ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
9pt
街外れで暮らすジャズベーシストの男と、場末の飲み屋で知り合った年上の女。スティービー・ワンダーの名曲に導かれた二人の会話が重なりあい、大阪の片隅で生きる陰影に満ちた人生を淡く映し出す。表題作の他、女性のひとり語りの短篇「大阪の西は全部海」を収めた、話題の社会学者による哀感あふれる都市小説集。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
社会学者・岸政彦さんの小説。 大阪を舞台にした2作品『リリアン』『大阪の西は全部海』が収録されている。 岸さんの『断片的なものの社会学』という本がとても面白かったので、どんな小説を書いているんだろう?と気になって読んでみた次第。 決してバッドエンドなわけではないが、優しさの中にもの哀しさが漂う読後感...続きを読む。 岸さんの研究手法は、街中でごく普通に暮らす人々にとにかくインタビューをしていくというもので、関係があるかは分からないが小説の中にも印象的なエピソードがたくさん盛り込まれていた。 動物もよく登場するので、『断片的なものの社会学』で岸先生の人となりを知った後だとついつい重ねて読んでしまう。→優しさの要素? 北新地、淀川、和歌山、万博公園など地名が出されることによって実際にあった出来事のように感じる。→哀しさの要素? ジャズ、太陽の塔好き、妊娠や子ども関係で辛い思いをしている人におすすめしたい。
身を潜め やがて星空の万博公園 リュックから毛布と水筒に入ったホットコーヒー 改行も括弧もとりとめもない 息づかいが聞こえてきそうな会話文 この夜のことは僕も知っているかもしれない 物語のしおれ方もリアルで良かった
岸さんの文章、綺麗すぎて、尊すぎて、毎回、感想文を書くのに気が引けちゃうんだよなあ。わたしの拙い日本語で感想を述べていいような代物ではないとだけ書き残しておこう。すごく良かったです。というかいつもとても良い以外の感想が思い浮かばないです。
年末の長期休みが始まって2〜3日後の、とうに昼夜逆転してしまった夜。 眠れなくて同居人とハーゲンダッツを買いにコンビニに行く時に似ている。
かぎ括弧のない会話は読んでいるうちに、境界線が溶けるような感覚に。 最近、縁ができた我孫子周辺はもとより、万博や山田の描写に胸熱。散歩したくなる。
“人間いらんやん” “優しいやつは、役に立たんのや” 生々しいリアルな会話、人肌の温もり、不器用なやり取り。 優しい。 なんだろうか。こういう優しさを何と言うのだろうか。
気持ちいいコード進行のような、 流れるような会話が心地よすぎる 大阪弁の会話ってこんなに優しく聞こえるの? 切ないのに二人は悲しそうじゃない 読んでいる私も悲しくはない 絶対また読む! コルトレーン聴きながら♪
この曲、知ってるわ。 うん、これ、有名な曲やで。 なんていうやつ? Isn’t She Lovely。スティービー・ワンダーやな、 元歌は。 そうなんや。名前だけ知ってるわ、そのひと。 めちゃ有名なひと。 そうなんや。 うん。 ええなあ。 なんか、切ないな。 そやな。 切ないっていうか、懐かしいって...続きを読むいうか。 なんか、帰ってきたで、って感じ。 ただいま、おかえりって、言い合ってるみたいやな。 うん。 うまいこというな。 なんか、大好き。ただいま、おかえりって感じ。 この小説にはこのような男女の会話がたくさん登場する。次々と交わされる言葉のやり取りを、あえて「」(カギカッコ)なしで綴る。途中からその意図が理解できた。羅列されているといってもいいぐらいに頻出する会話。確かに「」が付いてると、うっとうしく感じる。 会話内容はごくごく他愛のないものだけど、むしろその普通さがリアルさを醸す。読み手はあたかも側で聴いているような感覚に包まれ、耳をそばだて、気がつけばすっかりふたりの世界に引き込まれている。 おおよそ我々が普段交わしてる会話は、漢字にする必要のない、ひらがなで喋っている。そこにオノマトペが加わる。関西人はその傾向は大で〈シュッとした人が、この道をピューと行って、あそこの角をキュッと曲がりはりました〉みたいになる。 余談を続けると、村上春樹の小説の会話なんて、現実にはあり得ない。聴いただけでは判別しづらい漢字二文字の熟語や気の利いた比喩なんてものはあらかじめ用意でもしてない限り即妙には出てこない。それを実際にやられたら、関西なら「きっしょ~」「サブイボ出るわ!」って、言われるのがオチである。 さてというかようやくこの小説。 舞台は大阪市の南端。著者の言葉を借りれば、大阪市のいちばん南の外れの、どんづまりのどんづまりのどんつきの街で暮す、語り手であるジャズベーシストの俺と近所のバーでバイトで働いている俺より10歳上の美沙さんの恋物語を縦軸に、主人公の俺はそれなりに音楽で飯は食えているが、じゃあ夢が叶っているかと問えばそうではないような中年に差しかかった男の行き場のない思いが語られる。 本書は小説のスタイルは取りつつも、ストーリー自体に起伏は少なく、話の継ぎ目もいたってシームレス。先の会話をはじめ、とにかく自由度が高い。小説のあるべき形式には素直には従わない、ジャズのアドリブ演奏のような闊達さに溢れる。 それが際立っているのが会話に登場する互いの記憶に揺蕩う心象風景の挿入。男にとっては<小学生時代のクラスの女の子が無心でリリアン編みをしている姿>であり、彼女にとっては<川=淀川への恐怖感>など、ふたりは大阪の街-場末感漂う我孫子にはじまり北港・大国町・西九条・蒲生・野田・南森町・西天満・万博…を歩きながら、時にささやかな冒険をするようなデートをしながら身上を語り合う。 互いに惹かれ合い、間柄が親密になっていくほどに、想起する過去の様々な出来事、色褪せない痛切な心象を刺激しあうことへの怯え。ゆえに、からだを重ねる関係になっても、近寄りすぎたり、束縛したりしないよう適度な距離を保とうとする。 道ならぬ恋ではない、ええ大人の恋愛。波長が合い、たちまちにして惹かれ合ったゆえに生じる<切なさ><寂しさ><優しさ><怖さ>が臆病へと駆り立てる。 悲恋で終わる恋じゃないんだけど、切なさがじわりじわりと迫る、淡くて、緩やかで、ポエティックなリズムを刻む恋愛小説。 ー恋は遠い日の花火ではないー 随分と昔に流れたウイスキーCMコピーを思い出し読み終えた一冊。
この人の文章は何故かひきこまれる。 情景が浮かぶのは勿論、登場人物たちの会話の内容以上に、その人達の間の空気感や、温度、そしてザラついた感じなど、何だか質感を感じる。
さらさらと流れるように 身体の中に入ってくる文章で、ほんとにほんとに 美しくて、日常が違って見えます。 美沙さんとの話、もうちょっと聴きたかった!
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
リリアン
新刊情報をお知らせします。
岸政彦
フォロー機能について
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
大阪
大阪・釜ヶ崎、沖縄――政治に揺れる街の声
大阪の生活史
沖縄の生活史
質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学
社会学はどこから来てどこへ行くのか
所有とは何か ヒト・社会・資本主義の根源
生活史の方法 ――人生を聞いて書く
「岸政彦」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲リリアン ページトップヘ