安斎勇樹のレビュー一覧
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従来の軍隊型チームや判断の固定化、思考停止、手段の目的化などの状態・状況においてチームや組織の問題が「問いかけの質」に起因しているという問題意識から出発し、良い問いがいかに人とチームの可能性を引き出すかを体系的に示した一冊。
まず「議論」と「対話」を明確に区別する。議論が合意形成や意思決定を目的とするのに対し、対話は結論を急がず、価値観や前提そのものを探索する営みである。生成AI時代においては、正解を出す力よりも「何を良いとするか」という基準を問い直す力が重要になり、そのために対話の質が決定的になる。
その基盤として提示されるのが「5つのレンズ(目標・チーム・会議・成長・組織)」であり、本書は特にチームと会議のレンズのアップデートに焦点を当てる。
悪い問いと良い問い
・悪い問い→「無関心」「自由度の高さ」「圧力」「予定調和」
・良い問い→「好奇心」「適度な制約」「遊び心」「言葉遣いのずらし」
と整理。問いは相手の感情や思考に直接作用し、チームの空気や創造性を左右する。問いかけを「見立てる → 組み立てる → 投げかける」というサイクルで捉え、メンバーの「こだわり」と「とらわれ」を見極めるテクニックがとても具体的。
・フカボリモード(価値観を掘る)
・ユサブリモード(固定観念を揺さぶる)
という2つのモードとそれぞれ3つずつの質問型が、実践的な型として提示される。
最終章では、問いを投げた後の初期反応へのフォローまで含め、「問いかけ」を一過性のスキルではなく継続的なチーム形成のテクニックとして見ることも学びだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者は安藤勇樹氏。1985年生まれ、東大→東大院→株式会社MIMIGURI社長(現職)。資生堂、京セラ、三菱電機、マネーフォワード、smartHR、layerXなどの組織づくりを支援。
本のタイトルや表紙に誘われて購入。
感想。
面白い。TOBE像は激しく同意。ワンピース戦略もたまたま私自身が社内に発信したことあるくらい。そのための課題(解決ポイント)も激しく同意。最後のHOWだよね。ここはやっぱり現場で頑張ろうになってしまう。そこがマネジメントの仕事だろ、ってことなのだろう。
備忘録。
・これまで、ビジネスは戦争であり、会社は軍隊だった。会社の中で、軍事的な用語がたくさん使われてるよね。武器、競争優位、調達、投下、通達のかとか。
・昨今、キャリア感が大きく変わってきたので、人は事業の道具で、効率的に、標準的に動くことのみを求めるような軍事的な世界観を引きずっている組織からは、人が逃げ出していく可能性あり。
・これからは、不確実な世界の中で各人が自分なりの目的を探索しながら、時には仲間たちと協力して新たな価値を生み出していく冒険的世界観が求められる。
・この組織と個人の間のモヤモヤ感やギャップは決して新しいテーマではない。それを解決する様なテーマとして、パーパス経営、人的資本経営、ウェルビーイング経営、タレマネ、心理的安全性、1on1、コーチング、エンゲージメントなどが出現しているが、これらは組織のアプリケーションでしかない。これらを動かす組織のOSのアップデートが必要。
・組織が成熟してくると、官僚的文化の組織になって行きがち。これを打破するのに、外部思考と統率性を高める「軍事的文化」を強めるケースや、内部思考と柔軟性を高める「家族的文化」を強めるケースがあるが、どっちも課題がある。外部思考を高めて、柔軟性を高める方向感が、冒険的文化だ。
・冒険的組織はワンピースの麦わらの一味だ。船員それぞれが自己実現の夢を持ちながら、同じ船に乗り、同じ方向を向いて協力する。ここの自己実現を諦めない組織、かといって楽しいだけではなくて苦しい戦いにも臨む組織であってぬるま湯ではない。
・エンジニアリング(合理的思考)とブリコラージュ(野生的思考)。合理的な選択と集中ではなく、野生的な分散と修繕(細かな複数に分散した活動を散りばめては修禅して、総体で大きなゴールに向かう)。
・冒険する組織では対話が重要になる。対話とは、雑談でもないし、討論でも議論でもない。お互いの意見の背景にある前提に目を向けた、凝り固まった考えや関係性を再構築するコミュニケーションだ。好き。
・冒険的成長とは、しっくりくる自分になることだ。麦わらの一味で考えるとよくわかる。そしてしっくりくる自分像は常にアップデートされるのだ。内的動機を自分で神格化させるのは危険だ。なお、軍事的組織においてはスキルや行動の習得だった。
・「やりたいことの神格化」は結構問題を孕む。少し前から漂う誰もが夢や野望を明確に持っていなければならないかの様な風潮の弊害で、かえって悩みを増やしている感もある。承認欲求もそう。
・組織づくりとは「組織内の構成要素の整合を図ること」。なるほど。スッゴイしっくりくる。つながりを良くする、辻褄を合わせる、矛盾なく折り合いがついた状態をつくる。
・整合が取れてない例。①業務と人材のズレ、新規顧客開拓が必要なのにルートセールスが不向きな人しかいない。②業務の組織のズレ、エンジニアとデザイナーが連携して欲しいのに、組織が縦割りで接点が少ない。③組織と人材のズレ、ポテンシャルの高い人に機会提供がされない。とかとか。
・CCMモデルは、パッと見ただけでは全く頭に入ってこないけど、その後の解説を読むとスゴいしっくりきた。外的価値⇄社会的ミッション⇄事業ケイパビリティ⇄組織アイデンティティ⇄個々の自己実現⇄内的動機、のメインの縦軸。左に機能的整合として事業構造、組織構造、業務構造。右に精神的整合として、ブランド、組織文化、職場風土。この整合が取れていればバラバラな思惑の人が集まっても大丈夫。
・簡単にまとめると、(下から)個人と組織を整合させる職場マネジメント、組織と事業をつなぐ組織マネジメント、事業と社会を整合させる事業マネジメント。ここの整合がそれぞれ大事。
・整合させるためには、議論の対象を、CCMモデルを参考にして、合わせること。その上で、現実に合わせて変化させる・現状を訂正すること。
・目標は夢ではなく仮説。こう考えると軌道修正がしやすい。目標を追いかける過程に学びがある。予測不能な未来に対して、常に前向きな足をこめる
・深い自己紹介で心理的安全性を正しく高める。個性を活かすには心理的安全性が欠かせない。個性を共有し合う自己紹介が有効。何が好きで何をやりたかったのか、今の仕事に就く時の想い、今のモチベーション、将来挑戦したいこと、たのしいとかんじるこた、不安な葛藤、苦手だ嫌いだと感じていること、など。マウンティングはもってのほか。弱い自分を開示していくべき。
・チームの問題解決は「目線合わせ」が9割。解くべき問いを見つける。組織内の誰かが、自分の視点だけからみた自分の正義に基づいて「これが問題だ」と決めつけると、課題設定は歪む。曖昧な問題を「明確な問い」に落とし込んでから答えを出しに行く。
・仕事の属人性を解消する発想は、働く人を取り換え可能な道具だとする考え方と隣り合わせ。暗黙知と形式知を行き来することでこそ、組織は強くなる。形式知にした後に変化を拒む(イレギュラーを避けすぎる)と、硬直する。 -
Posted by ブクログ
めっちゃおもしろい。
ファシリテーション、マネジメント、キャリア教育などを専門とする2人の大学教授による共著。片割れの安藤氏はコンサルティングファームの経営者でもある。
それぞれが実際に企業や自治体などから依頼を受けて行ったファシリテーションの事例も豊富に掲載されている。
なによりもまず、言葉の定義や、伝えるべきことの構造などを筆者らが丁寧に検討し組み上げた本であることがわかる。それが好印象だった。参考文献の分量やその密度もさすが大学教授やなぁといった感じ。よく耳にする本から、普通の人は知らないであろう論文までさまざま。
そして、とにかく実践的な書物である。
何か目の前に問題があるとき、まずそれをどのように捉えるか、どのように問い直すことができるか、答えに向かうためにどんなステップを必要とするか、などなど、実践的かつ具体に沿って手順と例が紹介される。
現場で数々の問題解決のサポートを行ってきた著者たちだからこそ書ける、リアルで納得感のある視点がいくつも登場する。
問題解決のためには、まず正しく問いを立てなければならない。目先のファシリテーション技術に頼るだけではダメで、根本の問題認識、課題設定が重要である。あらためて問い直したとき、もしかしたら元々認識していた問題とは別角度の問題に気がつくかもしれない。
では具体的にどんな事例があり、どんな問いを立てるべきか?それらを具に、順を追って解説してくれる。
だから、別にファシリテーションをしたいとか何かに実際困っている、という人でなくても、読み物としておもしろく読めるだろう。 -
Posted by ブクログ
これまでの自分の興味関心が詰まってる本。
個々のトピックス的には、そこまで目新しいかと言われると、まぁそういう視点あったよね、という感じなのだけど、企業の組織づくりという具体的シーン設定のうえで理論として体系化されてて、その上での実践ノウハウ、としてまとまっているのがすごくいいと思う。
提唱してるモデルはまだ発展途上というか、いざ実践となるとまだ結構複雑だなぁと感じる。それは著者があとがきでも書いている通りなので、今後の発展に期待。(そういう意味では帯の「超・決定版」は、どうなんだろう…)
組織全体への働きかけはなかなかしにくいポジションだけど、身の回りから、できるところから取り入れて軍事的世界観を抜け出していきたい。 -
Posted by ブクログ
課題への対処の後困難から学ぶ際、教訓を作る前に自分を責めることで困難を思い出すことを回避してしまう「防衛の落とし穴」に触れられているのが特に印象的だった。自分もつい「問題」と「人」を混同して考えがちだが、この二つを混同すると困難を乗り越えた理由がうやむやになってしまいがちなため、困難から教訓を得る上で分けて考えないといけないと思った。
筆者の方が困難にはまると落ち込んでしまうタイプということで、「落ち込まず課題に対処し困難を学びに変え被害を最小化する」というレジリエンスの考え方・サイクルに筆者自身も助けられたのかもしれない。読者として読んでいてそう思うくらい、上からな啓発書ではなく、一個人として実践しやすいようにレジリエンスについて書かれた本で、読んでいて非常に好印象だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一人ひとりのメンバーが好奇心や関心に基づいて自己実現を探究し、同時に集団としての社会的ミッションを追い求める「冒険する組織」をつくるためのガイドブック。自分と組織の成長を相互に促す対話のためのフレームワークやモデルが提案されている。
個人の取り組みと組織の目標を結びつけるための気づきが得られて良かった。
【ポイント】
・冒険する組織は、目標達成の議論に結論を出すのではなく、探求を続ける。目標は更新され続けるから
・冒険的成長は使える自分ではなく、しっくりくる自分になること。やりたいことは崇高なビジョンである必要は無く、面白そう、やってみたい、といった好奇心
・自己実現(内的価値向上)を、社会的ミッション(外的価値向上)と間接的につなげて整合性をつくり、組織で働く意味を実感できるようにするためのモデルとして、CCM(Creative Cultivation Model)を提案している
・CCMを使って、個人と組織のそれぞれの目標や現状について話し合い、整合を取るための探求を行う
・目標設定の前後(どのように決められたか?どのように伝えられたか?)が、目標を自分ごと化できるかどうかを決める
・冒険するチームづくりは、いわばお互いに「推し合う」関係性をつくること。弱さを開示し、互いの弱さもひっくるめて応援しあう関係性を築くことが秘訣
・振り返りの時に、それまでに感じていたモヤモヤを共有するステップを取り入れると、チームの関係性改善につながる
・ピンチをチャンスにする課題設定時に意識したいのは、「もったいない!」という感情。もっとできるのに、もったいない! -
Posted by ブクログ
ネタバレ・引用要約●自分の考え
・「軍事的文化」は「統率性」重視。肥大化して内向きになると「官僚的文化」。自ら設けたルールでがんじがらめ
●某県庁がこれ
・解決策は、1強い軍事的文化、2ぬるい家族的文化、3ミッションと自己実現を探求する冒険的文化
●官僚的文化と家族的文化はなかなか強固、冒険的文化は1点突破から目指したい
・目標のレンズを「好奇心をかき立てる問い」に変換
●見える成果、人の成長を目指す
・ゴールが見えないから「選択と集中」は不向き、野性的思考で「分散と修繕」
●小さくやってみる、1回やる成果はとてつもなくでかい
・新規事業が成就しない原因は、メンバーの価値観と葛藤が見えないから
●自己開示しないルールが蔓延、しかるべき時期に機会提供
・対話とは意見の背景にある前提に目を向けること
●メールなど文字で伝わらない対話の価値
・対話は、ズレ察知、違いの理解、目線を合わせて意味を共創
●相談を受ける際に気にすること
・冒険的成長とは、新たなアイデンティティの探求
●自分の想いの揺れが、確信になる
・やりたいことは、手触りのある好奇心で十分
●最初のきっかけは、のせる、のっかるがいい
・あきらめずに試行錯誤すると、内なる動機と外的価値が結びつくタイミングがくる
●このタイミングを逃がさない、チャンスの女神は前髪しかない
・ミッションと自己実現の結びつけは間接的が有効
●この工夫が大事
・事業報告は、深化と探索でコラボレーションを探る
●小さな摩擦を恐れず、チャレンジする
・目標設定は、変化適応、学び機会、好奇心、未来志向、実験的に
●やってみるにのせる
・ミドルマネージャー同士のつながりは組織の靭帯
●使命感の共有を意識
・ちぐはぐ感はどこにあるかの対話が大事
●なかなか見えなかった
・納得感の高い目標をつくる
●目の前の仕事だけでなく、遠い目標を意識する、させる
・心理的安全性が高まるほどメンバーのらしさが発現する
●らしさを事前に知る深い自己紹介が活きる
・あいまいな問題を明確な問題にする
●責任を恐れず、むしろ責任と課題を分離することが必要
・K(KEEP)P(PROBLEM)T(TRY)よりもKM(MOYAMOYA)Q(QUESTION)T
●KMTでもいい
・ファシリテーションの目的は円滑に回すよりもズレの解消と前提すり合わせから
●問いかけが変わる
・ズレ解消の質問で可視化するのは、素朴質問、言い換え、もやもやしている人への質問
●顔や声で察して、質問することでわかる
・リーダー自身が学ぶ姿を見せる
●見せる方法にひと工夫して、チャンスに一気
・フィードバックは、過去の行動の修正よりも未知の可能性への示唆
●気づきを問いかけにする
・暗黙知をブラックボックス化させない問いかけは、比較を使う
●他人との比較、過去との比較など応用できそう
・危機意識からの変革は短期効果のみで持続しない
●チャンス、前向き、いい見本になる
・組織内のもったいないを探せが効果的
●不満と期待を前向きにぼかす言葉「もったいない」
・ボトムアップ型の変革はどこかで経営陣の視界に入れる
●このタイミングを逃がさない、次の一手も想像しておく
・勉強会は何をだけでなく、なぜをストーリー化する
●お客さんでなく、同士にするということ、自分主語で共感狙う
・火種を見つけて小さくアクションし、聞いてくれそうな人に話す
●スピード重視、火種が消えないうちに