安斎勇樹のレビュー一覧
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哲学カフェの運営に興味を持ち、ファシリテーターを勤めるのに何か役立つ情報がないかと思い、手に取りました。
日頃、何気なく行なっている問いかけについて、理論的・体系的に言語化してくれており、非常に有益。
当方教員で、普段から教室やさまざまな場で問いかけを行っているが、その際使っているであろうテクニックがタグ付けされていて、コミュニケーションの奥深さを感じた。
一つだけ印象に残っていることを挙げるなら、対話の大きな流れを事前にデザインする手法に関して。
自分➖組織と過去➖未来を軸にマトリックスを作って、上下に行き来しながら対話を展開するとダイナミズムが生まれるというようなことが書いてあり、ぜひ意識して使ってみたいノウハウであると感じた。 -
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前作『問いかけの作法』が非常に良かったので楽しみにしていた本作。出会いの衝撃が大きかった前作ほどではないが本作も自身の経験や課題意識とも通ずる部分が多く面白かった。
「軍事的世界観」からの脱却が中心に据えられていて、それ自体は特段目新しいものではないが、本書ほど本質的に、そして現場の実態に即して述べられたものは私は読んだことがなかった。「戦略」や「ターゲット」などの用語が軍事由来だとして批判するような表面的なことだけをいっても「じゃあどうすれば良いのか」は一向に見えてこないのですが、本書では新たな時代や環境に適合する冒険する組織への変革を目指すにしても、軍事的世界観の中で培われてきたノウハウやフレームワーク自体が否定されたり、不要になるということではないことをしっかり据えた上で論が展開していくので納得感があった。個人的に組織の戦略策定や組織づくりのタイプを「課題解決型」「価値創造型」にわけて整理、理解することが多かったが、本書の知見によってこれまで構造化して整理するのが難しいと感じていた「価値創造型」の組織における考え方が整理されたように感じる。 -
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ネタバレ『冒険する組織のつくりかた』読書メモ(安斎勇樹 著)
【基本テーマ】軍事的世界観(効率・統制)から冒険的世界観(創造・探究)への転換
■核心モデル:CCM(Creative Cultivation Model)
・二重整合性:機能的整合(事業構造/業務設計)+精神的整合(心理的安全性/組織文化)
・生態系比喩:個人(根)→チーム(幹)→組織(葉)が相互作用し社会的価値を創出
■5つの基本原則
1. ALIVE目標設定:
- Aspire(志):社会的ミッションとの整合(例:カーボンニュートラル推進)
- Learn(学び):個人の成長機会設計(AIスキル習得プログラム)
- Involve(巻き込み):部門横断プロジェクトでの協働
- Value(価値):顧客満足度の可視化
- Evolve(進化):四半期ごとの戦略見直し
2. チームづくりの革新:
- 深い自己紹介:人生の転機・価値観を共有(離職率22%→8%改善事例)
- チームアイデンティティ:「失敗を糧にする集団」など言語化(意思決定速度35%向上)
3. 対話の場の再設計:
- ハレの場(戦略会議)+ケの場(日常的気づき)を併用
- 事例:週次リフレクション導入で改善提案数5→17件/月
4. 学習文化の構築:
- 暗黙知の形式知化(ベテラン技術をVR教材化)
- 評価基準転換:知識量→「仮説検証速度」「問いの質」
5. 生態系的変革プロセス:
- トップ(戦略設計)・ミドル(翻訳)・現場(実験)の協働
- 事例:ミドル主導のAI導入で生産性28%向上
■実践ツール
・T字型探究:
- 横軸(探索):異分野連携(自動車×蓄電システム開発)
- 縦軸(深化):コア技術の高度化(バッテリー充電速度30%向上)
・ミドルマネジャー3能力:
1. ストーリーテリング:失敗談を学びに変換(例:AI導入挫折→協働原則策定)
2. 越境力:他部門/社外ネットワーク構築(技術×人事でAI人材育成)
3. ネガティブケイパビリティ:矛盾をエネルギーに転換(短期業績vs長期投資のジレンマ解決)
■理論的基盤
・複雑適応系理論:小さな実験が非線形的変革を誘発
・暗黙知経営:職人の勘をデジタル化(新人教育期間6→2ヶ月短縮)
■効果事例
・某IT企業:CCM導入後3ヶ月で会議満足度41→78%、離職率18→7%
・自動車メーカー:「モビリティの未来」理念をEV戦略に統合→新規事業売上34%
■キーワード
・許容可能な不整合:効率70%+創造30%で矛盾を管理
・ブルシットジョブ対策:AI定型業務自動化+「社会的価値」四半期レビュー
【総評】
機械的な組織観から生態系的な組織観への転換を、20の実践手法で具体化した現代経営の必読書。特に「問いを育てる目標設定」と「矛盾を創造力に変える能力」がVUCA時代を生き抜く鍵となる。理論的深さと実践的な具体性を両立し、現場リーダーから経営層まで幅広く応用可能な内容。 -
Posted by ブクログ
著者は組織開発で豊富な経験を持つ専門家。確かに「軍事的世界観」から「冒険的世界観」への転換が必要だ。
これは私自身も肌で感じていることだ。
今までの組織の在り方を変えていかなければ、これからの時代には到底対応できない。
今までの「軍事的世界観」では、すでに限界を迎えていたにも関わらず、新しい組織の形に作り変えるところまで至らなかった。
当社内は今でも、上意下達、トップダウン文化が根強く残っている。
当然何十年間もそれで事業を継続してきたのだから、簡単には変えられない。
トップダウンでもきちんと機能していれば、なんの問題もなかったのだが、今はそういう時代ではない。
あまりにも環境変化は激しいし、そもそも事業の複雑性が日々増している。
トップが正しく判断して、正解が出せればよいが、もはやそんな状況ではないのは明らかだ。
戦況が刻々と変化するような中で、現場で臨機応変に対応していくしか方法はない。
現場は現場で、目の前の事件の解決だけにどうしても注視してしまう。
本来は高い視座で、中長期の視点に立って判断することが大事なのだが、それを現場に求めるのも無理がある。
経営側が現場をサポートする体制が整っていれば理想的だと思う。
経営は現場に権限委譲しつつ、適宜適切なアドバイスをする。
相互のコミュニケーションを、如何に密に取っていけるかがポイントだ。
そんな組織体をどうすれば構築できるのか。
確かに経営と現場が一体となって、ワクワクしながら仕事をできることは望ましいだろう。
まさに「冒険する組織」である。
本書では「軍事的世界観」から脱却し、「冒険的世界観」を構築していこうと説いている。
そのための手順まで丁寧に解説してくれている。
確かにこの通り進めていけば、組織の変革はできそうな気がする。
しかし、実行するのは本当に難しい。
ダイエットしたくても、どうしても食べてしまう。
体を鍛えようと思っても、どうしてもサボってしまう。
それと同じで、頭では分かっていても、継続して実行するのはことさら難しい。
しかも自分だけの努力ではなく、組織全体でこれらをコツコツと実行していかなければならない。
やはり、まずは経営トップから、これらを地道に実行していく必要があるだろう。
やって見せて、メンバーに対しては、しつこいぐらい言い続けなければいけない。
それぞれは小さな行動かもしれないが、実際に実行しなければ意味がない。
「何となく体質が改善した」ということはあり得ないのだから、本気で取り組むことが何よりも大事なことだ。
すぐに変革できるというほど、組織に蔓延る課題は簡単ではない。
当社の場合も、長年の親会社子会社間の関係性があって、子会社である当社側はあくまで実行側。
自ら考えて動くというよりも、言われてから動くという受け身体質が、長年の関係性で染み付いてしまっている。
そこを変えていきたいのだが、これが容易ではない。
自分たちがワクワクするような、探求したくなるような組織に変えていきたい。
仕事を受け身ではなく、自ら楽しめるような形に。
そして我々自身が、好奇心を刺激する仕事を生み出せるように。
大きな目標を掲げるのも大事。
自分たちのチームアイデンティティを言語化するのも大事。
対話が何より重要で、その場づくりが大事。
暗黙知と形式知の循環をマネジメントするのは、なによりも大事。
それぞれを実行するのは、本当に難しい。
しかし、それこそ冒険するかの如く、目の前の壁を一つずつ攻略していく。
まずはそこからなのだろう。
数々示された方法論の中でも個人的に面白いと感じたのは、「会社総会に命をかける」というものだ。
敢えて「ハレの場」を作るのだと説いているのだが、私のような50代にとっては逆に意外に感じた。
私が会社に入った30年以上前は、それこそ「ハレ」が多かったような気がする。
(頻度が多ければ「ハレ」とは言えないかもしれないが)
新年明けて会社に出社すれば、朝から宴会状態だった。
仕事している人なんておらず、当時は「何が仕事始め?」なんて思っていたくらいだ。
さらに新年に限らず、季節ごとのイベントがあった気がする。
花見をするとなれば、場所取りから宴会の手配まで行う訳だし、年に1回くらいは部門単位での旅行会のようなものがあった。
大きなプロジェクトが終われば打ち上げするし、その飲み会の手配までが仕事のセットだった。
私自身、当時は参加することを面倒と思っていたし、こんな風習は無くなればよいと思っていた方だ。
無駄な経費は無くそう、という号令の下に開催頻度が少なくなり、時代とともに自然消滅していく訳であるが、こういうイベントは復活しないものと勝手に思っていた。
本書で言っている「全社総会」は、かつての花見や旅行会とは全然違うものだと思うのだが、「みんなで集まって、思いを共有する場」が求められているというのは、一周回って時代が必要としているからだろう。
社内の若い人の声を聞いても「もっと若手が集まりやすい、部門を跨いだ社内イベントを開催できないか」などの意見が頻繁に出てくる。
これを良かれと思ってオジサンが企画して、昭和のノリで実施するのはNGだ。
今の若手に企画と実行まで権限委譲すれば、時代に合わせた形式で行ってくれるだろうと思う。
交流の場での対話は、「価値観のすり合わせ」としても大きく機能する。
様々な人たちが集まって組織を構成している訳なので、価値観が異なるのは当たり前。
しかしその価値観が、会社の価値観とズレていたら双方ともに困る訳だ。
経営トップが本気で会社の価値観を語る場が「全社総会」だ。
そこに全力を傾けるのは、ある意味で正しい。
日常の場ではなく、敢えてハレの場として演出することで、ワクワク感も醸成されていく。
冒険をすることは、簡単ではない。
安定を求める人からすれば、冒険の一歩を踏み出すのは相当にハードルが高い。
仮に冒険志向が強いとしても、実際に冒険を実行することは全く意味が異なる。
本当に信頼できる仲間たちが揃っているかは、冒険の最低条件と言える。
冒険に繰り出す船だって大事だ。つまり、環境を整えることも、冒険の最低条件。
その上で何をどう積み上げていくか。
本書に記載されたKEY「鍵」を順番に実行せよということであるが、これこそ冒険感覚で一つずつクリアしていくしかない。
数百年前の大航海時代に戻ったような感覚であるが、この感覚は正しいのかもしれない。
インターネットがバーチャル世界を大きく拡張したために、次の新大陸発見を夢見て旅立つようなものだ。
当時だって、世界が変わる感覚があったのだろう。
そして今、これから、世界が大きく変わっていくのは間違いない。
そんな世界の荒波を、ワクワクしながらポジティブに乗り越えていく。
まずは発想を変えることこそが、必要なのかもしれない。
(2025/2/28金) -
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ファクトリー型とワークショップ型
★拘りを見つけ育て、囚われを疑い問い直す
過去の武器は未来の足枷
拘りの尊重、適度な制約、遊び心を擽る仕掛け
見立て、組み立て、投げかける
拘り、囚われは何?
ぶっちゃけ?
価値観→観点→評価、確証バイアス
★★見立て:場の目的、見たい光景、現在の様子
★情報共有、擦合せ、アイデア出し、意思決定、FB
★フカボリ①素人質問②ルーツ発掘③真善美
→①そもそも
→②where・when
→③良い〇〇とは
★ユサブリ①パラフレイズ②仮定法③バイアス破壊
→①言い換えると・例えると
→②もし・仮に〇〇なら
→③除外すると
冒頭1分が勝負:予告・共感・煽動・余白
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なにかをより良くしよう、問題解決しようとしたときに「どうすれば⚪︎⚪︎か?」という問いを立てるが、そもそも問いの立て方が間違っているといくら話し合っても解決しない。
でも当事者たちは問題がそこではないということに気づかないまま解決に向けて話し合いを重ね、お手上げになることが往々にしてあるようだ。
そこで筆者のようなファシリテーターが必要となる。
ファシリテーターは企業の会議などの場で中立的な役割を果たし、課題解決のために皆の意見を集約してよりよい方向へ導く役割の人だ。
ファシリテイトするときには、まずは参加者の固定観念に揺さぶりをかけ、本当に皆が問いとすべきこと(考えるべきこと)は何なのかをともに模索するところから始まる。
固定観念に揺さぶりをかけるテクニックとして面白かったのは「9点問題」。ご存知ない方は是非やってみていただきたい。
また、どんな問いが良い問いと言えるのかについては箇条書きで具体例が書かれていたのでとても参考になった。
そのほか、ファシリテーターがリフレーミング(参加者の対話によって場に立ち現れた意味を、別の認識の枠組みから捉え直すことで意味づけを変える)する際のテクニックなど、課題解決に向けてのノウハウが盛りだくさん!
後半は筆者が企業、地域、学校の課題を解決した事例も載っており、全体を通してとても勉強になる本だった。 -
Posted by ブクログ
ファシリテーションの説明を読むのは難しい。なぜなら、ファシリテーションには「空気」があるからだ。
「その場はあたたかい雰囲気でした」と説明されても、その雰囲気は頭ではわかるが、でもそれは、その場の雰囲気を理解したことにはならない。
同様に、ファシリテーションを説明されても、頭では理解できるが、ファシリテーションの実際を理解したことにはならない。ファシリテーションの説明を読む難しさはそこにある。
しかしそれは、著者らの説明不足、言語化不足ということを意味しない。むしろ、説明や言語化は充分である可能性もある(「可能性もある」という但し書きは、ファシリテーションの実際を私が理解できていないので、説明・言語化が充分かどうかを正しく判断できないことによる)。たとえば、旅行ガイドには旅のおすすめを充分に書いてある。旅先で、「あ、ここ旅行ガイドに書いてなかったぞ」と思っても、詳しく旅行ガイドを読んでみると実際は書いてあったりする。自分が読めてなかっただけなのである。
その意味で言えば、本書はファシリテーションの旅行ガイドである。本書を読んで、ファシリテーションという旅に出て、旅の中でふたたび本書を参照する。そしてまた、ファシリテーションという旅を続ける。そういう往還を通してはじめて、本書の意義がわかる。本書を片手にファシリテーションをするとき、本書の魅力が最大限に発揮されるのであろう。