどうしようもない事を、どうしようもないと、ただ記録する。でも、諦めつつも受け入れている。...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    いろいろな人と出会う本。しんどいのだろうけど、しんどいという言葉の無い対話。後に、ふと、手にとって見返すときがくるのだろう。
    あとがきの言葉にも惹かれた。
  • 断片的なものの社会学
    人間や社会は断片的なものの集合体であるという言葉にハッとさせられた。御多分に洩れず、あらゆる物事に対して明確な意味や一貫した物語を無意識に求めてしまっていたから(そして自分も周りからそれらを求められている気がしていたから)

    「他者を完全に理解することはできない」ことの孤独を抱えてもなお、他者とつな...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    日常は苦しく無常であると感じることを、そういうものであると、肯定される。少なくとも、幸せでないといけないと思わなくていいんだと。
    救いという概念は、イメージするよりもずっと些細なものであるということ。ただ、それが例え、かすかなものであろうとも熱をもち、潰されそうになる一夜に惑う私の足元を照らす。そん...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    冒頭のインタビュー途中に犬が死ぬ話から、著者が直に聞き取ったとらえどころなく一筋縄ではいかないエピソードの数々に圧倒される。
    この世に偶然に生を受け、断片的な物事に囲まれながらどうにも中途半端で大したことのない人生を歩む(著者を含む)人々に対する、愛憎入り混じった感覚がドライな文体で刻まれて心の奥底...続きを読む
  • にがにが日記
    著者のことを知ったのは2015年、『断片的なものの社会学』の頃。以来Twitterでもフォローしていたから本書の内容はほとんどリアルタイムで読んで、いろいろ知っているのに何度も大笑いしつつ、最後は嗚咽するほど泣きながら読んでしまった。『大阪の生活史』できましたね!まだまだ先になりそうだけど読むのを楽...続きを読む
  • ビニール傘
    孤独と絶望のすぐ近くで暮らしている人たちの、でも実は自分もすぐ近くにいると感じさせる、独特なようで当たり前の、実は見慣れた毎日の風景。
    この人の文章は、どうしてこんなに燻んでいて、希望が見出せないのに、引きつけられるんだろう。
  • リリアン
     岸さんの文章、綺麗すぎて、尊すぎて、毎回、感想文を書くのに気が引けちゃうんだよなあ。わたしの拙い日本語で感想を述べていいような代物ではないとだけ書き残しておこう。すごく良かったです。というかいつもとても良い以外の感想が思い浮かばないです。
  • 東京の生活史
    少しずつ読んで、読み終わってしまった。
    今年を生き抜くために買ったけど持ち運べないから部屋に爆弾抱えてる感覚だった
    大学生のうちに読めてよかった
    大阪の生活史も楽しみです 社会人になるからもっともっと時間はかかるだろうけど
  • ビニール傘
    日々すれ違う他人には、自分と同じように人生のストーリーがあるんだということを忘れてしまうと、
    他人に対して乾いた対応をしてしまうことがある。

    他人の人生を覗き見る感覚で読み始めたが、
    なぜか古き良き温もりと、人と重なる温度の幸福感が沸々と蘇えり、ああ、コロナやらなんやらで、
    とても大切なものをなく...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    社会学者である著者が聞き取りを行った中で惹かれた無意味な部分を詰め込んだ短編集。何の意味もないけれど妙に記憶にだけ残るエピソードが集められている。きっと私が今後関わる機会がないであろう風俗嬢や大阪の路上のギター弾き、異国の刑務所で過ごした元ヤクザのちょっとした人生や生活の一部の話が断片的に書かれてい...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    読んでいる最中に感じるのは、掴みどころのない内容への戸惑い。
    読み終わっても、これが分かったと言えるものはないが、この本から得られる戸惑いはとても豊かだと感じた。
  • 大阪
    すごくよい本でした
    やっぱり岸さんの文章を読むとときどき急に涙がこみ上げる
    ”自分の人生に悔いなど何もない“という言葉は(p.21)本心からくるものだろうし、虚勢でも強がりでもないだろう
    でも、ないものを欲しいと思ったり、あればよかったと思ったりするその気持ちに嘘をつくこともなく
    後悔のない岸さんも...続きを読む
  • 沖縄の生活史
    2021年12月から「沖縄タイムス」で始まった
    「沖縄の生活史」プロジェクト。それは、現代の伝承。
    100名の聞き手が100名の語り手から聞いた、生活史の数々。
    ・はじめに 岸政彦  ・おわりに 石原昌家

    100通りの沖縄生活史は、実際に体験した人々の経験と記憶。
    一人につき1万字の飾らぬ言葉には...続きを読む