岸政彦のレビュー一覧

  • リリアン
    記憶の箱にいつの間にか入れっぱなしにして忘れていた”あの頃の思い出”たち。
    「なんか話して」と言葉をかけられ、次から次へと出るわ出るわ。記憶の蓋がどんどん開いていく。
    真夜中に二人、時間も気にせず思い出話をとりとめもなく語り合う。
    いいな、こういうの。気のおけない二人だからできるんだね、きっと。
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  • ビニール傘
    薄い本で1時間半足らずで読み終えた。
    心に寂しさがありながらも薄い膜で多いながら過ごしている、どこにでもありそうな日常が文学的に綴られ細かい描写も多く没入した。
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学

    この本を読むのは2回目だ。正直に言うと、読んでいる途中でなんだか見覚えがあるなと感じていて、途中で既に一度読んでいたことを思い出した。初めて読んだのは一年くらい前だったと思う(後で調べたら二年前だった・・)。質的調査の入門書として読んでいて、紹介されている参考文献を何冊か購入するくらいにはちゃんと...続きを読む
  • ビニール傘
    大阪が好きだ。
    暮らしたのは累計で10年足らずだし、孤独と苦悩の思い出しかないのに、それでも好きだ。
    たぶん、大阪という街が、自由であり、終末であるからだと思う。
  • 社会学はどこから来てどこへ行くのか
    凄いボリュームの本なので圧倒されてしまいますが、頑張って読んでみて欲しい本です。岸政彦さんの文章から感じるやさしさが好きで、それがいったいどこからきているのか少しわかった様な気がしました。
  • 図書室
    定職も貯金もある。一人暮らしだけど不満はない。思い出されるのは、小学生の頃に通った、あの古い公民館の小さな図書室のこと―

    ひとりの女性の追憶を描いた中篇「図書室」と自伝エッセイ「給水塔」の2編収録。


    まるで自分史のようだと思ってしまった。どうしてあの頃の私の気持ちも、今の私の気持ちも、こんなに...続きを読む
  • 図書室
    何かの書評で面白いかもと思い読みました。幸せと言い切れないが、取り立てて生活に不満は持っていない中年から初老になりつつある女性が小学生のある時期を思い出すと言うストーリーです。既に初老になってしまった私(性別は違いますが)にとって、そう言う状況に大いに頷ける部分があります。淡々とした物語の展開が心地...続きを読む
  • ビニール傘
    「背中の月」の方が好きでしたね。
    でも「ビニール傘」の世界を読んだから、そちらの方が好きと感じたのかも。
    …いかにも芥川賞候補という作品でした。
    作中に何度も出てくるカップ麺のゴミが二つの話を繋げ、静かなやりきれなさどうにもならなさ、虚しさを顕在化させているかのよう。

    (引用)「妙な話だが、幸せな...続きを読む
  • 図書室
    大阪に短い間ですが住んでいたので、なんとなく懐かしく、でも新しく感じました。

    ひとりで生きるということは、ものすごく寂しい訳じゃない。空気感がすごくわかる。言葉にしにくい感覚が描かれている気がします。
  • ビニール傘
    これは大阪が舞台でなくてはならない作品。ここまで描けるのかと思う程の丁寧な人物描写。筆者は社会学者として多くの市井の方々と接して来られた経験があるからこそ描けるのでしょうか。。。
  • ビニール傘
    大阪で暮らしている若者の実態を描いた短編が2つ.大阪に限ったものではないと思うが、街全体が下降線に乗り上げた感じで、寂しくなっていく状況をうまく描写していると感じた.
  • 社会学はどこから来てどこへ行くのか

    社会学を専攻していないとわからない”雰囲気”はあるものの,問題の骨子は刺激的。

    たとえば,事例研究における代表性をどう考えるか?というトピックは社会学だけに留まらないであろう。

    対話記録であるため,会話感覚で読めるのも本書の良いところ。サクサク読めてしまう。

    しかし,内容の深みはあるので,し...続きを読む
  • ビニール傘
    社会学者が書いた小説。青春時代の詫しさ、人恋しさ、そして不安感が共感も持って描かれている。
    鍵をかけたか不安で確かめに戻ってくることが多くなった。この本を読むと、それは不安からではなく、家から離れたくないからだと書いてある。さすが社会学者らしい分析だ。
  • ビニール傘
    “誰にでも脳のなかに小さな部屋があって、なにかつらいことがあるとそこに閉じこもる。”(p.92)

    “妙な話だが、幸せなとき、楽しいとき、遊びにいっているときよりも、急な葬式が入ったとき、人間関係でめんどくさいことがあったとき、仕事上のトラブルに巻き込まれたとき、ああ俺たちはふたりなんだなと思う。”...続きを読む
  • 質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学
    岸雅彦、石岡丈昇、丸山里美
    中野卓、桜井厚、谷富夫の理論を通して、語りは「事実」か「物語」という問題を洗い直す下りはいずれ再読する
  • 大阪
    「散歩は終わらない」がよかった。
    自分に憧れを持つことはできず、あそこで育った自分だったらどうなったかなあと考えることしかないと。
    あと、「地元を想像する」の『大阪で生まれ育って、ここが地元だったら、私は東京あたりの、別の街に逃げていただろう」という文、東京のごみごみした感じがいやで関西に出てきた身...続きを読む
  • 断片的なものの社会学
    「誰にも隠されていないが、誰の目にも見えないもの」
    語りを聞きとる ブログをながめる -断片から見えてくる人の生活
  • 所有とは何か ヒト・社会・資本主義の根源
    面白かったけどなかなか難しかった。
    3〜5章は特に。
    5章は、世界システム論から所有を語っているということで大変関心を持って読んだ。
    世界システム論と所有の接続ポイント(「外部の内部化」=収奪)まではよく理解できたが、その後、リオリエントのくだり以降は議論を追えなくなってしまった。
    1章は、新聞記事...続きを読む
  • 所有とは何か ヒト・社会・資本主義の根源
     岸政彦さんのファンなので(文章も好きだし、Twitterのぼやきも好きだし、声も好きだし、顔も大好き)、岸さんが書いたもの、関わった書籍は全部読むと決めている。でもこの本は専門性が高くて、特に岸さん以外の方の論文は、門外漢の私にはどれも難しすぎた。何回か中断と再開を繰り返してなんとか読破したけれど...続きを読む
  • ビニール傘
    描写が細かくて人の人生を覗き見しちゃった感。
    ちょー良い。途中まですっごい共感してたのに最後ちょっとよく分かんなくて掴めない感じ。
    良い。
    あと写真がなんかエモくて良い